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国会での活動

国会での活動 − 国会質問金融(銀行・保険・証券)

【03.06.27】「銀行株式取得機構」改悪法案に反対討論、損失を全面的に国民負担させる仕組みを批判

 2003年6月27日「銀行株式取得機構」を改悪する銀行株式保有制限法一部改正案の審議が財務金融委員会で始まり、佐々木憲昭議員が質疑に立ちました。この法案は、自民党、公明党、保守新党の与党3党が共同で提案したものです。

   「銀行株式取得機構」は、2001年に法案が成立し、02年1月に発足したもので、銀行が保有する株式を、公的資金で買い上げる仕組みを盛り込んでいます。昨年の法改正では、事業会社が保有する銀行株を買い上げる仕組みも加わっています。
 銀行は、「機構」に株式を売却する際に、売却額の8%相当を拠出金として負担することになっており、8%以上株価が下落して損失がでた場合、国民負担で損失を埋めることになります。与党案は、この売却時拠出金を廃止し、損失をすべて国民負担でまかなおうというものです。
 佐々木議員は、今回の与党案が、銀行業界の要望を受けて、銀行業界の言い分を丸のみして提出されたものだと指摘した上で、「機構」設立の法案審議の中で、8%の銀行拠出金について、政府が、「最終的には国民負担に極力つながらないようにする」(柳澤当時金融担当大臣)ために導入したものだと繰り返し答弁していたことを示し、拠出金の廃止を批判しました。
 提案者の自民党・熊代昭彦議員は、「私はもうかったときのことばかりを考えるタイプ」だと述べて、損得の「両様の可能性がある」と強調しました。佐々木議員は、「(与党案は)銀行負担を国民負担に転嫁する仕掛けをつくった、これしか言いようがない」と提案者の姿勢を批判しました。
 その上で佐々木議員は、国民負担につながる「特別勘定」の買い取り額約2200億円(今年3月末時点)から350億円の評価損が出ていること、これに対し、売却時拠出金が173億円、当初拠出金107億円であり、差し引き71億円の赤字となっていることを金融庁に答弁させ、売却時拠出金の廃止が、いかに国民負担に直結するかを明らかにしました。
 また佐々木議員は、「機構」設立の法案審議の際には、政府が、国民負担につながらない「一般勘定」が主体であると説明していたにもかかわらず、「一般勘定」の実績がわずか1件で、「特別勘定」が主体になっていることを指摘し、「いったん国民負担の道をあけるとどんどん財政資金頼りになる。今回の経過で非常にはっきりしてきた」と述べました。

   さらに佐々木議員は、政府が「機構」設立の理由を、銀行に株式保有制限を新たに課すことから、銀行が放出した株を買い取るためだとしていたことを指摘し、「現在、保有制限を超えて株を保有している銀行は何行あるか」と金融庁に問いました。五味金融庁監督局長は、2003年3月期で、みずほコーポレート銀行、三菱信託銀行、UFJ信託銀行、りそな銀行、中央三井信託銀行、足利銀行、京都銀行の7行であると明らかにしました。佐々木議員は、今回の改正案に、株式保有制限の実施時期の2年延期が盛り込まれていることをとらえ、「結果的に、この特定の5行のための支援策ではないか」とただしました。
 これに対し、提案者の公明党・上田勇議員が、機構は保有制限をクリアした銀行からも株式を買い取ることになっている、と答弁したため、佐々木議員は、「結局、株式保有制限の実施という建前は全くどこかに行ってしまって、銀行支援のためには何でもやる、こういうものだということがはっきりした」と述べました。

 次に佐々木議員は、与党案が、事業会社が保有する銀行株式の買い入れ上限の拡大を盛り込んでいることについて、改正する理由をただしました。
 02年の法改正で、事業会社が保有する銀行株の買い入れを機構の業務に加えた際には、与党提案者は、銀行は拠出金を出すけれども事業会社は出さない、そこで国民負担に極力つながらない工夫として、銀行からの買い取り額の2分の1を上限としたと説明していました。
 佐々木議員は、国民負担につながらないように設けた上限を拡大することは、「国民負担に直結しても結構だ、ということだ。全く筋が通らない」と提案者をただしました。
 提案者が国民負担の問題について一切答弁をしなかったため、佐々木議員は、「要するに、銀行のためには何でもやってあげましょう、銀行株を持っている事業会社のためにもどんどんやってあげましょう、負担はすべて国民にかぶせましょう、こういう態度だということがはっきりした」と述べました。

   この法案は、2003年7月4日の財務金融委員会で採決され、日本共産党、民主党、自由党、社民党が反対するなか、自民党、公明党、保守新党の与党3党の賛成多数で可決されました。
 採決に先立ち、佐々木憲昭議員が、日本共産党を代表して反対討論に立ちました。


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