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金融(銀行・保険・証券) (公認会計士)

2007年06月06日 第166回 通常国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【402】 - 質問

公認会計士法改正で協会・政治連盟の政治献金をともなう「働きかけ」をただす

 2007年6月6日、財務金融委員会で、公認会計士法改正案について、日本公認会計士協会会長・藤沼亜起氏と日本監査役協会会長・笹尾慶蔵氏にたいする参考人質疑が行われました。

 今回の改正案は、公認会計士協会の強い反対で、刑事罰の導入が見送られた経緯があります。
 佐々木憲昭議員は、日本公認会計士協会とその政治団体「日本公認会計士政治連盟」による政治家への関与をただしました。
 政治連盟が発行する「政連ニュース」(1月17日)には、協会と政治連盟が監査法人などに対する監視・監督を協会の自主規制に委ねるよう連名で出した「要望書」を掲載しています。
 また、増田宏一連盟会長が「政治家の先生方をはじめ、関係方面に向けて積極的な活動を展開していく」とのべています。
 佐々木議員は、自民党内につくられた公認会計士制度振興議員連盟(会長・衛藤征士郎元防衛庁長官)と協会、政治連盟の関係をただしました。
 藤沼氏は、「これまで意見交換会や勉強会を開催してきた」とのべました。
 佐々木議員は、2005年に政治連盟から議連会長の衛藤氏に522万円、副会長の伊吹文明文科大臣に390万円、事務局長の増原義剛衆議院議員に100万円の献金が渡されたことを示しました。
 そのうえで、この年以後も献金を続けているのかとただしました。
 藤沼氏は「そのように聞いている」と認めました。
 佐々木議員は、「疑惑を持たれかねない構造だ」と批判しました。

 この問題について、午後の質疑で、山本金融担当大臣は「そのような疑惑がないことを期待したい」答えました。

議事録

【参考人の意見陳述と佐々木憲昭議員の質問部分】
○伊藤委員長 これより質疑に入ります。
 ただいま参考人として、日本公認会計士協会会長藤沼亜起君、社団法人日本監査役協会会長笹尾慶蔵君、以上2名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人10分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、まず藤沼参考人、お願いいたします。
○藤沼参考人(日本公認会計士協会会長) 公認会計士協会の藤沼でございます。
 本日は、公認会計士法改正案の国会審議の場において所信を表明する機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。
 まず、上場会社の監査の職責を担っていた公認会計士に有罪判決が下されたという、公認会計士監査の信頼性が大きく問われる会計不祥事が一昨年から相次いで起こりましたことに対しまして、遺憾の意を述べさせていただきます。貯蓄から投資へとの政府の金融政策のもとで、個人金融資産が資本市場へシフトする兆しが見えていた中でこのような事件が発覚したことはまことに残念であります。
 私どもは、社会の厳しい批判を厳粛に受けとめ、まず、自分の業務はみずからが改善し、それを協会が指導し監督するという自主規制の強化によって、公認会計士監査の信頼性確保に精力的に取り組む決意であります。
 改正法につきまして所信を表明する前に、昨今の一連の会計不祥事を踏まえ、協会が取り組んでいる自主規制強化策について御説明させていただきます。
 まず第一に、協会は、監査事務所の品質管理体制の向上を図るために、監査事務所の業務運営体制を監督指導する品質管理レビュー体制を大幅に強化するとともに、レビュー基準等を整備してまいりました。
 第二に、監査人の独立性確保の観点から、国際水準の倫理規則の整備を行いました。特に、監査人のローテーションを強化し、上場会社を百社以上監査する監査法人の監査責任者には、米国並みに5年・5年のローテーションを実施しております。
 第三に、協会は会員に年間40単位の専門研修受講を義務づけておりますが、監査を担当する会員に対して、当該継続的専門研修の中で、職業倫理四単位、監査の品質管理四単位の科目受講を強制しております。
 さらに、本年4月から、上場会社監査事務所登録制度を導入しております。
 当該制度は、上場会社を監査する事務所に対して、協会に設けた上場会社監査事務所部会に登録を義務づけ、登録した事務所に対する協会の品質管理レビューを強化しまして、監査の品質管理体制の充実を図り、上場会社の財務報告の信頼性を確保する制度であります。
