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税制(庶民増税・徴税), 金融(銀行・保険・証券), 金権・腐敗政治 (消費税, 強権的徴税, 保険業法)

2009年11月17日 第173回 臨時国会 財務金融委員会≪大臣所信に対する質疑≫ 【537】 - 質問

所得税法の消費税増税規定 藤井財務大臣「修正がスジ」と答弁

 2009年11月17日、財務金融委員会で財務大臣・金融担当大臣の所信に対する質疑が行われ、佐々木憲昭議員は、2011年度からの消費税増税にレールを敷く所得税法の付則104条への認識をただしました。

 佐々木議員は、鳩山由紀夫総理大臣が消費税について、総選挙中「4年間はあげる必要はない」と述べ、3党合意も「(政権担当期間中に)税率引き上げは行わない」としていることを指摘。3月に成立した所得税法付則104条に2年後までに消費税増税法案を国会に提案することが規定されているとして、「4年間は上げないという立場とは矛盾する。修正を考えないのか」と質問しました。
 藤井裕久財務大臣は「修正するのがスジだと思っている」と表明しました。
 佐々木議員は、「(付則に規定された)期限が来る前に、修正を内閣として行うべきだ」と求めました。

 また佐々木議員は、04年に改正(06年4月施行)された保険業法によって自主的な互助会・共済の維持が困難になっている問題について、鳩山総理が「民間の助け合い、互助の精神はなくてはならない」などと述べてきたことを示し、政府の認識をただしました。
 亀井静香金融担当大臣は「問題点を精査して法改正を含めて検討したい」と表明しました。

