アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

その他 (選挙制度)

2013年03月22日 第183回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【715】 - 質問

小選挙区の死票率は最大72%、選挙経費削減で投票所・投票時間が大幅に減少

 2013年3月22日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、佐々木憲昭議員は、小選挙区制の害悪の問題と国政選挙の経費を大幅に削減する国政選挙執行経費基準法改悪案に対して質問を行いました。

 佐々木議員の質問に、総務省が初めて、総選挙(小選挙区)での「死票」について、公式に明らかにしました。
 当選者以外の候補者の得票は300選挙区で3163万7430票にのぼり、得票総数の53.06%を占めます。
 総務省の調べによると、昨年12月に行われた総選挙の300小選挙区で、候補者の得票のうち議席に結びつかなかった「死票」の割合(「死票」率)が50%以上となった小選挙区が全体の6割に当たる188に及んでいることが分かりました。「死票」が最も多かった長野3区は72.23%。民意を切り捨てる小選挙区制の害悪は明らかです。
 小選挙区制は、各選挙区で最大得票の候補者1人しか当選できないため、それ以外の候補者の得票は「死票」になってしまいます。
 衆院東京1区は前回09年総選挙で共産、自民、民主、無所属、諸派の9人が争い、最大得票は民主の約14万票で「死票」率は52.6%でしたが、昨年の総選挙は70.69%にはねあがりました。共産、自民、民主、維新、みんな、未来、無所属、諸派の9人と候補者数は前回と同じでも、自民党の最大得票約8万2000票に対し、共産党を含め5候補が約2万〜8万票台をそれぞれ獲得したからです。東京の25選挙区中19選挙区で「死票」率が50%以上となっています。
 多様な民意を切り捨てる小選挙区制は、“4割の得票で8割の議席”という民意をゆがめる制度となっていることは明らかです。
 佐々木議員は、「今必要なのは、民意を正確に反映させる制度に直すべきだ」と主張しました。

 総務省が提出した2012年総選挙における、300小選挙区の死票率の一覧は、以下のリンクからダウンロードできます。



 佐々木議員の質問で、1996年総選挙と昨年総選挙を比べると投票所が4000か所も減っていることが、総務省の答弁で明らかになりました。96年衆院選では53,214か所だった投票所は、12年衆院選では49,214か所へ減少しています。
 さらに、閉鎖時間の繰り上げをおこなっている投票所数は、96年の衆院選の3,011か所(5.66%)から12年衆院選の16,483か所(33.49%)へ、全体の3分の1に達していることが、総務省の答弁で明らかになりました。
 98年からは投票環境の向上のために投票時間が2時間延長されたにもかかわらず、閉鎖時間を繰り上げている投票所が激増しています。
 佐々木議員は、「投票所数や投票時間が、自治体によってバラバラに行われているようでは、全国一律で行われる国政選挙が、投票の機会の公平が確保されていると言えない」と批判。
 新藤義孝総務大臣は「国の負担が過大になることを回避し、選挙事務の効率的執行を促す」「投票し寛が早朝から昼に集中している」と合理化しました。
 佐々木議員は、今回の法改定で投票所経費を大幅に減らすことになれば、投票所の減少や投票時間の短縮の傾向に、さらに拍車をかけると指摘しました。
 参考人として出席した神宮司正巳・都道府県選挙管理委員会連合会事務局長は「経費の節減が選挙の公平性、公正性に影響を及ぼすことがあってはならない」と強調。秋野諭・全国市区選挙管理委員会連合会事務局長も、人的、設備的な経費を担保するような法律見直しを求めました。
 佐々木議員は、選挙の執行現場では、これ以上削れないところまで経費を削減している実態を示し、「現場の状況に耳を傾けて、適切な対応をしていくべきだ」と主張。
 新藤大臣は「実態を把握した上で、できるかぎり実効性のある制度にしていくべきだし、今後もその努力は続けて行きたい」と述べました。
 また、今回の法改定による新基準は、参院選の経費が32都道府県で不足が出ることも明らかになりました。
 佐々木議員は、「選挙執行経費の大幅な削減は、民主主義の根幹である選挙の公平性・公正性を損なう」と批判しました。

 この日の委員会で、国政選挙執行経費法改悪案は、与党の自民・公明の他、民主、維新、みんなの賛成多数で可決。日本共産党と生活は反対しました。反対討論には、赤嶺政賢議員が立ちました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、総務大臣に基本的な姿勢を確認したいと思います。
 日本国憲法では、主権が国民に存すると宣言し、主権者国民を代表しているのが国会議員であります。国民の代表で構成する議会は、政府をチェックし、暴走を抑える、これが最大の役割だと思っております。したがって、国民の代表である議員を選ぶ選挙制度というのは、議会制民主主義の土台であります。それは、民意をいかに正確に反映させるか、この点が大事だと思いますけれども、大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
