2011年02月25日 第177回 通常国会 予算委員会第5分科会 【592】 - 質問
有害物質PCBの無害化処理、雇用促進住宅について質問
2011年2月25日、佐々木憲昭議員は、予算委員会の第5分科会で、有害物質PCBの無害化処理と、雇用促進住宅について質問しました。
佐々木議員は、有害物質PCB(ポリ塩化ビフェノール)の無害化処理について、事業仕分けで処理基金を削減したことを批判し、「進まないのは、中小企業の負担が重いからだ」と指摘。中小企業への補助率をいまの「費用の7割」から9割に引き上げるなど、促進策を求めました。
内閣府の園田康博政務官は「まさにご指摘の通り。(処理を)加速化する方策を考えていく」と答弁しました。
また、佐々木議員はPCBを含む液体が床にあふれるなどの事故で豊田PCB廃棄物処理施設が操業停止した問題に触れ、正社員の退社後に派遣社員が指揮・労働している実態を告発しました。
環境省は「JESCO(日本環境安全事業)の自律的対応にゆだねるべきもの」と答え、非正規労働者・派遣労働者の割合も把握していないことが明らかになりました。
佐々木議員は、労働実態を把握し、安全性について指導すべきだと主張しました。
細川律夫厚生労働大臣は、「実態を把握し、もし健康上の問題があれば厳正に対処していく」と答弁しました。
また、佐々木議員は、自公政権が全廃を閣議決定した雇用促進住宅(現在13万戸)について、「派遣切り」された人を受け入れるなど役割がますます重要になっていると指摘し、「現に人が住んでいるのに、10年後に廃止するというのは無理がある」と述べ、廃止計画を見直すよう求めました。
細川律夫厚生労働大臣は「住んでいる方の安全、安心を考えていかなければならない」と答えました。
議事録
○佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
PCBの処理問題、このことについてきょうは聞きたいと思います。
PCB、ポリ塩化ビフェニル、これは毒性が極めて強く、慢性的な摂取で体内に徐々に蓄積され、さまざまな症状を引き起こすものでございます。今、国の監督下で、日本環境安全事業株式会社、JESCOが全国五カ所にこのPCB廃棄物処理施設を設置しまして、PCBの処理を行っております。
まず、環境省に確認しますが、このPCBの無害化処理はいつまでに完了する予定か、全体の処理目標に対する現在の到達率、今後の見通し、お聞きをしておきたいと思います。
○樋高環境大臣政務官 お答えさせていただきます。
PCB特別措置法におきましては、もう先生御案内のとおりでありますけれども、PCB廃棄物の保管事業者が平成28年7月までの期間内に適正処分しなければならないとされているところでございます。
PCB廃棄物におきましては、大きく三つに分かれるわけでありますけれども、PCBを使用した高圧のトランスなど、そして、その他安定器や感圧複写紙などの汚染物質、そして三点目といたしまして、PCB特措法施行後にその存在が明らかになりましたケーブルなどの微量PCB汚染廃電気機器などと大別をされるわけでありますけれども、安全性に十分配慮した上で、それぞれのPCB廃棄物の特性に応じた最適な処理体制の整備、処理の推進を図るための取り組みを進めているところであります。
このうちの高圧トランスなどにおきましては、今先生おっしゃいましたとおり、日本環境安全事業株式会社、JESCOでございますけれども、全国に五カ所の拠点的広域処理施設で処理が行われておりまして、年々処理実績を増加させているというところでございます。
平成21年度末までの累積処理台数は、トランス類が約4400台、コンデンサー類が約1万3700台となっておりまして、JESCOの登録台数に占める割合はそれぞれ、トランス類が約25%、そしてコンデンサー類が約20%となっているところでございます。
JESCOでは、周辺地域の安全、安心の確保を大前提とさせていただきまして、地域の方々の理解をしっかりと得ながら、処理効率の維持向上を図ることにより、できるだけ早期に処理が完了できるよう、全社を挙げて最大限の取り組みを行っているというところでございます。
環境省といたしましても、まず安全性を十分に配慮した上で、PCB廃棄物の処理の推進を図ることにより、期限内処理に向けて全力を尽くしてまいりたい、このように考えています。
○佐々木(憲)分科員 この危険な物質を処理するわけですから、細川大臣に確認しておきますが、それに携わっている労働者の労働実態、これをよく把握するということ、それから労働者の健康、安全、ここに十分に注意を払うということは当然だと思いますが、いかがでしょう。
○細川厚生労働大臣 今、佐々木委員が御指摘になりましたように、こういう有害物質を取り扱う事業場、ここで働いている人たちの健康というものは最も重視されなければいけないというふうに思っております。そういう意味では、労働者が特殊健康診断を受診しているかどうかということについては、厚生労働省としては、重点的にしっかり確認をいたしまして、不適切な事案がございましたら厳正に対処したいというふうに思っております。
