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金融(銀行・保険・証券) (金融消費者保護, 公認会計士, 大和都市管財の巨額詐欺事件)

2007年06月06日 第166回 通常国会 財務金融委員会 【403】 - 質問

抵当証券会社・大和都市管財の巨額詐欺事件/公認会計士法改正案について質問

 2007年6月6日、財務金融委員会の午後の質問の冒頭、佐々木憲昭議員は、抵当証券会社・大和都市管財の巨額詐欺事件についての大阪地裁の判決をとりあげました。
 大阪地裁は、近畿財務局の怠慢と責任を認め、6億7000万円の賠償を命ずる判決を下しました。
 大和都市管財の破綻が確実だったのに、近畿財務局長が抵当証券業登録を更新した責任が問われたものです。
 西川知一郎裁判長は「破綻は容易に認識できたのに、漫然と更新登録を行った」として国の責任を認定しました。
 損害を受けた全国の抵当証券の購入者721人が、国に総額約39億8000万円の国家賠償を求めていました。
 訴訟の判決が6日、大阪地裁でありました。平成10年以降の新規購入者260人に総額約6億7000万円を支払うよう命じました。
 同事件の被害者は、高齢者を中心に全国約1万7000人、被害総額は約1100億円にのぼります。被害者弁護団によりますと、悪質商法などの財産的被害をめぐり国家賠償を命じた判決は初めてで、消費者保護行政に与える影響は、きわめて大きなものがあります。
 佐々木議員は、金融監督の怠慢が明確に確定された以上、国はこの判決を真摯に捉え控訴をせず、被害者救済の和解のテーブルに着くよう要求しました。
 判決文で「職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく、漫然と更新登録をした」として国に賠償を命じています。
 佐々木議員は、「国は控訴をするな」と求めました。
 山本有二金融担当大臣は、「今後の対応は、判決内容を精査して、関係者と協議のうえ決める」と述べるにとどまりました。
 佐々木議員は、当時の近畿財務局と大和都市管財の癒着などを指摘し、国はその責任について反省し、被害者への補償に対応するよう主張しました。

 その後、佐々木議員は、この日議題となった公認会計士法改正案について質問しました。
 佐々木議員は、監査人の選任、監査報酬の問題について、監査を受ける法人から報酬をもらうということでは、もらう側が弱い立場になってしまう、対等なものに改めるには、報酬を支払うシステムを変えなければならないと指摘しました。
 また、大きな監査法人に公認会計士が集まっていくという寡占化の問題について指摘。400人以上の法人数は全体の2.46%しかないのに、公認会計士の数は79.3%も集中しています。また、監査法人の離合集散が続いています。国として、中小の監査法人や個人の会計士を、今後どのように位置づけて行くのか質問。
 山本金融担当大臣は、「今のありようが好ましいとは言えない、健全な監査体制が組まれることを望んでいる」と答弁しました。

 さらに、午前の参考人質疑に引き続いて、自民党内につくられた公認会計士制度振興議員連盟(会長・衛藤征士郎元防衛庁長官)と協会、政治連盟の関係をただしました。
 山本金融担当大臣は「そのような疑惑がないことを期待したい」答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 法案の質疑に入る前に、先ほどのニュースによりますと、きょう午前、大阪地裁で重要な判決がありました。この点についてただしたいと思います。
 これは、大和都市管財の巨額詐欺事件をめぐりまして、近畿財務局の怠慢と責任を判決が認め、国に6億7000万円の損害賠償を命ずる、こういうものであります。
 この事件は、2001年に破綻をした抵当証券会社大和都市管財によります巨額詐欺事件。同社から抵当証券を購入した被害者721人が、国を相手に総額約39億9000万円の損害賠償を求めた訴訟であります。
 大阪地裁の西川裁判長は、先ほど、97年12月の登録更新時、同社が破綻する危険が切迫している事態を近畿財務局は容易に認識できたのに更新を認めたことは著しく合理性を欠く、こう判断して、原告のうち98年以降に抵当証券を新規で購入した260人に対し、総額約6億7000万円の賠償を命じたということであります。
 大臣、この判決、概要を御存じですか。
○山本金融担当大臣 主文だけ、今手元にございます。
○佐々木(憲)委員 この抵当証券の販売業者は、抵当証券業規制法というのがあって、国の登録を受けて3年ごとに更新をする、そういうことになっております。訴訟では、監督官庁だった近畿財務局が、破綻前の97年に登録更新を認めた、このことが過失であったのではないかということで問われたわけです。
