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税制(庶民増税・徴税), 金融(銀行・保険・証券), 景気回復, 医療・介護・年金 (消費税, 量的緩和政策、超低金利政策)

2013年04月02日 第183回 通常国会 予算委員会≪集中審議≫ 【720】 - 質問

「家計負担増20兆円に、消費税増税中止を」安倍総理をただす

 2013年4月2日、佐々木憲昭議員は、予算委員会で「こんなに家計に負担を負わせたら、消費を冷やしてデフレを加速させるだけだ」と安倍晋三総理をただしました。
 佐々木議員は、安倍内閣が「デフレからの脱却」をいいながら、家計には巨額の増税と社会保障の負担増を押し付けていることを追及し、中止を求めました。

◆なぜデフレ不況が長期化したのか
 佐々木議員は、デフレの要因は、国内総生産(GDP)の6割を占める家計消費は10年間で6兆円以上も落ち込んでいます。労働者の賃金が10年で22兆円も減少する一方、税・社会保障改悪による給付減や負担増で合計12.7兆円も国民の負担が増えたからです。
 佐々木議員は、相次ぐ負担増・給費減を示し、「長期にわたり需要が弱い状況をつくり出したのは、小泉・安倍内閣にも大きな責任がある」とただしました。安倍総理は「負担増は社会保障の給付と負担のバランスをとるため適切なものだった」と開き直りました。
 旧自公政権後の民主党政権も負担増を続け、2000年と2011年を比べると賃金収入は約46万円減少、負担は16万9000円も増えました。
 佐々木議員が、「(サラリーマン世帯では)消費支出は実に57万9000円も減った。これは大変な事態だ」と迫ると、安倍総理は「デフレの負のスパイラルの中での現象だ」と述べました。佐々木議員は、「給付は減り負担は増える。バランスを欠いている」と批判しました。
 さらに自公民3党は、消費税を13.5兆円も増税し、年金など負担増・給付減6.5兆円も押し付けようとしています。佐々木議員は、安倍内閣が消費税増税と社会保障の負担増・給付減であわせて20兆円も家計所得を奪おうとしていると追及。
 佐々木議員は、「戦後の日本で、これだけの多額の増税が実施された例はあるか」と聞くと、麻生太郎財務大臣は「絶対額では一番高い」と述べました。佐々木議員は「こんなに家計に負担を負わせたら、消費をいっそう冷やして、デフレを加速させることになる」と批判しました。
 佐々木議員は、政府が出した試算を示し、子育て世帯(夫、専業主婦、子ども2人、年収700万円)で年間36万9300円の負担増になるとただすと、安倍総理は「心配があるのも事実。景気が冷えこんで税収が増えない状況になってはならない」と述べました。
 高齢者世帯の負担増も深刻です。佐々木議員は、「国保料・介護保険料が高すぎて生活できない。これ以上、年金が下がったら生活できません」(愛知県)、「貯金を取り崩して生活しているが、すぐに底をついてしまうので、先が心配です」(埼玉県)との声を突きつけました。
 安倍総理は、「低所得者、年金生活者への対応を十分勘案する」とのべ、佐々木議員は「低所得者への給付を考えているようだが、スズメの涙、焼け石に水だ」と、消費税増税と社会保障負担増・給付減をやめるよう主張しました。

◆金融緩和で需要増えぬ
 さらに佐々木議員は、“金融緩和すれば景気は良くなる”というアベノミクスの誤りをただしました。
 佐々木議員は、日銀がいくら金融緩和をしても、家計から利子所得を奪ったうえに物価高騰を引き起こし、銀行から先にお金が回っていかない実態を示して、大事なのは需要をいかに活性化させるかだと指摘しました。
 政府・日銀の物価目標2%は消費税引き上げを含まず、合わせれば物価上昇は10%近くになります。岩田規久男・日銀副総裁は、「賃金はインフレと生産性の上昇で上がっていく」から問題ないと答弁。佐々木議員は「机上の空論だ。物価を上げればうまくいくなど誰も理解できない」と批判しました。
 この間の金融緩和で日銀供給の貨幣は約47%増えたのに対し、金融機関から先の貨幣供給は約10%増です。
 佐々木議員は「大事なことは金融機関から先の経済活動をいかに活発化するかだ」と述べ、麻生財務大臣も資金が銀行から先に回らなかったのは「需要がないから」と認めました。
 アベノミクスによって、物価のほうはすでにガソリンに灯油、電気料金や輸入食料品の価格が上がり、生活を直撃しています。
