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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), 金融(銀行・保険・証券), 医療・介護・年金 (消費税, 社会保障・税一体改革)

2012年08月01日 第180回 通常国会 財務金融委員会 【690】 - 質問

AIJ問題の現状報告 消費税増税に社会保障改悪 税収減り赤字増える(午前)

 2012年8月1日、自民・公明両党の意をくんで修正された赤字国債発行の公債特例法案が、衆院財務金融委員会で審議入りし、佐々木憲昭議員も、午前と午後の2回質問しました。

 法案は、基礎年金の国庫負担分の一部を赤字国債の発行で穴埋めし、将来の消費税増税による財源で償還する内容です。
 佐々木議員は、前提となる消費税増税法案の景気弾力条項について質問しました。
 法案では増税前に成長率など経済指標を確認し「停止」措置も講ずるとしていますが、10年間の平均成長率を「名目3%実質2%」と掲げていることに言及し「数値が確定するのは2020年度であり、引き上げ時には判断できない」と矛盾点を指摘しました。
 安住淳財務大臣は「『目標』であり前提条件ではない。目標に向かって経済活性化をやっていく」と答弁。
 佐々木議員は、これでは何の歯止めにもならないと厳しく批判しました。
 佐々木議員は、消費税増税に加え年金削減や保険料引き上げ、子ども手当削減など負担増は約20兆円にのぼることをあげ、「国民にとっては負担増ばかりだ。消費は落ち込みマイナス成長になる」と指摘しました。
 安住大臣が「将来不安の払しょくのために負担はお願いする」と答えたのに対し、佐々木議員は「大負担だけを押し付け、景気が悪くなり税収が落ち込めば赤字が増えてしまう。一体改革は危険な選択だ」と批判しました。

