2003年07月04日 第156回 通常国会 財務金融委員会 【214】 - 討論
「銀行株式取得機構」改悪法案に反対討論、損失を全面的に国民負担させる仕組みを批判
2003年7月4日の財務金融委員会で、銀行株式を公的資金で買い上げる「銀行株式取得機構」を改悪する銀行株式保有制限法一部改正案が採決され、日本共産党、民主党、自由党、社民党が反対するなか、自民党、公明党、保守新党の与党3党の賛成多数で可決されました。
採決に先立ち、佐々木憲昭議員が、日本共産党を代表して反対討論に立ちました。
「銀行株式取得機構」を改悪する銀行株式保有制限法一部改正案の審議は、2003年6月27日に始まり、佐々木憲昭議員が質疑に立ちました。
議事録
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表し、与党三党提案の銀行株式保有制限法に反対する討論を行います。
一昨年来の銀行株式取得機構の設立、買い入れ対象の拡大について、我が党は一貫して反対してまいりました。それは、銀行株式取得機構による株式買い取りが、銀行の株式損失リスクを国民に肩がわりさせ、株価変動による自己資本比率低下を公的資金で支えるものだからであります。
本改正案は、政府が国民負担最小化の方策として位置づけていた売却時拠出金さえ廃止し、株式の損失を全面的に国民に負担させる仕組みとしています。事業会社保有の銀行株の買い取り上限の引き上げも、国民負担の拡大につながるものであります。
今回の改正案は、提案者が答弁で認めたように、銀行業界からの要請のみを受け入れてつくられたものであり、国民には一方的にリスクだけを押しつけるものであります。公的資金による大銀行支援強化策である本改正案は、到底認めることはできません。
機構設立の法案審議の際、政府は、国民負担を極力回避するため、一般勘定を買い取りの主体とすること、買い取り開始に運営委員会の議決を要することなど、諸方策をとったと説明していました。しかし、機構発足後の実績は、一般勘定はわずか一件、特別勘定は事実上開きっ放しという、政府の説明とは全く逆さまの実態になっています。
さらに、銀行株式保有制限が機構設立の理由であったにもかかわらず、保有制限をクリアした銀行からも無制限に買い取ることが可能となっており、銀行側も活用を表明しています。
このような機構の野方図な実態は、一たん公的資金の道を開けば、銀行業界が安易に寄りかかり、歯どめのない銀行支援になることを示しています。今回の改正案は、このような銀行のモラルハザードに一層の拍車をかけるものであります。
政府・与党は、今回の改正案を株価対策だとしておりますが、公的資金による株価操作は、公正な市場の形成をゆがめ、株価対策として何の効果もありません。経済の実態を回復させることなしに、公的資金で株価を買い支える政策は、根本的に誤りであります。
以上の理由から、本法案には反対であるということを表明し、反対討論といたします。(拍手)