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税制(庶民増税・徴税) (消費税, 法人税, 大企業減税, 証券優遇税制, 強権的徴税)

2011年02月15日 第177回 通常国会 本会議 【588】 - 質問

消費税増税は公約違反 法人税減税より家計温めよ

 2011年2月15日、佐々木憲昭議員は、2011年度税制「改正」関連法案と赤字国債の発行を盛り込んだ公債特例法について質問しました。
 政府が、法人実効税率の5%引き下げを目玉とする法案を提出し、消費増税路線を強く打ち出す税制「改正」の動きにたいし、民主党の「生活第一」の公約とは「まったく逆の方向だ」と批判しました。

 佐々木議員は、11年度までに消費税増税法案を提案・成立させるとしている09年度税制「改正」法付則104条について言及。菅直人総理や藤井裕久官房副長官がそれぞれ財務相だった当時、「4年間は消費税を上げない」との民主党の公約と矛盾するため、「(同付則の)修正がスジ」などと述べていたことを指摘し、今はこれを覆して、同付則にしたがい増税を押し付けようとしていることを批判しました。
 菅総理は、「法律を尊重する義務を負っている」と変節を正当化しました。

 佐々木議員は、政府が法人実効税率引き下げの効果としている「9万人の雇用拡大」について、仮定にもとづく試算にすぎない点をあげ、244兆円もの大企業の内部留保を「ますます積み上げるだけだ」と批判しました。
 菅総理は試算が「一定の前提のもとでおこなった試算だ」と認め、「効果を期待している」としか答えられませんでした。

 また、佐々木議員は、納税者の義務強化を盛り込んだ国税通則法の「改正」に関わって、税務職員による強権的な税務調査を告発し、「納税者権利憲章は、納税者の権利をきちんと書き込むものにすべきだ」と指摘しました。