 また、質問の冒頭では、AIJ投資顧問の年金資産消失問題について、松下金融担当大臣に質問し、現状報告をさせました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まずAIJの問題についてお聞きをしたいと思います。
 当委員会でも証人喚問等いろいろやってまいりました。調査あるいは捜査、そして処分等について、現状の報告をお願いしたいと思います。
○松下金融担当大臣 2月17日に、監視委員会から、AIJ投資顧問への検査の過程で、顧客資産に疑義が生じている旨の連絡を受けました。報告徴求命令を発出して、2月24日、異例の対応として、勧告を待たずに、AIJ投資顧問に業務停止命令一カ月を発出いたしました。
 その後、AIJ投資顧問及びアイティーエム証券について、監視委員会による検査の結果、虚偽告知等の法令違反が認められたとしまして、3月22日、行政処分を行うよう勧告が行われました。
 金融庁は、この監視委員会の勧告に基づきまして、3月23日、AIJ投資顧問の登録を取り消して、アイティーエム証券に対し業務停止命令六カ月を発出するとともに、両社に対して、顧客資産の適切な管理保全等を図るよう業務改善命令を発出したところでございます。
○岳野政府参考人(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) 監視委員会からは、その後の犯則調査の状況につきまして御報告を申し上げます。
 本年3月に、監視委員会は、金商法の違反嫌疑で、刑事告発に向けまして強制調査に着手をし、鋭意犯則調査を進めてまいりました。その結果、7月の9日及び7月30日の二度にわたりまして、それぞれ異なる年金基金に対する金融商品取引法の投資一任契約の締結に係る偽計の嫌疑で、AIJ投資顧問株式会社並びに同社の浅川社長、高橋取締役及びアイティーエム証券株式会社の西村社長を東京地検に告発いたしました。これを受けまして、同日、東京地検は、浅川社長、高橋取締役、西村社長の三名を同罪で起訴しております。
 また、本件につきましては、監視委員会の犯則調査と並行いたしまして、警視庁、東京地検が、詐欺容疑による捜査を進めておられました。その結果、先ほど申し上げました監視委員会の告発日と同じ7月9日及び7月30日の二度にわたりまして、東京地検が詐欺罪で浅川社長ほか二名を起訴しているところでございます。
 監視委員会としましては、引き続き捜査当局と連携して、AIJ問題の関係者の責任追及に向けまして全力で取り組んでいく考えでございます。
○佐々木(憲)委員 それで、松下大臣に、こういう事件は二度と繰り返してはならないと思うんですが、そのためにどういう対応を考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○松下金融担当大臣 極めて悪質で、許しがたいというふうに考えています。働いている人たちの年金、そういうものについて、うそを言い、そしてだまし取るということが起こっているわけでございますから、これは断固として、現在の法制度に照らして、考えられるあらゆる対応をとらなきゃいかぬ、そういう強い気持ちでおります。
○佐々木(憲)委員 五十嵐財務副大臣は、4月21日に、AIJ投資顧問による年金消失問題に関連して、AIJのほかにも四つくらい問題のある業者があると言われている、年金基金などの犠牲者が多分出てくるというふうに述べたと報道されているんです。
 これはどういう根拠で四つぐらいというふうに言われたのか、その理由を説明していただきたいと思います。
○五十嵐財務副大臣 これは、私が毎月地元で行っております、私の支持者を対象にした勉強会の中でAIJ問題を取り上げたのは、御指摘のとおり、4月の21日に取り上げて、お話をさせていただきました。
 その前に、私はこの問題に関心を相当持っておりましたから、自分自身でも各投資顧問の企業のホームページ等をチェックさせていただきました。それからまた、知識をこの問題について持たれている方々、かなり人数も、相当な人数に上る方々とも意見交換をいたしまして、そうした情報の中で、まだほかにもありそうだ、あるいは、似たような、極めて高い、不自然なパフォーマンスを示してお客を集めている会社があるということを、その心証を持ったということで、年金基金の皆さんは自己責任になる可能性がありますから、やはりみんな気をつけてこうした情報に接しなければいけないということをお話しさせていただきました。
 そういう経緯でございまして、これは決して金融庁からの情報に基づいてというお話ではございません。
○佐々木(憲)委員 金融庁からではない、独自の情報でそういうふうにお話をされたということなんですが、松下大臣は、今、一斉に、あの事件が起こって以降、アンケート調査その他、調査されていると思いますけれども、財務副大臣が個人的な判断としてこのようなことをおっしゃっているわけですけれども、金融庁としては、そういう指摘もある以上、引き続き調査を行い、問題があればこれを明らかにしていく、こういう決意はあるんでしょうか。
○中塚内閣府副大臣 今、二次調査を進めております。
 外部から寄せられる情報というのは本当に多数に上っております。そういった内容とか、あるいは、情報提供者というのは本当にいろいろな方がいらっしゃいます。検査監督の優先度を判断する際の重要度、有用性の程度にもいろいろ差がございます。そういった情報の中で、例えば、具体的な証拠資料が添付をされているとか、場合によっては、当該関係者しか知り得ないと考えられる情報ですとか、あるいは同じ時期にたくさんの人から情報が寄せられているとか、そういったところを優先して検査をし、また監督をしていくということになろうか、そう思っております。
○佐々木(憲)委員 それでは、話題を少しかえますが、安住大臣にお聞きします。
 大臣は、いろいろなところの答弁で何回か、佐々木議員が、消費税を増税したら戦車を買うと言っている、こういうような答弁をされているんですね。先日も、7月19日の参議院の社会保障・税特別委員会で、「佐々木先生からは、戦車を買うんじゃないかと言われたから、そんなことは絶対しません」、こういう答弁をされていますね。
 ただ、私は、戦車を買うと表現した覚えがないんです。一体何を根拠にそういうことをおっしゃるのか、その根拠を示していただきたい。
○安住財務大臣 二回ぐらいこの質問を受けまして、平成24年の6月1日の佐々木先生と私のやりとりの中で、先生はこうおっしゃったんですね。ちょっと中ははしょりますが、「お金に色がついていないから、例えば軍事予算にも使われる、大型公共事業にも使われる、そういう形でこういうもの」、こういうものというのは多分消費税のことかもしれませんが、「消えていくわけですよ。」という実は話をして、それに対して私は、「国民の皆さんに誤解を与えるといけませんので、先生、戦車なんか、これで買いません。お金に色がついていないといっても、私が言っているんですから、間違いありません」ということを答えたわけです。
 そのことを参議院でも聞かれましたので、多分、私の戦車というところは、先生は軍事予算と。私はそれを、具体的に言うと、多分、軍事予算の中には当然戦車も含まれるので、戦車という話で国民の皆さんにわかりやすく伝えたつもりなんです。
