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税制(庶民増税・徴税) (消費税, 法人税, 大企業減税, 児童扶養手当・子ども手当, 社会保障・税一体改革)

2012年06月01日 第180回 通常国会 社会保障・税特別委員会 【680】 - 質問

子育て世代直撃「子ども手当」減額され、その上消費税増税も

 2012年6月1日、佐々木憲昭議員は、社会保障・税特別委員会で、民主党政権による子育て世代に対する負担増を告発し、消費税増税のたくらみを批判しました。

 佐々木議員は、20歳代・30歳代の子育て世代で、所得が大幅に減少していることを指摘。
 民主党が「子育ての経済的負担を軽減する」と公約したのに、民自公3党合意による子ども手当減額と年少扶養控除廃止による増税で、年収400万円台中ごろから子育て世帯の実質手取り額がマイナスになっていることを明らかにし、「子ども手当の政策目的は破綻した」と批判しました。
 佐々木議員は、この子育て世代のマイナスをなくすには、8千億円あればできるのにそれをせず、逆に大企業には8千億円の法人税減税をしたことを挙げ、「子育て世代の負担を増やしながら、なぜ大企業には減税をするのか。逆立ちだ」と厳しく批判しました。
 「みんなで支えないと」と述べた安住淳財務大臣に対し、佐々木議員は「法人税を払うのは黒字の企業だけだ。どちらを大事にするかの姿勢があらわれている」と指摘しました。
 さらに佐々木議員は、復興増税と消費税増税まで押し付けるのかと追及しました。
 安住大臣は、子育て世代(小学生1人)の合計負担増が年収300万円で年8万円、年収500万円で年12万円になると答弁しました。
 佐々木議員は、結局「『経済的な負担増』だけが残った」と批判しました。
 佐々木議員が、消費税増税をはじめとする20兆円の負担増が、消費を引き下げる作用をするのは明らかだと指摘すると、岡田克也副総理は「かけこみ需要もある。消費水準はほとんど変わらない」と言い訳に終始しました。
 佐々木議員は増税で恒常所得が減り、経済成長は「マイナスに落ち込んだまま戻らない」という日興証券の試算を示して反論し、「大企業などに応分の負担を求め、家計消費を温める経済政策に切り替えるべきだ」と主張しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうは、子ども手当と税の問題についてただしたいと思います。
 民主党がマニフェストで初めて子ども手当を打ち出したときの民主党代表は岡田さんだったと思いますが、それでよろしいですか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 私の記憶では、そうだと思います。
○佐々木(憲)委員 そのときは、日本刷新八つの約束の三番目に、こう書かれておりました。公立高校改革に着手し、月額1万6千円の子ども手当を支給します。
 このときは、どのような考えで子ども手当を打ち出したのか、お聞きをしたいと思います。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 まず、子ども・子育てをしっかり支援する、そういった政策を打ち出そうというふうに考えました。
 その際に、そういったお金の面、つまり手当ですね、それから保育所の整備といった両面でやっていかなきゃいけないということで、従来、児童手当があったわけですが、それを抜本的に拡充しようということで、子ども手当を打ち出したところであります。
 これは民主党になって議論を続けてきたものですが、実は、その前、新進党の時代にそういう議論をしておりまして、そういう意味では、その後いろいろな党に分かれましたが、根っこはそこにあったというふうに私は思っております。
○佐々木(憲)委員 その後、小沢一郎さんが代表になって、2007年の参議院選挙で、子ども手当は三つの約束の二番目に格上げされたわけです。そして、支給額が一人月額2万6千円とされました。そして、2009年の総選挙では五つの約束の二番目に掲げられて、目玉政策として一躍注目を浴びたわけであります。
 小宮山大臣にお聞きしますけれども、最初は1万6千円だったですね。その額が2万6千円、こういうふうに1万円ふえたわけですが、その理由について説明していただきたいと思います。
○小宮山厚生労働大臣 子ども手当につきましては、民主党としまして、子供の育ちに必要な基礎的な費用の相当部分をカバーするということ、また、諸外国の手当制度と比較して遜色ない水準にするということ、そしてまた、日本の子育てに係る予算の対GDP比は、先進諸国の中でアメリカに次いで低い水準にあるということから、総合的に勘案いたしまして、2009年の衆議院選挙のマニフェストで、子供一人当たり2万6千円としたところです。
○佐々木(憲)委員 これは、2006年、小沢さんが代表だった当時に、子ども手当をマニフェストの上位に入れてくれるように頼んだのが小宮山大臣だったんじゃないですか。
 そのときに小沢さんは、女性に子供の話をすると目の輝きが違うというような話をされて、若い人は自分の子供、高齢者は孫のことで、子育て政策は大事だねというお話をされていたと思いますが、そういう記憶はありませんか。
○小宮山厚生労働大臣 それはそのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 その上で、2010年の1月、政権について以後ですけれども、第174国会の施政方針演説で鳩山元総理はこう言っておりました。
 若い夫婦が経済的な負担を不安に思い、子供を持つことを諦めてしまう、そんな社会を変えていきたい、未来を担う子供たちがみずから無限の可能性を自由に追求していける、そんな社会を築いていかなければなりません、こう述べたわけであります。
 この理念は今でも引き継がれているのか、確認をしたいと思います。
○小宮山厚生労働大臣 それは、民主党はずっと子ども・子育て政策を大事な政策の柱としていまして、子供はやはり未来をつくる力で、チルドレンファーストという理念に立っていますので、その中で総合的に政策を推進していくことが重要だと考えています。
 その点では、鳩山元総理の施政方針演説で述べた理念、これはずっと続いていると思っています。
 現在、この委員会で御審議いただいている新システムの法案も、そういう理念のもとで提出をさせていただいています。
○佐々木(憲)委員 後でも検証しますけれども、この理念が本当に続いているのかどうか、私は根本的な疑問を持っているところであります。
 それでは、この子ども手当法案を提案したとき、長妻厚生労働大臣は2010年2月23日の本会議でこう述べております。
 子ども手当は未来への投資だというのが大前提でございます。我々政治家として国家100年の計に立つ政策を打たなければならない。これも一つの大きな理由でございます。今回の子ども手当の支給において、結果として子供の生活、教育の質を向上させる、そして、結果として子供の貧困率の改善にもつながるということでございます。
 こういう答弁をされています。
 つまり、子供一人当たり月額2万6千円の子ども手当は、子育ての経済的負担を軽減する現金給付策であって、また、未来への投資ともいうべき、民主党の子育て支援の柱である、国家100年の計だ、この述べていたことは事実ですね。