議事録

○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、公債特例法案、所得税法等改正案について質問します。(拍手)
 1年前のこの本会議で、私は、発足間もない民主党政権にこのように聞きました。それまでの政策を抜本的に切りかえることができるか、国民に増税を押しつけ、大企業、大資産家に減税を行ってきた政策を転換できるかと。そのとき、鳩山総理は、家計を直接支援する、そして、国民の暮らし、生活が第一という政治を実現してまいりたいと答えたのであります。
 ところが、その後の事態は、この言明を裏切るものとなりました。税制についての基本姿勢、今回提案された公債特例法案、所得税法等改正案を見ると、全く逆の方向が打ち出されていると言わなければなりません。
 まず、消費税についての姿勢であります。
 これまで政府は、4年間は上げないと何度も答弁をしてまいりました。だからこそ、一昨年11月、当時の藤井裕久財務大臣は、消費税増税法案を2011年度までに成立させることを義務づけた所得税法附則104条については、修正するのが筋だと思いますと答えていたのであります。
 藤井さんの次に財務大臣になったのが菅総理でありました。菅総理は、1年前、「附則104条は前の政権のもとでの条文であり、今の鳩山政権の方針とは明らかに矛盾をいたしております。確かに、撤回、削除ということも考える可能性も私はあり得るかと思います」と答えていました。ところが、今はどうでしょう。附則104条を守るという立場に180度転換したのであります。これをどう説明するんでしょうか。
 民主党は、もし上げる場合は国政選挙で国民の審判を受けると言っていました。それなのに、2年たったら消費税増税法案を国会で通してしまうというのは、明確な公約違反であり、国民に対する裏切り行為ではありませんか。
 柳沢伯夫元厚労大臣は、今、菅内閣の社会保障・税一体改革集中検討会議のメンバーになっております。柳沢氏は、新聞のインタビューでこう言いました。今の経済状態で試算し直せば、消費税率を15%近くに上げなければつじつまが合わないと。与謝野大臣も同じ考えでしょうか。
 与謝野大臣は、自民党にいたとき、こう言いました。1%ずつ上げて選挙に負けていたらしようがない、選挙で負けるんだったらどおんと上げなくてはいけないと。今も、この姿勢に変わりはありませんか。
 菅内閣は、庶民に大増税を押しつける方針を固めながら、今回提出した法案で法人実効税率を5%下げるとしております。しかし、244兆円もの莫大な内部留保を抱え、手元資金がだぶついている大企業にこれ以上法人税を減税しても、内部留保がますます積み上がるだけではありませんか。
 1998年に、OECDは、各国間で激しくなった法人税引き下げ競争に警鐘を鳴らしました。にもかかわらず、ギリシャを初め多くの国々は引き下げ競争に走りました。それが一因となって、今、深刻な財政悪化に苦しんでおります。
 峰崎前財務副大臣は、昨年、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議で、法人税率の引き下げ競争に歯どめをかける必要があると訴えました。総理は、法人税率引き下げ競争について、どのような認識をお持ちでしょうか。税引き下げ競争をとめるための国際的協調こそ必要なのではありませんか。
 政府は、法人実効税率を引き下げたら9万人の雇用拡大につながると説明しています。果たしてそうなるのでしょうか。その前提は、もしも企業が減税分を国内投資に回したなら、もしも海外移転を控え国内投資に転換したならというものであり、投資がふえれば雇用の増加が期待できるという程度のものであります。根拠が余りにも脆弱ではありませんか。現に日本経団連会長は、雇用について、約束できないと言っております。経済産業省のアンケート調査でも、投資先を決める最大の理由に税制を挙げたものはありません。
 大企業の収益がリーマン・ショック以前に回復したと言われているのに、新卒者の採用を大幅に絞っております。今、3月卒業の多くの学生が、就職の当てもなく、不安な日々を過ごしております。まず、その解決が必要であり、また、労働法制の抜本改革が必要なのであります。
 家計を温め、国内市場を拡大してこそ、企業は設備投資をするのではありませんか。答弁を求めます。
 次に、証券優遇税制の再延長についてです。
 政府税調では、2011年12月末で、10%の軽減税率を本則の20%に戻すと合意していたはずであります。なぜ土壇場で延長することにしたのでしょうか。一体、それはだれの要望でしょうか。
 民主党は、現在の所得税について、所得再分配機能や財源調達機能が低下していると言い、昨年の税制改正大綱でも、累進構造を回復させる改革を行って所得再分配機能を取り戻す必要があると書きました。
