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奮戦記

【13.06.15】安倍総理「秋には成長戦略第2弾」で設備投資減税?!(facebookより)

 安倍総理は、「成長戦略」の内容を打ち出して以降、株価が下落したことにショックを受けたのか、さらに新しい対策を追加しようとしている。「秋には成長戦略第2弾を打ち出したい。この中で思い切った設備投資減税を決定したい」と述べた。しかし、このような減税で設備投資が盛り上がるのか、根本的に疑問だ。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社調査部の小林真一郎氏は「企業の設備投資がなかなか盛り上がってこない背景には、短期的な景気サイクル上の動きだけではなく、もう少し根の深い原因がある」と指摘している。(「企業の設備投資は増加するか」2013 年5 月9 日「けいざい早わかり 2013 年度第2 号」)
 それによると「第一に、企業が需要の見通しに慎重な姿勢を続けているためです。総人口が減少に転じ、国内需要の先細りが懸念される中では、なかなか投資に積極的にはなれないというものです。第二に、企業が海外進出を強めており、資金を国内投資に回すよりも海外に振り向けようとしていることが挙げられます」と述べている。
 政府の調査でも「設備投資の決定要因」として多いのが「内外の需要動向」で、続いて「収益水準」「他社の動向」などがある。税金が軽くなったら投資をするなどという回答は皆無だ。

 企業が設備投資に踏み切る場合の決定的な要因は、税にあるのではなく「国内需要」にある。また、海外に設備投資が向かうなど巨大企業を中心に多国籍企業化が進んでいることも、根本にある。しかし安倍内閣にはその認識がまったくなく、「投資減税をおこなえば設備投資が盛り上がる」と考えている。そこに、大きな間違いがある。

 今後「国内需要」を冷やす要因として、消費税増税、社会保障負担増が待ちかまえている。それは、年間の負担総額20兆円にものぼる規模だ。しかも「成長戦略」にはもともと首切りしやすい「多様な正社員」の導入、「残業代ゼロ」の「裁量」労働や派遣労働の拡大などが盛り込まれている。これでは、内需が増えるはずがない。

 まず、消費税増税などの国民負担増を撤回すること、中小企業対策を充実させ最低賃金を引き上げ、ベースアップを実現すること。この方向しかない。
 経団連の米倉弘昌会長は6月10日の記者会見で、「投資減税だけでは動かない」と言った。それを言うなら、「私たちは、266兆円の内部留保を活用して、賃金を引き上げ、下請け単価も引き上げ、税金も払います」というのが、真っ当な姿勢ではないか。そうしてこそ内需が拡大し、設備投資も盛り上がるのだから。

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