国会での活動
【01.11.13】「求人数700万人」はまやかしの数字、公共職業安定所の職員増員を
補正予算案を審議した2001年11月13日の予算委員会で、佐々木憲昭議員が質問にたち、雇用問題を取り上げました。
「求人数700万人」はまやかしの数字 実態を反映しないことを小泉総理も認める
佐々木議員は、小泉総理が繰り返し主張する「求人数700万人」のまやかしを明らかにしました。
小泉総理は、これまでの国会答弁で「公共職業安定所には求職者を上回る年間700万人もの求人がある」「バブル期に匹敵する水準だ」「公共職業安定所、ハローワーク等には毎月50万人、60万人、求人が来ている。年間700万人の人がほしいと求人が来ている」と述べ、求職者数をはるかに上回る求人数があるかのように描いてきました。
“仕事がないのではなく、求職側と求人側との間にある条件面などの「ミスマッチ」が問題なのだ”という政府の主張を裏付けるものとされています。
佐々木議員は、厚生労働省の求人計算方法では、たとえばある会社が1カ月に100人の求人を出し、応募者がない状況で1年間求人を出し続けると、3カ月ごとに100人の求人がカウントされるため、年間求人数は400人になることを示し、小泉首相の言う「700万人」という数字は、このような水増しを含むものであることを指摘しました。
これに対し坂口厚生労働相は「小学校式の計算をすればそうなる」と答弁。
小泉総理も、佐々木議員の「(年間700万人の求人数は)実態を反映しない、ダブルカウントがかなりあることを認めるか」との追及に、「そういう場合もあるのかなと思う。もっといい基準のとりかたを考えればいい」と答弁せざるを得ませんでした。
雇用の実態を正確に反映するのは、有効求人倍率です。0.57倍という9月時点の数字は、100人の求職者にたいし、求人数は57人にすぎないということです。
佐々木議員は「雇用のミスマッチを完全に解消しても、4割以上があふれているのが実際の姿だ」として、「(求人の)絶対数が不足していることに目を向けた対策」こそ求められていると強調しました。
公共職業安定所の職員増員を 「民営化もあり得る」と小泉総理
また、佐々木議員は、「求人の絶対数が足りないもとで失業者があぶれ、職を探す人が職安に押し寄せている状況だ。これにしっかりと対応できる職安の態勢が必要だ」として、小泉総理に公共職業安定所の職員増員を求めました。
佐々木議員は、1989年から2001年までの間、有効求職数は約2倍に増えているのに、職安の職員は145人減少していることを示し、次のような職員から寄せられた訴えを紹介しました。
「窓口には、仕事を求めて連日多くの人が列をなしています。本来であれば十分な時間をかけて、丁寧な職業相談をおこなうことにより、就職に結びつけることが何よりも重要なのですが、現在の窓口はそれが行える状態にありません。職員は『時間内で1人でも多くの利用者と相談し、紹介すること』と『時間をかけて充実した職業相談を行うこと』との狭間で悩み苦しんでいます」
これに対し小泉総理は、「公共職業安定所より民間(職業紹介所)の方が仕事を見つける場合もある」「ただ役人を増やせばいいというものではない」と答弁。
それどころか、「民営化すべきではないかという声もある。研究の余地がある」と述べ、公共職業安定所の民営化を検討する姿勢さえ示しました。
佐々木議員は、「とんでもない発言だ。民間はカネにならなければ仕事をしない。“職探しもカネ次第”となる。実態は、相談の内容が難しくなっていると『職安へ行ってください』となっている」と小泉首相の姿勢を批判し、「セーフティーネットというのなら、職安の職員を増やすべきだ。それが政府の役割ではないか」と強調しました。