2009年02月25日 第171回 通常国会 予算委員会 【494】 - 質問
雇用促進住宅からの退去方針「閣議決定」を見直せ
2009年2月25日、佐々木憲昭議員は、予算委員会で質問に立ちました。
佐々木議員は「派遣切り」などで、ますます役割が重要になっている雇用促進住宅について、これを廃止するとした閣議決定を見直すよう強く迫りました。
舛添要一厚生労働大臣は「見直しも含めて検討する」と答弁しました。
約30万人が居住する雇用促進住宅は、1999年に国から地方自治体に譲渡が決められました。
2001年の閣議決定で「できるだけ早期に廃止」となり、オリックスの宮内会長が議長をしていた規制改革・民間開放推進会議の「報告書」(05年)で「更地にして民間に売却する」方針が打ち出され、07年の閣議決定で売却が加速されました。
2008年4月に、借家契約中止の「通知」を受けた居住者のなかに不安が広がっています。
佐々木議員は、2007年に、三菱総研が「売却促進」のため「民間の不動産取引に関わる専門家などを複数含む強固な体制を構築すべきである」との報告書まで出していた事実も暴露しました。
そのうえで「国有財産を売るのも民間、買うのも民間だ。自分で財産を評価し、それを自分で買うようなものだ」「かんぽの宿と同じ仕掛けだ」と批判し、「入居者退去の方針は直ちに凍結し、閣議決定は根本的に見直すべきだ」と迫りました。
これに対し、舛添厚生労働大臣は、「閣議決定の見直しを含めて、すべて検討する」と答弁しました。
与謝野馨財務大臣は、規制緩和について「国がやっていることはみんな間違いで、民間がやっていることが正しいという空気があった。民間の知恵を借りればいいというものではない」と断言しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
本題に入る前に、きょう甘利大臣に来ていただきましたので、一言お聞きしておきたいと思います。
昨日の大臣の記者会見で、内閣改造に言及し、選択肢の一つだ、こういうふうに述べられました。現職の大臣が内閣改造に言及するというのは極めて異例なことだと私も思います。きょうの報道によりますと、町村派の幹部が、麻生さんがアメリカに出発する前に甘利さんに言っておけと指示したんじゃないか、こういうふうにも言われていますが、これは、なぜああいう発言をされたんでしょうか。
○甘利規制改革・行政改革・公務員制度改革担当大臣 総理からの指示は全くありません。
あれは、会見をしまして、記者から聞かれました、内閣改造についていろいろと取りざたされているけれども、どう思うかと聞かれました。
私は、そのときに、これは総理の専権事項ですから、一閣僚が申し上げることではありませんと。その前提の上で、一与党議員としてどういう思いを持っているかと問われるのであるならば、現状では総理のメッセージがそのまま国民に届く状況になかなかなっていない、総理はいいところがたくさんあるし、それを伝えたいけれども、視野が曇ってなかなか視界が不良だ、これを何かクリーンにさせる方法はないかという点で、そういう選択肢はあるということを申し上げたのでございます。
○佐々木(憲)委員 内閣改造をしなければならぬということは、現在の内閣がもう役に立たないということをみずからお認めになったものだろうと思うんです。
そこで、本題に入りますが、与謝野大臣、かんぽの宿というのは今大問題になっております。国民の共有財産であったものをオリックス不動産に不明朗な安価で一括譲渡されるという計画でありました。これは国民が怒るのはもっともなことだと私は思うんです。
国有財産を管理するその所轄の大臣ですので、一般論としてでも結構ですが、国有財産、国有地を格安でディベロッパーなど民間企業に売却して、買った企業が転売してぼろもうけする、あるいは利用してぼろもうけする、こういうことは私はあってはならないというふうに思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○与謝野経済財政政策担当大臣 国有地は、もともと持っている国有地であれ、税を通じて国のものになったものであれ、適正な価格で適正な手続にのっとって処分をするというのが、やはり国民の財産を守るという意味では重要なことであります。
これは、それぞれ財産の処分の仕方は、法律で決められた、あるいは政省令で決められた手続にのっとって処分せられるべきものであって、そこに任意性というものは入る余地がないと思っております。
○佐々木(憲)委員 そこで、きょう取り上げたいのは雇用促進住宅の問題でございます。
