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金権・腐敗政治, その他 (選挙制度, 政党助成金)

2010年05月21日 第174回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【571】 - 質問

倫選特でコスト削減ありきの投開票所経費削減を厳しく批判

 2010年5月21日、佐々木憲昭議員は、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、国政選挙の執行経費基準法の改定に関して、コスト削減ありきで国政選挙投開票所経費の大幅削減を迫っていることを厳しく批判しました。
 原口一博総務大臣は「開票は遺漏ないようにしたい。コスト追求ありきではいけない」としつつ、「無駄の見直しは必要でご理解いただきたい」と答えました。

 この法律は、国政選挙の施行に必要な地方公共団体への委託費の基準を定めています。今回の改定では、投票所と開票所の経費を大幅に減らし、全体で約80億円を削減しようとしています。民主党政権が行う「事業仕分け」での評価を反映させたものです。
 佐々木議員は、「『事業仕分け』の議論で、『経費削減のためには、投開票時間を削減すべきだ』という乱暴で本末転倒な意見まであった。コスト削減を強調しすぎるとマイナスの方が大きい。削るなら政党助成金の廃止だ。各党の毎年の積み残しを返納させるべきだ」と強調しました。
 原口大臣は、「政党助成金について残ったものをどうするかは省内で検討してみたい」と答弁しました。
 佐々木議員は「投票所・開票所経費の大幅削減は、民主主義の根幹である選挙の公正性・公平性が担保できるのか不安を覚える」と指摘しました。

 さらに、2009年の総選挙で全国の投票所のうち約3割が投票所時間の短縮を行っていたことが、佐々木議員の質問で明らかになりました。
 投票所数が減り、1998年参院選と比べ09年総選挙では2,439か所も少なくなったことも明らかになりました。
 遠のく1票に、佐々木議員は「民主主義の根幹である選挙の公正・公平を損ないかねない」と指摘しました。
 98年から投票時間は、環境向上のために2時間延長されました。時間の繰り上げなどは、公職選挙法(40条1項)の規定で、投票に支障を期さないと認められる特別の事情がある場合に限り行うことができます。
 田口尚文・総務省自治行政局選挙部長は、98年参院選の際、投票時間の変更を行ったのは全国で2,966か所(全投票所の5.6%)、09年総選挙では15,414か所(全投票所の30.2%)であると答弁。
 投票時間の変更の理由は、(1)地域住民の生活パターンが早朝から昼にかけて集中している (2)高齢者が多く夕方から夜間にかけての投票に危険が伴う (3)道路事情や公共交通機関の状況等により夕方から夜間にかけての交通事情が悪いことを上げました。
 佐々木議員は「(理由が)当てはまならない方もたくさんいる。そういう方の投票時間を奪うことになり、有権者が投票しやすい環境を整え国民の権利を保障することに逆行する」と指摘。今回の経費の大幅削減によってさらに拍車がかかるのではないかという危惧を表明しました。
 原口大臣は、投票時間の変更について「同じ問題意識をもっている。繰り上げについて厳正な対応をするように各選挙管理委員会に要請をしている」と答弁。
 佐々木議員が「本来、全国一律で行われるべき国政選挙で自治体によって投票時間がバラバラであることは、投票の機会の公平が確保されていると言えるのか」と批判。原口大臣は「地域でこれだけ差があるというのは厳正な対応を本当にしているのか。あらぬ疑いをかけられることがあってはならない」との認識を示しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 初めに、この委員会が与野党の合意ないまま委員長の職権で立てられたことに強く抗議をしたいと思います。私たちは、民主党小沢幹事長を初め、証人喚問を引き続き強く求めていきたいと思います。
 提案されている法案についてですが、国会議員選挙の執行経費の基準を約81億円、15%削減、こういう内容で、中でも、投票所の経費、開票所の経費、これは2割から3割、かなり大幅に削減するという形になっております。
 総務大臣に最初に確認をしたいのですが、国政選挙というのは公平公正なものでなければなりませんし、有権者が投票しやすい環境を整える、これが選挙の執行経費の目的だと思いますが、いかがでしょうか。
○原口総務大臣 佐々木委員にお答えいたします。
 全くそのとおりだと思います。
