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その他 (選挙制度, 強行採決)

2013年04月19日 第183回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【729】 - 質問

小選挙区制の害悪は明らか、定数削減も必要ない 抜本的な改革こそ必要

 2013年4月19日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、前日に引き続いて、与党が一方的に委員会を開会し、「0増5減」の区割法案を採決まで強行することに抗議し、佐々木憲昭議員は「民主主義の土台である選挙制度は、多数の力で押し切ることは許されない」と批判しました。
 その上で、選挙制度は誰のためにあるのかとただしました。新藤義孝総務大臣は「憲法が与えた国民の権利。選挙権を行使することは民主主義の根幹をなす」と答弁。
 日本共産党は、小選挙区制度導入が提案された時、「小選挙区制は、民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第1党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだ」と反対し、同時に、小選挙区の区割が発足時から2倍を超える格差を容認していることは、「投票価値の平等を踏みにじる違憲立法」と批判しました。
 佐々木議員は、このような制度を維持してきた各党の責任が厳しく問われているとただしました。新藤大臣は「御党は一貫した主張をしている。いろんな意見のぶつかり合いが民主主義の根幹だから、議員が自ら主張することは素晴らしいと思う。国会内で積極的に議論してほしい」と述べました。

 また、佐々木議員は、小選挙区制が民意を反映しない制度であることが、この6回の選挙で明らかだと指摘。総務省の米田耕一郎選挙部長は、昨年の総選挙(小選挙区)で、自民党が43.01%の得票で79.00%の議席を得たと答弁。さらに、小選挙区で議席に結びつかなかった「死票」が得票総数の53.06%となり、「死票」が過半数を超える小選挙区が188(全体の6割)にのぼることを明らかにしました。
 この結果について、見解を求められた新藤大臣は、小選挙区制が導入された経緯を説明しメリットデメリットがあるとしながらも、「個人的には傾聴に値する部分もある」と認めました。
 佐々木議員は、民意を正確に反映せず選挙制度の原則とは相いれない小選挙区制度は廃止し、抜本的に改めるべきだと強調しました。

 議員定数について、米田選挙部長は、人口10万人当たりの国会議員総数は、OECD加盟国34カ国中最下位のアメリカに続いて、日本が少ないことを明らかにしました。佐々木議員は、ヨーロッパ諸国は人口10万人1人の議員(下院)が標準であり、日本でも1925年男子普通選挙制度が始まった当時は12.8万人に1人の議員(衆院)だったことを示し、現在の26.7万人に1人の議員(衆院)定数は、国際的にも歴史的にも少ないと指摘。佐々木議員は、定数削減を行う合理的根拠は存在しないと強調しました。

 この日、自民・公明両党は委員会で、小選挙区の「0増5減」に伴う区割改定法案の採決を強行し、日本共産党とみんなの党が反対し、与党の賛成多数で可決しました。民主、維新、生活は委員会を欠席。与党は、3党の質疑時間を消化する“空回し”を行いました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 本来、議会の運営というのは、与野党の合意のもとで円満に行うというのが基本であります。昨日、与野党の合意のないまま、自民、公明の与党単独で一方的に委員会を開会し、0増5減の区割り法案を審議入りし、与党だけで質疑を行った、これに対して強く抗議をしたいと思います。
 とりわけ、選挙制度というのは民主主義の土台づくりであります。全ての政党会派で議論するというものでなければなりません。それを与党が多数の力で強引に進めるなら、それは民主主義の土台を掘り崩すということになりかねない。
 今回の自公両党の強引な運営を見まして、私は昨年の夏を思い出したんですよ。当時、民主党が与党でありましたが、衆議院選挙制度に関する各党協議を続けていたわけですが、それを一方的に打ち切って、単独で民主党の選挙制度改革法案を出した。委員会付託を強行し、単独で委員会審議を行った。そして採決を強行し、さらに本会議採決まで単独で強行した。
 このとき、野党だった自民党、公明党を初め、我々共産党も含め、11の全ての野党の幹事長が連名で抗議して、議長に申し入れをいたしました。その申し入れ文がここにございます。この中にこう書いてある。「民主主義の根幹ともいえる選挙制度について、与党の多数をもって強行採決することは憲政史上類を見ない暴挙であり、断じて許すことはできない。」「議長においては、このような多数の横暴を認めることなく、選挙制度法案を本会議の議題として取り上げず、与野党の協議を斡旋するよう要請する。」これは自民党もこういう態度でありました。
