金融(銀行・保険・証券) (金融消費者保護, 消費者金融・サラ金・ヤミ金, 偽造・盗難キャッシュカード問題)
2010年04月16日 第174回 通常国会 財務金融委員会 【566】 - 質問
NPOバンク支援と銀行の過誤払いについて質問
2010年4月16日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、NPOバンク支援と銀行の過誤払いについて質問しました。
佐々木議員は、6月に完全施行される貸金業法に関して、NPOバンクを対象外とするよう求めました。
多重債務の被害者をこれ以上出さないため、貸金業法を完全施行することは当然ですが、NPOバンクにとって次のような問題がおこります。
(1)貸付業務経験者の確保が義務づけられるが、非営利活動では給与の支払いが困難だ。
(2)指定信用情報機関の信用情報のの使用・提供が義務づけられるが、利用者が住宅ローンや教育資金などを銀行から借りにくくなる。
(3)借入総額が年収の3分の1までという総量規制によって必要な資金が貸せなくなる。
佐々木議員は、サラ金会社、アコムの保証を受けることが利用条件となっている三菱UFJ銀行のカードローンなどが総量規制の適用除外となっているのに、NPOバンクが規制されるのは不合理だと強調しました。
NPOバンクも「指定信用情報機関への加入義務」「総量規制」の適用除外にすべきだと主張するとともに、貸金業法の対象からはずし、NPOバンク法を制定するよう求めました。
亀井静香金融担当大臣は、「零細な金融ニーズに対応することはきわめて大事だ。指摘されたことと同様の意見を持っている」と答えました。
2010年4月26日、金融庁は6月に完全施行される貸金業法に関連して、NPO(民間非営利団体)バンクを規制の対象外とする内閣府例改正案を公表しました。
次に、佐々木議員は、偽造・盗難キャッシュカード問題について質問。
佐々木議員の質問に対して、大塚耕平金融担当副大臣は盗難された銀行通帳や印鑑などのよる銀行の過誤払いに関して、2006年施行の預金者保護法以前の被害についても「しっかりと対応するよう指導したい」と答弁しました。
佐々木議員がとりあげたのは、2002年に衣料品販売業務代行業者が自宅に保管していたUFJ(=現三菱東京UFJ)銀行の通帳と印鑑を盗まれた事件です。
2002年11月に犯人によって開設された三井住友銀行の口座を経由して預金2800万円が引き出されました。
UFJ銀行では、担当者が書類の筆跡の違いに気がついたにもかかわらず、上司が振り込みを許可。三井住友銀行は、本人確認も不十分なまま口座を開設し、払い戻しに応じました。
佐々木議員は、預金者保護法の附則にも法の施行前の被害について、「法律の趣旨に照らし、最大限の配慮が行われる」と明記されているのに、両行は対応していないと指摘しました。
大塚副大臣は「銀行の社会的責任は大きい」と答弁しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず、法案の背景にある金融危機の問題から入りたいと思います。
アメリカ発の金融危機は世界経済に深刻な打撃を与えました。この原因をどう見るか。つまり、原因を正確に押さえて初めて対応策が出てくるというふうに私は思います。
私は、金融機関の10年来の変質という問題が背景にあると思っております。
金融機関というのは、預金を預かって、それを資金を必要とする分野に提供する、そういう公共的、社会的な役割というのが本来の基本だと思っております。そういう中で適切な利益を得るというのが基本だと思うんですね。
ところが、規制緩和という流れの中で、例えば金融と証券というのが、分離されていたものが垣根がどんどん低くなって、アメリカではグラス・スティーガル法というのが骨抜きになって、金融と証券が融合する。一体となって、巨大な複合金融機関と言われるものが生まれてくる。そしてその中で、今度は債権を証券化して、それを売却して、それを組み合わせて新しい金融商品をつくる、その金融商品をまた別な金融商品と組み合わせる。もとが何かさっぱりわからない。こういう金融商品開発が行われて、大規模な取引が行われる。世界じゅうから資金が吸収されていく。こういう中でバブルというものが形成され、そして一気に崩壊するというのが今回の事態だったのではないかと思うわけですが、大臣の基本的な認識をお聞かせいただきたい。