○佐々木(憲)分科員 そこで、PCB廃棄物対策推進費補助金、PCB処理基金とでもいいますか、こういうものが設置されております。この基金は現在幾ら積み立てられているか、それを確認したいのと、それから、昨年の秋の事業仕分けで積み立てが減らされたというふうに聞いておりますが、その理由はどこにあるのか、お聞きしたいと思います。
○伊藤政府参考人(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) PCBの廃棄物処理基金につきましては、全体560億円を目標に基金を積み立てているところでございまして、現在までのところ400億円、国と県の両方で積み立てているところでございます。
○園田行政刷新大臣政務官 私の方から、昨年の11月に行われました事業仕分けの第三弾におけるこのPCBの補助金について、見送りになった理由はいかんということでお尋ねがございました。
これについては、先ほども少しお話がありましたけれども、本補助金は、独立行政法人環境再生保全機構のPCB廃棄物処理基金に積み立てを行うために、毎年度、国庫からは20億円を支出するものでございまして、同基金には、先ほどちょっと、22年度末なのかちょっとわかりませんけれども、私どもは、21年度末ということで、残高については341億円というふうに伺っているところでございます。このことを昨年、その残高を踏まえて、当面、基金に対する支出をどうするのかという問題意識から議論がなされたということでございます。
評価者からは、例えばPCB処理を予定どおり処理することは当然であると。先ほど環境省樋高政務官からも御答弁がありましたように、この安全性をしっかりと担保していかなければいけないということでございますので、これはもう当然である。その一方で、毎年20億円を積み立てるべき今日時点での合理性というものが果たしてあるのかということの御指摘や、あるいは、中小企業におけるPCB廃棄物処理を加速化しなければいけないんだということでございますけれども、その方策がなかなか見えてこないというところでございましたので、そういったところでの基金の積み立てというものは停止すべきではないかとか、あるいは、国が出す分については、国債の利息でございますので、これが必要になってまいります。必要なときに手当てすればよいのではないかというようなコメントがあったことは確かでございます。
その上ででございますけれども、このPCB廃棄物処理と対策は当然必要であるというところではございますけれども、中小企業におけるPCB廃棄物処理の加速化が見られないままでの漫然とした積み立てについては、予算計上は見送りとの評価結果が出されたということでございます。
○佐々木(憲)分科員 大体、その処理をするのに必要な基金、それを積み立てていたのに、漫然とという理由で減らすというのは、私は理解できません。なぜかといいますと、中小企業が保有しているPCBの量というのは大変な量がございます。なぜ進まないのか。それは、中小企業にとっては、JESCOに持ち込む、持ち込んだときに費用がかかるわけですね。それを7割国が補てんをする。3割負担しなきゃならないんです。したがって、この3割の負担が今の不況の中で大変だと。したがって、それが停滞して、なかなか前に進まないわけです。
そういうところが一番の進まない理由なのであって、そうなると何が必要かというと、ここの事業仕分けでもコメントが評価者から出ておりますけれども、補助率が現行の7割、これを特別に9割になるように期限を設けて受け付けるといったような対策が必要ではないのかと。私は、非常に積極的な提案だと思うんですね。つまり、負担が重いから進まないわけであって、基金はたまっている。その現状を放置というかそのままにしておいて、お金は国から入れないんですと。一体、PCBの処理はどうなるんだという話なんですね。
だから、加速するためには、有効にその基金を利用して、中小企業の負担を軽減して促進させる。これはいいコメントが出ているわけだから、ちゃんと検討してそういう方向に進むというのが必要なんじゃないんですか。
○園田行政刷新大臣政務官 まさしく委員の御指摘のとおりであろうというふうに思っております。
したがって、そういった加速化をする方策を少し環境省さんが中心となって考えるべきであるということをこの事業仕分けの中で、いわば予算計上見送りというのは大変厳しい評価でありましたけれども、しかしながら、それによってきちっと、方策を今のままでいいのかというところを問題の指摘という形で私どもからさせていただいたというふうに御理解いただきたいと存じます。
