国会での活動
【政治経済キーワード】あっせん利得処罰法
2002年2月1日
「あっせん利得処罰法」とは、正確には「公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律」といい、一昨年の11月に自民、公明、保守の与党3党によって可決されたものです。この法律は、国会議員や地方議員、市町村長、さらに、国会議員の公設秘書がその地位を利用して、公務員にその職務上の行為をさせるように、又はさせないように、あっせんをすること又はしたことの報酬として、財産上の利益を収受したときの処罰等を定めたものです。
この法律がいま改めてクローズアップしてきたのは、またぞろ金権腐敗事件が起き、「政治とカネ」の問題が今国会の重大問題になってきたからです。
国会開会前から自民党元幹事長・加藤紘一衆議院議員の事務所代表を務める佐藤三郎私設秘書や民主党副代表で元農水省の鹿野道彦衆議院議員の元秘書・尾崎光郎氏が、ゼネコン(総合建設会社)等から公共事業に絡む「口利き料」や公共事業受注の成功報酬を受けていたことが次々と報道され波紋がひろがっています。
しかし、佐藤三郎私設秘書や尾崎光郎元秘書は、税法違反などで処分できても、「あっせん利得処罰法」で処罰できないことが明らかになり、改めて「法の抜け道」が問題になっています。報道によると、与党3党はこのような事件の再発防止のため「政治倫理確立に関する協議会」を発足させました。しかし、自民党内には私設秘書を対象にすることに早くも難色を示す意見が続出しています。
このような事件が起こるたびに自民党も一応再発防止の議論をしますが、実効ある手立てを取らなかった経緯があります。
「あっせん利得処罰法」は、一昨年9月21日召集の臨時国会で、公共事業発注をめぐる収賄で逮捕された自民党の中尾元建設相の事件などを契機に、政治家が特定の者の利益のために公務員に「口利き」をし、その見返りに賄賂を受ける行為を処罰対象にする立法化が求められました。しかし、成立した与党法案は幾重にも抜け道が用意されていました。
日本共産党は、与党法案に反対して、他の野党と共に共同修正法案を提出するなどして闘いました。
日本共産党は、与党法案が第1に、私設秘書を処罰の対象からはずしていることを問題にしました。第2に、犯罪の構成要件を「請託」や議員の「権限にもとづく影響力の行使」としていることを、族議員などの口利きによる政治の腐敗を見逃すことにならざるを得ないと指摘しました。第3に処罰の対象を「契約」と「行政庁の処分」に限定し、行政指導や予算による個所づけなどをその対象からはずしていることも政官財の癒着・腐敗構造の中心問題にメスを入れる道を閉ざすものとして問題にしました。
当時公明党は、与党法案を「“抜け道”批判は的外れ」「画期的な “与党で成案”」「口利きで報酬を禁止」と自民党と共に絶賛していましたが、それがいかにごまかしであったのか、早くも欠陥が明らかになろうとしているのです。
日本共産党は、1月17日穀田恵二国対委員長が記者会見をし、「公共事業の受注にからんだ口利きは、政治家の政治力、情報力を悪用したもの」と批判。通常国会の重大課題として「問題の徹底究明と根本対策の確立を求めていく」と述べました。そして、第1に、事件にかかわる者を秘書としてきた政治家と所属政党がみずから真相を調査・究明し、結果と責任を明らかにすべきだと強調しました。第2に、事件の徹底究明のため必要な証人喚問を行うべきだとしています。第3に、「あっせん利得処罰法」を私設秘書も対象にするなど抜本的に強化することを指摘しました。
日本共産党は1月21日、国会議員の秘書や元秘書の口利き疑惑を調査し、真相解明をめざす「公共事業等にかかわる『口利き』疑惑追及プロジェクトチーム」を発足させました。
そして、1月22日衆議院本会議で山口冨男議員が、加藤紘一元自民党幹事長と同氏元秘書、民主党の鹿野道彦副代表の元秘書の証人喚問を要求しました。また、23日の参議院本会議では、大沢辰美議員が「少なくとも税金を原資とする公共事業の受注企業からの献金禁止ぐらいは、直ちに実施すべきではないか」と小泉首相に迫りました。さらに、翌24日衆議院予算委員会で、佐々木憲昭議員が「佐藤三郎氏はたんに一般の秘書ではない。加藤紘一元自民党幹事長の金庫番であった」として、加藤紘一衆議院議員と共に佐藤氏の証人喚問を要求しました。