 さらに、佐々木議員は、両大臣に対し、「国民の疑惑を招きかねないような大規模な政治資金パーティーの開催は自粛する」と記されている「大臣規範」を遵守するかどうか確認しました。
 亀井金融担当大臣は、「疑いをもたれるような、そういうことは一切するつもりはございません」と答弁しつつも、12月にセミナーを開催することを明らかにしました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうは、最初でありますから、お二人の大臣の基本姿勢を幾つか確認しておきたいと思います。
 鳩山内閣では、「政・官の在り方」という閣僚懇談会申し合わせが行われまして、大臣規範に定める服務の根本基準等の遵守を徹底する、この申し合わせにはそう書かれております。
 お二人の大臣に聞きたいんですが、この大臣規範に定められた「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。」とあります。当然これを遵守する姿勢が必要だと思いますが、それぞれ一言ずつ確認をしておきたいと思います。
○藤井財務大臣 当然のことながら、9月の大臣就任以来は、おっしゃるとおりのことをやっております。
 その前の話を申し上げます。
 その前の話は、2カ月に一遍、勉強会をやっておりました。これはパーティーでも何でもありません。5、60人の勉強会をやりました。そのときにいろいろなお客様がいらっしゃいました。ただし、1社で何十人なんということは絶対にありません。1ないし2人です。それでやって、別に間違ったことをしたとは思っておりません。
○亀井金融担当大臣 私は、政治資金の問題は、簡単に言うと、きれいな金を集めてきれいに使うことだと思っています。
 私もセミナーという形での、勉強会といいますか、実施をいたしております。大臣になってからまだやっておりませんが、12月にやる予定にしておりますけれども、疑われるような形でのそうしたセミナー券の、販売といったらおかしい、これは販売じゃありませんけれども、お渡しするようなことはしないように厳重に秘書には注意をいたしております。
○佐々木(憲)委員 所管する関係業界から政治献金を受け取るかどうかということは大変重要な問題でありまして、これは政官業癒着の一つの問題として今までも随分議論になりました。
 以前、私も新しい大臣が就任するたびにこの問題をお聞きしておりまして、お隣におられる山本有二金融担当大臣だったそのころに、私もこの問題を取り上げたんです。そうしましたら、調査をしますということで調査をされまして、「購入先の中に、」「幾つかの金融機関も含まれておりました。」「国民の信頼確保に万全を期する観点から、金融関係者につきましては全額返金することといたしまして、既に手続を済ませております。」こういうことで、銀行14枚、生保12枚、損保13枚、証券5枚、合計44枚、合計しますと88万円、少ないと思いますけれども、しかし、こういうふうに20万円以下のものについても非常に正確に報告をいただきまして、返還をされたということで、私は非常に潔いといいますか、そういう姿勢だったというふうに感じたわけでございます。
 関連業界からの政治資金は一切受け取らないというのが基本だと思いますが、この点、今後そういう姿勢で臨むかどうか、確認をしたいと思います。
○藤井財務大臣 今のようなたぐいの話も、一切私は過去からありません。もちろん今後もありません。
○亀井金融担当大臣 関連業界といったらどこまでか。私は、経済産業大臣なんというのは大変お困りになるんじゃないかと思いますね、事実上そうしたセミナーとかパーティーに参加いただけないということにもなるわけですから。
 私はとにかく、自分の職務権限等を含めまして、疑いを持たれるような、そういうことは一切するつもりはございません。
○佐々木(憲)委員 一切するつもりはないということでありますから、12月はどんな形になるのかもきちっと監視をしたいと思っております。
 それで、次に消費税の問題についてお聞きをしたいと思います。
 民主党の鳩山総裁は、8月12日に都内で党首討論会が行われた際に、消費税をいつまでも上げないで済む日本ではないと考えるが、4年間は上げる必要はないというふうに述べました。これは財務大臣も同じ考えだと思いますが、確認をしておきたいと思います。
○藤井財務大臣 消費税が将来の基幹税であるということは私はいろいろな場所で言っております。ただし、今やるべき時期ではないということです。それは、世間は無駄がまだ公にはいろいろあるじゃないかというような中で、その方々の理解を得られない形の税制というのはあり得ないということです。
 現に、私の尊敬する大平大蔵大臣は、昭和54年にこれをやられた、だけれども大失敗をされたんです。その後にどうなったかというと、結局、土光臨調というものがあって実現したんですね。そういう経緯を私たちは常に考えておかなきゃいかぬと思っております。
○亀井金融担当大臣 消費税は上げる必要一切ない、このように考えております。
○佐々木(憲)委員 一切ないということは、4年間ではなく、これを上げるということ自体、基本的に考えないということですか。
○亀井金融担当大臣 この内閣は4年間上げないということを宣言しておるわけでありますが、私は、政治家として、個人として、消費税を上げるべきではない、このように考えています。
○佐々木(憲)委員 非常に明快な答弁だったと思います。少なくとも、この内閣としては4年間上げない、これは3党合意の中でも書かれている点でございます。
 そこで、少し具体的にお聞きしますけれども、171通常国会で成立をいたしました所得税法等の一部を改正する法律というのがあります。その附則に、附則104条というのがありまして、その中には、「遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。」と記されております。つまり、2年後までに消費税増税法案を国会に提出するということであります。
 これは4年間は上げないわけですから、2年後に増税法案を提出するというこの規定は、内閣の立場からいえば大変矛盾する規定でありまして、この消費税引き上げ条項といいますか、この部分、修正する必要が私はあると思うんですが、財務大臣、どのようにお考えでしょうか。
○藤井財務大臣 私は、決して他の党がやったからとは言いません。法律である以上は、あらゆる人間がそれに従うというふうに考えておりますが、でき得れば修正をするのが筋だと思っております。
○佐々木(憲)委員 わかりました。それでは、2年の前に、つまりその時期に来る前に当然修正を内閣として提案するということだと確認をいたしました。
 次に、税務行政についてお聞きしたいと思います。
 財務省が現在採用している税務運営方針、これにはこう書いてあります。「納税者に対して親切な態度で接し、不便を掛けないように努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない。また、納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるという批判を受けることがないよう、細心の注意を払わなければならない。」これは、税務署の税務調査等に関連して基本姿勢を書いているものであります。
 これはやはり大変重要な文献であって、私は現在でも有効であるというふうに聞いておりますが、大臣はこの点、こういう基本的な姿勢で税務運営を行うということであるかどうか、確認をしたいと思います。