○佐々木(憲)分科員 前に処理が進むように、これは目標があって、その目標が今のままだと到達できない、達成できないんじゃないか、大方の見方はそういうふうに見られているわけです。ほかの世界の国々はもう達成したとか、ほぼ完了というところに進んでいるのに、日本だけが進まないというのでは、これはやはりネックをちゃんと改善して、加速するようなそういう方策をきちっとやっていただく。今、そういう前向きの答弁ですので、ぜひそういうことでやっていただきたいというふうに思います。
それから、私は、このJESCOの五つの事業所のうちの一つであります豊田の事業所にも伺いまして、実情を聞きました。
ここで実は、去年の11月に、PCBを含んだ液体が床に滴り落ちるという事件がありまして、12月になってようやくそれが明らかになって、それを契機にそれ以前のものも、設備の誤動作というような事件も明らかになる。こういうことで、PCBを含んだ液体が容器から床にあふれ出る事故がさらにまた発生する。そういうことで、この会社は1月から操業停止という事態になっているわけです。
これは非常にゆゆしき事態でありまして、要するに、この事業というものをだれが運営しているのか、実態はどういうところにあるのか。
これは、聞いてみますと、非正規労働者の数が非常に多いんです。入れかえが非常に激しいものですから、技術の蓄積あるいは知識の蓄積というものが十分行われないまま人がかわっていくということがあります。
それで、私がこの豊田の事業所で聞いたところによりますと、大体定時で正規社員の方はみんな帰ってしまうわけです。後は、操業は派遣社員がやっている。しかも、その派遣社員が、こういう事故が起きたときにそれを指揮するのも派遣社員で、実際にこの液体が漏れて、非常に少量ですけれども、後でPCBも含まれているということがわかる。それをその事故が起こった直後にバケツで受けて、あるいはぞうきんでふく、こういう作業をやるわけですね。ですから、これは大変ゆゆしき事態なんです。
そこで、私はこの実態というものを、先ほど細川大臣は、正確に実態を把握して、安全第一でやらなければならぬと。私もそれはそのとおりだと思うんですが、現実にこういうことが起こっているときに、やはり正規のしっかりした指揮系統がないといけないというふうに思うわけです。
環境省に伺いますが、現在、非正規労働者というのは全体の中でどのくらいの比率なのか、それから派遣社員はどうなっているのか、数字をお答えいただきたい。
○樋高環境大臣政務官 日本環境安全事業株式会社、JESCOでございますけれども、これは、旧環境事業団で実施してまいりましたPCB廃棄物処理事業を特殊会社化することによりまして発足をした会社でございます。その趣旨にかんがみますれば、JESCOの各事業所に勤務する従業員構成に関しましては、JESCOの自律的な対応にゆだねるべきものであるというふうに考えているところでございます。
そのため、環境省といたしましては、お尋ねの従業員構成については把握をしていないというのが状況でございます。
○佐々木(憲)分科員 国の、いわば国策の監督下のもとで会社がつくられ、それでその労働の実態がどうなのか、労働者のうち非正規が何人かということも把握していない。大体、それはおかしいんじゃないですか。そういうものを把握して、どういう訓練が行われ、どういう教育が行われているのか、安全はどうなのか、こういうことをきちっと指導しながらPCBの処理の加速を行う、これが基本だと思うんですけれどもね。
大臣、この点について、やはりしっかり把握して対応するというのが当然だと思いますが、どうですか。
○細川厚生労働大臣 厚生労働省としては、労働者が安全に仕事ができるということ、これはしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思います。
先ほども申し上げたように、有害物質を扱うそういう事業所では、その従業員が健康を害さないようにということで、厚生労働省としては、安全衛生の立場から、きちっと基準局の方でそういう指導をさせていただいておりますので、そういう意味で、その実態も把握していると思いますし、もしそういう健康に関しての落ち度があれば、しっかりそこは私どもは厳正に対処していく、こういうことを申し上げたところです。
○佐々木(憲)分科員 環境大臣政務官の樋高さんは、今こういう状況の中で、実態を正確に把握して適切な指導を行うというのは当然なんです。把握しないのが当たり前みたいな、それはまずいんじゃないですか。少なくとも、労働実態がどうなのか、安全性、それから処理の管理体制、こういうものを把握する、これは当然だと思いますけれども、いかがですか。
○樋高環境大臣政務官 繰り返しで恐縮でございますけれども、今先生お尋ねなのは、JESCOに聞けば把握できるのではないかというお尋ねではないかというふうに思うわけでありますけれども、私どもといたしましては、あくまでもこれは民間会社であります。国出資とはいえども、株式会社である以上、その自律性にゆだねるべきものである、このように考えております。