○新藤総務大臣 議会と議員の役割、これをしっかりと規定して、その中で憲法が、我が国は議院内閣制を採用しているということであります。その議院内閣制の要素、これは一般的には、議会と政府が一応分離していること、政府が議会に対して政治責任を負うことが挙げられる、また、権力の均衡の要素を重視して、内閣が議会の解散権を有することを加えることもあるところ、このように憲法の解説の書籍には出ておるわけであります。
 国民の代表者たる議員と議会がしっかり権能を果たすために、それは、選挙によってその者が選ばれるということだと思います。
○佐々木(憲)委員 国民の声が正確に議会に反映されるということが大切だと思うんです。
 そこで、昨年末の総選挙の結果についてお聞きしたいんですが、昨年12月の総選挙で、小選挙区において第一党となりました自民党の得票率と当選人数の割合をお聞かせいただきたい。
○米田政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) お答えいたします。
 昨年の衆議院議員総選挙におきまして、小選挙区の自由民主党の得票率ですけれども、43・01%、そして、300の定数に占める当選者の割合は79・00%となっております。
○佐々木(憲)委員 今の数字でも明らかなように、4割台の得票でありますが、議席では8割というわけで、得票率と議席占有率がいかに乖離しているかということを示していると思うんです。民意を議会に正確に反映していないということは明らかだと思います。
 では、当選者の得票数とそれ以外の候補者の得票数、すなわち死に票でありますが、その割合をお聞きしたいと思うんです。死に票率が50%を超えている選挙区、60%を超えている選挙区、70%を超えている選挙区、これはどれだけありますか。
○米田政府参考人 これも、昨年の衆議院総選挙における結果を申し上げます。
 まず、小選挙区の得票総数のうち、当選者の得票数の割合は46・94%、したがいまして、それ以外の得票数の割合は53・0%となっております。
 お尋ねのありました、300の選挙区のうち、当選人以外の候補者の得票数が当該選挙区の得票総数の50%以上を占める選挙区数は188、60%以上の選挙区数は76、70%以上になっておりますのは二つの選挙区でございます。
○佐々木(憲)委員 今の数字を聞きましても、死に票が過半数を超えているというようなことは、投票した過半数の国民の声を反映していないということです。
 民意を反映しないという政治がやはり政治不信の原因になっている、声が届かないんじゃないかというふうに思うんですが、大臣はどう思いますか。
○新藤総務大臣 現行の衆議院の選挙制度、これは平成6年に設けられたということであります。そして、委員も私も、この最初の新しい制度によって国会に出てきたわけであります。
 衆議院の今の制度は、民意を集約する小選挙区制度、それから民意を反映する比例代表選挙、この二つを組み合わせた小選挙区比例代表並立制となっているわけでありまして、この制度による結果が議席にあらわれたということでありまして、それが直接的な政治不信の理由につながるとは私どもは考えておりません。
○佐々木(憲)委員 集約といいますけれども、多数が切り捨てられるというようなことになりますと、民意が反映できないという事態になってくると思うんです。
 最近、定数削減の話も出ているようですけれども、議員の定数でいえば、日本の国会議員の数は、国際的に見て何か特別多いというわけではないんですね。今必要なのは、民意を正確に反映できない制度をどう直すかという、そのことではないかというふうに思っております。これが喫緊の課題だと思うんですね。
 さて、次に、法案に関連して、選挙経費、執行経費についてお聞きしたいと思います。
 この目的は、有権者が投票しやすい環境を整えるということだと思いますが、いかがでしょうか。
○新藤総務大臣 有権者が投票しやすい仕組みにすること、これは当然のことだというふうに思っております。
 それにあわせて、今回のこの執行経費基準法、これにつきましては、国会議員の選挙等の執行に関する事務は地方公共団体に委託をして行われるものであり、そのための経費は国が負担することになっているわけであります。この基準法は、法的基礎の上に立った必要経費の基準を設けて、国が負担する経費の程度をあらかじめ定めておく、そして、それは地方公共団体が支出できる経費を予測できるようにすること、もう一つは、国の負担が過大になることを回避して、選挙事務の効率的な執行を促すこと、これを目的としておるわけであります。
 今回、法律上のそれぞれの基準額には地方公共団体の標準的な選挙の執行実績を反映する、これを基本にしておりますが、あわせて、特に効率的な事務に取り組んでいる先進的な団体の事例も踏まえて、このような反映とさせていただいているわけであります。
○佐々木(憲)委員 その水準が適正かどうかというのを審議しなけりゃならぬと思います。