 判決要旨が今手元にありますけれども、これにはこのように言われているわけです。
 近畿財務局は、抵当証券の購入者保護の観点から慎重に検査することをせず、適法に取得していた関連会社の上記帳簿類の検査を放棄して、これを不可能にし、また、大和都市管財の預貯金口座の検証を怠るなど、その目的を達成するために必要不可欠で、かつ、基本というべき検査を合理的理由なしに怠った。そして、大和都市管財において把握している資金需要についての説明を受け、その説明内容について裏づけ調査をするなどといったことすらしていない、こういうふうに言っているわけであります。
 95年の8月21日に、業務改善命令を近畿財務局は読み上げて告知をした。しかし、その社長が同和関連団体に属しているかのように示した言動で、その気勢に気押されて、あるいは忙しかったことなど、理由にならない理由で、内容証明で業務改善命令を発出し、そして、社長をこれ以上刺激するのを避けて、本件処理を先送りしようという意見が大勢を占めた、当時こういうことをやっていた。
 これは、要約をして言えばそういうことになるわけです。監督官庁としてあるまじき対応を正当化するために、当局は、資金繰り表を作成したということを認定して、それで更新を認可した、こういうことをやったということなんです。
 このことは極めて重大な過失でありまして、これは、おとといの日経新聞に、証人として出廷した監督官庁の当時の課長補佐の証言というものが報道されております。この課長補佐の証言によりますと、同グループの違法性や劣悪な財政状況を認識しながら十分な対策をとらなかった、こういうふうに証言をしている。こういうふうに言っている。関東に比べ近畿はきちんと監督していなかった。このように東西を比較して、対応のまずさを指摘した。これは、裁判の中でこういう証言が行われたということもありました。
 こういう状況でありますので、これは国として、監督官庁の怠慢が明確に認定された以上、この判決を真摯にとらえて、控訴というふうなことはすべきではないというふうに思いますし、判決の金額にとらわれず、被害者救済の和解のテーブルに着くようにというふうにぜひ対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山本金融担当大臣 国の主張が認められなかったことにつきましては遺憾であります。
 今後の対応につきましては、判決内容を十分に精査いたしまして、関係当局とも協議の上決めてまいる所存でございまして、現時点でのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 当時は、非常にさまざまな癒着問題やら怠慢な対応などがあったわけでございます。例えば、今紹介した業務改善命令を出しても、事実上撤回するようなことをやってみたり、それから、96年当時は官官接待大はやりでありまして、例えば、近畿財務局局長が、管内の高検検事長、地検検事正、府県警の本部長、こういう人々を高級料亭に招いて、一人当たり2万8000円から1万4000円余りの飲食費を公費で負担していた、こういうことまでやっていた。こういう事実が判明しておりますし、そういうことはその後も続いていったわけです。
 当時は、こういう官官接待やらさまざまな大蔵省の汚職事件というものがあって、私も大蔵委員会で追及をしたこともありますけれども、そういう体質の中でこういう被害者が発生をしたわけでありますから、これはやはり真摯に当時の対応について反省をし、そして前向きに被害者に対して補償する、そして何かさらに控訴をするなどということをやらずに対応していただきたい。まず、このことを最初に指摘をしておきたいと思います。
 さて次に、法案の内容についてただしたいと思います。
 この公認会計士法は、前回の改正が2003年でありました。当時、37年ぶりの全面改正というふうに言われていたわけですね。ところが、わずか4年のうちに再び大幅な改正を余儀なくされた。これは、学者の発言などを見ますと、我が国の法制度をめぐる環境においては極めて異例のことである、こういうふうに指摘をされているわけです。我が国の公認会計士監査制度がそれほどの危機に直面しているという状況を反映したんだと思うのですが、これまでの質疑でもありましたけれども、四大監査法人の一つのみすず監査法人が解体に追い込まれていること自体を見ましても、今の実態の深刻さというものがわかるわけであります。
 大臣にお聞きしたいのですけれども、この異例とも言われる法改正の背景、今の状況、これをどのように把握されているか、まずお聞きをしたいと思います。
○山本金融担当大臣 まず、この背景につきましては、昨今、かなり経済界の変化が遂げられておりまして、まずは企業活動の多様化、複雑化、国際化、次に監査業務の複雑化、高度化、そして公認会計士監査をめぐる不適正な事例等、こうした観点から、組織的監査の重要性の高まり、こうしたことに着目した改正だというように特徴づけられようかと思っております。