 さらに、国対委員長の申し入れは、自民党は岸田国対委員長でありましたが、こういうふうになっております。「この間、衆院選挙制度に関する各党協議を一方的に打ち切り、単独で法案を提出して委員会への付託を強行し、さらに単独で趣旨説明・質疑を行い、採決まで強行した。選挙制度は議会制民主主義の土台であり、与党だけで強行することは、断じて許されない。憲政史上これほどの暴挙はない。」こういうふうに議長に申し入れをしているわけです。
 新藤大臣、自民党がこういう態度をとっていたことは覚えていますか。
○新藤総務大臣 私も承知をしております。
○佐々木(憲)委員 そういうことを承知していながら、なぜこういうことをやるのかというのを聞きたいわけであります。
 前の、8月27日の、今紹介した国対委員長の議長申し入れ、それから、その後、当時、石原伸晃幹事長がこういうことを言っているわけです。これは、今でも自民党のホームページに出ているわけです。石原幹事長のぶら下がり会見、これは去年の8月28日でございます。ここにこう書いてあるんです。
 「普通の法律の強行採決とは、わけが違います。そういうことを戦前、戦後を通じて、与党が単独で選挙制度を変えたことはありません。こんなことを許してしまったら、日本の民主主義、そのものが破壊される。そういう怒りを持って、私ども野党11党で議長に申し入れを行いました」。私は、これはなかなか正論だったと思うんですね。
 ところが、こういうふうに言いながら、今、逆のことを自民党はやられている。これは、態度が180度変わった。攻守入れかわって、同じことをやっている。何の進歩もない。天に唾するものであります。
 大臣はどのようにお考えですか。
○新藤総務大臣 そういう御意見については、恐らく、この委員会の理事会の中でもお話があったのかもしれません。まさに国会運営について各党間のお話し合いがなされる中で、そのような意見のやりとりがおありになってしかるべきだ、このように思いますが、私は、国会法それから衆議院規則に基づいてこの委員会が開催をされ、そこに出席要請があり、ここにいるわけであります。
 この委員会の運営、また国会の運営については、各党各会派において御議論を賜りたい、このように思います。
○佐々木(憲)委員 各党各会派の議論をして、それが運営上、一致しなかったわけですよ。
 とりわけこういう選挙制度というのは、議会制民主主義、議会制度の土台をつくるものでありますから、全ての政党が、賛否はあっても参加して、そして協議をしていくというのは当たり前なんだけれども、何で単独でやるんですか。このことを私は問題にしているわけであります。
 そこで、次に、選挙制度とは何かという問題についてお聞きをしたいと思います。
 選挙制度は一体誰のためにあるのか、この点について大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○新藤総務大臣 これは、憲法が与えた国民に対する権利であります。そして、選挙権を行使すること、それが民主主義の根幹をなすということだと思います。
○佐々木(憲)委員 選挙制度は国民のため。総理大臣のためにあるのではありませんね。
○新藤総務大臣 選挙は国民が持っている権利であります。
○佐々木(憲)委員 この間、我々は理事会でも議論をしてまいりましたが、自民党の理事が発言するのを聞いておりますと、0増5減の法案が通らなければ、総理の解散権が制約される、そういうことばかり言っているわけですよ。一体誰のために法案を提出したのか、極めて疑うような発言でありまして、これは本末転倒なんです。
 解散ができないからこの法案を出したんだ。大臣が言っているように、国民のために出したというのは表向きであって、実は、腹の中は総理大臣のためにやっているんじゃないか、このように思わざるを得ないわけでございます。全く本末転倒なんです。
 今回のこの一連の違憲判決につきまして、立法府の怠慢を指摘したと言われておりますが、そもそも、現行の小選挙区比例代表並立制の出発点に問題があるというふうに私は思っております。
 1993年、政治改革と称して小選挙区比例代表並立制の導入が提案されたとき、我が党は、小選挙区制は、選挙制度の基本である民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだ、こういうことを主張して反対をいたしました。
 同時に、小選挙区の区割りが発足時から二倍を超える格差を容認していることは、投票価値の平等を踏みにじる違憲立法である、こういうふうに批判をしてまいりました。
 そういう制度を維持し続けてきた各党の責任が断罪されて、今厳しく問われている、そういうふうに思います。大臣はどのようにお考えでしょうか。
○新藤総務大臣 委員と御党がそういった一貫した主張をされているということ、これはまた、そういういろいろな意見の重なり合い、ぶつかり合いが民主主義の根幹でありますから、そういう意味において、委員がみずからの主張をされること、それはすばらしいことだ、このように思います。そして、そういったことを、ぜひ国会の中で積極的な議論をいただきたい、またそれが我々の責務ではないか、このように考えます。