 そこで、具体的な数字を確認したいと思いますが、投票所の数、これは96年、12年、それぞれ幾らであったか示していただきたい。
○米田政府参考人 全国の投票所の数でございますが、1996年、平成8年の衆議院議員総選挙の場合には5万3214カ所、一方で、2012年、平成24年の衆議院議員の総選挙では4万9214カ所ということになっておりまして、この間、投票所は4千カ所、約7・5%減少しているという結果でございます。
○佐々木(憲)委員 この投票所の数自体が4千カ所減っている。これは、市町村合併が進められてきたということもあって、非常に数が激減しているわけです。配付した資料の後ろの方に新聞記事を載せてありますが、この記事を見ても、ここには、「遠のく投票所」「投票所減り、不便に」などの見出しが出ているわけです。後で見ていただきたいと思います。
 閉鎖時間の繰り上げを行っている投票所、これはどうなっているでしょうか。96年、12年、それぞれ投票所の数と、それが全投票所に占める割合を示していただきたいと思います。
○米田政府参考人 まず1996年の衆議院議員総選挙の場合でありますが、投票所の総数は5万3214カ所ございました。そのうち閉鎖時刻の繰り上げを行いました投票所の数は2800カ所、その割合は全投票所の5・3%でございました。この1996年は、ちなみに、閉じる時間は午後6時が原則というふうにされておったわけであります。
 一方、お尋ねの2012年、昨年の総選挙におきましては、投票所の総数が4万9214カ所に対しまして、閉鎖時刻の繰り上げを行った投票所の数は1万6388カ所であります。その割合は全投票所の33・3%でございました。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 時間を繰り上げるということになりますと、その時間を超えて投票したいという人が投票できないわけです。したがって、これは大変大事な点だと思うんですが、閉鎖時間を繰り上げしている、そういう比率が、96年には5・3%だったのが、昨年は33・3%、三分の一が時間を繰り上げる、早めているということです。
 これは配付資料にありますが、96年以降の衆議院の閉鎖時間を繰り上げた投票所数の推移をそこに示しておりますけれども、急激に、繰り上げをしている投票所がふえている。98年からは投票環境の向上のために投票時間が2時間延長されたにもかかわらず、閉鎖時間を繰り上げている投票所が激増しております。
 大臣にも聞きますけれども、何でこんなに投票時間の短縮が行われているんでしょうか。
○新藤総務大臣 これは、市町村からの御報告をいただいております。
 そういう中で、投票所の閉鎖時刻を繰り上げた理由は、まず、地域住民の生活パターンから、早朝から昼にかけて投票が集中しているということ、そして、高齢者が多く、夕方から夜間にかけての投票に危険が伴う、こういう理由、さらには、道路事情や公共交通機関の状況などにより、夕方から夜間にかけての交通事情が悪い、こういったことが挙げられております。
 その背景としては、高齢化や過疎化による人口減少、こういった影響もあるのではないかというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 それは余り理由にならないと思いますよ。
 つまり、全ての国民一人一人に投票を保障しなきゃだめなんですよ。何か、高齢化が進んだからしようがないという話ではありません。
 国政選挙というのは、全国一律で、同じ条件のもとで投票がされなきゃならぬ。ところが、投票所の数や投票時間が自治体によってばらばらになっている。これでは、投票の機会の公平が確保されていると言えないというふうに私は思います。
 この点について、これが平等だという認識でしょうか。
○新藤総務大臣 まず、投票所の閉鎖時刻の繰り上げは、公選法ただし書きによりまして、投票人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り行うことができる、このようになっているわけであります。
 そして、実際には、この運用に当たっては、地域の実情を精査して、十分に検討を行った上で、厳正な対応をするように各選挙管理委員会に要請をしているところであります。
 それぞれの地域の事情に応じて、各選挙管理委員会がこのような判断をなされた。それは、特別の事情がある、地元の選管の方でこのような御判断が行われたものだ、このように思っております。
○佐々木(憲)委員 特別な事情といっても、三分の一もこういう現象があらわれているというのは異様だと思いますよ。
 それで、今回の改定で投票所の経費を減らすということになりますと、投票所の減少、投票時間の短縮、こういう傾向にさらに拍車がかかるんじゃないか、そういう危惧を覚えます。実際に、総務省が大幅削減の法案を提出していることを見越して、12年の総選挙では、これ以上削れないところまで削り、国の方針に備えてきたという声も出ているわけです。
 そこで、開票所について聞きたいと思います。
 96年総選挙と10年参議院選挙、その開票所の数はどのようになっていますか。