○小宮山厚生労働大臣 それは事実です。
○佐々木(憲)委員 このように、民主党政府の発言に一貫して流れておりますのは、子育ての経済的負担の軽減というのが一貫しているわけであります。
 その背後にありますのは、若い世帯の厳しい生活実態というのがあったわけですね。子育て世帯の家計がどれほど大変なものか、議論の前提として確認をしておきたいと思うんです。
 内閣府にお聞きしますけれども、この10年間で、20代それから30歳代の子育て世代の所得、これはどう変化しているか。1997年と2007年、この数字を紹介していただきたいと思います。
○中野委員長 小宮山厚労大臣。(小宮山国務大臣「少子化担当です、内閣府」と呼ぶ)ごめんなさい。少子化対策担当大臣小宮山洋子さん。
○小宮山少子化担当大臣 済みません、一人二役でございまして、今度は少子化担当大臣として内閣府の方の答弁をさせていただきます。
 20代、30代といった子育て世代の所得分布を見ますと、20代では、1997年、平成9年ですが、このときは年収が300万円台の雇用者の割合が最も多いという状況でした。それが、10年後、2007年には、200万円台の前半の雇用者が最多になっています。
 また、30代では、1997年には、年収が500万から699万円の雇用者の割合が最も多くなっていましたが、2007年には、300万円台の雇用者が最も多くなっています。
 このように、20代、30代の所得分布が10年間で低所得層にシフトをしているということがわかります。
 この背景には、バブル崩壊以降の厳しい経営環境のもとで、正規雇用の割合が非常に減りまして、相対的に賃金水準が低い若年層の非正規雇用の割合が上昇したことなどが要因だと考えられます。
○佐々木(憲)委員 少子化白書の中で今言われたようなことが書かれているわけであります。
 10年間で低所得層にシフトしているということは、若い子育て世代の家計は総じて急速に悪くなっている。
 配付資料を見ていただきたいんですが、これが、今小宮山大臣が説明をしたものでございます。
 その理由ですけれども、この白書にはこう書かれております。
 若年者の雇用をめぐる環境を見ると、完全失業率及び非正規雇用割合ともに、全年齢計を上回る水準で推移している。また、非典型雇用者の有配偶率は低い。非典型雇用者というのは、パートタイム、有期雇用などの正社員以外の雇用でありまして、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員、こういうものが入りますね。
 白書はこう言っております。30歳から34歳の男性においては、非典型雇用の人の有配偶率は正社員の人の半分程度、つまり、結婚をされている方々は、非正規社員は正社員の半分だというんですね。就労形態の違いによって家庭を持てる割合が大きく異なっている。
 非正規雇用の人々は配偶者のいる比率が非常に低い、これも大変大きな問題だと思いますが、こういう実態だと思うんですが、どうですか。
○小宮山少子化担当大臣 おっしゃるとおりでございまして、これはやはり、非正規雇用で所得が低いと結婚ができない、だから子供も持てない、そういう若い人の比率がふえているということは事実でございまして、今、何とか若い人たちの正社員としての就職に結びつけるように努力はしているんですけれども、現状はそういう状況であるということは事実でございます。
○佐々木(憲)委員 それから、子育て世代の貧困化の問題についてはほかの資料でも確認できるわけですが、総務省の家計調査ではどうなっているかというと、2000年から2010年の10年間、これを確認したいんですが、29歳以下と、30歳から39歳、それから40歳から49歳、それぞれの階層で可処分所得はどう変化しているか、御紹介をいただきたいと思います。
○川端総務大臣 総務省の家計調査によりますと、勤労者世帯一世帯当たり1年間の可処分所得の減少額が、2000年から2010年の10年間で、世帯主の年齢が29歳以下では、名目で37万9千円、実質25万3千円の減、30歳から39歳では、名目で37万5千円、実質で21万9千円の減、40歳から49歳では、名目で39万円、実質20万5千円となっております。
○佐々木(憲)委員 この数字、皆さんにお配りした二枚目がその数字でございますけれども、ともかく、これは大変な所得の低下であります。可処分所得が29歳以下で38万円の減少、実質でも25万円ということですから、生活が非常に厳しくなっていることはもう明らかであります。
 岡田大臣、この減り方をどのようにごらんになっていますか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 非常に厳しい状況かというふうに思います。
 そして、多くの夫婦が子供二人を望みながら実質的にはそこに届いていないということの大きな理由の、二つ理由はあると思うんですが、やはり、経済的な理由が数からいえば一番多い。もう一つは、仕事との両立ができない。二つの理由がありますが、経済的理由というのが最大のものであるというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 この経済的な、深刻な家計の実態にどう対応するかというのが政治に求められてきたわけであります。子ども手当もそのための大変大事な柱として民主党政権としては位置づけていた。
 もう一つ、国際的な角度からこの実態を確認したいんですけれども、内閣府は、日本、韓国、フランス、アメリカ、スウェーデンの五カ国で、子育て世代に対し、少子化についての国際意識調査を行っております。2011年3月に公表された、少子化社会に関する国際意識調査というものであります。
 この中で、さらに子供をふやしたいかとの設問に対してどういう回答があるか、紹介をしていただきたいと思います。
○小宮山少子化担当大臣 今委員からございました、2011年の少子化社会に関する国際意識調査、これは、希望する子供の数と実際の子供の数について、各国、御紹介いただいたとおり、日本、韓国、アメリカ、フランス、スウェーデンですが、今いる子供の数の平均が1・1から1・4人、希望する子供の数の平均が2・2から2・4人で、これは各国で大きな差は見られません。
 しかし、子供をふやすかということについては各国で大きな違いが見られまして、日本では、今より子供はふやさない、または、ふやせないと回答した人の割合が47・5%で、そのほかの国と比べ、最も高くなっています。
○佐々木(憲)委員 私も、この今の数字を確認してみましたが、日本の場合は約半分ですね、ふやさない、または、ふやせない。ところが、フランスは17・7、アメリカは13・5、スウェーデン7・4、これは日本が断トツなんですよ、子供がこれ以上ふやせないというのは。現状では、二人目、三人目の子供を諦めているという傾向があります。
 何で日本がこんなに高いのか、その理由を説明していただきたい。
○小宮山少子化担当大臣 この調査の中で、希望する子供の数になるよう子供をふやさない、または、ふやせないその理由は、一番目が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから、これを挙げる人が最も多く、男性で44・6%、女性で39・5%になっています。そして二番目が、自分または配偶者が高年齢で産むのが嫌だからということを挙げる人が多くなっていて、これは男性26・8%、女性35・1%で、三番目が、働きながら子育てできる職場環境がないを挙げる人が多く、男性14・3%、女性26・3%となっています。