○佐々木(憲)委員 具体的な事実を確認しますが、投票所の数、98年の参議院選挙のときと昨年の総選挙のときの投票所の数について、何カ所減ったのか、何%減ったのか、これをお答えいただきたい。
○田口政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) お答えいたします。
 全国の投票所につきまして、1998年、平成10年の参議院通常選挙と2009年、平成21年の衆議院総選挙におきます投票所数を比較いたしますと、平成10年の参院選につきましては5万3417カ所、平成21年の衆院選につきましては5万978カ所。投票所の減少数といたしますとマイナス2439カ所、率にしましてマイナス4・6%となっているところでございます。
○佐々木(憲)委員 大変な減り方なんです。市町村合併が進められて以降、投票所の数はどんどん減っているわけですね。投票所が近くにあったのが、遠いところに行かないと投票できない。しかも、98年からは投票時間が2時間延長されているんです。ところが、その中で、閉鎖時間を繰り上げて早目に閉めてしまう、こういうところがふえておりまして、投票所に行っても、もう閉まって投票できないという例が起こっております。
 事実確認ですが、98年の参議院選挙のときと2009年の総選挙のときに、それぞれ、投票時間の変更を行っている投票所の数、それが全投票所に占める割合、これはどうなっていますでしょうか。
○田口政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) お答えいたします。
 1998年、平成10年参院選におきましては、投票所の総数が5万3417カ所でございまして、開閉時刻の繰り上げまたは繰り下げを行った投票所の数は、このうち2966カ所でございます。その割合は全投票所の5・6%でございました。
 一方、2009年、平成21年の衆院選におきましては、投票所の総数は5万978カ所、これに対しまして、開閉時刻の繰り上げまたは繰り下げを行った投票所の数は1万5415カ所でございまして、その割合は全投票所の30・2%でございました。
○佐々木(憲)委員 これは、投票所の閉鎖時間を早目にしてしまったり、あるいは始まりを遅くしたり、そういう形で、投票する時間を奪ってしまうという形になるわけですね。それが、98年は5%程度だった、今は30%を超えているんですよ。
 こうなりますと、この配付資料を見ていただきたいんですが、これは都道府県別のものですけれども、全国平均で30・2%ですが、都道府県によっては非常に高い比率のところもあるわけです。こういう状況ですと、これは非常に問題だと私は思うんですが、大臣、なぜこんなに投票時間の短縮というものが行われてしまうのか、理由はどうなっているんでしょうか。
○原口総務大臣 投票所閉鎖時刻の繰り上げ等は、公職選挙法第40条第一項ただし書きの規定により、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り、行うことができるとされているところでございます。
 市町村からの報告によれば、大体、次の繰り上げ理由を言っています。
 地域住民の生活パターンが早朝から昼にかけて投票が集中している、あるいは高齢者が多く、夕方から夜間にかけての投票に危険が伴う、あるいは道路事情や公共交通機関の状況などにより、夕方から夜間にかけての交通事情が悪いなどという理由が挙げられているところでございます。
○佐々木(憲)委員 そういう理由は挙がっていても、住んでいる方にとってはそれに当てはまらない方もたくさんいらっしゃるわけでありまして、そういう方々の投票時間を奪うという形になるわけです。これでは、先ほど大臣がおっしゃったように、有権者が投票しやすい環境を整えるというのが国民の権利を保障するものだと思うので、総務省、それに逆行するんじゃないかと私は感じております。
 しかも、投票所の数、投票時間、これは自治体によってばらばらなんです。これは、全国一律で、国政選挙ですから、皆同じ条件のもとで投票するというのが本来のものでなければならない。こういう、時間も短くなり、またばらばらになるというのでは、本来の全国一律の公平な権利というものが確保できなくなるという面があるのではないか。この点で大臣の感想をお聞かせいただきたいと思います。
○原口総務大臣 佐々木委員とは、かつて外務省の機密費で共同してやりました。だからというわけではございませんけれども、同じ問題意識を私も持って、この職になってすぐ、この繰り上げ投票について厳正な対応をするように各選挙管理委員会に要請をすべきだということで、これは実際に要請をしているところでございます。