○佐々木(憲)委員 カネボウの粉飾決算ですとかライブドア粉飾決算、日興コーディアル粉飾事件、本当に次から次へと最近大きな事件が続発をして、今回の法改正後も、公認会計士、監査法人をめぐる不祥事というものが本当に直るのだろうかというようなことも言われております。
 この不祥事が発生した要因というのはさまざまあると思いますけれども、大臣はこの不祥事の発生した背景、要因、これをどのように把握されていますか。
○山本金融担当大臣 昨今のディスクロージャーをめぐる不適切な事例につきましては、開示企業の側で財務報告に係る内部統制が十分機能していなかったのではないかという点、あるいは財務諸表を監査する立場の監査人の側におきましても、担当会計士による不適正な業務執行や監査法人における業務管理体制が不備であったのではないかという点、さまざまな指摘がございますが、その原因につきまして、一概に申し上げることは困難であろうと考えております。
 いずれにいたしましても、金融資本市場の信頼性を確保することは大事でございまして、企業財務情報の適正な開示を確保していることが必要でございます。
 金融庁としましては、昨年成立しました金融商品取引法におきまして、財務報告に係る内部統制の強化等の措置を講じましたほか、今般御提案させていただいております公認会計士法等の一部を改正する法律案におきまして、監査法人の品質管理、ガバナンス、ディスクロージャーの強化、監査人の独立性と地位の強化、監査法人等に対する監督、監査法人等の責任のあり方の見直し等の各般の措置を講じているところでございます。
 先生御指摘の西武鉄道、ライブドア等々、不正会計処理事件の続発の原因というものにつきましては、この法律の改正をもってさらに抑止できるのではないかというように考えるところでございます。
○佐々木(憲)委員 対応として、独立性の確保ということが言われましたが、例えばローテーションルールですね。法案では、大規模監査法人で上場会社の監査を担当する主任会計士のローテーションルールということを法定化しているわけです。現行法では、継続監査期間7年、インターバル期間2年、こうなっているわけです。これを5年・5年に改正するというのが今回の内容であります。
 そこで、まず前提としてお聞きをしますが、現在、上場企業における主要監査法人の同一会計士による継続監査年数が7年を超える、そういう会計士の人数、それから実社員数の総社員の中に占める割合、これはわかったら教えていただきたい。
○三國谷政府参考人(金融庁総務企画局長) この制度が始まりましてからまだ数年でございますので、今の制度に直接にその期間がぶつかっているというものは、現在、数値としては出てきておりません。
○佐々木(憲)委員 前回の改正のときに、四大監査法人の同一会計士による継続監査年数7年を超える方々は649名という議事録の記録があります。これは、実社員数の総社員に占める割合の30.1%、3割を占めていたわけですね。7年以上が3割もいるわけですから、これはなれ合いとか、極端な場合は癒着というようなことも起こる危険性が高かったということが言えると思うんです。
 今度の法改正で、5年・5年のルールというものが適用されるわけですが、この対象となる範囲、対象となる主任会計士の人数、それが公認会計士全体に占める割合、これがわかりましたら教えてください。
○三國谷政府参考人 これは、これからの監査の実態に応じる数値でございますので、現段階で具体的な数値は持ち合わせておりません。
○佐々木(憲)委員 これは、大規模法人で上場会社の監査を担当する主任会計士のローテーションルールですね。ですから、対象にならない中小の監査法人あるいは個人会計事務所など、これはどういう扱いになるのか示していただきたい。
○三國谷政府参考人 中小につきましては、現行法でございます、主任会計士に限りませず、7年やった場合には2年間のインターバルを置く、これが適用されるわけでございます。これに加えまして、大規模監査法人の場合には、主任の方は特にクライアントとの関係が濃いわけでございますので、5年監査をいたしますと5年間はインターバルを設けていただく、こういう趣旨でございます。
○佐々木(憲)委員 そこで、次に、中小の監査法人の問題についてお聞きしますが、個人の会計士事務所の方のお話などを聞きますと、実際のところ、大手はやれても中堅はなかなか難しい、ローテーションが組めない。ローテーションが組める規模の監査法人は、社員が30人から50人が必要であるという話が出ております。
 例えば、具体的な事例でいいますと、昨年6月まで十人ほどで運営していたある監査法人の話なんですが、そのうちの三人の公認会計士が大手の監査法人に移るということがあって、仕事量が急増しているということらしいです。このままだと、中小の監査法人はつぶれてしまう、あるいは大手に吸収される。このまま推移すると、10年後の業界はどうなるか不安だ、こういう声が聞かれるわけであります。