○佐々木(憲)委員 我々は一貫した姿勢でおりますけれども、大体、そもそも0増5減という法案について、昨年11月に自民、公明、民主などの多数で成立させられたけれども、我々は、これは今の民意を反映しない小選挙区制を維持、固定化して抜本改革を棚上げしようというものであり、到底賛成できないということで反対をしました。(発言する者あり)よくわかるという声があります、筋が通っているという声もあります。
 そのときも指摘しましたけれども、最高裁判決が違憲状態を生み出す原因として挙げた一人別枠方式、これは言葉はなくなりましたよ。しかし、事実上その配分は残ったままで、とりあえず二倍に抑えた、こういうことなんじゃないですか。
○新藤総務大臣 これは言葉だけではなくて、一人別枠方式は廃止をしたわけであります。そして、もし一人別枠方式が残っているならば、今回の区割り改定法案では、平成22年の国調人口に基づいて一人別枠方式で配分をすれば、定数が300の場合には4増4減、295の場合においても一増六減になるわけでありまして、0増5減というのは、そもそも一人別枠方式を廃止された結果、このようになったものであります。
○佐々木(憲)委員 これは実質的には私は残っていると思うんですね。だから、これはびほう策なんですよ。
 しかし、それにとどまらない大きな問題が私は今回あると思っております。
 自民党は、違憲状態を解消する緊急是正を先行して処理して、続いて選挙制度の抜本改革の協議を行うと言うけれども、自民、公明が準備している案は、比例を30削減、そして小選挙区には手をつけない、こういうものであります。民主党が提出する案も同様で、比例を大幅に削減するということが中心なんです。だから、自民、公明、民主がやろうとしているのは、小選挙区という制度には手をつけない、そして比例だけ削減する、そういう方向なんですよ。これはとても我々は容認できない。
 0増5減を先行すれば小選挙区制を固定化し、比例を削減する、そういうことなんですか。
○新藤総務大臣 委員は全て御承知の上でお尋ねになっているわけでございます。私が今そのことをコメントする立場にないわけです。また、そういう選挙制度をどうするかは、これは民主主義の根幹にかかわることであって、各党各会派の御議論を頂戴する、またそこでしっかりと議論をすべきものだ、このように思っているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 その抜本改革をめぐりまして、1年半前から16回、各党協議が重ねられてまいりました。
 そこで、現行の小選挙区比例代表並立制が民意を著しくゆがめている、民意を反映する抜本改革が必要である、こういうことは民主党以外の多くの政党の共通認識でございました。選挙制度は議会制民主主義の根幹でありますから、大事なことは、多様な民意をいかに正確に議席に反映するかということが基本でなければなりません。ですから、定数の問題も選挙方法の問題もそういう方向で検討されなければならないと思います。
 憲法の前文には、「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」こういうふうに書かれております。選挙はその土台であって、国民の声を正確に、鏡のように議席に反映させる、そういう制度であるべきだと思うんです。
 3月にもこの場で一度お聞きしましたけれども、もう一度総務大臣のこの点についての見解をお聞きしたいと思います。
○新藤総務大臣 まさに、そのようなさまざまな御意見を闘わせていただいて、そして、国民にとってよりよい選挙制度というものをつくること、それが立法府の責任ではないかと思いますし、そのようなことがこれからもなされていくことを私も期待をさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 現在のこの新しい小選挙区比例代表並立制になってから、大臣も私も同じ時期に今まで選ばれてまいりました。この小選挙区制は民意を反映しないということは、今回の選挙だけじゃなくて、その前からずっと、六回の選挙で私は明らかだと思うんですよ。
 数字を確認したいんですけれども、小選挙区で三回の選挙結果、これは第一党がどのような得票率で議席は何%を占めたか、この点を事実を示していただきたいと思います。
○米田政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) お尋ねのございました三回の衆議院議員総選挙における小選挙区の第一党の得票について御報告いたします。
 直近の平成24年でございますけれども、第一党、自由民主党の得票率は43・01%、300の定数に占める当選者の割合は79・00%でございました。
 その前回、平成21年の衆議院議員の総選挙でございますが、これは第一党が民主党でございました。得票率47・43%、当選者の割合は73・67%でございました。