舛添大臣にお伺いしますけれども、今、派遣切りに遭って、雇用不安が非常に広がっているわけです。私も名古屋の中村区役所に参りましたけれども、連日百人の方々が相談に押し寄せるという状態。厚生労働省の調査でも、3月末までに12万5千人の非正規労働者が職を失う。こういうときに、雇用促進住宅というものの役割と使命は一層大きいと私は思いますが、大臣の基本的な認識をお聞きしたいと思います。
○舛添厚生労働大臣 もともと雇用促進住宅というのは、職業をかわる、それに伴って住居の心配がないようにかわれるようにということで、雇用保険の三事業からこういう政策をやってきていたものでありますし、とりわけ今非常に厳しい状況ということで、これは譲渡する、廃止するという方向で閣議決定がございますけれども、しかし、緊急な状況でございますので、こちらへの入居をしていただくということで今やっているところでございます。
○佐々木(憲)委員 具体的な数字をお聞きしたいんですけれども、現在、雇用促進住宅の総戸数は幾らですか。それから、入居戸数と人数ですね。それから、派遣切りに遭った方々を受け入れた世帯数、人数。これを示していただきたい。
○舛添厚生労働大臣 今譲渡や廃止が進んでいますので、総戸数というのは、ちょっとすぐ細かい数字は出ませんが、今入居している戸数が、この平成21年1月31日現在で9万4345戸です。一戸に何人住んでいるかという数字がございませんから、人数は出ません。
それから、今おっしゃった、雇用促進住宅で、派遣切りに遭った方々の入居決定件数ですけれども、この21年2月23日現在で4284件でございます。
○佐々木(憲)委員 従来からの住宅の全体の戸数は14万戸と言われておりまして、住んでいる方は約30万人と言われております。今の大臣の指摘にありますように、雇用情勢の深刻な事態の中で、この住宅の役割というのはいよいよ非常に重要だというふうに思うんです。ところが、現実には、この役割が大きくなればなるほど、この住宅を減らす方向に行く、あるいは廃止の方向に行く。逆行しているんじゃないかと思うんですね。
1999年の雇用・能力開発機構の法案を提出された際に、政府は、雇用促進住宅の管理運営は機構の事業としては廃止するけれども、地方自治体などに譲渡される、こういうふうにされました。
99年3月23日の参議院労働・社会政策委員会で、市田議員に対する答弁では、譲渡即退去、住んでいる人たちを退去させるということにはならないと言われておりました。甘利大臣は、当時、雇用・能力開発機構法案の所管大臣でありました。我が党の議員の質問に、次のように答弁しております。「この14万戸の雇用促進住宅には38万人という人が現在現実に入居をされているわけでありますし、結論から申し上げますれば、入居者の理解を十分に得ながら譲渡を行っていくということであります。」と。
これは、入居者を一方的に退去させるものではない、こういう趣旨の答弁だったと理解しますが、改めて確認しておきたいと思います。
○甘利規制改革・行政改革・公務員制度改革担当大臣 10年前の私の答弁を覚えていただいてありがとうございます。
雇用促進住宅につきましては、まず一点として、移転就職者用の宿舎の整備という時代的な役割が終わったこと、二点目として、本来の趣旨に合わない者にまで入居が認められていること、三点目として、建物の老朽化が進んでいること等の指摘を踏まえまして、平成19年の閣議決定でありますけれども、規制改革推進のための三カ年計画におきまして、当該住宅の売却を可能な限り前倒しして、遅くとも平成33年までに譲渡、廃止することとされたわけであります。
譲渡、廃止を進めるに当たっては、平成11年当時、私が労働大臣でありましたけれども、御指摘にありましたとおりの答弁でありますが、入居者の生活に配慮しつつ、理解を十分に得ていくことが重要であると考えておる、そういう答弁であります。具体的には、譲渡スケジュール等についての説明を行う、近隣の公営住宅等に関する情報の提供、かわりの住宅のあっせん等を行っていくことが重要だと考えております。
○佐々木(憲)委員 一方的な退去をさせるということはしないというのが基本的な見地だったと思うんですね。