○米田政府参考人 全国の開票所の数でございますが、1996年、平成8年の衆議院議員総選挙におきましては3421カ所、2010年、平成22年の参議院議員通常選挙におきます開票所数は1913カ所ということになっております。
 この間、市町村合併の進展等を背景といたしまして開票所が減少しているというふうに見ております。
○佐々木(憲)委員 開票所も結構激減をしているわけでありまして、開票所の統廃合のため、投票所から開票所まで遠くなって、それを理由に投票時間を今度は短縮する、こういうところも多いというふうに聞いております。こういうことは、やはりあってはならないと思いますね。
 2004年以降、開票時間の基準はどう変化しているでしょうか。
○米田政府参考人 御質問は、執行経費基準法における開票時間の積算ということだと思いますが、この積算根拠といたしております開票の事務従事時間、これは準備、撤去を含む時間でございますが、2004年の参議院選挙におきましては6・5時間、2005年衆議院選挙は6時間、その後、2007年に執行経費の基準法が改正をされましたので、2007年の参議院選挙、それから2009年の衆議院選挙、参議院と衆議院で同じ時間数になったわけでございますが、それぞれ5時間ということになっております。
○佐々木(憲)委員 6・5時間だったのが6時間になり、5時間になり、今度の改定の基準は3時間ですね。違いますか。違うなら数字を言ってください。
○米田政府参考人 先ほど申し上げましたように、開票事務の従事時間につきましては、準備、撤去を含んでいるところでございまして、これを入れますと、今回の改正法案では、4時間ということに改正の予定をしております。
○佐々木(憲)委員 だんだん短くなっているじゃないですか。3時間とか4時間とかというような状況で、開票所数も減らされ、そしてまた、基準も減らされていく。非常にきつくなってきているわけですね。
 それで、数を見ましても、開票時間の基準を短縮することが、やはり実際には、実態に合っていないのではないかというふうに思うんです。確かに、迅速に行うとか効率的にやるというのは求められることだと思います。しかし、コスト削減ということを最大の目的に掲げながら選管をあおっていくというのは、私はいかがなものかというふうに思うんです。
 開票作業というのは、正確さというのがまず第一、これは何よりも優先されなければなりません。それなくして、民主主義の根幹である選挙の公正、信頼性は確保できないと思うんですね。
 この点で、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○新藤総務大臣 御指摘のとおりだ、このように思います。ですから、開票作業の正確性、これは根幹です。加えて、全般にわたって遺漏のないように万全を期すことが極めて重要だ、このように思います。
 その意味から申し上げましても、今回の改正法案は、削減ありき、無理に経費を削減しようというのではなくて、事務の効率性を高めつつ、実績を踏まえ、その上で、いろいろな工夫をしている自治体がございます、そういったものも加味しながら、選挙のたびごとに工夫がなされていった、その実態が反映されたものである、このように私は承知をしております。
 ですから、このことによって開票の正確性が損なわれることはない、このように考えております。
○佐々木(憲)委員 本当に実態を反映したものなのかどうか。
 これについては、2010年の参議院選挙にかかった執行経費と今回の改正案によります算定額、この二つを比べていただいて、算定額を上回るのはどれだけの都道府県、何%になるか、これを示していただきたい。
○米田政府参考人 2010年の参議院議員の通常選挙において、改正法案によりまして算定された基準額がその実績額を下回る都道府県は、私どもの算定では32団体であったというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 実際にかかった2010年の執行経費と比べて今回の算定額が下回ってしまう、これは、実際に不足が出るということになるわけですね。今、32都道府県で不足が出るということは、68・1%が、7割ぐらいですよ、今回の基準によって、この前の参議院選挙と比較しますと不足するということなんですね。これは、非常に大きなしわ寄せを執行する側に押しつけることになるんじゃないでしょうか。どうでしょうか、この点は。
○米田政府参考人 前回の2010年におきましては、まだこの改正の法案が通っていない段階での執行でございました。そういう意味では、私ども、今回の改正法案におきましては、事務の効率的な執行を行っている選挙管理委員会、これの実態を踏まえれば、今回の改正法案におきましても正確な開票作業等々は十分可能なものというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 これまでの経過を我々振り返ってみますと、前回、それから前々回の執行経費の法案の改正のときに、前々回については、それまでの選挙の経費、これが不用額がありまして、国庫に返納した、こういうことがありました。したがって、我々は、それは実態に合わせるということで、減らすのは賛成をいたしました。