○亀井金融担当大臣 私は、基本的な認識というのは委員と大体同じであります。
金融というのが本来何のために存在をしておるか。本来は、生産者と消費者で足りるわけでありまして、しかし、社会が複雑になり経済が複雑になってくると、その中間に、金融、信用、これが欠くべからざる存在として生まれてくるわけであります。
その中間にある金融が、自己目的的にみずからの利益だけを追求していく。それがだんだん高じて、虚が虚を生むような、いわば賭場のような状況になって、もうける人がおれば、片っ方では損をしている。しかし、それが両者の間での決済だけで済めばいい話でありますが、御承知のように、保証金の問題一つ取り上げても、いざという場合、全体がカバーできないわけでありまして、破綻をした場合は、これが実体経済まで深刻な影響を及ぼしていっている。
これは日本も同じような経験をしておるわけでありまして、私は、これはアメリカ発だなんと日本がのんきなことを言っておるべきではないと。やはり金融が、自分たちのレゾンデートルといいますか、それをしっかりと見きわめながら営業活動をやっていただくという、私は、そうした基本に立ち戻らなければ、一時的に虚が虚を生んで利益を得るというようなことをやっていったって、そんなに長く続く話ではないと。
私はその存在を否定するものではありませんけれども、そういうものが肥大化して巨大化していくことを、やはり国家として放置していくわけにいかないと。オバマ大統領は苦い経験で今そういう措置に出ておるんだ、このように了解しています。
○佐々木(憲)委員 亀井大臣とは、議論をしておりますと、この点では私と完全に一致するわけでございます。
銀行というのは、それまで利子をもとに利益を上げて経営をやってきたわけですが、デリバティブ取引ですとか手数料を得るとかトレーディング収入というようなものに頼るとか、どうも本来の金融機関の公的な性格をおいてそういうところにどんどん走っていった。これが、小泉改革の中でエスカレートして極端な方向まで行ったのではないか。
しかも、この巨大金融機関、特にアメリカを中心とする複合的な金融機関がヘッジファンドに対して大量に資金を提供する、そういうことでバブルが発生して金融恐慌につながったというふうに私は思っておりまして、今回の金融恐慌というのは、新自由主義的な、そういう規制緩和が招いたものとも言えると私は感じているところであります。
そこで、アメリカの対応ですけれども、若干先ほども議論がありましたが、ボルカー氏が提案したボルカー・ルールというものがありますが、これを見ますと、非常に私どもとしては共鳴するところがありまして、例えば、預金保険下にある銀行がヘッジファンドとかプライベート・エクイティー・ファンドを保有すること、それに対して投資または後援することを禁止する、さらに、銀行自身の、顧客の注文に基づかない自己勘定での自己利益追求の資産売買取引を禁止する、こういう方向が出されていて、ほかの課題もワンセットになった法案というものがつくられたりしている。こういう状況を見ますと、相当大胆に改革をしようとしているという感じが私はするわけです。
やはりこのボルカー・ルールの根底にあるのは、預金をもとに信用創造を通じて貸し付けを行う銀行業務がある、それから、資本市場における株や債券の売買、これを収益源とする投資銀行業務がある。これは、二つそれぞれ全く違う性格の、水と油と言っていいほどのものだと思うわけです。それを兼業するということになると、預金あるいは銀行の業務というものが債券、証券市場に振り回されるという事態になり、投機的資金にそれが利用されていくと、銀行そのものの公共的な性格がそれによってゆがめられ、そして、一たん金融危機になると銀行が大変な迷惑を受ける、迷惑といいますか、みずから招いた災厄でありますが、そういう事態に行きかねないわけでありまして、そういうところが基本的な認識として私は根底にあるというふうに見ているわけです。