 佐々木議員は、「賃金も年金も上がらないのに物価だけが上がれば、生活防衛で消費をますます減らさざるをえない」と指摘。「不況と物価上昇が同時に進む「スタグフレーション」への道を歩むことにならないか」とただすと、麻生財務大臣は、「経済の)ベースを大きくしないと景気はよくならない」と答弁。
 佐々木議員は、「政府の政策では経済のベースは大きくならない」「『デフレ脱却』のためにやるべきは、消費税増税を中止し、社会保障を充実させ、大企業の内部留保を国民に還元させることだ」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 安倍内閣は、デフレからの脱却を最大の課題として掲げておりますけれども、問題は、なぜデフレが長期化したのかという点であります。
 総理は、本会議での私の質問に対して、こうお答えになりました。「我が国経済は、長期にわたり、需要が弱い中で、企業などによる、日本経済の将来に対する成長期待の低下やデフレ予想の固定化もあって、デフレが継続してきた」、このようにお答えになりました。
 長期にわたり需要が弱いという状況がベースにあったというふうに思います。私は、需要の中でも、家計消費の落ち込みというのが非常に大きかったと思います。
 麻生大臣に確認したいんですが、家計消費というのは、国内総生産、GDPの約何%を占めているでしょうか。
○山口財務副大臣 済みません、数字でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 内閣府の国民経済計算というのがありますが、これによりますと、お尋ねの家計最終消費支出の国内総生産、名目GDPに占める割合は、2011年度におきまして59・3%になっております。
○佐々木(憲)委員 59・3%というのは約6割ですね。家計消費というのは経済全体に決定的な影響を与えるものだと思います。
 ところが、この家計消費が、内閣府の国民経済計算によると、10年間で6兆円以上も落ち込んでおります。
 総理にお聞きしますけれども、これが内需を落ち込ませた最大の要因だと私は思うんですね。総理はどのように捉えておられますか。
○安倍内閣総理大臣 我が国経済は、これまでの10年間を振り返りますと、先ほど佐々木憲昭委員から紹介をしていただいたんですが、長期にわたり需要が弱い中で、企業などによる日本経済の将来に対する成長期待の低下やデフレ予想の固定化が生じたことや、あるいはまた、2000年及び2006年、量的緩和解除、ゼロ金利の解除といった日本銀行の判断が、今から考えれば早かったことなどから、長期にわたるデフレから脱却できなかったというふうに考えております。
 このような長年にわたるデフレの中で莫大な国民の所得と産業の競争力が失われ、頑張る人が報われるという社会の信頼の基盤も揺るがされている状況でありまして、こうした教訓を踏まえれば、従来の延長線上での対策ではできないということで、三本の矢によって、デフレから脱却をし、そして経済を成長させ、さらには国民の収入がふえる、そういう景気の好循環の中に日本も入っていけるように努力をしていきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 いろいろなことをお答えになりましたが、家計消費というのが非常に経済全体の中で重要であり、それが落ち込んでいることがベースにあるということは、お答えの中にも見えました。三本の矢が家計にしっかり軸足を置いてやられているかどうかというのは、これから検証したいと思うんです。
 家計消費が落ち込んだ理由は、一つは収入が減っているからです。雇用者所得、労働者の賃金は10年で22兆円も減少しております。年金の給付も減りました。収入が減った上に、今度は、税、社会保障、保険などの負担がふえました。そのため、手取り収入が大変大きく落ち込みました。
 このパネルを見ていただいても、2002年以降、小泉、安倍内閣が国民負担をいかにふやしてきたかというのを示しております。非常にたくさんあるんですよ。所得税、住民税の定率減税の廃止、厚生年金の保険料の引き上げ、失業給付が減らされる、あるいは健康保険の窓口負担が3割になる、介護保険料も引き上げられた、生活保護の母子加算、老齢加算が廃止された、老人医療の窓口負担がふえた、年金が減額された。本当にじわじわと国民負担がふえて、我々この数字を計算しますと、合わせて12・7兆円に上ります。
