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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), 医療・介護・年金 (消費税, 災害支援)

2011年04月30日 第177回 通常国会 財務金融委員会 【606】 - 質問

年金財源「消費税含む税制改革で」と財務大臣が答弁

 2011年4月30日、財務金融委員会で、財源確保法案が審議され、佐々木憲昭議員が質問に立ちました。
 この日の佐々木議員の質問に対し、野田佳彦財務大臣は補正予算の財源として転用された基礎年金の国庫負担引き上げ財源の穴埋めとして、消費税増税を含む「税制抜本改革」で財源を得ることを明言しました。

 野田大臣は、年金財源について、「6月に成案を得る『社会保障と税の一体改革』の中でまとめる消費税も含む『税制の抜本改革』を安定的な財源にするということだ」と表明しました。年金財源の穴埋めを口実として、消費税増税をすすめる考えです。
 佐々木議員は、「消費税増税路線にすすむ危険を感じる。そういう道に進むのは反対だ」と批判しました。

 また、佐々木議員は被災者の相続税について、「地盤沈下や水没などで価値がなくなった土地については免除せよ」と要求。国税庁の田中一穂次長は震災特例法によって「一定の地域の土地は震災後の基準で評価できる。地域の実情、被害の状況を適切に反映して評価する」とのべ、評価方法については今後検討すると答えました。

 佐々木議員は原発事故についても震災特例法や災害減免法を適用するよう求めました。
 田中国税庁次長は「原発事故の警戒区域などの土地も同様に評価する」と答弁。災害減免法の適用については「ただちに適用にならない」としたものの「今後の対応の仕方を見ながら検討する」と述べました。

