奮戦記
【13.09.11】設備投資減税は、なぜ役に立たないか(facebookより)
安倍総理は、成長戦略の強化に向けた「経済対策のパッケージ」を9月中に取りまとめるよう支持したとされます。その柱のひとつが設備投資減税だと言われています。しかし、このような減税で設備投資が盛り上がるのか、根本的に疑問です。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社調査部の小林真一郎氏は、「企業の設備投資は増加するか」(2013 年5 月9 日「けいざい早わかり 2013 年度第2 号」)のなかで、こう述べています。
「第一に、企業が需要の見通しに慎重な姿勢を続けているためです。総人口が減少に転じ、国内需要の先細りが懸念される中では、なかなか投資に積極的にはなれないというものです。第二に、企業が海外進出を強めており、資金を国内投資に回すよりも海外に振り向けようとしていることが挙げられます」と。
リンクけいざい早わかり 2013年度第2号:企業の設備投資は増加するか…三菱UFJリサーチ&コンサルティングHP
政府の調査では「設備投資の決定要因」として何が多いでしょうか。「内外の需要動向」がいちばん多く、続いて「収益水準」「他社の動向」などです。税金が軽くなったら投資をするなどという回答は皆無です。
これで明らかなように、企業が設備投資に踏み切る決定的な要因は、税にあるのではなく「国内需要」にあるのです。海外に設備投資が向かうなど巨大企業を中心に多国籍企業化が進んでいることも、根本にあります。
しかし安倍内閣にはその認識がまったくなく、「投資減税をおこなえば設備投資が盛り上がる」と考えています。これは、大きな間違いです。
今後、消費税増税、社会保障負担増が実行されたら、年間の国民負担総額は20兆円にものぼります。
しかも「成長戦略」には、首切りしやすい「多様な正社員」の導入、「残業代ゼロ」の「裁量」労働や派遣労働の拡大などがもりこまれており、これが実施されたら、内需が増えるはずがありません。
内需を冷やす政策をすすめるから、設備投資が増えないのです。いまこそ家計消費を中心とする内需拡大に発想を根本的に切り替えるべきです。