 総理、この長期にわたり需要が弱くなったという状況をつくり出したのは、小泉、安倍内閣にも大きな責任があったんじゃありませんか。
○安倍内閣総理大臣 今、委員が示していただいた負担増については、主に社会保障の給付において、給付と負担のバランスをとっていくということと同時に、社会保障を持続可能なものにしていくための対応であった、適切な対応であったと私は思っております。
○佐々木(憲)委員 給付と負担のバランスといいますけれども、給付が減り、負担がふえる、これはバランスが欠けるんですよ。そういう状況というのが、過去、非常に大きく国民の暮らしを直撃してまいりました。
 政府に対する国民の怒りはこういうところに出てきたわけです。例えば、所得税、住民税の定率減税の廃止がありましたね。あのときは、全国各地の市役所の窓口に怒りが殺到しました。列島騒然と言われるような状況がありました。あるいは、後期高齢者医療制度に対しても怒りが爆発しました。
 その怒りのもとで、2009年に政権交代が起きました。自民、公明は下野せざるを得なかったわけです。ところが、生活第一と言って政権についた民主党は、この負担増を放置して大変な負担が残ったわけです。
 このパネルを見ていただきますと、総務省の家計調査に基づいて作成した、平均的なサラリーマン世帯の家計であります。
 2000年から2011年を比較しますと、勤め先収入は46万6千円減少しております。その一方で、所得税、住民税の増税があり、社会保険料の負担が大きくふえております。合わせて16万9千円の負担増であります。そうなりますと、手取り収入、可処分所得が大きく減って、消費支出は実に57万9千円も減っているわけであります。
 これは大変な事態だと、総理、思いませんか。
○安倍内閣総理大臣 つまり、だんだん収入が減っていくというのは、デフレによって物の値段も下がっていくわけでありますから、当然、企業の収益も減っていくという中において、給与も残念ながら減っていく。
 いわばデフレの負のスパイラルの中での現象でございますから、これを変えていくために、我々は今、デフレから脱却して経済を成長させていく、そしてその成長の果実がしっかりと国民に行き渡るようにしていきたいと考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 このデフレの負のスパイラルを加速してきたのが、国民の負担増でありました。そこを本当に直すのかというのが問題でありますが、昨年結ばれた自公民の三党合意は、さらに輪をかけて国民負担をふやそうということになっているわけであります。
 昨年末の総選挙では、消費税増税をしないと公約した民主党に、公約違反だということで批判が集中して、厳しい審判が下りました。
 しかし、再び政権についた自民党、公明党は、この国民負担増をそのまま押し通そうとしております。来年4月から2015年の間、2年間で消費税を13・5兆円、大増税であります。これは私は尋常じゃないと思うんですよ。消費税の増税分だけで法人税額を超える大きさであります。
 確認をしたいんですけれども、財務大臣、戦後の日本で、これだけ多額の増税が実施された例はありますか。
○麻生財務大臣 先生、物価も大分違いますのであれですけれども、絶対額でいけば、一番高いと存じます。
○佐々木(憲)委員 つまり、一番高いということは、過去、こんなにふやした増税はなかったということですね。
 このパネルも見ていただきたいんですけれども、負担増は、消費税だけではありません。年金、介護、医療、子ども手当、年少扶養控除廃止、こういうことで、負担増、給付減、大変なものであります。これも、いずれも手取り収入をさらに減少させる要因ですね。合わせて6・5兆円です。消費税増税分と合わせて全体で、これから20兆円負担をふやす、給付減、こういうことになるわけです。
 総理にお聞きしますけれども、これからこんなに家計に負担を負わせたら、消費を一層冷やすことになって、デフレを加速させるということになるんじゃありませんか。
○安倍内閣総理大臣 この消費税の8%、10%への増税分は、年金や医療や介護、あるいは子育て等に使われるわけでございますし、佐々木委員御承知のように、医療の体制についても充実をしていくということになっているわけでございまして、そのための財源において、国民の皆様の御理解をいただいていきたいと思います。