○佐々木(憲)委員 配付資料を見ていただきたいんですけれども、先ほど紹介した国際意識調査では、子供をふやさない理由、または、ふやせない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから、今御答弁がありました、男女とも40%前後ですね。多くの子育て世代が経済的要因で子供をつくることをためらっている。これは、フランス、アメリカ、スウェーデンと比較しても非常に高い回答なんです。
 このように、日本では経済的要因というのが少子化の大きな原因になっているということであります。
 このような背景があったからこそ、2009年の総選挙で、多くの子育て世代が民主党の子ども手当月額2万6千円というものに大いに期待をして投票し、民主党が政権についた、こういう経過だったんじゃありませんか。
○小宮山少子化担当大臣 そのとおりだというふうに思います。ずっとどの調査を見ても、持ちたい数の子供が持てない最大の原因が経済的な負担ということでしたので、総合的に、もちろん今提案している法案のように、居場所もつくらなきゃいけない、働き方も変えなければいけない。でも、まずその経済的負担を何とか少なくしようということで、子ども手当の提案をいたしました。
○佐々木(憲)委員 それは結果としてどうなったかという点であります。
 次のページを見ていただきたいんですけれども、四枚目ですね。児童手当、子ども手当制度の比較です。
 自公政権時代の児童手当が、民主党政権になって子ども手当となって、月額2万6千円の半額が当初支給されました。しかし、その後、民自公の三党合意によりまして、月額1万円の児童手当を、三歳未満や三人目には1万5千円、こうなったわけです。
 岡田大臣はしばしば、新たな児童手当制度につきまして、政権交代前と比べますと金額では抜本的に拡充されたと、いわば手放しで評価されていますけれども、この新たな制度で、子育ての経済的負担を軽減したと言えるほど抜本的な拡充がされたと言えますか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 この新しい児童手当、これと従来の自公政権時代の児童手当を比較してということですが、ゼロ―三歳未満で1万円が1万5千円、それから、三歳以上は5千円が1万円、中学生はゼロが1万円ということで、そういう意味で、額は非常にふえたということは言えると思います。
○佐々木(憲)委員 では、具体的な数字の実態についてお聞きをしていきたいと思います。
 今度の新しい児童手当と、それから子ども手当が導入される前の旧児童手当、この実質手取り額についてお聞きしたいと思うんです。
 夫婦と小学生の子供一人の世帯で、年収300万、500万、800万、1千万、1500万、それぞれの階層の実質手取り額はどうなったか、お答えいただきたいと思います。
○小宮山厚生労働大臣 平成24年6月以降の児童手当の支給額を、月額で平成21年度の児童手当のときと比較いたしますと、夫婦と児童一人のサラリーマン世帯のうち、小学生までの児童を持つ世帯については、年収300万でプラス667円、年収500万円でマイナス375円、年収800万円と年収1千万円でマイナス4083円、年収1500万円でマイナス8200円。中学生の児童を持つ世帯では、年収300万円でプラス5667円、年収500万円でプラス4625円、年収800万円でプラス917円、年収1千万円でマイナス4083円、年収1500万円でマイナス8200円と試算をしています。
 これは、残念ながら、年少扶養控除を外した額と、それからその後、申しわけないことに財源が確保できないで子ども手当が上げられていないことから、ここの点は私も非常に、お約束と違いますし、一番何とかしなければいけないと考えているところでございます。
 ただ、全体として、以前の児童手当に比べると、子供に注目したので、児童養護施設など施設の子供にも出したということと中学生までに出したということで、もとが総額で2・1兆円だったものが2・2兆円になって、1千億円だけですけれどもふえているということも申し添えさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 かなり、だんだん答弁が苦しくなってきたようでありますが、配付資料の五枚目を見ていただきたいんですね。
 実質手取り額の変化がここに出ておりますが、これは厚労省が作成したものですよ、給付額はふえたけれども、子ども手当の財源として年少扶養控除が廃止されて、所得税、住民税が増税になりました。そのため、中間的な所得世帯以上では、実質手取り額はマイナスになっているわけであります。
 今、三歳から小学生、一行飛ばした説明をされましたけれども、これを見ますと、全体としてマイナスが圧倒的に多くなっているわけであります。これは抜本的拡充というよりも、先ほど申しわけないという答弁をされましたが、大変な後退なんですね。
 子ども手当が導入されて初めての給付の日に、多くの若い子育て世代の方々が、その手当を受けまして、政権交代の実感を得た、こういうふうに言っておりました。子供二人なら、四カ月分で10万4千円が振り込まれたわけです。それが思い思いの子育ての費用に使われました。
 しかし、それもつかの間、翌年から所得税が増税になる。実質手取り額が差し引き減少になります。さらに、三党合意で手当の額が引き下げられる。実質手取り額がまたまた減少する。そして、最終的に、子ども手当が児童手当に戻される。その結果、子供がゼロ歳から小学校の家庭で、年収400万円中ごろより上の世帯では、旧児童手当と扶養控除があったときに比べまして実質手取り額がマイナス、つまり負担増になっているのであります。
 これは、政権交代前と比べて抜本的に拡充されたという説明は成り立たないわけですね。標準的な年収以上の子育て世帯では経済的負担が、軽減されるのではなくて逆に重くなっている。これが実態なんじゃないですか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 全体の額は、法律を成立させるためには各党との話し合いが必要になったわけで、何とかもう少しという気持ちは非常に強く持っておりましたが、最終的に、旧児童手当に戻さないためにはどこかで合意しなければならないという中で、こういう数字になっております。
 私も非常に残念に思う点はありますが、ただ、控除から手当にということで、例えば、300万円層であれば明らかにふえているし、500万円層でも、小学生まではマイナスですけれども、中学校3年間は大きなプラスですから、差し引きすれば恐らく辛うじてプラスになっているのではないかということで、それ以上の層についてはマイナスになっていて、そこは残念ですが、ある意味での再配分ということにはなっているということは言えると思います。
 所得の少ないところに厚目に手当が行っていて、差し引きした手当がですね、多いところ、1千万とか1500万というところは明らかにマイナスになっているということであります。