 その前、平成17年の選挙におきましては、第一党は自民党でございました。得票率は47・77%、当選者の割合は73・0%でございました。
    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕
○佐々木(憲)委員 今お聞きのとおり、この小選挙区制というのは、政党が入れかわっても第一党が圧倒的に有利になるんですよ。わずか4割台の得票でも議席を7割も8割も独占できる、そういう制度でありまして、このことは予算委員会で我が党の穀田恵二議員が指摘をいたしましたら、総理は、私も、その論点で反対もいたしておりましたと。つまり、安倍総理は、もともと小選挙区制反対論者であるということをみずからテレビの前でおっしゃったんですけれども、総務大臣はどういう見解ですか。
○新藤総務大臣 私は、まさに委員と同じ時期に、小選挙区制度が始まったことによって、その第一回目の選挙で立候補して国会に来た者であります。ですから、お互いに、メリット、デメリット、よいところ、改善すべきところは身をもって承知しているところではないかというふうに思うんです。
 御案内のように、やはり49対51の結果はゼロ対100になってしまいます。ですから、それを補うために比例代表というものがある、少数意見を反映させるものとしての並立制というのがあったと思います。
 しかし、少なくとも、この小選挙区制度によって政権交代が二度起きているわけでありまして、そういう意味での変化をもたらすというのは、いい意味でも、また逆の意味でもあるのではないかというふうに思います。
 私は、もともとが云々というよりも、お互いでございますけれども、我々は、そういった制度の中で、与えられた条件の中で全力を尽くす。選ばれた者がその与えられた枠の中で必死の活動をしていく。そして、今の委員のように議論を闘わせてよりよいものになっていく。これでなければだめだ、私は出ない、私はこういう制度では立候補しないということにはならないと思うんですね。
 私たちは、まず、その制度において、その中で自分たちの努力をし、そして、議席を得た上で不断の改善努力をしていくべきではないか、このように考えます。
○佐々木(憲)委員 我々は、この制度のもとで六回選挙を戦ってまいりました。最大の問題は、投票したその票が生きてこない、死に票になるという問題が非常に大きいということなんですよ、小選挙区制の場合は。
 総務省にお聞きしますけれども、この死に票の総数とその割合、これは3月にも確認しましたが、もう一度ここで示していただきたいと思います。
○米田政府参考人 昨年末の衆議院議員総選挙における小選挙区の得票総数のうち、当選者の得票数の割合は46・94%でございますので、それ以外の方の得票数の割合は53・06%となっております。
○佐々木(憲)委員 では、もう一つ確認しましょう。300の小選挙区で、候補者の得票のうち、議席に結びつかなかった死に票率が50%以上となった、そういう小選挙区は、全体の何割、何選挙区であったでしょうか。
○米田政府参考人 これも同じく昨年の衆議院議員の総選挙においての数字でございますが、300の選挙区のうち、当選人以外の候補者の得票数、いわゆる死票が当該選挙区の得票総数の半数を超える選挙区の数は188選挙区でございますので、60%を超える水準となっております。
○佐々木(憲)委員 ここで明らかになりましたように、投票した人たちの過半数の人の票が生きない。そういう50%以上の票が死に票になるという選挙区が、全体の選挙区の6割あるんですよ。私は、これは余りにも国民の声がゆがめられてしまっているというふうに言わざるを得ないと思うんです。余りにも得票率と議席に乖離がある。第一党が得票率以上に議席を獲得する、二位以下の候補者に寄せられた票は過半数を超えていても議席には結びつかない、切り捨てられる、こういう制度であります。
 そういう制度だということをどのようにお感じでしょうか。
○新藤総務大臣 そもそもこういう制度を入れることになったその前提といいますか、状況は、中選挙区が長く続いた中で、それが政策本位、政党の選挙というよりも個人間のサービス合戦になる、それから、そういった選挙制度によって長期固定化した政治の体制ができて、それによって日本の進化、改善が妨げられているのではないか、こういう中でできた制度だと思っています。
 ですから、そこから変えようとして、そのときにも国民を巻き込んで、国民的議論の中で、また、その当時いた私たちの先輩議員たちが国民の代表として闘わせて導入された制度であります。ですから、我々は、それに基づいて、まずそれを受けとめた中で政治活動をしていくんだということであります。
 私も個人的に言わせていただくならば、これは所管する総務大臣ということではなくて、選挙制度にかかわる者として、今の議員の意見には傾聴に値する部分があると思います。
 一方で、小選挙区で立候補して、二位、三位の方は当然議席を得られないわけであります。しかし、同じ選挙で立候補していて、四位や、そういった方が議席を得る、これは比例の方で入っていくわけですから、これは制度なんです。