 一方、今佐々木委員が御指摘のような心配もあるのも事実でございまして、いわば景気が冷え込んでいって税収が逆にふえていかないということになってはならないわけでございますので、しっかりと景気の状況等々を、さまざまな指数を見ながら勘案した上で、判断をしていきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 この増税分が全部社会保障に回るなどと言いますけれども、それはでたらめですよ。昨年、私、5月に税・社会保障特別委員会で質問をいたしましたら、これは一旦は社会保障に回るように見えるんです。しかし、13・5兆円のうち半分以上の7兆円がほかの財源に置きかわる。これは政府も認めました。しかも、自民、公明は、附則18条を入れて、公共事業に使える道を開いたわけですね。
 ですから、我々、こういう負担で取り上げられても、社会保障に還元されるという保証は全くない、こう言わざるを得ないと思うんです。
 では、実際に家計はどうなるんだろう。子育て世帯を見ていきたいと思うんですが、これは、私、昨年政府に要請して、世帯類型別に試算を出してもらった、これを示したものであります。
 パネルを見ていただきたいんですけれども、これは政府の試算を集計しました。2011年と2016年、どれだけ年間の負担がふえるかということであります。
 この試算では、平均的な子育て世帯の場合、税、社会保険料などの負担で、これから36万9300円、負担がふえる。約37万円の負担増になるわけです。こんなに負担がふえましたら、これはもうやっていけないという声が上がるわけです。
 総理、これにどう答えますか。
○安倍内閣総理大臣 一方、子育てへの支援もしっかりと行っていくわけでございますし、例えば、この増税分において待機児童に対する対応を大きく進めていくことにもなるわけでございまして、そうした支援もしっかりとやっていく中において、御理解をいただいていきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 しっかりしっかりと言いますけれども、その保証がないんですよ。実際に、家計に還元されるという数字は政府は出しておりません。
 夫婦高齢者世帯の場合はどうですか。このパネルは、総務省の家計調査からつくりました。
 一番大きな特徴は、年金が年に23万5千円減っているということであります。これはもう本当に大変な事態で、その反面、税、社会保険料の負担が24万円から34万8千円に、約11万ふえているわけであります。その上、この消費支出の中に、節約することができない光熱費、公共料金、あるいは医療費が、5万4600円ふえております。
 10年前を見ていただきますと、収支がほぼ均衡している。年金収入で支出を賄っていた。それが、ほぼとんとんであった。ところが、今は、年に42万3千円という大変な赤字なんですよ。これは政府の統計から出てきた数字です。
 これは高齢者から見ますと大変な不安でありまして、政府が出した数字を見るだけでも、今後、これから7万から10万もさらに負担がふえるという想定があります。
 私のところに、高齢者の方々から、大変な、悲鳴に近い声が寄せられているんです。
 例えば、愛知県の方は、こう言っています。国保料、介護保険料が高過ぎて生活できない、年金は受給し出してから下がるばかりです、これ以上下がったら生活できません、医療費はせめて75歳からは無料にしてほしい。
 京都の方は、老後のためと思い、苦しい子育ての中から年金保険料を納めてきたのに、満了しても5万円あるかなしかです、その中から介護保険料、健康保険料を差し引くなんてあんまりです、こういう訴えですね。
 埼玉の方は、年金だけでは暮らせません、貯金を取り崩して生活していますが、すぐに底をついてしまうので、先が心配ですと。
 あるいは、東京北区の方は、昨年度は、後期高齢者医療の保険料と介護保険料の値上げで、年に2万数千円も負担がふえました、ところが年金は2万円も減らされました、合わせて4万数千円、1月14万円の年金の3割に相当する大変な負担です、こう嘆いているんです。
 この声を、総理、どう受けとめますか。
○安倍内閣総理大臣 消費税引き上げに際しては、低所得者、年金生活者の方々への対応等も十分に勘案をしていかなければならないと考えております。