 質疑の後、財源確保法案は採決され、全会一致で可決。採決に先立ち、佐々木議員は討論を行いました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 地震発生から50日以上過ぎました。今なお13万人を超える被災者が避難生活を強いられております。緊急支援を強めまして、被災者が、マイナスからというのではなく、せめてゼロからスタートできるようにしたい、この声にこたえるべきだと思っております。生活、営業の再建に集中できるようにしなければならないと思うんです。
 今回の第一次補正予算案は、私は、まだ必要最小限のものであって第一歩であるというふうに考えております。さらに拡充が必要だと思いますが、まず大臣の認識をお聞きしたいと思います。
○野田財務大臣 佐々木委員御指摘のとおり、今回の補正は、早期復旧に向けて今年度中に支出が見込まれる事業を対象にしてつくった予算でありまして、本格的な復興も含めるとやはり複数回の予算編成はしなければいけないだろう、その意味では初めの一歩ですが、これは大事な初めの一歩というふうに理解をしています。
○佐々木(憲)委員 そこで、今回提案されておりますのは、政府自身が基礎年金の国庫負担割合を2分の1にするための財源に充てるとしておりました埋蔵金約2兆5千億円、これを震災対応のために転用するというものであります。
 しかし、なぜ年金財源に目をつけたのかというのが大変大きな問題点でありまして、財源はほかにもいろいろあるんじゃないかと我々は指摘をしてまいりました。この場でも、法人税減税、これを中止するとか、あるいは、証券優遇税制の延長を中止して、大型公共事業、例えばダムだけでも今年度予算2400億円というような、不要不急の大型事業を中止して回すとか、あるいは米軍に対する思いやり予算とか政党助成金とか、我々はずっと指摘してきたんです。残念ながら全く考慮されておりません。
 そこで、この埋蔵金を回した後に年金財源は穴があく、それを最終的には何によって埋めるのか、これはどう考えておられるのでしょうか。
○野田財務大臣 2・5兆のいわゆる臨時財源を年金に充てるのではなくて、震災対応に使わせていただくということでございますが、その穴埋めは税制の抜本改革によって安定的な財源を確保して対応する、そういうことになっております。
○佐々木(憲)委員 この税制抜本改革というのは、消費税を含む税制抜本改革、つまり消費税の増税もあり得る、そういう内容だという認識なんでしょうか。
○野田財務大臣 この6月に社会保障と税の一体改革の成案を得ることになっています。その中でまとめる消費税も含む税制の抜本改革、それを安定的な財源にしていくということでございます。
○佐々木(憲)委員 我々は、この埋蔵金を震災支援に回す、これ自体に何か反対だということではありません。しかし、その後の穴埋めを何によって行うかということになりますと、今おっしゃいましたように、消費税を含む税制抜本改革、こうなりますと、これは消費税増税路線に近づいていく、それに乗っかってしまうという危険性を感じるわけなんです。
 したがって、そういう道に進むのには我々は反対であります。別な財源を持ってくるべきだというふうに指摘をしておきたいと思うんです。
 さて、そこで、少し具体的な震災支援の税制問題について触れたいと思いますが、相続税の問題なんです。先日、震災特例法が採択されましたが、相続税に係る措置もとられました。この内容を簡単に説明をしていただきたいと思います。
○田中政府参考人(国税庁次長) 震災の特例法が先日成立したわけでございますけれども、土地等を相続により取得しまして、震災の発生日前に相続税の申告期限が到来している場合、あるいはその震災の発生の後に相続税の申告期限が到来している場合、幾つかの例があるわけでございますけれども、今回の震災特例法によりますと、震災の発生日以後に相続税の申告期限が到来した者が取得した土地につきまして、これは一定の土地に限定しておりますが、震災の後を基準とした価額により評価することができるというふうに対応しております。
○佐々木(憲)委員 まず、建物についてお聞きしますけれども、今回の震災で、津波で全部流されてしまった、あるいは全部焼けてしまった、そういう被災の状況が明らかであれば、被害相当部分は税額免除となる。しかし、一見きれいにまだ建物は残っているように見えても、地盤沈下で傾いているというような場合、実際には使えない、そういう被害も想定できますけれども、この被害の判断、これはどういうふうに考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○田中政府参考人 先ほど申し上げました震災特例法によりまして、一定の土地等についての判断をするということでございますけれども、建物につきましては、災害の減免法の適用がございまして、納税者の便宜等の観点から、被害を受けた部分の価額の合理的な計算方法を作成しまして、現在、国税庁のホームページでそれを明らかにしております。
 これが適用になりますと、例えば、先ほどの相続税の申告の期限の前に災害があった場合には、その相続税の課税対象から減額されますし、あるいは、申告の期限後に災害があった場合には、さきに計算しました相続税額からその額を免除するということになります。
○佐々木(憲)委員 次に、相続する土地の問題なんですが、土地が災害減免法の対象にならないために、震災後の評価額をどういう基準で算定するかがポイントとなるわけです。地盤沈下したような土地を相続した、そういう場合、実際にはもう使えない。水没しているというような土地もあります。そういうケースも想定されて、売却することも利用することもできないような、そういう事実上価値のない土地、それは当然、評価額はゼロになると思うんですが、いかがでしょうか。