 大臣にお聞きしますけれども、この中小のまじめな会計士、監査法人が安心して監査を担える体制をどうつくるかというのが非常に大事だと思うんですが、お考えをお聞かせいただきたい。
○山本金融担当大臣 現在の公認会計士法では、大会社等の監査を担当する会計士につきまして、継続監査期間7年、インターバル期間2年のローテーションルールが設けられておることは、先ほど御指摘のとおりでございます。
 一方、日本公認会計士協会の自主規制ルールでは、上場会社を百社以上監査する大規模監査法人で、上場会社の監査を担当する主任会計士につきましては、継続監査期間5年、インターバル期間5年にローテーションルールが加重されているわけでございます。
 中小監査法人は、5年・5年のローテーションルールに対応することが、人員、組織等の点で困難であります。現状、協会の自主規制ルールの対象外というようにされておりますが、中小監査法人が市場や企業から適正な評価を受け、ノウハウ、人員、組織等の点で発展していくことは、我が国の監査体制にとって大変大事なことであると思っております。その意味におきましては、中小の監査法人の皆さんにやがて大きな役割を担っていただくべく、御支援をさせていただきたいというように思っております。
○佐々木(憲)委員 次に、監査人の選任、監査報酬の問題についてお聞きしたいと思うんです。
 金融審議会の報告書では、監査人の選任、監査報酬の決定について、次のように述べております。「監査人が監査の対象である被監査会社の経営者との間で監査契約を締結し、監査報酬が被監査会社の経営者から監査人に対して支払われる、」これは今の仕組みですね。いわば監査する相手の会社から報酬をもらう、こういう仕組みにはインセンティブのねじれが存在している、これを克服することが大事である、こういう指摘であります。
 この点について、このようにも述べております。「諸外国においては、監査人の選任、報酬決定について、経営者を監視する立場に立つ監査委員会に責任を持たせることにより、「インセンティブのねじれ」を克服しようとするのが趨勢となっている。」こういう指摘であります。
 また、きょうの朝日新聞の社説によりますと、こういうふうに書かれております。「何よりもまず、経営者が会計士を選んで監査報酬を出すという現状を改めるべきだ。」「理想をいえば、上場企業の監査報酬は企業が直接払うのではなく、取引所など第三者が取りまとめたうえで会計士らに配分するぐらいの荒療治がいる。」これは荒療治ですから、このとおりやれと言っているわけじゃなくて、そのくらいの決意が必要であると。
 つまり、監査を受ける法人から報酬をもらうということは、どうしてももらう側が弱い立場になっているんですね。出す側がお抱え会計士みたいな発想になってしまう。したがって、そこを対等なものに改めるためには、報酬を支払うシステムを変えなければならないというふうに指摘をされているわけです。
 今回は具体的には法案には盛り込まれませんでしたけれども、今後こういう問題については前向きに検討すべきだと私は思います。私も以前の財務金融委員会で、この点、そういう方向が必要だという指摘をしたこともございますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○山本金融担当大臣 監査人が監査の対象でございます被監査会社の経営者との間で監査契約を締結し、監査報酬が被監査会社の経営者から監査人に支払われているという、いわばインセンティブのねじれ、これを克服することが大変大事な課題であることは私も共通に認識しているつもりでございます。
 昨年5月に施行された会社法におきましては、会計監査人の選任に関する議案の提出、会計監査人の報酬の決定について、監査役等に同意権を付与したわけでございますが、これをさらに進めて、例えば、監査人の選任議案の決定権、監査報酬の決定権につきましても、これを監査役等に付与すべきであるというような議論もあるわけでございます。
 金融庁といたしましては、この問題が関係当局におきまして早急に検討されることを強く期待しているわけでございますが、議員の御指摘のような、第三者機関を利用して監査報酬をめぐる課題に対応していくという枠組みも大変大事な視点かと思っております。ただ、諸外国にも例がありませんし、また、被監査会社の規模等により外形的に報酬額を決めることになるとすると、かえって監査上のリスクが監査報酬に反映されにくいという枠組みになるかもしれませんし、まだまだ十分な、慎重な検討が必要だろうと思っております。