 登録制度の特徴は、品質管理レビューの結果、監査の品質管理体制に重要な欠陥が発見された場合には、当該指摘事項を登録名簿において一般に開示するとともに、当該指摘事項に対して適切な改善措置を講じない監査事務所に対しましては登録から取り消すという制裁的措置を採用している点であります。その意味では、上場会社を監査している会員にとって相当厳しい自主規制施策であります。
 協会は、このように、公認会計士監査の信頼性の向上を図るために最大限の努力をしておりますので、協会の自主規制による取り組みに御理解と御支援をお願い申し上げます。
 次に、今回の公認会計士法の改正案につきまして所信を申し上げます。
 改正案には、協会が長年にわたり要望してまいりました事項も織り込まれておりますが、全体としては厳しいものであると受けとめております。しかし、協会として、改正案を厳守し、かつ自主規制の強化策を推進し、公認会計士監査の信頼性の向上に一層努力していく決意であります。
 まず最初に、今回の改正案について、協会の二つの要請事項が受け入れられたことにつきまして感謝申し上げます。
 その一つが有限責任制の導入であります。
 会計不祥事が判明し、監査人に責任がある場合に、関与監査人が無限責任を負うことは当然といたしましても、大規模監査法人に勤務する他の社員が連帯責任を負うという制度は、監査法人の一般社員に過重な負担を強いるものであり、公認会計士が監査の世界から離反する大きな要因となっております。
 有限責任制は欧米主要国では既に導入されている制度であり、協会は従来から強くお願い申してまいりました。当該制度の導入は、我が国の監査基盤の強化に相当貢献するものと考えております。
 二つ目は、今回の改正案に刑事罰が織り込まれなかったことであります。
 金融審議会におきまして刑事罰の導入が検討されましたが、協会は、刑事告発されただけで監査法人が崩壊すると、その導入に強く反対してまいりました。エンロン事件におけるアーサー・アンダーセン、今回のみすず監査法人の自主解散を見ましても、協会の懸念は現実化しております。
 改正案では、協会の意見が理解されたものと受けとめております。
 協会は、この改正法案を受け入れ、監査の信頼性の回復、向上に全力を挙げて取り組んでいく所存でありますが、改正法案の運用につきまして、次の点に御配慮を要望したいと思います。
 第一に行政罰の運用であります。
 改正案では、刑事罰の導入にかわって行政罰の多様化が図られ、従来の行政罰、戒告、業務停止、登録抹消または解散命令に加え、課徴金と業務管理体制の改善命令が新たに追加されました。協会は、行政罰の多様化はやむを得ないものと考えておりますが、監査人が萎縮し、行政の顔色をうかがいながら監査業務を遂行するという監査環境にならないよう、課徴金を含む行政罰の適正な運用を強くお願い申し上げます。
 課徴金の適用につきましては、量刑基準等を整備し、その運用の透明性と公正性を確保していただきたいと存じます。
 また、業務改善の一環として、重大な責任を有すると認められる社員について、一定期間、その職務に従事することを全部または一部禁止することができるとされております。
 当該業務禁止命令の運用につきましても、対象となる重要な社員及び禁止される職務の範囲等について、同様に明確な基準を開示し、適切かつ公正な運用をお願いしたいと思います。
 第二に、改正案では、監査法人等に対する報告徴収、立入検査権限の公認会計士・監査審査会への委任が明記されております。
 現行制度では、協会が品質管理レビューを実施し、その報告を受けた後に審査会が監査事務所の立入検査が実施できるというシステムになっております。その意味において、審査会への権限委任が政令で拡大することのないように要請したいと存じます。
 協会は、現在、上場会社監査事務所登録制度を導入する等、自主規制により公認会計士監査の信頼性確保に精力的に取り組んでおります。財務情報の信頼性の確保は、第一義的には会計、監査のプロフェッションである会計士協会の自主規制が中心となって遂行し、行政は自主規制の不足する面を補完するという間接規制が本来のあり方であると考えるからです。
 最後に、金融審議会において今後の検討とされましたインセンティブのねじれの問題について御検討をお願いいたします。
 現行会社法のもとでは、財務諸表の作成責任者である経営者が、会計監査人の選任議案提案権や監査報酬の決定権を有しております。これは、経営者からの監査人の独立性という観点から重要な問題であると考えております。
 米国では、外部取締役で構成される監査委員会にこうした権限が付与され、監査人の独立性が確保されております。会社法の分野であると考えられますが、ぜひとも、監査役会の独立性及び専門性の強化を図るとともに、監査役会に会計監査人の選任議案提案権及び監査報酬の決定権を付与することを早急に御検討していただきたいと思います。
 バブル経済崩壊後、企業のビジネスリスクが拡大し、これに対して監査リスクが高まってまいりましたが、こうした監査をめぐる著しい環境変化に公認会計士が必ずしも適応できなかったのではないかと深く反省しています。しかし、財務情報の信頼性確保は公認会計士の努力のみで達成できるものではありませんので、協会は、関係者に対しまして、米国の企業改革法のように総合的措置を投じていただきたいとお願いしてまいりました。
 昨年6月に成立いたしました金融商品取引法により、内部統制報告書や経営者確認書が導入され、財務諸表の作成者である経営者の責任体制の強化が図られることになりました。また、ここ数年、複雑化してきた企業活動に対し、会計基準や監査基準も整備されてきております。
 協会も、倫理規則の整備や品質管理体制の強化充実等の自主規制施策に取り組んでおります。その意味で、財務報告の信頼性を確保する総合的な基盤が整備されてきており、関係者の御努力と御理解に深く感謝しているところであります。
 私の3年の会長任期は、本年7月まで残すところわずかになりました。この3年間、いろいろな事件が発覚し、社会の批判や期待に対応するための自主規制策強化に全力を挙げて取り組んでまいりました。
 私どもは、改正案を厳粛に受けとめ、公認会計士監査の信頼性回復に全力を挙げて取り組んでおります。今後とも、引き続き、公認会計士業界に対する御支援、御鞭撻をお願いいたしまして、私の所信表明とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 次に、笹尾参考人、お願いいたします。
○笹尾参考人(社団法人日本監査役協会会長) ただいま御紹介いただきました日本監査役協会の笹尾でございます。
 本日、このような意見陳述の機会を設けていただきまして、まことにありがとうございます。せっかくの機会でございますので、恐縮ですが、冒頭に、私ども日本監査役協会につきまして簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 私どもの日本監査役協会は、監査役に業務監査権が復活いたしました昭和49年の商法改正を機会に法務大臣から設立を許可された社団法人でございます。自来、30数年にわたりまして、監査役監査制度、これには監査委員会の監査制度も含んでおりますが、その制度の調査研究を通じまして、監査品質の向上を図り、企業不祥事の防止に努め、もって企業の健全性確保に資するということを目的といたしまして活動してまいっております。
 現在、登録会員数は5700社、7700人の監査人を擁する大世帯になっておりまして、きょう現在も会員数は増加を続けております。
 さて、本題に入りますが、ただいまから申し上げます意見、並びに質疑にお答えする意見につきましては、日本監査役協会の統一した意見として取りまとめたものではございませんで、あくまで私個人の意見として申し述べるものであることを最初にお断りさせていただきたいと思います。
 さて、監査役と公認会計士の関係につきまして簡単に御説明申し上げます。
 会社法におきましては、大会社、御承知のように、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社でございますが、大会社につきましては会計監査人の選任が義務づけられております。また、大会社でない会社につきましても、会社の任意によりまして会計監査人を選任することは可能であります。ただし、両者の設置には、会社法上、要件が課されておりまして、会計監査人を設置した会社は必ず監査役を設置しなければならないということになっております。つまり、監査役を設置した会社でなければ会計監査人を設置することができないということでございます。
 次に、監査役と会計監査人の監査の関係について具体的に申し上げます。
 監査役は、会計監査人が行った監査の方法と監査の結果につきまして、その相当性を判断し、当該監査の結果を監査役の監査報告書に記載することが義務づけられております。会計監査人の監査結果を相当であると認めた場合には、会社が作成いたします貸借対照表と損益計算書は株主総会の報告事項とすることができますが、逆に、監査役が相当でないと判断しました場合には、貸借対照表と損益計算書は株主総会の決議事項としなければならなくなります。つまり、監査役の判断次第で計算書類の確定手続に大きな影響を与えることになります。
 それでは、会計監査人の監査の方法と結果の相当をどういう点で判断するのかという問題でございますけれども、二点に集約されます。
 一つは、会計監査人の独立性が確保されているかどうか監査することでありまして、もう一点は、職業的専門家として適切な職務を遂行しているかどうかを監査することであります。
 つまり、監査役は、職業的専門家である会計監査人が適切な監査体制のもとで適切な監査を行っているかどうかに重点を置き、会計監査人の監査計画や監査実施結果等の報告を受け、会計監査人に対する質疑応答などを通じまして、会計監査人の監査が相当であるかどうかについて総合的に判断を行っているところであります。
 会社法では、会計監査人は、さらに会計監査人の職務の遂行が適正に行われることを確保するための体制に関する事項、これは会社計算規則159条でございますけれども、この事項を通知する義務が課されておりまして、具体的には、監査法人において定めております独立性に関する事項、契約の受任、継続に関する事項など、会計監査人の側で確保している品質管理体制の状況を監査役に通知するという制度であります。
 監査役としましては、当該通知の内容をよく確認した上で、会計監査人が適正に職務を遂行しているかどうかを判断することになります。
 以上のような観点から今般の公認会計士法等の一部を改正する法律案を見てみますと、全体としまして、企業財務情報の適正性を確保するために必要となります監査法人のガバナンス体制や品質管理体制の確保さらに監査人の独立性確保などに関する施策が十分に盛り込まれており、評価できるものと考えております。
 中でも、特に監査役と関係のある事項に絞って若干コメントを追加いたしますと、まず、監査法人におきまして確保すべき業務管理体制につきましては、業務の執行の適正を確保するための措置及び業務の品質の管理に関する事項が法案に盛り込まれました。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、監査役としましては、既に会社法のもとで高い関心を払って実務に当たっているところでありまして、今後、監査法人における品質管理体制が一層整備されることを期待しているところであります。
 二番目に、大規模監査法人における主任会計士のローテーションルールにつきましては、いわゆる5年・5年という内容になっておりますが、これにつきましては、企業と監査人のなれ合いや癒着を防止しつつ監査業務の継続性の確保を図ったもので、適切な措置であると考えます。
 三つ目に、公認会計士または監査法人に対する行政処分の多様化につきましては、昨年、中央青山監査法人に対する業務の一部停止処分によりまして、当該処分と直接関係しない被監査会社におきましてもその対応に追われる事態となるなど、大変な影響をこうむることになりました。今回の改正によりまして、個別の非違事例に応じた適切な行政処分を問うことが可能となったことは、会計監査人の選任に関しまして一定の権限行使が課されている監査役としまして、評価できるものと考えております。
 以上、簡単ではございますが、私の意見陳述を終わらせていただきます。
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。



○伊藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。(中略)次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 私は、15分と大変時間が短いので、主として藤沼参考人にお聞きしたいと思います。
 ここに政連ニュースというのがありまして、これは公認会計士協会と政治連盟が連名で出した、公認会計士法改正に対する要望というのが一番最初に載っております。これによりますと、監査法人等に対する監視、監督は日本公認会計士協会の自主規制にゆだねるべきである、あるいは、監査法人への刑事罰については反対する、このように書かれております。
 この要望書の立場から見て、今回の公認会計士法改正案をどのように評価されているか、まずお聞きをしたいと思います。
○藤沼参考人 協会の政治連盟があるということで、これはどこの団体でも、政治資金規正法に基づいて政治連盟をつくるということは法律で認められていることだと思います。我々の方は、協会の会員で、自主的に政治活動について支援をしたいという会員が資金を提供していく、政治連盟をつくっているということでございます。
 それで、今回の会計士法の改正に当たって、私ども、一つは、刑事罰については、これは実例があるということで、劇薬的な刑事罰というのは問題があるのではないかということで、これは政治に携わる先生方に御説明して御理解を得たいということで活動したのだというふうに理解しております。
 また、自主規制につきましては、これもアメリカのエンロン事件以降、いわゆる企業改革法が実施されて、やはり、会計士協会による自主規制から非常に官規制の方に移っているという流れの中で、日本の置かれている状況の中で、官規制に移って果たしていいものかどうか。
 我々はやはり、自分は監査のプロであるし、監査の団体の、監査のプロフェッションがみずからの業務を改善するということは当然のことでありますし、そこのベースがなければ全く国家公務員みたいになってしまいますので、そういうことで、自主規制を強化して、ただ、足りないところもあるかもわからないから、それについては官の方で補完してもらって、チェックしてもらう。こういうシステムが社会的に監査制度の安定化に結びつくのではないか、そういうような観点から主張しているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 今度の刑事罰の導入については、公認会計士協会あるいは政治連盟の強い反対で、盛り込むことは見送りになったわけであります。
 政治連盟の増田宏一会長は、ニュースの中でこういうふうに言っております。公認会計士法の改正、それから会社法あるいは金融商品取引法、こういうものが制定されたと。当政治連盟は、こうした法改正に際して、協会と一体となって我々の意見や要望を行政当局、国会等で主張し、改正に反映してきました。今春にはこれに基づき、というのは金融審議会の報告ですけれども、これに基づき公認会計士法改正案がまとめられて、通常国会に上程、審議される見通しです。当政治連盟としては、公認会計士法改正に向けて活動を強化していく所存ですと。
 先ほど、議員の方々に説明に回ったというふうにお話がありました。これは、こういう活動の効果というのはあったというふうな認識でしょうか。
○藤沼参考人 これは、やはり日本の政治システムが民主主義のシステムですから、国会議員の先生方、私どもはローメーカーだというふうに思っておりますので、その法律をつくる、関与する先生方が、きちっとこの問題点の把握、理解をしていただいて、あるべき法改正に結びつけるというのがこれは筋ではないかというふうに思っております。そういう面で、最近は、これは党派を問わずなのでございますけれども、資本市場について関心を深める先生方が非常に多くなっているということで、それは私ども、非常にうれしいことだと思っています。
 そういう面で、協会が今どういう現状に置かれて、どういうことをやっている、どういう対応策をとっている、改正案についてはこういうふうに考えている、そういうような意見交換の場というものが大事ではないのかということで、政治連盟が活動しているということだと思います。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 この政治連盟の会長の文書が載っておりまして、「当政治連盟は別掲の要望書の趣旨に則り、政治家の先生方をはじめ、関係各方面に向けて積極的な活動を展開していく」こういうことで展開をされたわけであります。
 それで、公認会計士制度振興議員連盟というのがあるようですけれども、これは御存じですか。
○藤沼参考人 はい。これは自民党の先生方の有志が、資本市場、公認会計士業務に関心のある先生方が、議員連盟をつくっていろいろサポートしていただいている組織だというふうに認識しております。
○佐々木(憲)委員 これは自民党の中にできている議員連盟ということで、このニュースによりますと38名が参加しているというふうに書かれております。その会長は衛藤征士郎、副会長伊吹文明、事務局長増原義剛、事務局次長吉野正芳というメンバーだそうであります。
 この議連と協会あるいは政治連盟は、いろいろな意見交換、あるいは説明会といいますか、そういうものを持たれているというふうにお聞きしますけれども、そういう実態でしょうか。
○藤沼参考人 今回の公認会計士法の改正ということは、公認会計士制度にかかわる全般的な問題ですから、意見交換会あるいは勉強会、そういうようなことは開催しております。
○佐々木(憲)委員 その議員連盟の主なメンバーに対して、公認会計士政治連盟から政治献金が渡されていると聞きますけれども、これはいかがでしょうか。
○藤沼参考人 私は、政治連盟の具体的な内容までは深く理解しておりませんが、政治資金を出しているということは理解しております。
○佐々木(憲)委員 これは、昨年9月の官報を見ますと、公認会計士政治連盟から政治献金が渡されておりまして、議連会長の衛藤氏には522万円、副会長の伊吹氏には390万円、事務局長の増原氏には、これは政党支部に100万円、次長の吉野氏には政党支部に232万円と、政治資金が渡されているという記録が明確に報告で出ているわけであります。
 私は、政治活動というのは、やるのは大いに結構だと思うんですけれども、しかし、政治と金という問題というのは、常にさまざまな問題を発生するわけであります。私が紹介したこの数字は一昨年のものですけれども、これは昨年も同じように献金を続けているというふうに考えてよろしいですか。
○藤沼参考人 献金は昨年と同じように、詳細は私自身はわかっておりませんけれども、献金はしているのだというふうに聞いております。
○佐々木(憲)委員 これは、私は、こういう形で献金を行うということは非常に問題があると思っております。といいますのは、これまでもKSD事件ですとかあるいは日歯連事件、さまざまな不祥事というのがありました。それは、公益法人が政治連盟という団体をつくって、公益法人は直接は献金できないけれども、政治団体を通じて献金をする。そのことがさまざまな政治のゆがみをつくり出し、腐敗、癒着をもたらしてきた。こういうことで、贈収賄事件にまで発展するケースまであったわけでございます。ですから、こういう献金というのは、私はやるべきでないと思います。
 団体の利益を守るために、その団体と非常に密接な関係にある政治連盟の幹部、そのメンバーに対して献金を行う。その幹部が一体何をやっているかといえば、この連盟、つまり協会の意向をまさに代弁して、法改正その他でも一定の役割を果たしていく、こういう関係になっているわけであります。政治を金の影響力で動かすということになりますと、これは極めて重大であります。したがいまして、私は、こういう運動をするのは大変結構ですけれども、しかし、お金をそれに絡ませるというやり方は再検討すべきではないかというふうに思います。
 ぜひ検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○藤沼参考人 これは、私、個人的な考え方ですけれども、政治活動にお金がかかるということは、これは民主主義の世界ですから、これは当然かかるわけでございます。政治家の方も、自分の得意分野、関心分野というのはあるわけでございまして、公認会計士業務、資本市場の透明性、あるいは資本市場の強化に関心のある先生方に、政治的な、いわゆるその活動の、これは、協会の場合には、ほかの団体と違ってそんなにいっぱい資金があるわけではありませんから、かなり浄財でございますけれども、そういう面で幾らかのお役に立てることができればということでございます。
 今回の改正案の中でも、では、それによって改正案の中身が大きくねじ曲げられたとか、そういうことは私はないというふうに思っております。そういうようなことは初めから考えているわけではなくて、資本市場の強化のために、資本市場に関与している公認会計士制度がいかに強化されるかという観点から、皆さん活動に協力してくれたということだというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 その献金によって中身がねじ曲げられたことはないと言いますけれども、これはあったら贈収賄事件になりますからね。ですから、これは、一般的な献金というふうにおっしゃいますけれども、しかし、こういう政策を掲げ、要望書を掲げ、これは政治連盟だけじゃない、協会と連名で出されている要望書です。それを、一生懸命その要望書を実現する立場に立って動きをしている政治家に献金をすると。極めてこれは疑惑を持たれかねない。私は、疑惑があるとまでは言いませんけれども、疑惑を持たれかねない構造なんですよ。だから、当然、こういうものは再検討をする。
 私は、政治に金がかかるとかといいますけれども、それは個人献金でちゃんとやればいいわけで、何も団体献金、企業献金、こういうものをやる必要はないということを明確にここで申し上げておきたいと思います。ぜひ検討していただきたい。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。

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