 先生は確かに戦車という言葉は使っておりません、先生の名誉のために申し上げます。ただ、先生は軍事予算とおっしゃったので、それを私が戦車なんかはそれで使えませんということで、ここでのやりとりは一応そうなっておりますので、今後、この話をするときは軍事予算というふうに言わせていただきます。
○佐々木(憲)委員 人の話を引用して答弁される場合は正確にやっていただきたいと思うんですね。
 消費税増税のうち社会保障に回るのは6・5兆円、これは5月の質疑で私は確かめたわけです。7兆円は置きかわるわけですよ、ほかの財源に。そうすると、それが一般会計に入って、公共事業にも軍事予算にも、いろいろな形で回る、そういう指摘をしたわけであります。
 現に、今問題になっているのは、その使い道は公共事業、こういうところにやるべきだ、規模は10年間で100兆だとか200兆だとかという、そういう話になっているわけだから、ですから、消費税増税が全額社会保障に使われるというのは、現実のお金の流れからいうと、一度入っても、実は別なところに置きかわって流れていく、そういう仕組みを私は指摘して、大臣が言っていることは違いますよと、その一つの例として軍事費も入れてお話をさせていただいたわけであります。
 今後、正確にするというので、ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。
○安住財務大臣 今ちょっと事務方や副大臣から指摘を受けて、先生、やはり戦車という言葉を使っていると。今ちょっと老眼鏡で見ると、ああ、そうだ、使っていると。そういう細かな議論の後で、「それが赤字の穴埋めだとか戦車だとか、そういうものにみんな使われるんですよ。一般会計に入る」と。これは先生の議事録ですね。だから、今後気をつけますけれども、先生は戦車と使っておられます。
○佐々木(憲)委員 そこまでちょっと私は記憶がなかったんです。
 軍事予算という表現は私は確かにした、質問の最初のところでやったんですね。それで、それに対してたしか反論があったので、いや、そうじゃないだろうと。議事録でそうなっているんですか。(安住国務大臣「はい、載っています」と呼ぶ)わかりました。軍事予算の中には戦車が確かに入るわけで、そういう表現をしたんだというのは今初めて確認いたしました。お互いに正確にやっていきたいと思います。
 次に、デフレの問題なんですけれども、野田総理は、7月24日の参議院予算委員会で、消費税増税は「やっぱりデフレからもまだ脱却できていない等々を考えると、現時点のこの瞬間というのは基本的に厳しいんではないか」という発言をされました。消費税法の附則第18条にはこう書かれているんですね。「消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施する」、こういうふうにされております。
 そこで、大臣にお聞きしますけれども、経済の現状、これはデフレからまだ脱却できていないというのが総理の認識ですけれども、大臣も同様な認識と理解してよろしいですね。
○安住財務大臣 デフレから脱却したということではないということは、GDPデフレーター等を確認すれば、今の現時点でもそうだと思います。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、経済状況が好転しない限りは消費税は増税しない、こういう理解でよろしいですか。
○安住財務大臣 基本的には、附則18条の一項、二項、三項に書いてあるとおりでございます。
 なお、このところで申し上げている経済状況の好転とは、経済が改善していく過程にある状況のことをいうということだと私は思っておりますので、特定の時点とか数値とかをいっているものではなくて、過去からのトレンド等を含めて判断することになるというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 この附則第18条にはこう書かれているんですね。「消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施する」。その上で、「平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度」、こういう数字が書き込まれているわけです。
 これはなかなか理解しにくい、非常に難しい文章なんですが、名目3%、実質2%というのは、平成23年度から平成32年度までの平均においてなんですよ。そうすると、その数字が確定するのは2020年度、つまり平成32年度、こういうことになりますよね。
○安住財務大臣 一項の、先生御指摘の、32年度までの10年間の平均において名目3、実質2程度の経済成長率を目指すということでございますから、そういう意味では、この10年の間の平均というふうに私どもは考えております。
○佐々木(憲)委員 ですから、それが確定するのは2020年度ということですよね。
○安住財務大臣 確定はそうでございます。
○佐々木(憲)委員 消費税率を上げるのは2014年、2015年ですから、この数字はまだ出ていないわけですよね。出ていない数字を前提にして上げるかどうかということを判断していくというのは無理があるんじゃないですか。
○安住財務大臣 一項は前提条件ではございません。そうした数値目標を設定して、そこに向かって政府として、デフレ脱却、経済活性化をやっていこうということでありまして、これはあくまでも目標であって、前提条件ではないわけであります。そこをぜひわかっていただければと思います。
○佐々木(憲)委員 では、これは何のために書いたんですか。目標として書いた。というのは、要するに、前提ではないわけだから、書いても意味がないんじゃないですか。
 要するに、当時は民主党の中でいろいろな議論があって、歯どめがないとかいうことでそれを書き入れたんだけれども、うまいこと、それが歯どめにならないように書き入れた、こういうことになるわけですね。
○安住財務大臣 政策努力の目標として書きました。つまり、こういう成長が望ましいという政府の考えであって、それに基づいて、あるべき成長として数字を掲げて、これに基づいて、政府としては、デフレ脱却や経済活性化に向けたさまざまな施策を講じていくという意思もあわせて示しているということでございます。
○佐々木(憲)委員 極めて抽象的で、何の条件でもないものをただ入れて、入れたことによって何とかだましていこうというそのやり方が非常に私は問題だと思うんですよ。大体、2%、3%という数字自体が非常に、達成不可能なものだと私は思います。
 例えば、過去10年間の名目成長率、3%を超えたときはありましたか。
○安住財務大臣 ありません。
○海江田委員長 もう時間が来ておりますので、手短に。まとめてください。
○佐々木(憲)委員 わかりました。では、午後、もう一度この続きを財務大臣にやりますので、今のところは、ここでとどめておきたいと思います。

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