 しかし、同じ選挙区で信任を得られているか得られていないかという、政治家としての信任を得られたか否かということに関すれば、これは、一位が議席をとり、二位、三位が残念ながら議席を得られずに、それよりも下位の方が議員としている、こういうところは検討をしなければならないことではないかという話も私は承知をしております。
 さまざまな議論があると思います。ですから、まさに国会の各党各会派の議論をさらに進めていく、また改善努力というものは進めていかなければいけないことだ、このように思います。
○佐々木(憲)委員 それは、したがって、小選挙区制度というものを含むそういう選挙制度だから、そういうさまざまな問題点が生まれてくるわけです。
 導入した当時の理由については今説明がありましたが、我々はその理由は成り立たないと思っていたわけです。もともと民意を反映しない制度であって、大体、一票の格差が二倍以上も容認することから始まっているわけですから。そういうことを考えますと、これは根本的に見直す必要がある。もう20年近くやってきて、その欠陥が非常にはっきりしてきたんじゃないかと思うわけです。
 小選挙区制の場合には、過半数の死に票を生み出すというのが非常に重大な欠陥でありまして、民意が正確に反映する選挙制度、やはりそういう方向に変えなければならない。そういう意味で、この制度は廃止するということが非常に大事だというふうに私は思います。
 議員の仕事というのは、国民の声を国政に届けるというのが基本ですから、その得票に応じた、3割の得票であれば議席も3割、5割の得票であれば議席も5割、これが正確な反映であって、そういう制度に変えるということが私は大事だと思っておりまして、私どもは、その具体的な案も提案をしているところでございます。
 もう一つ確認したいんですけれども、最近、定数削減という話がさまざま行われていますけれども、日本の国会議員の数というのはそんなに多過ぎるのかという問題です。
 この点について総務省に確認したいんですが、国際的に比較して一体どうなのか、歴史的に見てどうなのか、数字を示していただきたいと思います。
    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕
○米田政府参考人 これは、それぞれの国の議会の制度等々が異なりますので一概には言えませんけれども、OECDの加盟国におきまして国会の総議員の定数を比較したものがございますのでこれを御紹介申し上げますと、日本は人口10万人当たり0・57人ということになっておりまして、アメリカの0・17人というのが加盟34カ国中最も少ないわけでありますけれども、それに続いて少ないという数字が出ております。
 それから、歴史的にということでございましたが、これは衆議院議員一人当たりの人口がどの程度であったかということでございます。昭和35年の国勢調査の場合には約20万人、昭和45年の国勢調査におきましても、50年の定数是正前でございますと21万3167人ということになっておりまして、平成6年の公選法の改正によりまして、これは平成2年の国勢調査ベースでございますが、41万2037人になっております。平成22年国勢調査によります、定数300ということになりますと、42万6858人という数字でございます。
○佐々木(憲)委員 アメリカの例は、アメリカの制度というのは連邦制でありまして、州議会というのが別にあるわけですよ。国の議員だけ国際比較するというのは、これは成り立たないというか、比較のしようがないわけでありまして、州議会が一つのいわば国のような存在で、それの連邦ですからね。そういうものを入れますと、アメリカの場合の議員数、これはかなり多いわけです。
 今言われましたように、ヨーロッパの場合は、今ヨーロッパの話をしないのは説明としては極めて不十分であると思うんですが、ヨーロッパは平均して大体10万人に1人です。スタンダードが10万人に1人。日本の場合も、男子普通選挙が導入された1925年には12万8千人に1人なんですね。それが今は26万7千人に1人ですから、これは、実態的には、当時の議員の数は、国民の数からいいますと非常にたくさんの数を代表しているというわけでありまして、これはむしろふやしてもおかしくないぐらいの状況なんですよ。
 そういう意味で、この定数の削減というものは非常に問題がある。これはやはり国民の声を反映できるような、そういう仕掛けにしなければならぬ、数の上でも、制度の上でも。このことを我々は主張しているわけでございます。
 今、いろいろ議論がありまして、身を切る必要があるとか、それは、国民に消費税を押しつけるから身を切らなければならぬという話もありますけれども、我々は消費税増税に反対ですからね。消費税増税で国民に痛みを押しつけるんだから議員も減らせと。議員を減らすということは、国民の声が届かない国会にするということなんです。そういうことをやってはならないということを我々は主張してまいります。
 以上で、時間が参りましたので終わりたいと思います。

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