ところが、昨年、入居者に対する通知というのが出されまして、普通借家契約者用あるいは定期借家契約者用、二つありまして、こういうふうに言われております。平成20年4月に新規入居を停止し、平成20年12月に定期借家契約の契約期間満了を迎える方から再契約を中止し、雇用促進住宅の廃止を進めていくこととしております、平成33年までの15年で譲渡、廃止することが決定されました、23年までに全住宅の二分の一程度に前倒しして廃止を決定し、売却業務を民間等に委託するなど、売却を加速化するための具体的方策を速やかに講ずることとされました、こういう通知が一方的に入居されている方々に配付されたわけです。これは、入居している人はびっくり仰天で、一体どうして自分が住んでいる住宅が廃止になるんだろうと。
私も話を直接聞きました。これは岐阜県の雇用促進住宅の方です。73歳の高齢者の方、こう言っていました。ここに住んで25年になる、だれにも迷惑をかけずに生きてきた、今は職もない、年金も10万そこそこだ、民間の住宅に行けと言われても、家賃が5万も6万もする、それに光熱水費を入れれば7、8万円になる、どうやって食べていけというのか、年寄りいじめだ、死ねというのと一緒だ、もう考えたら夜も眠れない、こういう訴えですね。
あるいは、還暦を前にした男性はこう言っています。住んでいる人間が納得いくかどうかがポイントだ、皆が金持ちで若いならどこにでも行ける、しかし高齢者はどこに行けばいいのかと。
甘利大臣、あのときのあの答弁と違う現実が生まれているわけです。こういう現状をどう思いますか。
○甘利規制改革・行政改革・公務員制度改革担当大臣 いずれにしても、現実にそこに生活があるわけでありますから、入居者の生活に配慮しつつ理解を得ていくということは、当然今日でも大事だと思っております。
○佐々木(憲)委員 現に住んでいる人は30万人と言われているわけです。30万人という数は非常に大きい数なんですよ。中堅の都市が一気に消えてしまうような、そういう規模の、住んでいる方々を、要するに国がホームレスをつくるようなことをやる。これは私はとんでもない話だと思っております。
今、派遣切りで住居を失う人が大量に生まれていまして、雇用促進住宅というのがいよいよ必要になっているわけであります。何でこんなことになってきたのかということが問題なんですね。
小泉構造改革が発端でありまして、官から民へ、こういう規制緩和の路線が実行されました。2001年12月、小泉内閣の閣議決定で、できるだけ早期に廃止するが、現に入居者がいることを踏まえて方策を検討する、その段階ではそういうことを言っていたんです。
2003年5月に検討会が開かれて、そこでは、30年程度を目途に事業廃止に努めるが、建物の取り壊しではなく譲渡が基本である、こういうふうにされていた。その際、入居者の保護を考慮し、民間への譲渡ではなく、地方公共団体等を中心に譲渡を進め、譲渡できなかった住宅は耐用年数経過後に廃止、こういうふうにされていた。ですから、当初、この当時はまだ追い出すという発想はなかったんですよ。
舛添大臣、当時はそういうことでありましたね。どうですか。
○舛添厚生労働大臣 先ほど甘利大臣からの答弁もありましたように、この住宅の整理ということに伴って、新たな住宅のあっせんをやるというようなこともきちんと手当てをするということでございましたし、19年6月の規制改革推進のための三カ年計画においては、平成33年度までにすべての処理を終わるということでありましたので、細かい手当てをするということが前提だというふうに理解しております。
○佐々木(憲)委員 この小泉内閣の最初の段階ではまだ、譲渡が基本である、住んでいる人は追い出さない、これが基本だったんですよ。ところが、どういうことか、2005年12月、オリックスの宮内会長が議長を務めた規制改革・民間開放推進会議、ここが出した規制改革・民間開放の推進に関する第二次答申というのがありまして、この第二次答申で廃止を強引に加速したんです。
この答申では、30年をかけるという考え方は撤回する、つまり、長期にわたってやるということについては撤回だと。従来の地方公共団体への譲渡という方法、これに加えて、重大なのは、更地にすることを前提に、入居契約を解消し、速やかに跡地を民間等に一般競争入札で売却すると、非常に荒っぽいことを報告で示したわけです。
この方向に沿って、2007年6月の安倍内閣の閣議決定では、遅くとも平成33年までにすべての処理を完了する、民間事業者のノウハウを活用し、売却を可能な限り前倒しできるようにするとした。その年の12月24日の閣議決定では、進捗状況が十分でないということで、まず2分の1程度に前倒しして廃止決定し、売却を加速化する。そして昨年、2008年4月には、機構が784住宅の廃止を決定する。余りにもこれは強引ですよ。