 さらに申し上げれば、やはり、企業の価値を高めるのは単に経営者だけでないという視点が大事でございまして、その意味におきましては、企業の価値が高まるための監査ということになりますと、その企業から報酬をいただくというのもまた必要なことであろうというように思っております。
○佐々木(憲)委員 次に、監査法人の寡占化、つまり、大きな監査法人にどんどん人が集まっていくという問題についてお聞きをしたいと思います。
 数字の確認をします。
 400人以上の監査法人の数、それが全体に占める比率、それから所属公認会計士の数、もう一つは、25人以下の監査法人の数、それが全体に占める比率、所属公認会計士の数、これを示していただきたいと思います。
○三國谷政府参考人 監査法人の規模別分布状況、平成18年3月末現在でございますけれども、400人以上のものは、法人数で四つ、会計士の数で6994名でございます。200名から399名の間は、数で一つ、公認会計士の数で216名でございます。百から199はございません。26から99の間でございますと、法人数で八、会計士の数で276。25人以下でございますと、法人数で149、会計士の数で1332となっております。
○佐々木(憲)委員 お配りした資料の一枚目を見ていただきたいんですけれども、今述べていただいた数字はこの一番下のところを見ていただければわかります。400人以上の法人数は全体の比率でいいますと2.46%、わずか2%強のところに、公認会計士の数は8割、79.3%集中しているんですね。2%のところに8割の会計士が集まっている。反面、25人以下のところでは、法人数は、数でいいますと92%の数なんですけれども、規模が小さいために、その所属公認会計士の数は15.1%にすぎない。つまり、非常に寡占化しているわけであります。
 それから、もう一枚めくっていただきますと、監査法人の離合集散、これは本当に、大変頻繁に、つぶれたり生まれたり合併したり、こういうことがありまして、政界再編なのか何かわからないような、そういう図になっております。この状況を見ましても、一番上の方を見ていただければわかりますように、昭和40年代、大きな法人といっても、せいぜい百人を超える程度だったわけですね。それが今では千人を超えておりまして、トーマツや新日本は2000人近い、そういう会計士を擁しているわけです。
 そこで、この寡占化という状況をどう見るかでございます。
 4年前の質疑で、参考人の方から寡占化について意見が出されております。これは青山学院大学教授の八田先生ですが、「次第次第に制度的に大監査法人に集中していく方向を国が進めているのではないかという気がしています。」と。これは、我が国の公認会計士制度のあり方の中で、監査法人というものはどうあるべきか、非常に重要な問題提起でございます。
 国として、あるいは金融庁として、中小の監査法人や個人の会計士を今後どのように位置づけていこうとしているのか。大きなところはどんどん大きくなるということで、果たしてそれでいいのか。山本金融担当大臣、どのような姿、どのような方向が望ましいのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
○山本金融担当大臣 我が国監査法人の規模別分布状況を先ほど拝見させていただいたわけでございますが、監査法人に所属する公認会計士のうち8割程度が、社員が数百名を超える四大監査法人に集中しております。
 監査法人の寡占化をめぐる問題につきましては国際的にも関心が高まっておりまして、証券監督者国際機構、IOSCOが最近開催いたしました円卓会議におきましても、監査法人の寡占が進んで監査法人の規模が大きくなることについてのメリット、デメリットが整理されております。メリットとしましては、組織的監査をより効果的に実施できる、監査手法の開発等にかかる費用が低減され得る。デメリットは、被監査会社にとっての選択肢が少なくなる、非違行為等に対して規制当局がとり得る選択肢が少なくなり、モラルハザードから監査の質が低下しかねないなどというデメリットの指摘もございます。
 こうした点からしまして、今のありようが好ましいとは言えません。できるだけこのデメリットが縮小し、健全な監査体制が組まれることを望んでいるところでございます。
○佐々木(憲)委員 そのためにどうするかという問題は当然あると思うんです。今は、大きなところは物すごく巨大になり、小さなところはたくさんある、真ん中がない、こういう状況でありますので、真ん中のところをふやすのか、どういう大きな方向を目指すのか、この点は大いに検討の余地があると思いますので、ぜひしっかりと検討をお願いしたいと思うんです。
 次に、今度の法案で罰則の問題が改正されました。課徴金制度が新たに導入されるということになりました。これは、不正に関与したり法令に違反した監査法人に経済的な罰を科すために新設するものだということでございますが、粉飾を重大な過失で見逃した監査法人に対して、期間中に企業から受け取った監査報酬の全額を、故意の場合は報酬の1.5倍の納付を命じる、こういうことになっているようでございます。