そういう点で法案を見ますと、これはどういう位置づけで今回出されているか。私はかなり部分的だと思いますが、今回出された法案の目的、それから位置づけ、これを説明していただきたいと思います。
○亀井金融担当大臣 私は、委員御指摘のように、金融界が、ほっておけば自己目的的にどんどん肥大化してリスクを負い、さらにリスクを負っていく、そういう状況に陥る危険性があると思います。しかし一方、金融業について政府が厳しく手足を縛ってしまうということは、私は、本来の金融業務自体の活力を損ねていくという面も間違いなくあると思います。
幸い、日本の場合は、過去において金融界がバブル時代を初め間違ったことをやったという歴史はありますけれども、一つは国民性にもよると思いますけれども、私は、日本の場合は、アメリカの金融界ほどはけたを外れたそういうことはまだ今やる状況ではないと。私、性善説かもしれませんけれども。
そういう中で、しかしながら一方、やはりそうした歯どめをきっちりとかけていく、しかもそれは、金融界の自主性を尊重しながらそういう歯どめをかけていく努力をしたいということで今回の法律を出したわけでありまして、何でも、金融庁自体が強権的な権限を持ってこれをやるということじゃなくて、ある面では、民間自体の努力を促し自覚を促していくという立場に立つべきだということで、この法案を提出したわけであります。
○佐々木(憲)委員 そういう意味では、銀行業界の自己責任というのは非常に私は大事だと思っておりまして、公的な資金に安易に頼るなどということはあってはならないと思っておりますので、これまでも私は、銀行みずからの経営の失敗を、そのツケを国民が何でしりぬぐいをするのかとずっと議論をしてきたわけであります。
そういう意味で、アメリカの銀行に対する対応というのはかなり厳しいと私は見ておりまして、公的資金というものをそう安易に、一時的な提供はあっても必ず回収する、こういう対応をしているわけであります。
そういう姿勢について、亀井大臣、どのようにお感じでしょうか。
○亀井金融担当大臣 私は、先ほどの委員の御質問の中でも答えたような記憶がありますけれども、やはり金融機関は、自己責任において業務を展開していくという基本を忘れてはならないと思います。万一の場合は政府が救済をしてくれるんだという中で業務展開をしていってはならない。
しかし、問題は、その自己責任の中で、今銀行界というのはある面ではバイタリティーを失ってきている面が私はあると思う。こんなことを言ったらおかしいですけれども、お役人的とまでは言いませんけれども、やはり自分たちの業務についての積極性、そういうものがなくて、国債を買えばいいんだ、手数料収入を得ればいいんだと。産業界に資金を積極的に提供する、ベンチャービジネス、場合によっては焦げつくかもしらぬけれどもやはり企業を育ててみようというような、そういう面での積極性、そういうことが残念ながら欠けてきておる今の金融界だ。
今度も郵貯問題で、自分たちの競争相手の条件がちょっとでもよくなりそうだったら、けしからぬ、けしからぬ、民業圧迫だと言う。そういう同じような寝言しか言えないようなことでは、私はだめだと思っています。
○佐々木(憲)委員 少し話題をかえまして、NPOバンクの問題についてお聞きしたいと思うんです。
小泉・竹中時代にかなり強引なことをやりまして、信金、信組が大変危機に陥りまして、破綻、統廃合という事態になりました。中小零細企業向けの金融は非常に不安定になったわけです。地域経済にお金を回す仕組みが縮小している状況の中で、小規模の事業の中で特に社会的貢献を目的とする事業、NGO、NPOが活動している事業、あるいは、例えば環境とか福祉とか社会的生活困窮者の救済の事業、こういうことに対して、なかなか銀行側としては、もうけが上がらないとか将来がわからぬということで貸し渋る。それに対して、NPO自身がNPOバンクというものをつくってそれに対応する、こういうことが行われてきているわけです。
具体的に言うと、在宅介護サービス、そういうものが小規模多機能居宅事業の施設開設資金、あるいは障害者支援の団体が行うカレーショップの開設資金とか、団地から出された生ごみをバイオガスにして、残った液体燃料を有機農業に使うための生ごみガス化プロジェクト、こういう社会的な活動に資金が必要だ、その支援を行う。そういうNPOバンクの社会的役割、これについて、亀井大臣、どのような認識か、お聞きをしたいと思います。