○佐々木(憲)委員 そういう説明を幾らしても、実際に子ども手当を受けていた人たちは、2、3年たったら、プラス、もらう方が多かったのに、出す方が多くなっているんですから。
 しかも、小学生まではマイナスだけれども、中学生になったらもらえるんだ。小学生の子育て世帯の家計から見ると、中学生といっても、いつまで待てばいいんだ、小学生のときに大変なんだから、そのときに実際に支給されていないわけですね。
 そういうことになると、これは完全に政策目的が破綻したということじゃないんですか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 実は、いろいろな意味でのそういったお金がかかるのは、むしろ中学生や高校生、そして高校生には授業料無償化があるわけで、そこも含めて考えると、状況は大分違うと思います。
 いずれにしても、批判は甘んじて受けますけれども、これは制度を改善、よりよくするために、我々としても非常に厳しい中で決断をせざるを得なかったということであります。
○佐々木(憲)委員 制度をよりよくすると言うけれども、より悪くしているんですよ、実際には。
 赤字の世帯が発生するのは事実ですから、その場合に、財源の手当てがきちんとできていなかったと小宮山大臣も答弁されていますけれども、赤字世帯をこれだけ埋めるのにどのぐらい財源が必要なんですか。
○小宮山厚生労働大臣 実質手取り額のマイナス分を補填するための所要額、これはどのような形で手当額を引き上げるかによって異なります。全年齢で一律に上げるのかとか、特定の年齢階層や収入階層で引き上げるのかなどによって異なりますが、仮に、所得制限額未満の人について、実質手取り額のマイナス分を補填するため、マイナス分として最大の月額4083円を小学生以下の子供に関して一律に上乗せをするとしますと、給付費ベースの所要額がおよそ6千億円になります。
○佐々木(憲)委員 一つ一つ確認をしていきます。
 かつて、前の児童手当のとき、2009年度の給付総額は幾らでしたか。それから、年少扶養控除等による減税額、これは幾らでしたか。
○小宮山厚生労働大臣 平成21年度には、児童手当の給付総額がおよそ1兆円、年少扶養控除等による税負担の減少額がおよそ1・1兆円であり、合計でおよそ2・1兆円でした。
○佐々木(憲)委員 2・1兆円だったんですね。これが旧児童手当の必要額でありました。
 新しい児童手当制度の給付総額、平年度ベースで幾らになりますか。
○小宮山厚生労働大臣 これは、年少扶養控除等を見直して手当額を増額した結果、新たな児童手当の給付総額は2・2兆円強になるため、総額で見れば、少しですが充実をしていると申し上げたところです。
○佐々木(憲)委員 所得制限を超える世帯への特例給付を除くと幾らになりますか。
○小宮山厚生労働大臣 所得制限額以上の人に対する手当については、子供一人当たりの支給額は5千円、平年度ベースの給付総額がおよそ900億円になります。
○佐々木(憲)委員 要するに、それを除くと2・1兆円から2・2兆円程度ということですね。旧児童手当のときは2・1兆円の必要額でありました。今は2・1兆円から2・2兆円というわけですから、ほとんど変わらないわけですね。
 昨年、2011年度予算案の時点で、政府が提出した子ども手当法の給付額は幾らと想定していたでしょうか。その場合は、赤字世帯はどの程度発生することになっていましたでしょうか。
○小宮山厚生労働大臣 平成23年度の子ども手当に関する政府案では、平成22年度に一律1万3千円であった子ども手当に対し、三歳未満で7千円を上乗せして2万円にすることを提案していましたので、給付総額はおよそ2・9兆円と見込んでいました。
 この案では、平成21年度の児童手当のときと比較をすると、年少扶養控除廃止後の実質手取り額が、三歳から小学生までの子供を持つ年収800万円前後の一部の世帯で若干マイナスにはなりますが、大半の世帯でプラスになっていました。
○佐々木(憲)委員 この2・1兆円の場合は赤字世帯が先ほどみたいに発生するんですけれども、2・9兆円なら赤字世帯はほとんど発生しない。要するに、8千億円程度の財源があれば赤字になる世帯がない。先ほどは6千億円という数字も言われました。
 ところで、安住大臣、昨年の秋に法人税を30%から25%に引き下げましたね。この税収減というのは年間幾らぐらいなんでしょうか。
○安住財務大臣 8千億円です。
○佐々木(憲)委員 ほとんど同じ金額で、これはペイ・アズ・ユー・ゴー原則を無視して、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのは、簡単に言えば、減税をする場合にはその財源を手当てして減税をするというのがペイ・アズ・ユー・ゴー原則。安住さんはずっと最初から、それが大事だ、それが大事だと言ってこられたわけですが、この法人税率引き下げは、財源はペイ・アズ・ユー・ゴー原則にのっとって見つけていたんでしょうか。
○安住財務大臣 これは、そういうふうな見方をする方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではございません。やはり特異な要因がありまして、先生、復興のための財源を確保するためにどうするかということで、まず8千億円ありきではありません。これは、一旦下げたものに対してもう一回、10%、3年間上げさせていただくことで、2兆4千億円を3年間で出す。
 これは復興のための財源としてそうしたことをやらせていただきましたから、そういう点では、通常で言われているペイ・アズ・ユー・ゴーの原則にのっとってという話ではございませんでした。
○佐々木(憲)委員 要するに、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則にのっとっていないということなんですよ。
 簡単に言うと、年間8千億円の減税をしました、ところが復興増税という理由で3年間はその分上げました、したがって、とんとんになります。3年間だけですよ。4年たちましたら減税が実際に実行されます。
 これは、期限あるんですか、この減税は。いつまでやるんですか。
○安住財務大臣 世界の中で競争している日本企業の法人減税ですから、時限を決めてやっているわけではございません。
○佐々木(憲)委員 ずっと減税じゃないですか。
 そういうことを一方でやりながら、子ども手当を削減したら家計が赤字になっているところが逆に出てきた。そっちは、6千億から8千億あれば赤字が解消できる。そっちの方から、いわば増税はそのままにしておいて、何で大企業の減税だけやるんですか。こんなおかしな話はない。
 これは、どう考えても逆立ちしていると思います。チルドレンファーストとか言うけれども、大企業ファーストと言わざるを得ない、そういうことになるんじゃありませんか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 委員、金額が同じだからといって、法人税の減税と児童手当の問題を同列に論じるというのは、ちょっと乱暴な議論だと思うんですね。
