金融(銀行・保険・証券), 金権・腐敗政治 (保険会社の不払い)
2007年05月23日 第166回 通常国会 予算委員会≪政治資金問題集中審議≫ 【397】 - 質問
自民党が保険金不払いの生保・損保から多額の献金
2007年5月23日、予算委員会で政治資金などについて集中審議が開かれ、佐々木憲昭議員は、保険会社の自民党への政治献金にいて質問しました。この質疑は、NHKで放映されました。
佐々木議員は、生命保険・損害保険各社による保険金の不払いが発覚するなかで、自民党が生保・損保20社から献金をうけていたことを明らかにしました。
金融庁から業務停止命令などの行政処分を受けながら、2005年に自民党に献金していた13社の総額は4163万円で、その年の保険会社からの献金総額の半分近くをしめています。
保険会社から国民政治協会をつうじた自民党への献金額は、02年が8607万円、03年が8783万円、04年が9500万円、05年が9917万円と、毎年増えているのが特徴です。
この4年間だけで、総額は3億6807万円にも達しています。
5月18日の財務金融委員会で佐々木議員の質問に答え、生保協会会長の会社である第一生命は、06年の自民党への献金が993万円、損保協会会長の会社である東京海上日動火災も06年の自民党への献金が1764万円であることが明らかとなっています。
その一方で、保険金不払い・支払い漏れは、4月13日時点で生保が約431億円(44万1488件)、損保が204億円(32万5760件)にのぼっています。
安倍総理は、昨年末に「主要銀行から自民党が政治献金を受け取ることは国民の理解をえることができない」と発言しています。
佐々木議員は、不払い・支払い漏れという反社会的問題をおこしている保険会社から多額の献金をうけることは「国民の理解」を得られないのではないかと、追及しました。
これにたいして安倍総理は、悪びれることもなく「企業は社会的存在として献金している。政治活動の自由が保障されている」と答弁しました。
佐々木議員は、国民生活センターに寄せられた、払うべき入院見舞金の支払い拒否するなど、保険金不払いの相談・苦情の実態もつきつけ、「自民党が保険金不払いをおこしている保険会社からの献金を受け取るとは国民のだれもが納得できない」と迫りました。
また、国民には負担を増やしているのに、国民1人当たり250円を毎年、強制的に献金させ、総額300億円以上を自民、公明、民主などが山分けしている政党助成金の問題点を指摘。
営利を目的とする企業が、勝手に会社の財産を特定政党に献金すれば、それは、ほんらい目的外の行為であって株主の利益を侵害する背任行為となります。
他方、企業が利益追求のために献金し、その“見返り”を求めれば、それはワイロそのものになります。
佐々木議員は、企業・団体献金の禁止と、政党助成金の廃止を強く求めました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
私は、企業・団体献金についてただしたいと思います。
まず総理にお聞きしますけれども、総理は昨年末に銀行からの政治献金を受け取らないという表明をされたそうですが、その理由は何でしょうか。
○安倍内閣総理大臣 私は、昨年12月の記者会見におきまして、主要銀行からの政治資金について御遠慮するということについて申し上げたわけでございます。
この理由でございますが、いわゆる主要銀行について言えば、不良債権の処理に当たって、公的資金を導入することによって立ち直ってきたという経緯がございます。そして、現在は、繰越欠損金の関係で、収益を上げてもなお法人税を納税していないという状況、これは法的なことでございますから、それはもう当然といえば当然ではございますが、しかしながら、いわば公的資金によって、それを注入したことによって立ち直っている。と同時に、現在まだ税金は払っていない。これは先ほど申し上げました繰越欠損金の関係でございますが、そういう中において、政党として政治資金を受け取ることについては国民的な理解を得ることができないのではないか、また、主要行にとってもお客様との関係でそごが生じる可能性もあるのではないだろうか、これはお互いにとってそれはお互いに遠慮した方がいいだろう、このような結論に達した次第でございます。
○佐々木(憲)委員 それは当然だと思うんです。
では、保険会社はどうか。今はどんな実態にあるかといいますと、最近は、生命保険会社、損害保険会社による保険金の不払い、これが続出しておりまして、私は、契約をしていて保険金を払わないのは契約違反だというふうに思うわけでありますが、山本大臣、その実態を簡潔に報告していただきたい。
○山本金融担当大臣 まず生命保険会社でございますが、不適切不払いが32社、1488件、72億でございます。また、支払い漏れにつきましては、37社、44万件、359億円でございます。
損保会社におきましては、第三分野の不適切な不払いが21社、5760件、約16億円でございます。また、付随的な保険金の支払い漏れにつきましては、26社、32万件、188億円でございます。
○佐々木(憲)委員 これはとんでもない話でありまして、苦情が例えば国民生活センターに殺到しておりまして、生命保険会社が明確な理由を示さず、入院見舞金の支払いを拒否したというようなことが、一つの事例として私はここに手元に持っております。
相談内容は、数年前に夫婦で定期保険特約つき終身保険に加入した、その後、妻が14日間入院したので生命保険会社に入院給付金を請求したが、支払いを拒否された、こういうことで相談があって、保険会社の回答は、病院を退院後に病理が確定したものは、約款に書いてないから払えないんだ、こういう話だったわけです。そこで、この相談を受けて国民生活センターも調査をした。その後、保険会社が支払うということになったそうであります。
この問題点ということで、こういうふうに書かれているわけです。生命保険に関する相談件数は多く、今回の件のような支払われるべきはずのものが支払われなかったという申し出も多数見られる、今回の件は、約款に書いていないことを保険金を支払わない理由に掲げており、保険会社の姿勢を問われると考えられると指摘をしているわけです。