 また、今委員がおっしゃるように、本来、全国一律で行われるべき国政選挙において地域によってこれほど差があるということは、私は、厳正な対応を本当にしているのかどうか。場合によっては、例えばチャレンジャーが出てくる市長選挙とかそういったもので、そうすると、投票時間が長ければ長いほどチャレンジャーの方に有利になって、現職がそのために短くしているんじゃないか、こういうあらぬ疑いをかけられるようなことがあってはならないので、今委員がおっしゃった問題意識のもとで指示をしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 今回の法案で提案されております投票所経費を大幅に減らすということが、そのことにどういう影響を与えるかという点を考えますと、私は非常に危惧を抱いております。逆行するというふうに思っております。
 もう一つ確認ですが、今度は開票です。開票所の数字ですけれども、98年、それから09年、それぞれの数を教えていただきたいと思います。
○田口政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) お答え申し上げます。
 全国の開票所の数につきまして、1998年、平成10年の参議院通常選挙と2009年、平成21年の衆議院の総選挙におきます開票所の数を比較いたしますと、平成10年の参議院選挙におきましては3400カ所、平成21年の衆議院総選挙におきましては2053カ所となってございます。
○佐々木(憲)委員 マイナス1347カ所で、40%減っているんですよ、開票所が。これは、市町村合併の影響もあるというんですけれども、開票所の統廃合。それで、投票所から開票所まで運ばなきゃいけませんから、遠くなりますから、そのために投票時間を短くして、早く運んでいこう、こういう影響が出ているんです。
 2004年以降、開票時間の基準、これはどう変化しているか、お答えいただきたいと思います。
○田口政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) お答え申し上げます。
 御質問ございました選挙の執行時におきます基準法におきまして、積算根拠といたしております準備、撤去を含みます開票事務従事時間につきましては、2004年、平成16年の参院選におきましては6・5時間、2005年、平成17年の衆院選におきましては6時間、その後、平成19年の改正を経まして、2007年、平成19年の参院選及び2009年、平成21年の衆院選におきましては5時間とされていたところでございます。
 今回の改正法案におきましては、準備、撤去を含みます開票事務従事時間につきましては4時間に改正をしようとするものでございます。
○佐々木(憲)委員 これはどんどん短くなっているんです、基準が。6・5時間から今回4時間という、これは実態に即しているのかなと。私は、こういう状況というのは、無理にやっているのではないか、4時間というようなところに短縮するということになりますと、かなり無理が出てくる可能性があると思っております。
 それから、自治体によって、超過負担が生じるという場合もありますね。超過負担が生じた場合には調整するということはできるんでしょうか、大臣。
○原口総務大臣 お答えいたします。
 基準法第18条第2項に基づき、避けることのできない事故その他特別の事情により、基準額のみでは選挙等を執行することができない団体に対しては、予算の範囲内で追加交付することができることとされておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 その予算が減らされていくということになっていくわけです。
 開票を迅速に行うというのは、私はこれは当然のことだと思うんですね。合理的な方法をまた広めるということも必要であると思います。しかし、コスト削減ありきというようなことで、そういうものを目標にして、何時間だ、今度は何時間だという形でしりをたたいてあおるというやり方はいかがなものかと思います。
 やはり開票作業というのは、正確にやるというのが大事なんですよ。民主主義の根幹ですからね。選挙の公平公正、これは損なわないようにするというのが大事であって、コスト削減があればいいというものではないと思います。その点での大臣の見解を聞きたいと思います。
○原口総務大臣 お答えいたします。
 開票作業は、正確性はもとより、選挙の管理執行については、その全般にわたって遺漏のないよう万全を期すことが極めて重要だというふうに考えています。やはり信頼性ということが大事で、コストの追求ありきのことは、委員がおっしゃるように、いけないと思います。