○佐々木(憲)委員 低所得者、年金受給者に何か措置をとるといいますけれども、例えば、月5千円の給付というのを考えているようですね。それは、ごくごく一部なんですよ。これだけ大増税、大負担が押し寄せてくる中で、まあ本当にスズメの涙のようなもので、焼け石に水ですよ。そういうことで何かこの負担増を正当化するというのは、私はとても許せないと思います。
 このままいきますと、年金や賃金は上がらないのに、負担がふえ、物価が上がる、こういうことにならざるを得ない。
 ここで、日銀の岩田副総裁にお聞きしますけれども、日銀は、先ほども議論がありましたね、消費税増税が3%上がった場合、5%から8%に上がった場合、それで物価は2%上がるというふうに計算をしているようであります。黒田総裁は、日銀の物価目標2%というのは2年以内、岩田さんもそうおっしゃいました。そして、消費税増税分を除いて達成する、こうしているわけですね。
 そうなりますと、2年後には、増税分で2%、それを除く物価上昇で2%、合わせて4%になる。毎年2%ずつ上昇するわけですから、消費税率が10%になった4年後には、物価は今より10%近く上昇する、そういう計算になるんじゃありませんか。日銀はそう考えているんでしょうか。
○岩田参考人(日本銀行副総裁) 2%のインフレ目標を目指してやっていくということは、総需要をふやしていくということで、それによって、今非常に低い国内総生産を、需給ギャップをおさめて、引き上げていく。さらに、成長戦略というのが同時にあれば、その水準がもう一つ上がるということで、実際に私たちの物価の上昇を上回るような賃金の上昇をもたらすためには、まず、デフレ脱却が必要だということと2%インフレを目指すということで経済を安定させることと、成長戦略によって一層生産性を上げていく。
 賃金というのは、長期的にはインフレ率プラス生産性の上昇というだけ上がっていくというのは関係があるので、より物価以上に、長期にわたって賃金を上げていくというためには、潜在成長率を上げていくような政策がやはり必要だというふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 今のような抽象的な答弁ではね。
 総需要をふやすと言いますけれども、総需要は抑制されてくるわけですよ、今の政府の統計を見ても、負担増を見ても。
 賃金はインフレ率プラス生産性上昇だと言いますけれども、それは机上の空論ですよ。現実に賃金というのは、本当に上がるかどうか、それは労使間の関係でしょう。そういうことを無視して、物価を上げれば何かうまくいく、これはちょっと私は理解できません。
 もう一つ、日銀についでにお伺いしますけれども、私は、7年前に財務金融委員会で当時の福井総裁に質問したことがあります。そのとき、こういう答弁がありました。91年における受取利子額がその後2004年まで同じ額で継続するというふうに仮定した場合と現実の金利所得との比較で逸失金額を計算すると、累計で304兆円である。要するに、利子が下がって、家計に入るべき利子分が300兆円以上も減少する、こういうふうな答弁がありました。
 この答弁、事実ですね。
○岩田参考人 議員御指摘の計数については、その当時利用可能な統計のもとに、1991年における受取利子額がその後2004年まで同じ額で継続すると仮定した場合と現実の受取利子額の差を計算したもので、その数字自体は正しいものだったというふうに認識しています。
 ただ、利子所得というのは、経済全体のGDPというものが大きくならないとやはりふえないので、利子所得だけふやそうとすると、かえって、金利が上がって、そのパイ自身、分配するもとのGDP自体が減ってしまうということに御留意いただきたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 私は、家計の収入がどう変化するか、その事実関係をただしたわけであります。そうしますと、この間、利子所得が減ったために大変な家計に対する打撃になっているということが明らかになったと思います。
 もう一点、確認をしておきますけれども、お金が出回るという面、私は二つの面があると思います。一つは、日銀が金融機関に貨幣を供給する部分、これがマネタリーベースであります。もう一つは、金融機関全体が経済に貨幣を供給する部分、これはマネーストックであります。