 これは、監査法人に対してダメージの大きい刑事罰、先ほども議論がありましたが、被監査企業に大きな影響を与える現行の行政処分よりも機動的な制裁手段であるというふうに言われていますけれども、そういう位置づけでこのような課徴金ということが導入されたんでしょうか。
○三國谷政府参考人 課徴金でございますが、今回の制度は、従来の行政処分とは別に、法令違反につきまして、違反行為により得られる経済的利得相当額を基準とする金銭的負担を課すことによりまして、違反行為がいわばやり得とならないようにすることを通じまして違反行為の抑止という行政目的を達成しようというものでございます。公認会計士法におきまして、違反行為の経済的抑止との観点から課徴金制度を導入することといたしまして、その観点から、基準といたしましては経済的利得ということで、今のような御提案をさせていただいているものでございます。
○佐々木(憲)委員 やり得というようなことがないようにというような話がございました。
 次に、午前中の質疑で、私は公認会計士政治連盟の話を参考人にお聞きいたしました。ここにありますのが、CPA、つまり日本公認会計士政治連盟、政連ニュースというものでございます。この最初のところに、公認会計士協会と政治連盟のまさに連名で要望書が、五点にわたって要望内容が出されております。
 そこで、この中で、この要望を実現するためにさまざまな運動を行うということが表明されております。増田宏一さんという方は次期協会会長予定者らしいんですが、今は政治連盟の会長であります、この方の「ご挨拶」というのがそこにあります。
 これは添付をしていなかったですね。御紹介をいたしますと、公認会計士法、商法等を大改正した会社法、それから証券取引法を改正して金融商品取引法が制定されました、当政治連盟は、こうした法律改正に際して、協会と一体となって我々の意見や要望を行政当局、国会等で主張し、改正に反映してきました、今春にはこれに基づき公認会計士法改正案がまとめられて、通常国会に上程、審議される見通しです、当政治連盟としては、公認会計士法改正に向けて活動を強化していく所存でありますというふうに書かれているわけです。
 このニュースによると、さまざまな形で政治家に働きかけが行われたようであります。資料の四枚目を見ていただきますと、要望書の次のところですね、「公認会計士法改正に対する協会の要望について」、増田さんの名前で書かれているものであります。これの一番最後のところを見ていただきたいんですね、「今後のスケジュールとお願い」ということであります。(発言する者あり)
 定足が割れている。ちょっと、では……。
○林田委員長代理 速記をとめて。〔速記中止〕速記を起こして。
 質問者、定数が足りましたので。
 引き続き、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 閣法ですので、提案者の問題も非常に大きいと思いますよ、これは。その辺、だれもいないじゃないですか、自民党自身が。
 それでは、質疑を続けます。
 この政治連盟の会長の「今後のスケジュールとお願い」というところを見ますと、「当政治連盟は別掲の要望書の趣旨に則り、政治家の先生方をはじめ、関係各方面に向けて積極的な活動を展開していく所存です。政治連盟の役員をはじめ会員の皆様方には、この要望書の趣旨を国会議員の先生方に直接ご説明の上、ご理解頂きご支援を賜りますようお願い申し上げます。」こういうふうになっているわけであります。
 こういう働きかけというのは、大臣、直接受けるか、あるいは間接的に受けた、そういうことはありませんか。
○山本金融担当大臣 私の方には全くございません。
○佐々木(憲)委員 このニュースの内容で、配付資料を見ていただきたいんですが、増原さんが講演をしている中身がここにありますね。法規制強化ではなく道徳でというふうにおっしゃっておられます。公認会計士の制度の見直しについて、両罰規定というのはけしからぬというようなことを言って、罰金どころか懲役とかすぐ言う、アメリカがやっているじゃないかと言うのですが、実はよく調べてみるとそうではない、課徴金で済ませているんだ、お金のことはお金で済ませている、そこらあたりの機微はしっかりと我々はつかもうと思っておりますと。
 次のページをあけていただきますと、第23回公認会計士制度小委員会勉強会ダイジェスト。これは、自民党の公認会計士制度振興議員連盟、「現在38名の国会議員が加盟され、」というふうに書かれていますね。増原さんや吉野さんの名前などがありまして、公認会計士制度を理解する勉強会が開催された、昨年12月19日は公認会計士法改正に係る要望をテーマに御説明をいたしましたと。