○佐々木(憲)分科員 だめだ、そんな答弁では。
大体、国が計画をつくり、処理の目標を決め、そして国が出資して会社をつくっているんですから。そういう会社がどういう労働者を雇って、どういう管理をやっているのか、そういうものを把握できないなんというような環境省は何をやっているんだ、こういうことになりますよ。私は、徹底してこれは是正を求めたい。
それから、細川大臣には、以前に参議院で紙智子参議院議員が、北海道の事業所について当時長妻大臣に、試運転のときから働いている派遣労働者のことについて、特殊健診というのは一度も受けたことがないとか、血液検査の回数も正社員より少ない、そういう声を聞いたのでただしたところ、現場で適切に健診が実施されているのかいないか、実態を一度把握してみたい、その結果、適切な指導がなされていないということになれば、そういう指導をしていきたい、こういうふうにお答えになっているんです。
これは、実際には結果はどうなったんでしょうか。
○小林厚生労働大臣政務官 事実、結果についてですので、私の方からお答えいたします。
佐々木委員御指摘の事業所については、昨年5月の紙智子議員からの御指導を踏まえまして調査をいたしました。その結果、特殊健康診断を実施していないような適切な事案は把握していない、こういうことでございます。
○佐々木(憲)分科員 把握していないというのは、どこからのお話ですか。
○小林厚生労働大臣政務官 失礼しました。
先ほど、特殊健康診断を実施していないような不適切な事案は把握していない、こういう結果でございました。
○佐々木(憲)分科員 これは、実際に労働者の話を聞いておるんです。ですから、その労働者はもう派遣労働者でやめちゃったのかもしれませんけれども。そういう実態をやはり国として正確に把握する、そういう体制が必要なんですよ。何人いるか、どういう人がいるかわからぬというんじゃ、それは健康の実態だってわからないことになっちゃう。つながっていくわけですからね。ですから、そこはちゃんと正確に実態を把握して適切な対応をする、これは基本だと思うんですけれどもね。どうですか。
○細川厚生労働大臣 有害物質を扱っている事業所というのは、それは当然、労働者の健康被害ということを考えれば、これは優先して、その安全衛生指導というのは厚生労働省としては当然やっていかなければいけないというふうに思いますので、そういうところで特殊健康診断がなされていないということであれば、それはもう厳正に対処しなきゃいかぬと思いますし、そういう情報があれば、これは基準局の方で調査もさせていきたいというふうに思います。
○佐々木(憲)分科員 次に、雇用促進住宅の問題についてお聞きをしたいと思います。
雇用促進住宅は、全国で13万戸、大変な数でございますし、入居中の戸数でいうと7万1千戸というふうに聞いておりますが、その中で、廃止するということを決めて、そこに住んでいる方々に出ていってもらいたいと、こんなことをやっていたので、我々は、これはまずいんじゃないかと。現に住んでいる人を追い出すというのは、これはまずいということで、お話もいろいろ聞いてまいりました。
この雇用促進住宅というのは、派遣労働者が派遣切りに遭って、それで住むところがないという方々を、このところ受け入れてまいりましたね。ですから、そういう意味では大変重要な役割を果たしているというふうに私は思うわけです。この点では、位置づけとしては、廃止どころか、ますます必要になってきているというふうに私は思うんですね。そういう位置づけは、大臣、お持ちですか。
○細川厚生労働大臣 リーマン・ショックの後で派遣切りなどに遭われた方が、住むところがないというようなことで、この雇用促進住宅を、廃止が決まっているところも利用して、そこに入居できるような、そういう措置をとったわけですね。したがって、そういうところが廃止は決定していても、そこに住んでおられる方に退去の要請をするとかいうようなことは、今はしていないところでございます。そこは、そこに住んでおられる方のことを考えれば、そういう措置をしなければということでやっているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 これはいつまでに廃止するかということになると、あと10年だというんですね。これは政府の方針で、以前の自民党内閣のときに勝手に決めたわけで、我々はとんでもないといって怒ったんですけれども。
住んでいる方は、こう言っているんですよ。転居と言われたって行く場所がないと。せめて子供が卒業するまではここにいたい。それから、高齢者の場合は、年金で暮らしている、そこに住んでおられるわけです。そういう方が、民間のところに移れと言われても、家賃が高くてとても無理だと。だから、この住宅、廃止になると言われても、では私はどこに行けばいいのか、こういうふうに訴えているわけです。
時間がありませんから、世帯の収入などについても、政府の調査もありますね。この中で、例えば200万から300万未満の収入の方は26%もいる。それから、200万未満の方々が18%と、非常に低所得の方が4割5割という、そういう形で住んでおられるわけですね。それを出ていけというのは余りにも酷ではないかと。
以前、舛添厚労大臣のときに、この問題で私、質問したんです。そうしましたら、一方で派遣労働者、派遣切りに遭った方を受け入れながら、他方で出ていけ、これはとても整合性がないと自分で認めていました。したがって、閣議決定の見直しも含めて検討したいというふうにおっしゃって、そういう答弁がありました。
私は、今こういう状況の中で、前政権が決めたものであっても、ただそれを引き継ぐというのではなくて、新しい政権になったんですから、ここは住民の方々の生活を第一に考えるということであるなら、これはやはり無理がありますよ。せっかく実際にどんどん入ってくださいと言っているのに廃止ですなんというのは。ですから、廃止というのはもう一回再検討して、それを直すということをしないと問題解決しないと思いますけれども、いかがですか。
○小林厚生労働大臣政務官 佐々木委員おっしゃるように、平成33年度までに譲渡、廃止を完了する、こういう閣議決定のもとに今行っているわけですけれども、就職に伴い、住居の移転が必要な方のための宿舎の整備という従来の役割は終わった、こういうことから、この廃止ということが決定されたわけでございます。
中長期的には、譲渡、廃止を行っていくべきものと考えておりますので、現時点で、この閣議決定を延長することは考えておりません。しかしながら、現に入居者が居住していることを踏まえて、譲渡、廃止を進めていくに当たっては丁寧に対応していかなきゃいけない、この気持ちは持っておりますので、御理解いただければと思います。
○佐々木(憲)分科員 大臣、今は、転居しなさいということを求めてはいないんでしょう。これからずっと求めていかないとなると、10年後には廃止というのは、そんなものは無理ですよ。だって、現に住んでいるんだから。現に住んでいるのに、あしたからここは廃止です、壊して更地にしますから、そんなことは無理です。
何を優先するかといえば、先ほどおっしゃったとおり、住んでいる人の居住権というのはやはり最優先でなきゃならない。それはもう、血も涙もある行政ということであるならずっと住み続けられるようにする、これがやはり基本だと思うんですけれども、どうですか。これは大臣の考えを聞きたい。
○細川厚生労働大臣 佐々木委員が言われるように、それは私も、住んでいる方の安全、安心というのを当然考えていかなければならない、こういうふうに思っております。したがって、廃止、譲渡といっても、基本的には丁寧に丁寧にやっていかなければというふうに思っております。
だから、そういう意味では、住んでいる方がそこから退去して別の住居に住む、こういうのはなかなか、それは経済的なものもあって大変だ、そういうことも十分考えられますので、例えば住宅ごと市の方に譲渡をするとかいうようなことをすれば、転居することはないわけですよね。だから、そういうことに私どもとしては全力でやっていきたいということで、今努力もしているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 これは、自治体に何とか頼みますといっても、余りそれは進んでいないんです、数字を見ていただければすぐわかりますが。自治体だって、それぞれ財政事情もありますし、なかなか大変なんです。そういうことであるなら、これはいつまでも丁寧に丁寧にといったって、そんな簡単に出ていかないんだから、丁寧にやったって。行けないんだから。したがって、それは住んでいる方の生活あるいは権利を優先する。
何が問題かといったら、使えるのに廃止の決定をした方が問題なんであって、現にまた使っているわけだし、新しく居住者を迎え入れているわけですから。そういう根本的な矛盾があるということを頭に入れて、矛盾解決のためには、閣議決定を直すということで解決するしか道はありません。今すぐ回答はできないかもしれませんけれども、これは念頭に置いて、いろいろなことを検討しなきゃいかぬと思います。ぎりぎりになって本当に強権的に追い出すなんということになったら社会問題ですよ。また、裁判になったらどんな事態になるか。
こういうことがありますので、最後に細川大臣、こういう問題は、丁寧にやるというだけじゃなくて、少なくとも、私が言ったことも念頭に入れて検討していただく、そういうふうにお答えいただければありがたいと思います。
○泉主査 細川厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。
○細川厚生労働大臣 先ほども申し上げたように、住宅に住んでおられる方の安心、安全ということは当然考えていかなければならないというふうに思っております。
○佐々木(憲)分科員 終わります。ありがとうございました。