それで先ほどの通知です。もう廃止です、あなたと契約は更新しません、出ていってくださいと。こんなやり方は認められるのか。その際、更地にすることを前提に入居契約を解消ですから、壊して更地にして民間に売り払う、こういう経緯で今来ているんじゃないですか。
舛添大臣、この事実経過、間違いありませんか。
○舛添厚生労働大臣 譲渡、廃止を前倒しして加速化するということは、そういう、今委員が御説明いただいたとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 とんでもない話なんですね。雇用促進住宅はもともと雇用保険財政で建てられて維持されてきたものです。いわば国民の貴重な財産。その国民の財産を何で譲渡、売却する必要があるのか。
ここに、2007年1月31日、三菱総研が出した報告書があるんです。「雇用促進住宅の早期事業廃止に向けた方針の策定支援に係る業務委託」。三菱総研に対して、この廃止を推進するための業務をどういうふうにやるかということを調査研究させた報告書なんですね。これを見ると、重大な問題が書かれていると私は思います。
要するに、これは民間の資本が研究したものですよ。「全国で1500以上もの事業廃止対象住宅があることをふまえると、相応の陣容を擁する必要もあると考えられる。」つまり、推進体制ですね。「本調査で検討した売却方策及び目標売却期間を実行していくためには、法律の専門家としての弁護士の知見を活用するとともに、売却担当の責任者などに、民間の不動産取引にかかる専門家などを複数含む強固な体制を構築するべきである。」こういうふうに書いてある。これはどういうことか。
要するに、国有財産を民間に売る、売り渡す、その際の売却担当の責任、売る側の責任者に民間の不動産取引の専門家を入れるというわけですよ。国有財産を売るのも民間、買うのも民間。自分で財産を評価し、それを自分で買うようなものですよ。これは余りにもやり方としておかしいと私は思います。
舛添大臣、この方針でやっているんですか。
○舛添厚生労働大臣 委員御承知のように、この雇用促進住宅は、先ほど申し上げましたように、雇用保険三事業ですから、だれがお金を出しているかというと、企業の経営者、事業者、事業主が出しているわけであります。そういう中で、この機構が独立行政法人になる。シンボリックな例でいうとスパウザ小田原、こういう無駄がありましたということで、行政改革を進めていくという一つの方針がございました。
そういう中で、現下のこの厳しい経済状況の中で、この住宅を促進して、派遣切りに遭った人たちを助けようということでありますから、片一方で、行政改革の方針に従って、今委員がおっしゃったように、退去ということ、廃止ということをやっていて、片一方で、困っている人を入れます。そうすると、この二つの方針の整合性はどうなのかということで、退去なさる方々についても、原則はありますけれども、今のような二つの矛盾をどう解決するのであるかということで、今、鋭意検討を進めさせていただいております。
○佐々木(憲)委員 まともに今の私の質問には答えていないんですけれども。
この報告書には、こういうことも書いているんです。「優良物件と売却困難物件でバルクを構成し、売却していくことが考えられる。優良物件は、現在のシミュレーション上は売却順位が概ね後ろに想定されているが、この想定時期にあわせて売却困難物件を売却することや、優良物件の売却順をあえて繰り上げてバルク販売を実施するなど、状況に応じて柔軟に対応していくべきである。」と書いているんです。
どういうことかというと、優良物件を売るというのは、それは最後にしたい、売却が困難な方から売りたい、これは売る側からすれば当然の考え方だと思うんです。ところが、この報告書によると、いや、優良物件と悪い物件を一緒にして、一括でバルクでぼんと売ってしまおう。そうすると、優良物件が売れる、あるいは順位を優良物件から売るようにしたらどうか、こういって、国民の共有財産を民間の大手不動産会社が、まずいいところから買えるようにしようじゃないか、その意図がここに見え見えなんですよ。これは余りにもひどいんじゃないか。
私は、官から民へという、民間企業にたたき売りするようなもので、この発想は、かんぽの宿とほとんどこれは発想が同じだと思いますよ。
実際にどんなことが行われているかといいますと、例えば、大阪府八尾市の別宮団地ですけれども、住民に説明が全くないわけです。全くないまま、入居者がいないということで、二号棟がどんどん取り壊されておりまして、住民に取り壊しの説明が一切ないんです。知らされたのは直前で、しかも、工事を請け負った業者からお知らせが来たというだけなんですね。アスベストが使われているのに説明もない。住民から怒りの声が出ているんです。