 高額所得者の所得税負担率が年収1億円を境目に低下していくのは、証券優遇税制が大きな原因であります。累進構造を回復させると言うなら、この大資産家優遇税制をことしで終わらせるべきではありませんか。
 最後に、納税者権利憲章についてです。
 1962年に制定されて以来、半世紀ぶりに国税通則法の改正が提案され、納税者権利憲章を法制化しようとしております。日本共産党は、1992年に納税者憲章(草案)を発表して以来、その制定に力を尽くしてまいりました。
 税務署の職員が、任意の調査にもかかわらず、突然納税者を訪問して家の中に押し入り、たんすをあけたり、ハンドバッグをのぞくというような人権侵害事件は後を絶っておりません。こうした強権的な徴税を苦に、納税者が自殺する事件まで起こっております。
 納税者権利憲章は、このような税務行政に歯どめをかけ、民主的な税務行政に転換するものでなければなりません。政府の案で、これまでの人権侵害事件は本当になくなるのか、答弁を求めます。
 国税通則法も改正されますが、その内容は、納税者の権利拡大というよりも、納税者の義務が強調されております。
 任意の税務調査についての事前通知は原則義務化としながら、例外規定を設けております。また、税務職員が、根拠なく修正申告を強要したり、帳簿書類や病院のカルテまで不当に持ち帰るなどの行為をかえって正当化するものとなっております。納税者の権利を制定するのが目的なのに、なぜ義務の強化を書き込むのでしょうか。
 権利侵害事件をなくすために納税者権利憲章を制定するというのであれば、納税者の権利をきちんと書き込むものにすべきではありませんか。
 以上で質問を終わります。(拍手)
○内閣総理大臣(菅直人君) 佐々木議員にお答え申し上げます。
 まず、附則104条についての御質問です。
 附則104条の規定は、平成23年度、つまりは24年の3月末までに、年金、医療、介護、子育てなど社会保障に必要な費用の増大を踏まえ、消費税を含む税制抜本改革法案を提出することを政府に義務づけているものであります。政府としては法律を尊重する義務を、一般的には、法律でありますから負っており、この規定を踏まえて、しかるべく対応してまいりたいと考えております。
 社会保障と税の一体改革については、内閣発足以来の重要課題として取り組み、本年の6月までに成案を得ることといたしております。この道筋については、今申し上げましたように、ことしの4月に社会保障の姿を、6月には税を含めたものを出しますので、その後の与野党協議が、ぜひ進んでほしいと思いますが、そういうものが進んだ中ではこの104条に沿った形の対応が可能になる、このように認識をいたしております。
 次に、消費税引き上げ時期と公約の関係についての御質問をいただきました。
 さきの総選挙で民主党が国民にお約束をしたことは、今回の総選挙の任期中に消費税の引き上げは行わないということであり、この方針は現在でも維持をされております。大きな税制改正を実施する前には国民の信を問う、このことは繰り返し申し上げているところであります。
 また、今後速やかに、社会保障のあるべき姿と、これを実現するための安定的な財源の確保策の検討を進めることにしておりますが、消費税を含む税制改革に関する結論については、今後の議論次第であり、現段階で確定的なことを申し上げることはできません。
 なお、社会保障改革と税の一体改革については、超党派の議論の積み重ねに基づき、国民合意が得られる成案を得ることを目指しており、公約違反とか国民に対する裏切りという御指摘は当たらない、このように認識をしております。
 法人実効税率の引き下げの効果に関する質問をいただきました。
 法人実効税率の引き下げについては、企業が海外へ移転して雇用が失われることを回避し、国内投資の増加や雇用創出につながる効果を期待しております。
 産業界は、国内投資促進策が講じられた場合には、10年後には約100兆円の設備投資を目指すなどの考え方を示しており、国内投資や雇用の拡大に積極的に取り組んでいただけるもの、このように考えております。
 法人税率の引き下げ競争についての御質問です。
 グローバル化が進展する中で、国際的な観点から税制のあり方を考えることが重要となってきているということはそのとおりでありますが、各国の税制を比較する際には、単に税率水準だけでなく、課税ベース、税以外の公的負担、税を取り巻く社会経済状況なども考慮する必要があると考えております。
 今回の法人実効税率の引き下げは、企業の海外移転により国内の雇用が失われることを防ぐものであり、我が国の経済社会状況を踏まえた適切な措置と考えております。
 いずれにしても、各国の租税政策については、それぞれの国がみずから決定することが原則ではありますけれども、グローバル化が急速に進展する中で、税制面においても国際的な協力が重要となっており、峰崎さんの意見の御紹介もありましたけれども、そういった意見も十分念頭に置きながら国際的な協力ということも考えてまいりたい、このように思っております。