○藤井財務大臣 今非常に評判が悪いんですが、私も30のころ、税務署長というのをやらせていただきました。そのときに、おたくのグループから大変な批判を受けました。そのころの反省が今の文章になっていると私は思っているんです。
 ですから、御質問に即答えれば、そのとおりに守っており、守らせなければいけないと思っております。
○佐々木(憲)委員 この委員会で取り上げた一つの例として紹介したいと思いますが、児童手当の差し押さえというのが、実は鳥取県の地方税の滞納処分として行われた事例がありまして、私は、これは非常に冷たい対応だったというふうに今でも思っております。
 鳥取県で不動産業を営むAさんとしておきます。この方は、病弱な妻と認知症の父親、それに子供5人、8人家族ですね。事業が非常に営業難で、夜間の警備の仕事をして、収入はそれでも月に15万円に満たないという状態でありました。
 昨年の6月にAさんの銀行口座に振り込まれたのが、13万円の児童手当でございます。この手当が、県税の滞納を理由として県税事務所に差し押さえられた、それが入金後9分以内の出来事だったと。本当に私もびっくりしましたが、このAさんからコピーをいただいた預金通帳の写しがあるんですけれども、残金73円だったんですよ、73円。そこに13万円の児童手当が振り込まれたんです。9分たたないうちに、13万73円、ごっそりと全部これが引き落とされちゃった。これは県税事務所が引き出したんです。
 児童手当法というのは、児童手当の支給を受ける権利は差し押さえることができないと定めていることを私は指摘して、これは差し押さえ禁止財産に反しているんじゃないかと思いましてお聞きしたんですが、Aさんは、この児童手当で、滞納している給食費だとか教材費、つまり子供のための費用に充てようとしていたわけですね。
 児童手当の差し押さえというのは、児童の健全育成などに資するという児童手当法の趣旨にやはり反すると私は思いまして、当時、与謝野大臣にこの点をお聞きしたんです。そうしましたら、与謝野さんは、児童手当は子供の養育に使うという目的に達せられるべきものだ、その上で、権利の差し押さえは、受給者が差し押さえによって児童手当を使用できなくする、こういうことを禁止するように解釈するのが正しい、つまり、児童手当はちゃんと児童の養育のために使うものであるから、差し押さえてはならないし、児童の養育のために使えるようにしてやるのが本来の筋だ、こういうふうに答弁して、私は非常に明解な答弁だったと思いまして、当時、大変評価をしたわけでございます。
 血も涙もある税務行政というものは、私は非常に大事なことだと思いますので、藤井財務大臣に、先ほどの税務運営方針の基本精神に立つならば、このような差し押さえというのはあってはならないというふうに思いますけれども、どのようにお感じでしょうか。
○藤井財務大臣 与謝野さんの言われたことは正しいと思います。
○佐々木(憲)委員 それでは次に、亀井大臣にお聞きしますけれども、具体的な話で、自主共済の問題でございます。
 今、知的障害者の団体ですとか、あるいはPTAとか開業医の団体、いろいろな団体が組織の中で、組織というのは一定の目的のためにつくられた組織ですね、その中でお互いに会員同士が助け合いを行う、これは互助会とか共済というふうに言われていますが、そういう運営が行われております。
 例えば、知的障害者の子供を持つ家族が互助会で大変救われているという例はたくさん聞くわけです。神戸のある保護者は、こう言っております。
 我が子は、再三再四入退院を繰り返しております。入院先では一般的には完全看護と言われていますが、重い知的障害者には家族による付き添い介護が必要とされ、その面倒見については大変疲労こんぱいを来しております。退院後は互助会に申請し介護費の面倒を見ていただき、感謝し安堵感を得ております。
 それから、別な方はこう言っているんですね。
 去年7月より息子も医療費が七割負担になっているので、大変大きな出費になってしまいました。そんな折、互助会より給付金をいただき、大変ありがたく、うれしく思いました。この互助会制度も来年以降認められなくなるとのこと、これから先、親が付き添えなくなった場合を考えると不安でなりません。
 こういうふうに言っておるわけです。
 鳩山総理は、民間の助け合い、互助の精神はなくてはならないことです、こう演説でおっしゃいました。これは大変大事なことだと思います。これまで歴代の金融担当大臣は、この共済活動を有意義な活動である、こういうふうにお認めになってきました。事業がきちんと運営できるようにできるだけのことをする、こういう答弁もされております。
 この共済とか互助会、これは、もちろんオレンジ共済みたいな詐欺団体とは違って、現に今行われているこれらの団体というのはまじめに、保険がなかなかやってくれないことをお互いに少しでも助け合おう、これがなくなったら本当に生活も破綻する、そういう方々が大変多いわけです。現に知的障害者の互助会は新しい保険業法で次々とつぶされてしまっている、こういうふうに聞いておりまして、これはゆゆしき事態ではないか。
 やはり互助会というものは、お互いの助け合いの組織なわけですから、それがこれからも続けられるようにするというのが政治の基本ではないかと思っておりますが、亀井大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
○亀井金融担当大臣 御指摘の問題、私も、これは実態を踏まえて、おっしゃるように共助という、鳩山総理の友愛の精神を実践している、そういう団体に支障が起きないような対応をするようにということを事務方にももう既に調査を命じておりまして、実態に合った形で、そうしたちゃんとした団体がきちっとやっていけるような方向で処理をしたい、このように考えています。
○佐々木(憲)委員 2004年の改正保険業法、これが実際に適用されて、これまでどおり活動ができなくなっている団体がたくさんあります。例えば、今御紹介した知的障害者の互助会は、民間保険が新商品をつくったけれども、保険料が高くなって継続できないというんですよ。それは、コストが当然いろいろな形で上がりますので、それで継続不能になるという事例もあります。
 ですから、やはり法律そのものもこれでいいのかどうかという再検討が私は必要だと思うんですね。実態調査の上、どの点に問題があって継続できなくなっているのか、継続できるようにするには法改正がどういうことが必要なのか、ぜひこの点を真剣に検討していただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
○亀井金融担当大臣 前政権において実施されたことであっても、私はいいものは引き継いでいきたいと思っておりますが、問題があるものはどこに問題があるか、これを精査いたしまして、よりよきものにしていくというのは当然のことだと思いますので、既に私どもとしては、この実態をきちっと調査する中で議員指摘のことを検討もいたしております。
○佐々木(憲)委員 きょうは大変前向きな答弁が出てまいりまして、お二人の大臣ともぜひ、国民の要望にこたえる、そういう行政を実行していただきたいというふうに思います。
 きょうはいろいろと後の日程も詰まっておりますので、私としては以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

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