 そして、児童手当、旧子ども手当ですが、この件について言えば、確かに赤字のところがあるという御指摘はそのとおりですけれども、限られた財源の中でやっていくという考え方に立てば、年収1千万や1500万のところが赤字といったって、別に、旧児童手当の時代と比べて手取りが減っているということであって、そういう所得の多いところが旧児童手当の時代と比べて年少扶養控除が廃止になったことによって全体の額が減ったからといって、私は、より所得の少ないところに厚く配分されたということであれば、それだけでも価値のあることである、そういうふうに思っております。
○安住財務大臣 先生、反論をちょっとだけ、もうささやかな反論ですけれども。
 先生、300万とか500万とか800万というのは、これは、大企業であっても中小零細企業であっても、多分お月給をいただいて子供さんをお育てになっている方のことですよね。その会社に対して我々としては倒産されたり日本から出ていってもらっては大変困るから、そういう意味では、その給料を維持しないといけないし、その母体である企業というのはやはり元気でなきゃいけないと思うんです。それが一つ。
 もっとさかのぼると、先生がおっしゃるとおりで、最初にお示しになった収入階級別雇用者数の構成も、これはデフレもあるでしょうけれども、企業がもし元気でもっともうかっていれば、お給料に反映したり雇用がふえていくということがありますから、そういう意味では経済主体の一つである企業が、国際的に比較したとき、まあ、これはまた控除のこととかいろいろお叱りはあるかもしれませんが、日本の法人税はやはり私どもから見れば企業負担が大きいということで判断をしましたけれども、それは、企業というよりも、企業に勤めているこういう先生がお示しになったお月給をもらっている方々に反映しているということだけ私はわかっていただきたい。
 それから、副総理がおっしゃいましたけれども、日本の場合、例えば所得税のお支払いをいただいておりますけれども、税負担が5%、10%という比較的低い階層の方が全お給料をもらっている方の85%ですから、そういう点では、この1500の方がマイナスになっていると言いますけれども、実質85%近い方々にとっては、この新たな児童手当でもプラスになっている方が多いということだけ申し添えさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 いろいろ反論したような形をとっておりますが、反論になっておりません。大体、会社が倒れるかのような、そんな赤字のところに税金を取っていますか。取っていないじゃないですか。
 我々が言っているのは、黒字の大企業に減税してやるのは必要ないと言っているんですよ。そうでしょう。(安住国務大臣「中小零細も」と呼ぶ)中小零細なんていうのは7割が赤字だ。そういう状況で、減税は当然だ、減税は当然だと、大企業に対して。
 大企業に減税したら賃金が上がりましたか。春闘でどれだけ賃金が上がったと思っているんだ。でたらめなことを言っちゃいけないよ。減税してそれが全て賃金に回れば、それは景気がよくなるでしょう。なっていないじゃないか。そういう状況だから、本当にこれまでも減税してきて実際そうだったんだ。そういうでたらめなことを言っちゃいけない。
 それから、何か金額が同じだからどうこうと岡田大臣は言われたけれども、姿勢がここにあらわれているわけです。どちらを大事にするのか。黒字の大企業に減税してやって内部留保が膨らむ方が大事なのか、それとも、大変苦労して、所得が減り、負担がふえ、そういう中で子供たちを育てている子育て世代、これを経済的に支援する方が大事なのかという選択なんですよ。
 そういう問題を、何か金額が同じだから乱暴な議論だ、そんなことはありません。乱暴なのは民主党の方なんだ。そういう姿勢が問題だと私は言っているわけです。
 民主党政権になりまして、子育て世代に対する仕打ちというのはこれにとどまらないんですよ。復興増税、まあ冷たい仕打ちだ。復興増税によって経済的負担がふえ、さらには消費税増税による負担増がこれに加わるんですよ。この部分で、若干黒字になっている家計は、その次に今度は増税が来るんですよ。
 まずお聞きしますけれども、年収300万、500万、800万の子育て世帯で、復興増税による負担増、これ、まず幾らになりますか。
○安住財務大臣 夫婦と小学生一人の世帯の場合は、給与収入300万で年間1900円、国税は900円です。給与収入500万で年間3500円で、国税分で2500円。給与収入800万の方では国税9600円となります。
 しかしながら、いいですか、もう少しつけ加えさせていただきますと、もし夫婦と高校生一人と大学生一人の世帯にこれを置きかえた場合はどうなるかというと、300万で年間千円でございますが、国税はゼロでございます。それから給与収入500万で年間2200円ですが、国税は1200円。800万だと年間6400円で、国税分5400円というふうに、世帯をとりますと、減っていったり、分類によってはそんなに御負担が、復興の重荷がぐっと来るということだけではないということだけ言わせていただきます。
○佐々木(憲)委員 それは、世帯によっては濃淡があるだけで、全部増税じゃないですか。そうでしょう。プラスになるところがありますか。ないでしょう。全部増税じゃないですか。そんなの反論にも何にもなっていないんだ。
 大体、所得税と住民税、これは両方来るんですよ。しかも、消費税増税による負担増がさらにその上に来るわけです。これは、所得の非課税世帯にも重くのしかかるわけです。
 収入階級十分位のそれぞれの税負担はどうなるか。例えば、消費税10%の年間の負担は、一番低い実収入第一分位の階層では幾らか、それから、第四分位、第八分位、第十分位、それぞれの負担は幾らか、数字を示していただきたい。
○安住財務大臣 消費税を10%に引き上げた場合の1年当たりの消費税負担の増加額、これは総務省の家計調査をもとに機械的な推計でよろしゅうございますか。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)
 収入の階級の第一分位の世帯では約8万6千円、収入の第四分位の世帯では約12万。それから、これは収入はどんどん高くなっていくという意味ですから、八分位の世帯では17・2万、それから最後の十分位の世帯では21・8万円ということになります。
○佐々木(憲)委員 これだけ負担が、消費税率が10%になると、子育て世帯の家計を直撃するわけですよ。
 配付資料を見ていただきたいんですが、六枚目、最後のページですけれども、これは財務省が試算したもので、今、安住大臣が言われたものがこれに当たると思います。
 これは、消費税増税がいわば全ての子育て世帯の経済負担を増加させるというものでありまして、お聞きしたいんですけれども、児童手当制度に戻ることによって、実質手取り額の減少が起こる。それから、復興増税による所得税、住民税の負担増がある。そして、消費税増税の負担増、これもある。これを全部足すと、子育て世帯の年収300万、500万、800万で、年間それぞれどのくらいの負担増になるんですか。
○安住財務大臣 ちょっとこれは少し長くしゃべらせていただきたいんですけれども、復興のための税制措置、それから消費税率5%上げ、負担増ですね。それから、児童手当への移行による手取り額の変化。これを、要するに一定の仮定を置いて算出して、合計合算、単純に合算すると、負担増は幾らになるのかということですね。