それで山本大臣、もう一度お伺いしますけれども、こういう保険会社の姿勢、これはどのようにお感じでしょうか。
○山本金融担当大臣 そもそも、生保、損保を問わず、保険会社における契約の中身は、保険支払いが基本的かつ重要な責務でございます。特に、支払い事実が発生する、すなわち、事故が起こる、あるいは死亡するというような、残念な、万一のことでございます。その万一のときに支払っていただけないということになるならば、これは期待を裏切るどころじゃなくて、落胆のふちに陥れるということでございまして、それが契約者の何ら責任じゃなくて、立派な保険会社側の責任であるということに問題の深さがあるだろうというように思っております。
その意味におきましては、保険の支払いにおける管理、特に不服申し立てだとか苦情処理だとか再発防止策、今後、金融庁としましては、徹底的にこれに厳正に対処していきたいというように思っております。
○佐々木(憲)委員 この保険会社の姿勢について総理はどのようにお考えでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 ただいま山本大臣が答弁をいたしましたように、やはり生保、損保双方とも、万が一事故があったときのためにみんなこの保険に加入をしているわけでありますから、そのときにその責任を果たすというのは、当然、企業としての社会的責任また成り立ちからいっても大きな責任だろう、このように思うわけであります。
○佐々木(憲)委員 このパネルを見ていただきたいんですが、「契約者に不払い・支払い漏れ」、先ほど説明がありましたように、大変な金額であります。しかも、これはまだ一部なんですね。しかもまだ調査中で、最終的な数字は確定しておりませんが、それでも大変な状況でございます。
ところが、契約者に不払いを起こしている生命保険、損害保険の会社から自民党に献金が行われておりまして、これが毎年ふえているわけであります。例えば、2005年初めに生命保険の不払いが発覚をいたしました。その後、献金がふえておりまして、その中でも、行政処分を受けた以降に献金しているのは、13社、4163万円に上っております。
先日、私は財務金融委員会でこの問題を取り上げました。それぞれの協会の会長にお聞きしました。会長の会社である第一生命は06年に献金がふえまして、993万円、東京海上日動火災は、同じ年、1764万円の献金をしているという答弁を行いました。
そこで総理にお聞きしますけれども、先ほど、献金をもらうのは国民の理解は銀行は得られない。契約者に払っていない、あるいは処分を受けているような保険会社から献金をこのように受け取ることは理解を得られるというふうに思いますか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど、主要銀行との関係で申し上げましたのは、主要銀行は、いわば国民の税金によって公的資金を導入して、この公的資金の導入によって立ち直ったわけでございますが、しかし、その後の、これは税制上のことではありますが、税金を払っていないという中において我が党に対して政治資金を支払っていただくということについては、これは遠慮させていただく、こういうことでございます。
生保、損保も含めて多くの企業がいわば社会的な存在として政治献金を行っておりますし、我が党も多くの企業から政治献金をいただいているわけでございます。それぞれの企業は、政治活動の自由が保障されている中で正当に資金を献金しているということであろう、こう思うわけでございます。
その中で、今御指摘のような問題点については、直ちに生保、損保を是正しながらお客様また国民の期待にこたえていっていただきたい、このように思うわけでありますが、私どもは、銀行のときにはいわば公的資金を導入した、そしてまたさらに、税金はしかしその段階でまだ払っていないということにかんがみて、その中で献金をお受け取りするのは控えさせていただいたということで、状況は違うというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 契約者に払わないという保険会社から自民党が献金を受け取る、これは国民はだれも納得できないと思いますよ。それをやめると言えない、言わないというところに今の総理の姿勢があらわれているというふうに思います。私は、当然こういうものは受け取るべきじゃない、こう思います。
もともと企業献金というのは、企業というのは利益を目的に活動しているわけですから、お金を出すということは、当然見返りを求めるわけです。それが政治腐敗の根源になってまいりました。企業側が見返りを求めないとすれば、そのお金を出した、これは背任行為になるわけですね。もともと企業献金というのは賄賂性の強いものでありまして、私は企業・団体献金はきっぱりと禁止すべきだと思っております。
政治資金の入りの問題でいいますと、例えば政党助成金の問題もあります。国民一人当たり年間250円を強制的に献金させているようなものでありまして、毎年300億円以上、これまで総額にしますと3840億円です。それだけの税金が自民党、公明党、民主党などに山分けされております。我々はこれは受け取っておりません。一方で国民には増税を押しつけておく、負担をふやしておきながら、税金から政党に流されている、これも、国民が納得できない、そういう問題であります。
私は、献金というものは本来個人献金に限るべきである、そしてまた政党助成金というのは、これは国民の税金を山分けするものでありまして、いわば思想、信条の自由を踏みにじるものであって、こういうものはきっぱりと廃止すべきである、この点を主張しておきたいというふうに思います。
以上で時間が参りましたので、質問は終わらせていただきます。
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