 次のページをあけていただきますと、「公認会計士法再改正に向けての理解浸透・ピーアール活動」というのがありますね。ここで「政治連盟役員は、永田町にある議員会館に集合し、衛藤征士郎衆議院議員のお部屋をお借りして、まずは打ち合わせ。」これで二班に分かれてあいさつ回りと説明を行った。次いで、「弊害すら招きかねない規制強化がなされないようにお願いを致しました。」と。
 そして、次のページをあけていただきますと、政治連盟では平成16年から自民党議連公認会計士制度小委員会において勉強会を開催いたしました、それはこういうテーマでこれだけやりました、こういうふうに書いてあるんです。これ自体を見ますと、ある団体がその団体の利益のために政治に働きかけた、そういうことで済むわけであります。
 しかし、私は、大変重大だと思っておりますのは、この公認会計士制度振興議員連盟というのは、会長が衛藤征士郎さん、副会長は伊吹文明さん、事務局長は増原義剛さん、事務局次長は吉野正芳さん。この方々というのは、この勉強会などをやっていく中心的なメンバーだったわけですが、その方々に対して日本公認会計士政治連盟から政治献金が渡っているという問題なんです。これは昨年9月の官報ですから、前の年、つまり一昨年にこの公認会計士政治連盟から政治献金が、会長の衛藤さんには522万円、副会長の伊吹さんには390万円、これは1年間ですよ。事務局長の増原さんは100万円、吉野さんは232万円と。
 これは、私は一般的に、どういう団体であろうが、どういう方々であろうが、自分たちの主張をぜひ理解していただきたいということで働きかけるのは、これは別に構わないと思うんです。構わないわけですが、しかし、そこにこういう形で献金というものが絡んでくると、これは単なる働きかけでは済まないわけであります。これは金で影響を与えるということにならざるを得ない。
 これは極めて重大でありまして、これまでもKSD事件とか日歯連事件とか、いろいろな不祥事がありました。みんな、こんな形でやっているんですよ。それで贈収賄事件として逮捕されるというようなこともあった。こういうことが野放しになると、そういうところに行き着きかねないという問題があるわけですね。
 それで、山本大臣にお聞きしますけれども、大臣のところに働きかけはなかったと思いますし、また献金も多分ないのかもしれません、確認しないとわかりませんけれども。こういうやり方というのは、私は、お金を献金して一緒に働いてくれというようなやり方をするのは非常にまずいと思うんですね。どのようにお感じでしょうか。
○山本金融担当大臣 献金が適正に処理されて合法であるならば、社会的活動の一環で、団体あるいは企業、個人、それぞれ政治的活動の自由が確保されなければならないというように思っております。その中で妥当性を加えて言えと申し上げれば、代価やあるいは見返りといったものを要求する献金については政治家側がしっかりと見きわめて、モラルやコンプライアンスの立場から抑制的でなければならないというように思います。
○佐々木(憲)委員 山本大臣は金融担当大臣になられて、それで私は一番最初に、銀行だとか関係する所管の業界からの献金というものはあるのかないのかというふうにお聞きしたところ、若干パーティー券を買ってもらっていました、それは全部お返ししました、このようにおっしゃいましたよね。潔い態度だと私は思いました。それは、なぜそういうふうにお返しになったのか、理由はどういうところにあったのか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○山本金融担当大臣 ひたすら、李下に冠を正さずという考え方だけでございます。
○佐々木(憲)委員 今回の公認会計士法の改正に当たって、その中身がいい、悪いというのは別にして、お金を渡して自分たちの要望を何とか実現したいというようなやり方をするのは、李下に冠を正しまくりです。これは余りにも疑惑を招きかねない。むしろ私は、この動きを見ますと、これは国会の中で例えばお金をもらって、この主張どおりやりなさいと政府に対して質問をする、そういうことがあるとすると、これは極めて重大な贈収賄事件になりかねないですよ。これはKSD事件のときに、その要望を質問したというだけで罪に問われたわけであります。
 そういう意味からいいましても、まさに疑惑を招きかねないようなこのようなやり方は、私は正すべきだというふうに思いますが、最後に大臣の見解を伺って、終わりたいと思います。
○山本金融担当大臣 そのような疑惑等がないことを期待しておりますし、他方、政治活動というものの確保も大事な点であろうというように思っております。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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