奮戦記
【13.09.11】内需拡大と民主的規制(facebookより)
「家計を中心に内需拡大を促せば景気も回復する、と主張されていますが、『資本論』によってその根拠が解明されているのはどのへんあたりでしょうか」という質問がありました。
資本主義社会の運動法則を科学的に解明したのが『資本論』です。マルクスの功績として大きいのは、「剰余価値」の発見によって資本主義的生産の秘密を暴いたこと、すなわち「搾取の仕組み」を明らかにしたことです。
搾取の仕組みをなくすためには「資本主義の廃絶」が必要となりますが、マルクスは、資本主義の枠内でも、資本の横暴とたたかい労働者の暮らしを守ることの重要性をさまざまな角度から指摘しています。
当時は、8歳にもならない児童が一日に15〜16時間も働くことを強制されることなど労働時間の無制限な延長が常態化し、労働者全体の心身が破壊される状況が広がっていました。そのため、「労働時間の短縮」は、労働者階級にとって焦眉の課題でした。
『資本論』では、労働者の数十年のたたかいによって、イギリス議会に工場法を制定させたことが記されています。マルクスは、工場法について「労働者たちは結集し、階級として一つの国法を、資本との自由意志的契約によって自分たちとその同族とを売って死と奴隷状態とにおとしいれることを彼らみずから阻止する強力な社会的防止手段」だと述べています(『資本論』新日本新書版第2分冊525ページ)。
労働時間の短縮は、「剰余価値の総量」を制約することになり、労働者を再生させるとともに、生産の技術革新を前進させることとなりました。このたたかいは、資本主義の廃絶を実現するものでなく、資本主義の枠内での民主的改革のひとつといえるでしょう。
いまでは、資本主義が高度にかつ複雑に発展していますが、「あとは野となれ山となれ」という巨大資本の横暴とたかって生活を守り、家計中心に内需拡大をはかるという政策は、いっそう重要性を増しているのです。