 この二つに分けて見た場合、リーマン・ショックが起こった2008年2月、今から5年前でありますけれども、その2008年2月からことし2月までの5年間、マネタリーベースは何%ふえましたか。あるいは、マネーストックは、これはM3ですけれども、何%ふえたか、数字をお答えいただきたいと思います。
○岩田参考人 マネタリーベースの方は、御指摘の期間、約47%増加し、マネーストックは約10%増加いたしました。
○佐々木(憲)委員 金融緩和をやっても、金融緩和でじゃぶじゃぶと日銀がお金を供給する、供給しても、銀行から先に流れないんですよ。つまり、この間、5年間で47%お金をふやした。ところが、銀行から先に流れないのはなぜかというと、需要がないからです、資金需要がないから。麻生財務大臣も深くうなずいておられますけれども、これがやはり実態だと思うんですね。
 したがって、私は、マネタリーベースでどんどんお金をふやしていくというやり方で果たして経済全体がうまく回っていくか、非常に疑問に思うわけです。一番大事なことは、金融機関から先の経済活動をいかに活発化するか、これが大事なことだと思うんです。
 金融担当大臣である麻生さん、どのように思いますか。
○麻生金融担当大臣 これは別に、歴史というより経験則で、2000年、21世紀の初頭から日本銀行として、20兆、25兆、35兆までいきましたかね、あのときは。35兆ぐらいまでいわゆるマネタリーベースをふやしたんですけれども、結果として、それがずっと市中銀行にとどまって、結果的に日銀の当座預金がふえただけ、結果的には市中に出回らなかった。なぜか。需要がないからです。はっきりしております。
○佐々木(憲)委員 需要がないところをどのようにふやしていくかというのが一番の鍵でありまして、その中心はやはり家計消費にあると私は思うんです。政府は、その家計消費を冷やしながら物価だけ上げる、こういう形になっているわけですね、政策が。これが問題だと思うんですね。
 既に、生活の方で、所得はそんなに伸びていないのに、物価だけ上がっているんですよ。輸入価格がもう既に上がり始めております。ガソリン、灯油が上がっている。電気料金、輸入食料品なども上がりつつある。サラダ油、ツナ缶、小麦、ティッシュ、家畜の飼料、肥料、こういう非常に広範な範囲に値上げが今及ぼうとしております。
 賃金も年金も上がらないまま物価だけが上がっていく。そうなると、生活防衛で消費を減らさざるを得ないんです。結局、需要がさらに減って、不況と物価上昇が同時に進むというスタグフレーション、こういう形にならざるを得ないというふうに思いますが、総理、どう思いますか。
○麻生金融担当大臣 今言われたようなことにならないようにするのが第二、第三の矢の一番肝心なところだ、私どもはそう思っております。
 我々として、申し上げましたように、いろいろな政策はもう御存じのとおりで、時間もないことですから、政策は触れるつもりはありませんけれども、給与が上がる、事実、ボーナスやら等々で、それらのことがいろいろな新聞に取り沙汰されている。まだ、一つの面です。そういった面で、それが結果的に消費に回っていく部分もありましょうし、また、それまでのローンの返済に充てる部分もあるでしょう。いろいろなことがあろうと思いますが、少なくとも、経済のベースを大きくしない限りは景気がよくなることはありませんから、そこのところを基本的に据えてやらなければならぬと思っております。
○佐々木(憲)委員 経済のベースがなかなかふえていかないんですよ、政府の政策では。
 やはり今大事なことは、消費税増税を中止するとはっきりするということであります。社会保障を充実させて、大企業の内部留保を国民に還元させる、そういうところに大きく踏み出さなきゃならぬ。やはり家計を直接温める政策に根本的に転換しないと、このまま突き進んでいったら、これは、二重三重に、所得は減るわ、物価は上がるわ、税金が上がるわ、こんなことになっていくのではないかというふうに私は思います。
 したがって、今のこの路線を根本的に国民の立場に立って改めるということなしに日本の経済の再建の方法はない、私は、このことを最後に指摘いたしまして、質問を終わります。

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