○亀井金融担当大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、残念ながら、今の金融機関がそういう面に対して資金供給をする力が非常に弱いと思います。
また、残念なことですけれども、政府系金融機関、政策金融という本来の目的をどうも忘れてしまっておるのではないか。私は、もう一度政府系金融機関については再検討をして、いろいろな業界、業種がありますね、そういうことにきちっと、ニーズにフィットした融資を、業界を振興する、支援するという視点から融資活動をやっていくような金融機関、これは民間だけに任しておくことはなかなか無理な分野でありますから、広い意味の産業振興という中でそういう金融のあり方を考えていいんじゃないか、このように今考えております。
○佐々木(憲)委員 それがなかなかできていないところでNPOバンクというものが役割を果たしているんですが、NPOバンクについてはどういう認識ですか。
○亀井金融担当大臣 私は、そういう現実の細かいニーズに対して対応していく努力を今後どんどん進めていただきたい、また、それを政府としてバックアップしていく体制が必要だと思っています。
○佐々木(憲)委員 ことしの6月18日に貸金業法が完全施行されるわけであります。私は、これは完全に施行していただきたい。それをきちっとやらないと、多重債務者をこれ以上出すようなことは許せないと私は思っておりますので、きちっとやると。
同時に、現在活動しているこうしたNPOバンクなどが、貸金業と同じものと扱われて活動が継続できなくなる、こういう不安を当事者の皆さん訴えておられるわけです。
NPOバンクのような非営利の活動というのは、貸金業法の対象とすべきではないと私はもともと考えております。私は、市民の自発的な資金に基づいて融資を行うこういうNPOなどの活動は、個別の法制度によって保護され、そして発展できるような環境をつくるというのが大事だと思うんです。
大塚副大臣に聞きますが、民主党は、マニフェスト、インデックス2009において、「市民から資金を集め、福祉や環境などの地域活動に融資するNPOバンクのような小規模・非営利法人について、貸金業法の資産要件の適用除外とします。」と書かれております。しかし、資産要件の適用除外というだけでは、活動の継続というのは困難なんですよ。
民主党として、NPOバンクをどういうふうに支援していくのか、どういう政策を持っているのか、お答えいただきたい。
○大塚金融担当副大臣 御質問ありがとうございます。
まず、複合的に幾つか御質問もいただいたと思いますので、重要な論点ですので少し丁寧に説明をさせていただきたいと思います。
まず、今回の貸金業法の完全施行に向けて、そのうちの対策の一つとして、生活困窮者向けの貸し出し等を行っているNPOバンクについては、今最後のところで御指摘になりましたような、貸金業法の適用除外をする方向で考えております。
ただ、その一方で、私どものマニフェストも引用していただきましたが、そうした、生活困窮者のみならず多様な貸し出しを行っている、しかもそれは、新しい公共を担うという意味での融資業務を行っている先については、より幅広く貸金業法の資産要件の適用除外とするというのがマニフェストの記載でございます。
ただ、委員御指摘のとおり、これを貸金業法という枠の中で取り扱うべきなのか、つまり、このマニフェストに記載した内容にとどまるべきことなのか、あるいはもっと包括的な、NPOバンク全体をくくって対応する法制度をつくるべきなのか、今まさしくその検討をしている最中でございます。
なお、御指摘いただいたマニフェストのインデックスの方には御披露いただいたような記載でございますが、マニフェスト本体の方には、NPOバンクということではないんですが、市民が公益を担う社会を実現する、NPOセクターの活動を支援するという大目標が私どもの党としてはございますので、今まさしく総理のもとでその検討を進めている最中でございます。