 夫婦と小学生お一人の世帯では、300万円の年収で年間8万円でございます。それから、年収500万円で年間12万円程度でございます。年収800万円で年間22万円程度と見込まれます。
 しかしながら、これらの負担増は世帯構成によって大きく変化いたします。
 夫婦と仮に中学生お一人の世帯にこれを当てはめますと、300万の年収の方は年間2万円、年収500万の方で6万円程度、これはみんな程度です、年収800万円の方で16万円程度と見込まれますので、これは減っていきます。
 また、夫婦と中学生二人にこれを置きかえた場合はどうかというと、年収300万の方では、むしろ年間3万円程度の負担減に逆転をいたします。
 さらに、高校生のお子様がいる世帯において、高校の実質無償化の導入等による負担の変化も加味して考えますと、例えば年収500万円の夫婦と中学生お一人、高校生一人の世帯を例にとりますと、扶養控除の縮減と児童手当及び高校実質無償化によるネットで15・5万円の負担減になるということもあります。
 ですから、先生、例をとりますと、いろいろ家計を直撃だ直撃だとお叱りを受けますが、例えば、今私が申し上げましたように、500万円の方で、夫婦、それに中学生と高校生のお子様を持っている方なんかから見れば、15万5千円の負担が軽くなるという例もあるわけでございます。そういうことから考えますと、先生の御指摘は当たらないのではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 部分的にプラスになるところを無理に合わせると、そういうふうな家計もある。しかし、もっと負担の重い家計もある。押しなべて言いますと、負担が全体としてぐっと重くなる、これが実態なんじゃないですか。
 ですから、いろいろ数字を拾ってきて、大体、中学生、高校生という、普通そういうふうには出さないんですね。大体、小学生とかゼロ歳児とか三歳未満とか、そういう計算をするわけなんです、子育て世帯という場合は。
 ですから、そういう点を考えますと、一番若くて子育てのために大変な負担のかかる世代に対してぐっと重くかかってくるということは、これは事実であります。そういう点をよく見ないと、何かいいところばかりとってきて説明しても、それは通用しません、現実は。
 子育て世代がこういう形になってきますと、なかなか将来明るい見通しが立たないというのが現状であります。
 大体、あなた方も、こう言っていたんじゃないですか。子供の育ち、子供を持ちたい人を阻害しているのは経済的負担だということで、経済的手当てが必要と言っていたんだけれども、結局、今議論をしてきた経緯を見ましても、マニフェストに掲げていた子ども手当は半分しか実行しなかった。それがもとの児童手当に戻って、結局は増税だけが圧倒的に残る世帯がふえた。その上、消費税の大増税、これが追い打ちをかける。こうなってきますと、全体として国民の負担は大変な事態になるわけであります。
 野田内閣がこれからやろうとしているのは、2015年までに消費税の増税で13・5兆円。さらに年金、介護、医療などの負担増、給付減、これを合わせますと、国民負担が新たに20兆円なんですよ。これは歴史上かつてないほどの国民大負担路線であります。
 GDPの6割が家計消費ですから、これだけ家計負担がふえると消費が全体として冷える方向に作用する、そういうふうには思いませんか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 先生、お言葉ですけれども、まず、復興増税とか消費税の問題は、これは別に、子ども・子育て世代だけではなくて全体に及ぶわけですから、子ども・子育て家庭だけ集中的にということではないんですね。全体としての負担。
 それは、歳入の方だけ考えればそういうことですが、同時に歳出ということも考えなければいけないということであります。いや、それはいいんだ、どんどん借金してやればいいんだということであれば、それは次の世代に対して負担をかぶせているわけであります。
 先ほど委員が言われた年金の物価スライドの調整の問題などはその典型であって、それは、今その調整をせずにやっていけば、現世代はいいかもしれませんが、しかし、その分は全部次の世代の保険料を先食いしているということになるわけでありますから、やはりそこは、世代間のバランスということはしっかり考えていかなければいけないというふうに私は思います。
 それから、子ども・子育て家庭に関しても、そういった消費税の引き上げもありますが、同時に7千億円の子ども・子育てについての新しい政策の充実ということもあるわけで、それこそトータルで見てやっていかなければいけないというふうに思います。
 根本的には、やはり借金をしてどんどんやっていくのか、次の世代のことを考えて一定の歳入増もあわせやっていくのか、そこで基本的に分かれるんだろうと私は思っております。
○佐々木(憲)委員 トータルで見て全体がマイナスになる、こういうことですよ。
 何か子ども・子育て世代に集中して衝撃がいくと私は言いましたが、今の説明だと、全体に衝撃がいくわけですね、全体が負担するわけだから。結局子ども・子育て世代に重い負担がかかっていく、そういうことなんですよ。
 ですから、こういう経済的な負担増ということを実際に押しつけているわけで、申しわけないとさっき小宮山大臣は言いましたね。申しわけないほど負担をふやしたわけだから、反省も何もなしに当たり前のことをやっているかのような言い方は、根本的に間違っていると言わざるを得ません。
 大体、20兆円の負担を、消費税の増税が13・5、年金の減額が、もうこれは決まっているんでしょう、2012年6月に2千億円、2012年12月に5千億円、2013年6月に4千億円、2014年6月に4千億円、さらに次の年に5千億円、特例水準の解消などという理由で、ずっと年金の減額が続いていくわけですよ。
 その上に、子ども手当の減額がことしの2月に4千億円。年少扶養控除の廃止など、これによってことしの6月から4千億円。所得税、住民税、この復興増税の名目で4千億円。年金保険料の引き上げ、毎年10月に行われまして、2015年度までには2兆4千億円。医療・介護保険料の引き上げ、2012年の時点で1兆円程度を行う。こういうことになっているんじゃありませんか。
 こういうことを全部決めておいて、20兆円の負担をさせて、それで何か展望があるかのような、消費が冷え込まないというような、それは余りにも開き直り過ぎまして、これはどう考えたって説明がつきませんよ。
 これからどういう事態になるか、各種の予想が出されております。
 大和総研のレポートでは、これらの増税あるいは一体改革によって家計の負担が今後どうなるかを試算しておりまして、例えば、ことしの税制改正大綱試算編というのを見ますと、これは五類型を想定しておりまして、40歳未満単身世帯でマイナス4・78からマイナス4・87、40歳以上片働き四人世帯、6・43%から9・23%のマイナス、40歳以上共働き四人世帯、5・75%のマイナスから7・09%のマイナス、さらに高齢者も、75歳以上夫婦世帯、マイナス7・03%からマイナス7・16%、75歳以上単身女性世帯、7・29%のマイナスから7・43%のマイナスですよ。全ての世帯で、これだけの負担増をしたら家計がマイナスになるという試算が既に出ているわけであります。
