国会での活動
国会での活動 − 国会質問、金融(銀行・保険・証券)、財政(予算・公共事業)
【03.03.18】産業再生機構の損失負担 当事者の銀行は500億円だけ 国民は最大10兆円の負担
2003年3月18日、産業再生機構法案の質疑のために、経済産業委員会と財務金融委員会の連合審査会が開かれ、佐々木憲昭議員が、産業再生機構と国民負担の関係について、谷垣産業再生機構担当大臣に質問しました。
産業再生機構法案は、銀行の不良債権処理と産業再生を一体で行うために、新たに産業再生機構を設立するための法案です。産業再生機構は、銀行間の利害が対立して再建計画が進まない経営不振の企業を対象に、メインバンク以外の金融機関から債権を買い取って債権を一本化し、不採算部門の整理などによって企業再生を進めます。機構が債権を買い取るための資金調達の際に10兆円の政府保証がつけられるため、仮に企業再生がうまく行かず、機構に損失が出れば、国民負担が発生します。
法案では、銀行業界など民間も機構設立のために出資金を拠出することになっており、機構が5年間の業務を終えて解散する時に損失を抱えていれば、まず拠出金で穴埋めされ、埋まりきらなければ政府保証が履行されて国民負担が発生する仕組みになっています。
佐々木議員は、国民には最大10兆円も負担させる仕組みをつくろうとしているのに、当事者である銀行業界の拠出金がその200分の1の500億円にすぎないことをとらえて、「当事者たちには限定的な負担で、国民には莫大な負担をかぶせる仕組みとなっている。一企業の経営不振について、国民に責任があるのか」と国民に負担を求めることの不当性を追及しました。
これに対し谷垣大臣は、「再建計画をきちっと立てれば、ロスを生まないか、ロスを生んでもすべてが赤になるとは考えにくい」などと述べて、質問に正面から答えませんでした。佐々木議員は、「一番の責任は企業と銀行にある。責任者がほとんど負担せずに、国民に負担を押しかぶせる仕組みをつくったことに一番の問題がある」と強調しました。
さらに佐々木議員は、政府の預金保険機構等への公的資金の一覧を資料として示し、産業再生機構に対する10兆円の政府保証枠の新設によって、従来の70兆円公的資金枠が来年度は73兆1500億円へと約3兆円も拡大することを指摘。「70兆円公的支援策のもとで、今日までに30兆円以上が使用され、そのうち約11兆円は、国民負担として確定している。今回の新たな国民負担は、このような国民の痛みの上に上乗せするものだ。これが国民の理解を得られると思うか」と谷垣大臣の認識をただしました。
谷垣大臣が、「どういう再生計画を立てて深掘りしていくかという、損失の出ない工夫をしている」との答弁を繰り返したため、佐々木議員は、「国民の疑問に対してまともな回答になっていない」と批判し、「なぜ国民負担を増やす仕掛けをつくる必要があるのか。本来、銀行と産業界が民間同士でしっかりした計画を立てれば済む。国民の負担を増やす必要はない」と主張しました。