今委員長席にお座りであられました池田理事を初め、熱心にこの問題について私ども今御指導をいただいておりますので、先生の問題意識とも合致しておりますので、できるだけ前向きに検討する方向で進めさせていただいております。
○佐々木(憲)委員 ぜひきっちりとした対応をしていただきたいと思うんですが、貸金業法でNPOバンクがなぜ活動がうまくいかなくなるかといいますと、貸付業務経験者の義務づけというのがある。それから指定信用情報機関の信用情報の使用、提供義務というのがある。それから総量規制がある。これがネックになっているわけですね。
例えば、貸付業務経験者の義務づけについては、そういう人を雇いますと、当然一定の給与を払わなければならない。なかなかそういう人を雇うことができない。
それから、指定信用情報機関の信用情報の使用、提供義務、総量規制、これが適用されますと、NPOバンクの個人融資先の信用情報が銀行に見えるわけですね。そうすると、NPOバンクが貸金業者とされているために、NPOバンクの借り手の方が、個人的に融資を銀行から借りたくても、あそこは貸金業者から融資を受けているんだということを認定されて、資金に影響する。返済能力が低いとか、そういうふうにレッテルが張られる。こういうことで、住宅ローンとか教育資金という必要な資金も銀行が貸さなくなるような事態になるわけですね。
ですから、これはやはり別枠で、そして別の法律でNPOバンクというものをしっかりと育てていくということが大事だというふうに私は思います。
その反面、例えば貸金業法の総量規制の中には例外とか適用除外の規定が設けられていて、銀行のカードローン、こういうものは適用の対象となるのか。
インターネットで貸金業、総量規制で検索すると、一番最初に、年収三分の一以上借りる方法などのページが出てきて、そこには銀行のカードローンは対象外となっていますとして銀行のカードローンを紹介しているわけですね。しかし、例えば三菱東京UFJ銀行のカードローン、バンクイックの案内には、利用できる人の条件に、保証会社アコムの保証を受けられたお客様となっていて、このアコムというのは簡単に言うとサラ金ですよ。銀行のカードローンが対象外で、NPOバンクが対象だと。つまり、銀行のカードローンが対象外になっていて、NPOが対象となる、こういうものが逆転しているわけですね。そういうさまざまな問題があります。
銀行のカードローン以外にも、クレジットカードのショッピング枠、住宅ローン、車購入のローン、これは対象外だ、適用除外だ、こういうふうになっておりますので、これは非常に不合理なんですね。ですから、多重債務を出さないということはしっかりと、貸金業法を完全施行ということによって達成をするということと同時に、従来健全な形で活動してきたさまざまなこういうものが規制を逆に受けて、NPOバンクのようにうまくいかなくなることのないような、そういう体制というものが私は非常に重要だと思っております。
NPO全国連絡会というところがNPOバンク法の制定というのを求めている。これは、今そういう方向性をおっしゃいました。国民新党はどういう政策なんでしょうか。あるいは、民主党として、そういうNPOバンク法の制定ということについて、党としての見解はいかがなんでしょうか。
○亀井金融担当大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、零細な僅々なニーズに対応する、そうした整備というのは極めて大事だと思っておりますので、今委員が御指摘のその点は国民新党としても同様だ、私はこのように思います。
○大塚金融担当副大臣 民主党といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、昨年の総選挙のマニフェストの段階では貸金業法の資産要件の適用除外というところにとどまっておりますが、御下問の趣旨の意見も党内には多数ございますので、党内でしっかり議論を詰めて決定をしてまいりたいと思いますが、個人的には、国民新党党首である大臣と同じような考えを持たせていただいております。
○佐々木(憲)委員 では次に、銀行の過誤払い問題、つまり、例えば預金通帳が盗まれた、あるいは印鑑が盗まれて引きおろされた、カードが盗まれた、こういう事故、事件というものが依然としてたくさんあります。