○田中政府参考人 お答えをいたします。
 先ほどの答弁の中で申し上げましたように、震災特例法によりまして、一定の地域の土地等については震災が起きた後を基準とした額により評価することができるとされております。今御指摘のありましたような地盤沈下した土地などにつきましても、震災の後を基準とした価額について計算をすることになりますけれども、他の被災した土地等と同様に考える必要があると考えておりまして、地域の実情ですとか被害の状況を適切に反映して評価することとなります。
 この具体的な評価方法につきましては、今後、国税庁におきまして、震災後を基準にした価額を簡易でかつ明確に評価するための方法について明らかにしたいというふうに考えております。例えば、阪神・淡路大震災の際には、これは平成7年の1月17日に震災が起こっておりますけれども、8月の17日段階で、被災した地域の土地についての評価方法につきまして一定の計算方法を示しております。
○佐々木(憲)委員 現時点で資産価値がゼロというようなものであるなら、私は、相続税はこれはもう免除する、ゼロにするというのが当然だと思っております。
 それから次に、今度は原発に関連した問題です。
 つまり、福島第一原発の事故によりまして避難せざるを得ない、例えば20キロ圏の中にはすぐは戻れない、そういう状況であります。立ち入りが禁止されている警戒区域などに指定されている建物や土地、その場合は、実際には利用できないわけですから、これは原発事故による災害でありますが、当然、災害減免法の対象になるはずだと思うんですが、いかがでしょうか。
○田中政府参考人 先ほどからの御説明として二つの制度がございまして、震災特例法の方は、震災後を基準とした価額により評価することができることとなっております。この評価につきましては、今の福島第一原発の一定の地域、警戒区域等の土地についても同様にその評価をする必要があると考えておりまして、先ほど申し上げましたように、今後、国税当局におきまして、震災後を基準とした価額をどういうふうに計算するかというのを示したいと思っております。
 それから、今先生御質問のございました災害減免法の方でございますが、これは法律の趣旨が、先ほど先生からもお話がございましたが、いわゆる物理的な損失を対象にしておりまして、したがいまして、相続または贈与によりまして取得した土地が福島県の一定の地域に存在することをもって、直ちに災害減免法四条の規定が適用されるものではないというのが私どもの考え方でございます。
 ただ、今後、福島の原子力発電所に係るさまざまな対応の仕方が動いていくと思います。まだ収束はしていないわけでございますけれども、その対応の仕方を見ながら検討してまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 この災害減免法の第一条には、「震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害」というふうに書かれているんですね。その場合、被災者の納付すべき国税の軽減もしくは免除というふうになっておりまして、つまり、「その他これらに類する災害」、今回は、地震と津波、それによって原発事故が引き起こされてきた、一連の災害の一環としてこの原発の放射能漏れというのが起こって、その結果、もとに戻れない、当面はそういう事態になっているというわけですから、これは、その他に類する災害ということに当てはまるのではないかというふうに私は思っております。
 今後、検討の対象だということのようですので、ぜひ検討を加えていただきたいと思います。
 それから、土地の相続ですけれども、相続税の場合は、震災特例法の震災後の評価額というのはゼロになるというようなことが、警戒区域が今後継続していった場合に考えられる。こういう場合、原発のこの警戒区域が長期化した場合に、相続税は免除されるということが私は当然だと思うんですけれども、こういうのはどうなりますでしょうか。
○田中政府参考人 お答えします。
 今、先生の方からの御質問は、震災特例法によりまして、震災後を基準とした価額により評価するというふうになっておりますが、この震災後を基準とした価額をどのような形で算定するかというのがポイントでございまして、福島の第一原発の、例えば20キロメートル圏内の警戒区域の土地等の震災後を基準とした価額については、これは、その地域の事情、それから個々の土地の被害状況を適切に反映する必要がございます。
 そこで、先ほど申し上げましたように、その算定の仕方につきまして、今後、国税当局において、それを簡易かつ的確に評価するための方法を明らかにしたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 これに関連して、最後に大臣に、こういう形で、今回は、地震、津波、原発事故、三つの災害が重なって、非常に複雑な状況が現地に起きております。従来の法体系では対応し切れない事態になっているわけですね。相続税一つとりましても、原発事故を前提とした相続税の減免なんというのは、今まで全く法律の対象外だったはずであります。
 したがって、私、現実の土地建物の価値というものが、評価額が、実際上、今もう使えないわけですから、そういう状況にあるわけですから、当然相続税は減免する、あるいはゼロにする、こういう発想で問題をとらえる必要があると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○野田財務大臣 従来の法律で想定をしなかった部分が出てきていると思います、今の御指摘の災害減免法を含めて。基本は、やはり被災地、被災者のお立場をよく踏まえた対応をするということが大事だと思いますので、そのことも含めて検討させていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 では、次に、仮払いの問題なんですけれども、これは東電が現在窓口になりまして、仮払いが行われております。これは、原発被災者に対する緊急支援という形であります。