 したがって、これだけの負担をふやせば消費を引き下げるという方向になることは明らかじゃないんですか。
○安住財務大臣 まず最初に、私の方から20兆のことについてちょっと反論させていただいて、後で副総理の方からお話しさせていただきたいと思います。
 例えば、先生、13・5兆は全部負担だと言いますけれども、そのうち、例えば2・7兆、これは保育の充実等、子育て世代等を含めて充実に回ります。
 それから、7兆、これは本当に孫子の借金をそのままツケ回していいわけがないですよねということで使うわけですよね。
 それから、4・4兆のマクロ経済スライドの話は、むしろ若い人たちのためにこそ、大変申しわけないんですけれども、やはりこれはやらざるを得ないんじゃないでしょうか。それを次の世代に大きな借金を残したままで、高齢者の皆さんがこれをそのままにしろというふうなことは、日本人の方は思っていらっしゃらないと私は思います。ですから、そういうこともぜひ考えていただかなければなりません。
 それから、年少扶養控除の廃止などの4千億の御指摘についても、これは子ども手当の給付財源に充てられていますから、そういう意味では負担増になるという考え方は、私は少しどうかなと。
 それから、医療・介護保険料の1兆円の引き上げ、これは高齢化に伴う医療、介護の負担増に対応した保険料増でありますから、見合いの給付増がそのまま行きます。
 それから、子ども手当のことについては、8千億円は被害を受けた被災地にこの財源を回しましょうということで三党合意をいたしまして、そういう点からいえば、そういう使い方は私は国民の皆さんに御理解をいただいていると思っております。
○佐々木(憲)委員 しかし、消費税増税プラス負担増をこれだけやっておいて、何かいいことをやったかのようなことを言いますけれども、全然違いますよ。これで消費が全部マイナスなんですよ。
 大体、消費税の増税13・5兆円が、7兆円分ほかの財源に回る、赤字の穴埋めにも使うという話でしょう。全額社会保障に回すと言っていながら、それは国民だましじゃないですか。そのうちの半分以上がほかのところに回る、それだけの話じゃないですか。しかも、それは結局、お金に色がついていないから、例えば軍事予算にも使われる、大型公共事業にも使われる、そういう形でこういうものが消えていくわけですよ。
 だから、この前、私もこの場でやりましたけれども、消費税増税分の6・5兆円が回るんだと言いますけれども、今説明にあったように、消費税引き上げに伴って増加するというのが8千億円あるんじゃないですか。
 しかも、年金の国庫負担二分の1、2・9兆円がこれに入る。これは本来、所得税、住民税の定率減税の廃止によって埋めなければならなかった。あのときの財源は一体どこに消えたんですか。それをどこかに使っちゃって、また今度は消費税を使うなんというのはとんでもない話だ。
 しかも、社会保障の充実に2・7兆円というけれども、この中の7千億円は何に使うんですか。子ども・子育て支援だ。あれは、公的な保育に対する責任放棄じゃないですか。しかも、自分で保育所を探しなさい、自分で契約しなさい、そんな国の責任を放棄するようなことが、何でプラスなんですか。やっていることが全部だめ。本当にこんなことをよくやるもんだと私は思いますよ、20兆円も負担させて。
 そういう状況で、消費が冷えるんじゃないかと聞いているのに、消費が冷えるともふえるとも何とも答えない。質問に全く答えないで、そんなことを幾ら言ったってだめですよ。消費が冷えるのかふえるのか、どっちなんですか。
○安住財務大臣 これは本当に国民の皆さんに誤解を与えるといけませんので、先生、戦車なんか、これで買いません。お金に色がついていないといっても、私が言っているんですから、間違いありませんから。(佐々木(憲)委員「だって、一般会計に入るじゃないか」と呼ぶ)使いません、これは目的税ですから。いや、目的税ですから、お預かりしたお金は、年金、医療、介護と子育てだけなんです。それから……(佐々木(憲)委員「違います。7兆円もあると言ったでしょう」と呼ぶ)いや、天地神明に誓って、そんなことは一切いたしません。ですから、それはちょっと言い過ぎだと思いますね。そうではないんですよ。(発言する者あり)いや、ちょっと、本当に論理飛躍だと思います。
 それから、8千億というのは、それは消費税を上げれば、社会保障関係の公的な経費もやはり値上がりしたりしますから、その分を言っているだけで……(佐々木(憲)委員「プラスにならぬだろう」と呼ぶ)いや、プラスになる、ならないではなくて、それは必要経費としてやむを得ない分はあるわけですよ。
 ですから、そういうことなので、やはりみんなで助け合っていかないと世の中は成り立たないわけですよ、先生。ですから、それはちょっと、やはり目的税の意味というものをぜひ御理解いただきたいと私は思います。
○佐々木(憲)委員 質問に答えないで、全く関係ないことをべらべらしゃべって。
 大体、その7兆円がどこに行くか。お金に色はついていないじゃないですか、そうでしょう。
 13・5兆円を社会保障に使うと言うけれども、今まで社会保障に使っていた7兆円分がところてん方式にぽんとどこかに行ってしまって、それが赤字の穴埋めだとか戦車だとか、そういうものにみんな使われるんですよ。一般会計に入るんですよ。あなた方の数字自体がそういうことを物語っているわけです。
 ですから、ともかく、余り無理な答弁をしても、それはだめです。(安住国務大臣「無理じゃない」と呼ぶ)国民には通りませんよ、そんなことは。消費が冷えるのか、プラスなのかと聞いているんですよ。何でそれに答えないんだ。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 まず、今のお話を聞いていまして、例えば所得税について、復興増税のお話をされました。それは、復興増税自身はかなり長期間ですけれども、復興のために短期間で使われるんです。経済という観点から見れば、むしろプラスであります。
 それから、消費税の話もされましたが、社会保障費の支出が、税ベースでも毎年1兆円ずつふえていくわけです。1年目には1兆円、5年目には5兆円ふえるわけです。そういった支出もふえるということもぜひお考えいただいて、それはトータルで考えなきゃいけないと思います。
 そして、御質問にお答えするとすれば、確かに、消費税を入れれば物価が上がります。したがって、その分、消費がマイナスになるという場面はあります。しかし、その前に、まず駆け込み需要は恐らくある、前回を見ても。そこが少し上がる。しかし、それが反落する。そういうでこぼこはあると思いますが、前回の例を見ても、実は消費の水準というのはそう落ちていない、ほとんど落ちていないというのが前回の教訓でございます。
○佐々木(憲)委員 復興増税については、これは被災者にもかかるんですよ、増税分が。そのことを無視して、何かいいことだ、いいことだと言うのはいかがなものか。その財源は別なところから見つけなさいと言っているわけです、無駄の削減だとか、あるいは下げ過ぎた法人税を下げるのをやめなさいとか。我々の言っていることに何にも耳を傾けないで、何で国民の暮らしを直撃するような増税をやるんですかということを言っているわけです。