 その後、かなり大幅に削減する案が出てきた。その案に対しては、これはちょっとやり過ぎじゃないかと。現場の実態などを見ますと、かなりしわ寄せが行くというふうに思っております。実際に、非正規の方々をふやしてこういう公的な、非常に大事な選挙という仕事をさせるとか、そういうふうにせざるを得ない事態になってきている、これは問題があるんじゃないか。したがって、前回の改定に我々は反対をしたわけです。
 今回も、それに比べて、若干緩和した要素もありますけれども、ほとんど変わらないわけですね。そういうことを考えますと、これはやはり絞り過ぎじゃないか、現場の執行に余りしわ寄せをしてはならないというふうに私は考えるわけです。
 そこで、きょうは、わざわざ都道府県選挙管理委員会連合会事務局長の神宮司さんと、それから全国市区選挙管理委員会連合会の事務局長の秋野さんに来ていただきました。大変お忙しい中、時間を割いていただきまして、本当にありがとうございます。
 特に、国から委託を受けて選挙を執行している選挙管理委員会は大変な苦労をされているとお聞きします。執行経費のあり方に関連して、連合会としてのそれぞれの御要望を率直にお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○神宮司参考人(都道府県選挙管理委員会連合会事務局長) それでは、お答えいたします。
 私どもの都道府県選挙管理委員会連合会は、全国の47都道府県で組織する団体でございます。
 それで、今回の御質問の内容についてお答えいたします。
 私どもは、経費の削減というのはやむを得ない部分もあると思いますが、見直しに当たりましては、地域の選挙執行の実情に即した見直しをお願いしたいと考えております。例えば、基準法上の期日前投票所における人員配置が実態にそぐわない面もございます。
 今回の見直しは、投開票所における人件費の部分への影響が大きいと考えております。このため、市区町村選挙管理委員会がさまざまな工夫をする中で、例えば、投票所の職員をアルバイトへの切りかえや委託化、開票のスピードアップによる超過勤務手当の削減などで対応するよう要請していきたいと考えておりますが、しかしながら、市区町村選挙管理委員会の努力だけでは限度がありますので、見直しに当たりましては、地域の実情に即した、きめ細かい配慮をお願いしたいと考えております。
 いずれにいたしましても、経費の節減が選挙の公平性や公正性に影響を及ぼすことはあってはならないことですので、都道府県選挙管理委員会連合会といたしましては、選挙の円滑な管理執行につきまして、市区町村選挙管理委員会と十分協議してまいりたいと考えております。
○秋野参考人(全国市区選挙管理委員会連合会事務局長) 全国市区選挙管理委員会連合会の秋野といいます。
 全国の市と区で構成する団体でございますが、私どもから毎年のように連合会として御要望をお願いしているところでございます。いつもありがとうございます。
 今回の改正に当たりましては、今、都道府県連合会の事務局長がおっしゃったように、現場の方の意見としては、やはり投票、開票事務を責任を持ってやらなきゃいけないという実態を思いながら、最終的には法律の中で全て項目を載せていただきたい。つまり、昭和25年以降の法律の改正の中で運用されてきておりますので、そこのところについては、ぜひ、現場の中で使われているものであるとか、あるいは最近のOA化であるとか、人員削減のかわりとしてのOA化であるとかそういう経費、そういうものも全て項目の中に載せていただきたいというのが最終的なお願いでございます。
 実態としては、今、神宮司事務局長がおっしゃったように、私どもも精いっぱい、合理化を含めまして、経費の削減については努力をしているところでございますが、なかなか、高齢化というか、そういうことで人件費も非常にかかってございます。また、逆に、派遣法の改悪と言ったらいけないんでしょうが、改正等によって、職員のかわりになる人の集め方も非常に難しくなってきております。そういうことから、現場の方は人的な不利益を非常に考慮しながら運営をしているというのが現状でございます。
 そういうことも加味して、ぜひ、投票所あるいは開票所における事務の運営については、そういう人的な部分が非常に大きいものですから、あるいはそれを補う機械化というものも非常に大きいものですから、そういうところの経費を少なくても基準法の中に組み入れるような形でお願いできれば非常にありがたいと思っております。
 本日はありがとうございました。
○佐々木(憲)委員 大変ありがとうございました。
 最後に、大臣、こういう執行現場の実情に合わせた見直しというのは大変大事だと思うんです。その現場の状況に耳を傾けて、今後とも適切な対応をしていくべきだと思いますが、決意をお伺いしたいと思います。
○新藤総務大臣 それはもとより、私ども、そういった実態を把握した上で、できる限りこれは実効性のある制度にしていくべきだ、このように思っておりますし、今後もその努力は続けてまいりたい、このように思います。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる