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平和・憲法, その他 (秘密保護法)

2014年06月12日 第186回 通常国会 議院運営委員会 【791】 - 質問

秘密会設置法案の提案者に対する質疑

 2014年6月12日、衆院議院運営委員会で、衆参両院に秘密会(特定秘密の運用監視にあたる「情報監視審査会」)を常設する国会法改定案が、自民・公明・維新・みんな・結い5党の賛成多数で可決されました。日本共産党・民主・生活の3党は反対しました。議会制民主主義の根本に関わる法案を、与党はわずか2日間の審議で採決しました。
 佐々木憲昭議員は、11日に引き続き午前に開かれた参考人質疑、午後に大臣が出席した対提案者質疑、反対討論に立ちました。

 午後の対提案者質疑では、佐々木憲昭議員の質問で、「情報監視審査会」の議事録が“永久秘密”になる可能性が明らかになりました。
 佐々木議員は、非公開の議事録を何年後に開示するなどの公開ルールが法案にも審査会規程案にもないことを指摘。提案者の大口善徳議員(公明)は「(国会の)立法文書には文書管理法も情報公開法もない。今後検討しなければいけない課題だ」と認めました。
 さらに佐々木議員は、「情報監視審査会」で政府が国会に秘密を提出すべきかどうかを「審査」するといいながら、審議内容も議事録も非公開で、審査過程が国民からは全く見えないと指摘。大口議員は「(政府に対する)『勧告』は公表される」と述べるにとどまり、密室会議となることを認めました。
 さらに大口議員は審査会の場で「メモは禁じられる」と答弁。佐々木議員は、「一体何を審査して、どう判断したのかも分からなくなる。メモもできず、許可を得なければ議事録も見ることができない。これでは議員自らが調査もできない」と指摘。「モノも言えず、調査もできない議員をつくるのは議会が議会でなくなる自殺行為だ」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 この情報監視審査会は、政府の特定秘密の運用を監視し、運用改善を勧告するとしておりますけれども、特定秘密を提出させる強制力はない。
 そこで、森大臣に確認をします。
 安全保障に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合は特定秘密の提出を拒否することができる、したがって、国会が求めた資料を政府が提出するかどうか、それは最終的には政府の意思次第ということになることは、昨日の質疑でも明らかになりました。
 そういうことでよろしいかどうか、大臣に確認をしておきたいと思います。
○森国務大臣 国権の最高機関たる国会から特定秘密の提供が求められた場合には、政府としては、これを尊重して、適切に対応してまいります。
 なお、特定秘密に当たるような国の重大な利益に関する秘密の提供は、現行制度のもとでは、国会法第104条第三項の、国家の重大な利益に悪影響を及ぼすものとして内閣声明の対象となり得るものでありますが、与党案により設置される情報監視審査会に対しても、改正案の規定に基づく内閣声明を出す場合というものがあり得るというふうにされておりますけれども、新たな保護措置が講じられることにより、現在は内閣声明の対象となるような秘密であっても、今後は情報監視審査会には提供できるようになってくるものと考えております。
○佐々木(憲)委員 つまり、国会に新しい機構あるいは体制ができると、それに対応して特定秘密に当たる資料を国会に出すかどうかの判断が変わる、こういうことですね。
○森国務大臣 はい、そうでございます。
○佐々木(憲)委員 次に、情報監視審査会は、政府の年次報告を審査するとしておりますけれども、この年次報告は特定秘密の中身を報告することではないわけであります。
 では、政府の年次報告は、何をどのような形で行うのか。大臣、その基準、その形式、これを示していただきたいと思います。
○森国務大臣 特定秘密保護法第19条の年次報告でございますけれども、その項目の内容につきましては、現在、情報保全諮問会議の有識者委員の意見も伺いながら、運用基準に規定すべく検討しているところであります。
 その項目については、例えば、過去1年に新たな指定をした特定秘密の件数、特定秘密の指定を解除した件数、適性評価を実施した件数などを検討しておりまして、これらの事項をわかりやすい形で取りまとめて報告をする必要があると考えております。
 その具体的な形式については、情報監視審査会が設置されれば、その御意見を伺いつつ、検討してまいりたいと思います。
○佐々木(憲)委員 今の御答弁ですと、個別具体的な運用ではなくて、数字ですね、簡単に言うと。新たに指定を受けた件数、解除した件数、適性評価の件数、こういう話であります。
 そうしますと、この審査会というのは、その運用が適切かどうか、これを判断するには極めて具体性に乏しいわけであります。どういうふうにそれを見て、何を監視するのか、何をチェックするのか、そこを伺いたい、提案者に。
○大口議員 佐々木委員にお答え申し上げます。