 ただ、先ほども、例えばODAのとき一緒に調査しましたけれども、それまではODAというのはやはりアンタッチャブルというか、手をかけちゃいけないことでした。だけれども、選挙費用といえども、一人時給1万幾らですよ、2万近い時給をもらってオンラインを管理している人がいたり、やはり不断な見直しというのはこれも必要なので、御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 無駄な部分についてはメスを入れるのは当然だと私は思います。ただ、時給が1万1800円ですか、何かそれは、ごく一部の例だと私は思いますよ。実態をいろいろ聞いてみますと、なかなかそんな、みんなそういう状況ではありません。しかも、職員は非常に短い時間の中で圧縮して作業させられるというようなこともあり、また、いろいろな形で外注をするというような状況にもなっている、こういうことですので、これは、ただ何か特殊な例をあおるのではなく、実態を正確に調査した上で、本当に経費削減がこんなにやっていいものかどうか、それから正確さを損なわないかどうか、こういう点をぜひ調査していただきたいというふうに思います。
 今回のこれだけの大幅な削減というのは、なぜこうなったかというと、事業仕分けの評価の結果なんですよ。このときの議論は、経費削減には投開票の時間をもっと削減すべきだ、経費削減のために時間を短くせよと。これを先行させるという議論が、かなり乱暴な、本末転倒な議論だと私は思うんですけれども、こういうものが非常に多かったんです。
 同じ総務省予算でも、私は、もっと別な場所にいろいろな事業仕分けの対象にすべきものがあるのではないか。何もこんな投票の公平性を求めるような部分に切り込んでいく、無駄があれば当然やるべきだとは思いますけれども、こういう、コスト削減ありきとか時間を短縮すればいいとかというようなことを余り強調し過ぎると、マイナスの方が大きくなると私は思っております。
 例えば総務省予算でいうと、政党助成金、これは320億円ですよ。この政党助成金は事業仕分けの対象には全然なっていない。我々、政党助成金は廃止すべきだと思っています。もらっておりません。企業・団体献金も廃止すべきだ、すべて個人献金に基づくべきだ、そういうふうに思っております。
 例えば、政党助成金を減額するというようなこともあり得ると思います。なぜかといいますと、使い残して毎年50億とか100億円という、これを積み残しているという実態があるんです。以前にも私は前の総務大臣に質問しました。こういうものについては、そういうものを国庫に返納することを命ずることができるのは大臣の権限なんです、法律上。そういうこともしっかり検討して、これは残ったら国に返還する、そういう姿勢をぜひ示していただきたいと思います。
○原口総務大臣 お答えいたします。
 今回、選挙経費だけを削減したわけではなくて、2月に、使い切りを許さないという指示をいたしました。総務省予算だけで、年度末になったら予算を全部使い切るといったことではなくて、逆に、不断不休の削減努力をして余してください、そして余したものについては、それを全額また財務省等に召し上げて、次の予算が減るというようなそういう悪循環をしないということで、ことし私たちは1千億、総務省だけで予算の削減ということができたわけです。使い切り予算だけです。
 今おっしゃる政党助成金については、これは民主主義の基盤にかかわることでございますから、各党各会派で御議論いただくということが基本だと思いますが、今委員がおっしゃったような残ったもの、このことについてどうするか、省内で検討してみたいと思います。
○佐々木(憲)委員 今回の法案で、投票所の経費、開票所の経費、かなりこれは2割、3割の削減になっておりまして、これは選挙の公平性、公正性を担保できるのかなという不安を私は覚えるわけです。したがって、今回のやり過ぎの削減には我々反対であります。前回は、不用額というのがありまして、実態に合わせるという法案の改正がありました。そのときは我々は賛成しました。ところが、今回はそこからさらに削減する、これはマイナスの影響が大きいというふうに判断をいたしました。
 ほかにもいろいろ議論しなきゃならぬ課題がたくさんございます。したがいまして、きょうこの法案を直ちに採決などという声が与党から上がっておりますが、絶対に採決をせず、引き続きこれは質疑を続けるべきだということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

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