大臣、こんなやり方をあちこちでやるんですか。
○舛添厚生労働大臣 八尾市の住宅の取り壊しについて、私のところに報告が来ているのは、平成17年に建築の専門家によって耐震補強ができない危険な住宅であると診断されたことから、説明会等を通じ入居者の退去を促し、退去が完了した棟から取り壊すこととしたもので、本年の2月9日から工事を開始したということでありまして、今の耐震補強ができない危険な住宅であるということでありますので、これは譲渡、廃止の推進方針とは直接関連しておりません。
それから、アスベストが使われているのではないかという旨ですが、検出されていなかったし、念のため、含有していたとしても飛散のおそれの少ない工事法を採用しているということでございますので、きちんと十分な説明をしたかどうかということについては、さらにこれは検証してみたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 住民への説明なしにどんどん目の前が壊されていくということは、住んでいる人から見ると非常に不安なんですよ。しかも、アスベストがあるんじゃないか、それもまともな説明がない。
厚労省は、昨年12月26日に、「廃止決定した雇用促進住宅の活用について」という文書、これを発表されています。その中で、閣議決定された整理合理化計画のあり方や、廃止決定を行った住宅に現に入居している方々への退去の促進のあり方等について、「これまでの考え方の見直しを含め、引き続き検討・調整を進め、可能な限り早期に対処していく考え」だ、こういうふうな説明をされているようです。
大臣は、昨年の国会審議の中でも、行革推進の大きな閣議決定があって、今それを法律的にどうクリアするか検討を進めております、これは12月18日の参議院での答弁であります。
これは今、重大な経済状況のもとですから、雇用促進住宅が緊急の住宅対策として期待され、またその役割を担っていかなければならない。先ほど矛盾だと言われましたけれども、入居者を退去させる方針というのは、これはやはり凍結すべきだと思いますよ、今。その上で、全住宅の廃止なんというこの閣議決定そのものも根本的に見直す、やはりそういう方向でいかなきゃならぬと思います。いかがでしょうか。
○舛添厚生労働大臣 もともとの雇用促進住宅のつくった意味というのは、先ほど申し上げましたように、転職に伴って住宅の確保ということで、この目的そのものについて言うと、もうほとんど目的は達成されたということからこの閣議決定が出てきたんだろうというふうに思います。
ただ、先ほど申し上げました二つの方針が、必ずしも整合性がないということでありますので、今早急に検討を加えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 閣議決定の見直しも含めて検討するということですね。
○舛添厚生労働大臣 現に困っている方々がおられる、その方々を救うのがまず第一ですが、それが、閣議決定の見直しをすることがいいのか。それは非常にハードルが高いと思います、閣議決定というのは。そうじゃない方法で、とりあえず手当てするのがいいのか。
そういうことも含めて、まさに閣議決定の見直しということも含めてですけれども、すべて検討させていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 最後に、与謝野大臣、一番最初に私お聞きしましたけれども、国有財産あるいは公的な公有財産を、民間企業が入ってきて、分け取りをするための仕組みもつくり、そしてそこで評価をし、売る側も民間、買う側も民間、これは、仕掛けとしては、非常に重大な疑惑を持たれる仕組みだと私は思うんです。
こんな仕組みのあり方について、どう思われますか。
○与謝野経済財政政策担当大臣 あの時代を振り返りますと、国がやっていることがみんな間違いで、民間がやることが正しいんだといういわば空気があって、そういう中で今の三菱総研のレポートなんかは書かれている。やはり、国有財産を処分するときには、その処分については、法律、政省令に基づいた厳格な手続、そして厳格な価格の設定、審査というものが必要なんであって、民間の知恵をかりれば何かいい方法があるんだというようなものではないと私は思っております。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。