 年次報告には情報保全諮問会議の意見が付されるわけであります。そういう点では、非常に見識の高い、きょうも参考人で、清水先生もその一人であるわけでございますけれども、政府に対して批判的な方も意見を付されるということでございます。
 そしてまた、行政機関の長や職員、また、独立公文書管理監、また、情報保全監察室の室長や職員、参考人等の説明も聴取します。スタッフによる調査。それから、各委員会から審査要請もある。そういうものも端緒になってくると思います。
 また、森大臣も答弁されましたように、特定秘密保護法の三条の二項で、指定に関する記録を行政機関の長はつくることになっています。各省庁別に管理部門をつくるんです。それを、省庁横断的なものも定時報告に添付をしていただけるということでございますので、そういうものをしっかり見て監視をしていく。
 マスコミの報道や、海外からの、例えば、ある国の国立公文書館で発見されたものがマスコミに出るとか、そういうようなことも含めて、アンテナを高くしてやっていくということでございます。
○佐々木(憲)委員 政府報告が極めて抽象的なものでありますので、これはなかなか、チェックをするといっても、難しいと思うんです。
 情報監視審査会が対象にするのは特定秘密ですね。しかし、何が特定秘密かは、これは、秘密が何かも秘密なんですから、わからぬわけであります。
 昨日も聞きましたが、提案者は、例えば委員会が提出を求めた資料が、政府の疎明や政府声明の中で必ず、特定秘密に当たるからそれは出せませんと言わせる、こういう答弁をされました。
 森大臣に確認したいんですが、例えば、今いろいろな委員会があります、その委員会から開示要求があったときに、特定秘密に当たるものについては、特定秘密に当たるので出せませんと必ず明示するというふうに断言できますか。
○森国務大臣 委員会からなされた報告または記録の提出の求めに応じないときには、国会法104条二項により、その理由を疎明しなければならないこととされております。
 法律上、委員会からの求めに応じないその理由として、特定秘密である旨を明らかにすることとはされておりませんが、特定秘密保護法第十条第一項において、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときには特定秘密を提供するものとする旨規定されていることを前提といたしますと、このたびの与党案による国会法改正がなされた場合には、その趣旨を踏まえて、委員会に対して理由を疎明していくことになります。
 具体的な疎明の内容については個別の事案に応じて検討する必要がありますが、基本的には、特定秘密が含まれるため委員会の求めに応じられない場合には、その旨を理由の疎明の中で触れることになるものと考えております。
○佐々木(憲)委員 それは法案には書いてないということですね。これは運用ということですか。
○大口議員 佐々木委員の御指摘もありました。当然、疎明では、特定秘密であるということも含めた疎明という形になる、これは特定秘密保護法の十条の規定の趣旨も踏まえての今の森大臣の答弁だと思います。
○佐々木(憲)委員 これは、運用ですから、必ずそうなるかどうかというのはわからないし、また、政府がどういう疎明をするか、どういう政府声明を出すか、これは、政府自身がそれをやるわけですから。また、それをチェックする機関が別にあるわけじゃありませんね。
 これは、法律上も書いてないことでありますので、非常に曖昧だと思いますね。
 次に、国会の活動というのは、本来、国民の見えるところで行うというのが当然のことであります。そうじゃないと意味がない、何のために活動しているのか。この秘密会が常設されると、その状況が変わってくるわけですよ。
 例えば、国会の外務委員会が資料提出を求めた。それは当然、求めたということは国民が見えますよね。ところが、審査会の中で政府から、提出はできません、その理由はこうです、こう説明があった。それで審査した結果、これは秘密扱いにしてもよろしい、こういう結論が出たとします。その場合は、議事録も公開しませんので、どういう経過で、なぜ秘密のままでよいとされたか、国民は誰一人知ることができない、そういうことになるんじゃありませんか。
○大口議員 審査会は、そこで議論された内容が特定秘密にかかわるものであるだけに、議事録も公開しないことを原則としています。
 委員の御指摘は、情報監視審査会で活動が秘密にされ、国民に明らかにならないのではないかとの問題意識に基づくものだと思われます。
 この点については、情報監視審査会の勧告は、特定秘密が記載されている部分を除き公表されます。勧告は公表されるわけであります。そして、情報監視審査会は、毎年一回または必要と認めるときは、アドホックにその調査や審査の経過または結果を記した報告書を作成し、議長に提出の上、公表するといったことで、その活動については国民に公表することができるものと考えています。規程案の22条からも、そういうことが言えると思います。
○佐々木(憲)委員 しかし、今、極めてばくっとした答弁ですよね。
 勧告は公表する、それはわかりますけれども、その前の段階で、審査会で審査をした結果、秘密で結構です、こういう結論が出たときは、これは何もわからないんです。勧告が出るというのは、政府に対して、いや、それは公開しなさいとか、こういうことになります。そこの段階で国民は見ることができますけれども、あとは、その前の段階ではわからぬわけです、議事録もないし、委員はしゃべっちゃいけないし。そういうものになると、国会の委員会も、出さないという結論しかわからぬわけですよ、これは出ませんと。それだけのことになってしまって、一体、何を審査したのか、なぜだめなのか、全然わからないんじゃありませんか。
 議事録も、今回の規程では、公開しないということは書いてあるけれども、では、開示はするのかという規定は何もないんですよ。永久にこれは秘密で、永久に秘密の部屋に保管する、未来永劫誰も見ることができない、法律上そうなっているんですよ。そういうことなんですか。
○大口議員 まず、アメリカ、イギリス、ドイツにおきましても、議会も機密情報が漏れないような形でいろいろな工夫をしています。ドイツの場合は、いつ、どこで、どうその委員会が開かれたかどうかも秘密にしている。我が国はとりませんけれども、そういう例もございます。
 今委員御指摘の議事録、秘密会にした場合の議事録は、昔も秘密会にしたものがありますが、いまだに実は開示されておりません。
 行政文書は、公文書管理法ですとか、あるいは行政機関の情報の公開法があるわけですが、立法文書については、実は管理法もなければ情報公開法もないわけですね。これは本当に、議会におる者の一人として、ここら辺の立法文書については今後やはり検討していかなきゃいけない課題だ、こういうふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 これは極めて、何というか、悪い言葉で言えば、闇から闇という感じになってしまうわけです。
 審査会、秘密会の委員は内容は絶対漏らしちゃならない、こうなっていますね。物が言えない議員ができるわけですよ。開示をなぜ拒否したか、その理由も説明はしてはならないと。議会が口封じされるような感じじゃないですか。
 この審査会の委員にはなりたくないという人がどうも多いのは、大体、委員になった議員は、普通は、私はこの委員会に所属してこんな立派な活動をしています、支援者、後援会の皆さん、どうでしょう、有権者の皆さん支援してくださいと、これが普通の議員ですが、ところが、この場合は、胸を張ってこういうことをやっているんですよということは一切言えないわけですね。
 そういう議員は一体何をしているんだろう、何かやっているんだろうけれども、何をしているのかさっぱりわからない、議事録も出てこないしと。そういうことで、もうこうなると議会ではなくなると私は思いますね。
 議会の自殺行為になると思いますけれども、いかがですか。
○大口議員 委員にお答えします。
 まず、森大臣も答弁をされましたように、これまでだと104条の三項で内閣声明を出して、出さない場合も、こういう情報監視審査会ができたことによって提出させることができる。そして、国会、国権の最高機関である情報監視審査会が見るわけでありますから、これはドイツでもおっしゃっていましたが、特定秘密に指定されたものについて見ることができると、抑止効果、教育効果が非常に強いんだという効果がある、こういうふうに思うわけであります。
 そして、特定秘密を出させるためには、その内容については漏らしてはいけない。漏らさないということによって、行政もその努力に対して応えるために、一生懸命出させることができる、こういうことでございます。
 確かに、そういう点では、情報監視審査会のメンバーであるということは皆さんには公表できますけれども、本当に、我が国の国民の生命と安全、国の存立のため、目に見えないところで一生懸命頑張っているんだ、こういうことだと思います。
 そういうことも気にしない、ある意味では、権力欲とか名誉欲とかそういうことじゃなくて、本当に国家国民のためと、そういう方が本来このメンバーになるべきだと思います。
○佐々木(憲)委員 審査会に入ったら見ることができるだけであって、それは話すこともできないし、何をやっているかさっぱりわからぬことになるわけですよ。
 秘密会の委員は携帯を持ち込めないと。
 メモはできるんですか。そのメモを持ち出してはいけないんでしょうか。あるいは、出てから記憶に基づいてメモをつくる、こういうことは可能なんでしょうか。
○大口議員 ちょっと先ほどの答弁につけ加えますけれども、毎年報告書も発表するわけでございますので、何をやっているかわからないということは、ないと思います。
 それから、メモも、これは禁じられると思います。これはしっかりこれから検討をすべきだと思いますが。
 ロックフェラー上院議員、上院の情報特別委員会の委員長でありますが、ある秘密について次から次へと映し出されたそれを必死になって見たことを、経験として私たちにお話ししてくれました。
 我々は、審査会のメンバーはもっとじっくり時間をかけてこの特定秘密をしっかり読み、熟読玩味するというような形にはしていかなきゃいけないと思いますけれども、本当に漏れないようにしていかなきゃいけないということで、具体的な方策については、これから検討することになると思います。
○佐々木(憲)委員 メモも禁じられる。
 こういう話になりますと、何も持たないで、すっと審査会に入るわけですね、それで、政府が、こういうことでございますと説明がある、ああ、そうですかと、そういう話なのではないか。こんなことで果たしてまともなチェックができるのか。これは非常に奇妙な審査会になっていくのではないか。
 議会ですよ、これは。議会ですから、本来ならメモもとって、この秘密指定について、真っ当なのかどうか、自分なりにそれなりに調査したり、あるいは文献を読んだり、それで、これはやはり開示をすべきだ、あるいは秘密なら秘密、そういう結論を出すのが普通ですけれども、何も持ち込めないし、何もない中で、記憶だけで、その記憶もメモしちゃいけないという話になると、さっぱりこれは、議員として、審査会の委員としても、活動は極めて制約されるということになるわけであります。
 では、この法案の附則五について聞きたいんですけれども、特定秘密以外の公表しないとされている情報、こう書かれていますけれども、これは一体どういうものなんでしょうか。そうした情報の提供を受けるための手続、方策というふうに書いていますけれども、これはどういうことでしょうか。これは、別途、秘密保全体制をつくるということを検討するということになるんでしょうか。その辺、お聞かせいただきたい。
○中谷(元)議員 佐々木委員も、情報公開、国民に知らせるという点においては非常に熱心だと思いますけれども、こういった措置は、政府の情報を国会に出していただくための手段でありまして、今回初めてこういう審査会をつくるということでございますが、最初の段階でありますので、特定秘密に至らない情報については、今回適用となっておりません。今回は特定秘密に限っての情報でございます。
 しかし、先ほども答弁したとおり、非常にアンバランスな状況が出ておりますので、附則五項を設けまして、こうした特定秘密に至らない秘密情報についても、秘密であることを維持しつつ国会に提出をさせるということがその条件でありますので、その手続と方策を検討して必要な措置を講じる旨を定めるということでございます。
 そのような措置がされない場合は、政府は国会に情報提供はできないというふうに思っておりますので、やはり国会側としては、そういう情報を得るためにも、こういったルールが必要ではないかなと思っております。
○佐々木(憲)委員 今の答弁は、そういうふうに解釈もできますけれども、逆の解釈もできるわけで、そこは我々は厳しく見ていきたいと思うんです。
 次に、職員の適性評価の問題ですけれども、国会職員ですね、これは。国会職員の適性評価、これは誰が行うんでしょうか。
 両院議長がやると。しかし、両院議長が直接自分でやるわけじゃありませんから、どこかから職員を持ってこなきゃいけないですね、議運委員長がやるわけでもありませんし。
 その職員は、適性評価をやるだけの能力のある職員というのは、一体どこにいるんですか。今はいませんよね。これは一体どうするつもりなんですか。
○大口議員 委員、先ほどのメモの件ですけれども、許可を受けて閲覧もできますから。
 それと、今のことにつきましては、これは、改正案の、国会法102条の18によって、議長が実施することとなっております。実際には、議長の委任を受けた事務総長または法制局長が情報監視審査会の事務を行うこととなる者に対して実施することとなろうか、こういうふうに思います。
 そしてまた、特定秘密保護法の12条の二項には適性評価の項目が書いてありますので、この行政職員に準じた形になると思います。そして、国会職員についても、これらに準じて、知人その他の関係者への質問や、公務所等への照会も求めて、適性評価を行うことを考えております。
 いずれにしても、今後、両院議院の議長が協議して事項を定めることにしております。
○佐々木(憲)委員 先ほどのメモに関連した件ですけれども、許可を受けなければ委員でさえ見られないわけですよね。そういう制約のある中で、見たからといって、メモをつくるわけじゃありませんからね、できないというんですから。
 一体どういうことになるかといえば、口封じされるだけなんですよ、見たことを言うな、議論したことも漏らすなと。そんなことを議会に持ち込んで、その議員は、しばらく、3年間そこで仕事をしろと、こんなことで、一体国民に開かれた国会と言えるのか。国民から見たら、何をやっているかわからない、秘密がどんどんふえるだけじゃないか、こういうことになるわけです。
 我々としては、今議論してきましたけれども、こんなものはつくる必要がないというふうに思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
 以上で終わります。

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