 それから、駆け込み需要があって確かに一時はふえる。しかし、その反動減が起こる。反動減が起こった後はどうなるんですか。ぽんともとに戻るんですか。そんなことはありません。それは、反動減になったら、消費税増税分、負担増分、20兆円分の国民からの所得移転が起こって、それがずっと固定化するわけですよ。
 したがって、例えば日興証券の増税影響試算によりますと、消費税増税の経済産業へのインパクトということしの2月のレポートですけれども、二回の消費税率引き上げで2014年から経済成長はマイナスに落ち込んだまま戻らない、2013年度は確かに駆け込み需要が発生するけれども、2014年、2015年と反動減が発生し、その後は消費税引き上げなどで恒常所得が減り、それはその後も続く、こういうふうに言っているんです。
 だから、何か楽観的なことを言っていますけれども、これはもっと深刻な事態になる。政府はマクロ経済についてのいろいろなシナリオというのを出していますけれども、これは大体楽観的過ぎますよ。
 例えば成長戦略シナリオというのを見ますと、2011年度から2020年度の平均成長率は、名目3%程度、実質2%程度とされております。とてもこうなるとは思えない。どうですか。
○安住財務大臣 ですから、駆け込みがあった後にがくんと落ちるじゃないかという話なんでしょう、先生。(佐々木(憲)委員「もちろんですよ。もとに戻らない」と呼ぶ)しかし、実はそれは、一定期間をならしてみればお互いの効果が相殺されるという意見もあるんです。だから、その経済学者の方がおっしゃっている話と、例えば97年のときのことを例にとれば、それは、お互いそのプラスマイナスはならされて、一定の安定を保つという意見もあるんです。
 おっしゃるとおり、所得の効果はマイナスの効果になります。それは私も全く否定はしません。ただ、その分、社会保障の充実という効果もあるんですよ。(佐々木(憲)委員「充実にならないよ」と呼ぶ)ありますよ。だってここでは、それでさらに、非ケインズ効果の議論もさんざんここでやっているわけですね。
 ですから、そういう点では、マイナスの面だけを取り上げるのも逆に私はどうかと思うし、もう一つ言わせていただくと、では、財政が悪化して金利が上昇したら、企業経営そのものも圧迫されるんですよ、先生。そういう状況にならないためにも、やはり、社会保障は一番多い歳出なんだから、その部分の財源を手当てすることは財政再建にもつながるわけだから、そういうところの大きな点も見ていただかないといけないということです。
○佐々木(憲)委員 大きな点を見たらマイナスだと言っているんですよ。大体、社会保障は充実だ、充実だと言うけれども、年金はふえるんですか。医療の負担は減るんですか。医療だって、窓口負担がふえるじゃないか。そういう計画でしょう。年金もどんどん毎年下げていく計算じゃないですか。何でそれがプラスになるんだ。全然だめだよ、それは。
 それから、見通しの点について言うと、全く、政府の見通しというのは全部外れですよ。
 例えば、2005年に発表された名目GDP予測、これを一つ取り上げますと、2010年度が597兆円となっていたんです。2012年度が645兆円になるはずだったんです。
 実際はどうだったか。2010年度の名目GDPは479兆円で、120兆円少なかった。2002年度から2012年度までの11回の予測を見ますと、全て名目GDPは大きく上昇することになっていたんですけれども、これらの予測は一度でも当たったことがありますか。
○古川経済財政担当大臣 委員もおわかりになって聞いていらっしゃると思うんですけれども、経済見通しというのは、別に何か、数字が当たらないと外れだ、当たりくじと外れくじがあるとか、そういうものではないというものであります。
 その時点の経済状況からどれくらいのものが予測できるかという見通しを立てていく。その結果が実際の数値とどうであったかということは、それは当然、確かに全く同じになったことは、今御指摘の11年間ではございませんけれども、前後0・1ぐらいで非常に近いところであったということもあります。
 ただ、これは見ていただくとわかりますけれども、国内もそして世界も、経済のトレンドが比較的安定している、そういう状況のときには、大体見通しと実際の実績にそれほど大きな差はないというので出ています。しかし、リーマン・ショックがあるとか、大きな変動が起きたときには、それはやはり、どうしてもずれが出てくるというものであります。
 もちろん、私どもとしては、できるだけこうした見通しが実際に近いようになるように精査、努力はいたしておりますけれども、そもそも、何か当たりとか外れとか、そういう話ではなくて、今のこの時点の状況から見通して、どういう経済の状況になるだろうか、私どもがやっている政策の効果、そういったものを踏まえて見通しというものを示しているものでありますので、そうした視点で考えていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 11回の予測は全部外れたわけですが、確かに見通しですから、当たったり外れたりするというのがあるのは、一般的にはわかりますよ、一般的には。しかし、極端に予測の方が上振れしているわけですよ。現実は、必ず予測よりも低いんです。
 大体、予測よりも実態はそれより上だったという事例は、この11年、一回でもあるんですか。
○古川経済財政担当大臣 2010年で申し上げますと、見通しは1・4%、これは実質ですけれども、実績は3・2%ということであります。ですから、実績の方が上回っている、そういう例はございます。
○佐々木(憲)委員 名目ですか、実質ですか。
○古川経済財政担当大臣 名目であれば、2010年は見通しが0・4%、実績が1・1%で、上回っております。
○佐々木(憲)委員 一回だけですね。では、ほかはどうですか。
○古川経済財政担当大臣 先ほど言われました2002年から2011年まで言いますと、三回でございます。
○佐々木(憲)委員 だから、予測はほとんどが上振れしているわけでありまして、名目GDPが変われば税収は大きく変わるということで、大体、政府の予測というのは、政策的な、あるいは政治的な意図を非常によく反映しておりまして、そういう意味では、税収を高く高く見積もるために、現実の経済の実態と全く違う予測が行われ、実際には税収が減っていく。
 根本的に言いますと、政策の中心が家計消費をどう温めるかというところに置かれていないというのが最大の問題であります。
 大体、大企業に減税したら賃金が上がって消費が上がるなんということはあり得ないんだよ、実際に。今、賃上げの率だって非常に低いわけですよ。この10年間、実質的には、統計上、労働者の所得は下がっております。大幅に下がっているんです。
 ですから、減税を大企業に続ければ続けるほど、大企業の内部留保がたまる一方でありまして、白川日銀総裁も、手元資金は大企業の場合は大変潤沢である、潤沢であるんだけれども、問題は使い道がないことだ、こういうふうに言っているわけであります。
 したがって、そういうところに着目をして、ちゃんと資金のあるところに税金を払ってもらう、そして、お金のないところからはむしり取らないということが必要だということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

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