 この手続、このことについて、本人が申請するのか、それから対象はどういうことになるのか、この点について説明していただきたいと思います。
○田嶋経済産業大臣政務官 御答弁申し上げます。
 対象ということでございますので、基本的に、国が定めた範囲、具体的には計画的避難区域等の範囲に入っている世帯単位にお支払いをするということでございます。100万円ということでございますけれども、単身世帯は75万円ということで行うということで、全体的には大体5万世帯というふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 この5万世帯というのは、自治体ごとの世帯数を言っていただきますとどういう形になりますでしょうか。
○田嶋経済産業大臣政務官 お答え申し上げます。
 5万世帯でございますが、避難者の数で申しますと……(佐々木(憲)委員「自治体ごとの世帯数」と呼ぶ)世帯数、自治体、少々お待ちください。
 失礼いたしました。5万世帯のうち、最大は南相馬市で、およそ2万世帯ということでございます。それから順番に、多いところといたしましては、浪江町が7千世帯超でございますが、富岡町が6千世帯超ということで、その他、13の自治体に分かれてございます。なお、いわき市に関しましても、約700世帯が入ってございます。
○佐々木(憲)委員 問題は、この5万世帯が対象になるということはわかっているわけです。各自治体ごとの世帯数もわかっているわけです。しかしながら、この方々が強制的に避難をしなさいということで退去させられているわけですが、避難所にいれば把握しやすいんですけれども、しかし、今や、全国につてをたどって親戚や知り合いに身を寄せているという方がたくさんいらっしゃるわけです。
 そうしますと、その方々に支払いをするといっても、どこに住んでおられるのかがなかなかわからないということが多いのではないかと思うんです。その点は、どういう形でこの5万世帯の方々すべてに渡すように考えているのか、されているのか、お答えいただきたいと思います。
○田嶋経済産業大臣政務官 お答え申し上げます。
 おっしゃっていただきましたとおり、遠くに離れて避難されている方も大勢おいでということでございますので、関係する自治体が大変多くございます。
 そういう意味では、まず東京電力におきましては、それぞれの市町村の協力を得ながら、4月20日以降、県外も含めまして、避難先の市町村庁舎や主要な避難所における説明会を精力的に実施してございます。また、各地方新聞等への広報掲載も行ってございます。
 具体例を挙げますと、一番避難者の多いところでございますが、南相馬市の避難者に対しましては、これまで、群馬県、長野県、神奈川県、茨城県、そして南相馬市そのものでの説明会を開催しておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 この避難先でかなり多いと私が感じておりますのは、例えば東京とかあるいは関東圏、こういうところに避難されている方が結構多いと聞いているんです。
 それで、申請している方々の現在住んでおられる住所、これで一番多いところはどの辺になるんでしょうか。
○田嶋経済産業大臣政務官 現在避難されている場所で一番多いのは新潟県でございまして、およそ7800名でございます。
○佐々木(憲)委員 この新潟県での例えば説明会とか、先ほどの説明の中にはありましたか。
○田嶋経済産業大臣政務官 新潟県も、先ほどは南相馬市のケースとして幾つかの県を申しましたけれども、新潟県でもやっております。
○佐々木(憲)委員 できたら東京でもやった方がいいと私は思っております。
 それからもう一つは、そういう仮払いが行われているということを知らずに避難されている方がいらっしゃるんじゃないか。その場合には、当然、広報が大事だと思います。
 今、地方新聞というお話もありましたが、やはり、新聞、テレビ、特に大きな媒体を利用した周知徹底ということが大事だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○田嶋経済産業大臣政務官 新聞、テレビ、ラジオ、いろいろでやらせていただいてございますが、政府といたしましても、例えば、官邸ラジオというのがございまして、「震災情報 官邸発」ということで、枝野官房長官が発信をさせていただいてございます。
 また、東京電力から、各地方広報活動でございますけれども、例えば今御指摘いただきました新潟県でも、新潟日報新聞に掲載記事を載せていたり、そういった例はたくさんやっております。
○佐々木(憲)委員 申請書を発送していると思うんですね。発送したその数、それから、避難されている方から実際にその申請が行われてきた数、そして、実際に支払われた数、それぞれ数字を言っていただきたいと思います。
○田嶋経済産業大臣政務官 現在、およそ5万世帯と申しましたけれども、配付をしておりますのは、4月29日までで5万1千世帯分を配付いたしております。そのうち、1万2千を回収済みで、5千が事務処理を開始し、全体世帯数の1%弱でございますが、470世帯分が今現在で振り込み済みでございます。
○佐々木(憲)委員 もう時間が参りましたので終わりますが、これは、周知徹底すると同時に、最後まで、そういう方々に渡るようにすることが大事だと思いますので、ぜひ徹底してやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

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