 次に、法人実効税率の引き下げの効果に関する御質問をいただきました。
 法人実効税率の引き下げにより、企業が海外へ移転して雇用が失われることを回避し、国内投資の増加や雇用創出につながる効果を期待しております。
 例えば、今般の法人課税の見直しについては、一定の前提のもとで行った試算では、国内投資による実質GDP成長率の押し上げ効果が0・2%程度、その需要増加に対応する雇用創出効果が9万人程度と見込まれております。また、産業界は、政府が国内投資促進策を講ずる場合は、10年後に約100兆円の設備投資を目指すという行動目標を明らかにいたしております。
 このような投資や雇用の増加により、所得が増加し、消費の増加につながり、経済の好循環がもたらされることを期待しているところであります。
 次に、経済産業省のアンケート調査や、新卒者の就職難についての御質問をいただきました。
 新卒者の就職状況は非常に厳しく、特に大学生については過去最低の内定状況にあります。こうした状況を踏まえ、新卒者雇用・特命チームで対策を練り、現在、全力で支援を進めております。
 これまで、ジョブサポーターを2千名に倍増するなどの取り組みを行い、1月までに約2万5千人の就職が決定したところであります。さらに、特命チームによる取り組みとして、2月1日以降、卒業前の未内定学生に対する追加募集についても企業に奨励金を出す特例措置を始めたところであります。また、私から企業に対し、未内定学生を積極的に採用するよう、いろいろな機会を通じてメッセージを出しているところであります。
 今回の法人実効税率の引き下げにより、産業界においては雇用の拡大に積極的に取り組んでいただけるよう、これからも働きかけを強めてまいりたいと考えております。
 なお、御指摘の経済産業省のアンケートによると、企業の海外展開の主な理由となっております事業コストという項目がありますけれども、この事業コストの中には税負担が入っており、税制が企業行動に影響を与えていると理解をいたしております。
 今後とも、一人でも多くの方が卒業までに就職できるよう総力を挙げて支援してまいりたい、このように考えております。
 次に、家計による国内市場拡大についての御質問をいただきました。
 家計を充実していくためには、雇用の安定確保を図ることが必要であります。雇用がふえれば消費がふえ、それが国内需要を生み、国内市場を拡大していくという好循環を生み出します。こうした取り組みに加えて、新成長戦略の工程表を一つ一つ仕上げていくことが、企業行動を促進することになります。また、法人実効税率5%引き下げも、企業の雇用や投資促進に効果があると考えたものです。
 このように、家計、企業両面への取り組みにより日本経済を成長軌道に乗せていきたい、こう考えております。
 証券優遇税制についての御質問をいただきました。
 いわゆる証券優遇税制については、金融庁の延長要望を受け、税制調査会において議論が行われました。この結果、公平性や金融商品間の中立性の観点からは20%本則税率とすべきであるが、景気回復に万全を期すため、2年延長して、2014年、平成26年1月から20%本則税率とすることといたしました。この本則税率化については、経済金融情勢が急変しない限り、確実に実施していくことといたしております。
 次に、納税者権利憲章について御質問をいただきました。
 平成23年度税制改正において、納税者の権利保護の観点を十分に踏まえつつ、適正公平な課税の維持にも配慮して、納税者権利憲章の策定と税務調査手続の見直し等を行うことといたしております。
 納税者権利憲章については、諸外国の例も踏まえ、納税者の権利保護のみならず、課税の適正化の観点にも配慮して、一覧性のある形で、わかりやすく策定することといたしております。
 税務調査手続については、納税者の権利保護と適正公平な課税との適切なバランスを図りつつ、手続の透明化と納税者の予見可能性の向上を図ることといたしております。
 税務当局においては、従来から、法令の規定に基づき適切な対応を行ってきていると承知しておりますが、今般の憲章の策定を踏まえ、納税者からより一層信頼される税務行政に向け、取り組んでまいりたいと思っております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
○国務大臣(与謝野馨君) 佐々木先生からは、まず、消費税の税率についてのお尋ねがございました。
 柳沢氏は大変立派な方でございますけれども、柳沢氏と私は、常に同様な考え方をしているわけではございません。
 次に、私の自民党時代の発言についてお尋ねがございました。
 税をお願いする場合は、一つは、経済との関係、消費者マインド、痛税感、担税力、徴税実務上の問題などなど、すべてを考慮して仕組みを考えるべきと思っております。
 以上です。(拍手)

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