それに対して、この財務金融委員会でも過去さまざまな議論がありました。対応策として、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律という長い法律が成立をして、預金者保護というものが進んだわけです。
当時、この委員会で大いに議論になったのは、自民党、公明党の与党法案が結果的に通ったんですけれども、盗難通帳それからにせの印鑑、こういう犯罪がこの法律の中では対象となっていないじゃないか、それからインターネットバンキングなど新しい犯罪に対応できないじゃないかと。当時の犯罪事情を勘案しても不十分な点が多数あったと私は思っておりますが、しかしながら、被害者救済で前進面がありますから我々は賛成をいたしました。その後、銀行の自主ルールなどで少しは被害者救済制度が前進をしたんです。
現状についてお聞きしますけれども、ピッキングなどの、例えば空き巣などの被害で銀行通帳とか印鑑が盗まれて、それを利用して預貯金が引き出されるという事件で、被害者は救済されるように本当になっているのかどうか、銀行がどのような対応をすることとなっているのか、この点を説明していただきたいと思います。
○大塚金融担当副大臣 銀行界の自主的な取り組みといたしまして、盗難通帳とかインターネットバンキングにおける銀行無過失の場合の事故、あるいはその他幾つかの事例において補償対象とするようなことになっております。
ただ、預金者保護法に基づく枠組みといたしましては、例えば偽造カード、盗難カードについて、ある一定の要件のもとで、預金者の過失がある場合でも75%を補償するような場合等も規定をされております。
こうした預金者保護法における法制上の対応と銀行界の自主的な対応、双方を駆使して一定の保護のもとに置かれているものと考えております。
○佐々木(憲)委員 全銀協の資料では、「盗難通帳による預金等の不正払戻しについて、銀行に過失がない場合でも、お客さまご自身の責任によらずに遭われた被害については、補償を行うこととする。」これが基本原則。
当時の法律で残された課題の一つに、過去の被害者の救済という問題がありました。そもそも、銀行の過誤払い問題は古くからある問題でして、その重大性にかかわらずしばらく放置されておりました。そもそも、信用がまず第一だと言われている銀行預金が、ある日行ったらだれかに引き出されていたというようなことになると、これはもう安全に保管されていないということになってしまうわけで、こんなことがあってはならないわけです。
したがって、法律の施行日にかかわらず、銀行の責任というのは大変大事なものであって、法律には過去の被害救済についても言及されていると思いますが、附則の条文はどういうふうになっていますでしょうか。
○大塚金融担当副大臣 詳細は確認をしてお答え申し上げたいと思いますが、私の知り得る限りでは、過去の被害については特段の記述はないものというふうに理解をしております。
○佐々木(憲)委員 いや、記述があるから聞いているんですけれども。
○大塚金融担当副大臣 失礼をいたしました。
答弁の上、訂正をさせていただきますが、附則の第二条にこのように記載してございます。「この法律の施行前に偽造カード等又は盗難カード等を用いて行われた不正な機械式預貯金払戻し等により損害が生じた預貯金者に係る金融機関による当該損害の賠償又は補てん等については、この法律の趣旨に照らし、最大限の配慮が行われるものとする。」附則の第二条でございました。失礼いたしました。
○佐々木(憲)委員 この法律の趣旨にのっとって最大限の対応ということを促しているわけであります。
現実に、銀行、とりわけ大手銀行は過去の被害に真摯に対応していないんじゃないか、そういう訴えがたくさん我々に寄せられております。
一例を挙げますと、例えば渋谷で衣料品販売業務の代行業というのをやられている、仮にAさんといたします。当時のUFJ銀行、現在三菱東京UFJ銀行ですが、そこに預けていた預金2800万円が盗まれる、こういう被害に遭いました。Aさんは、自宅に保管されていた銀行通帳、印鑑、健康保険証などがピッキングの被害に遭って盗まれて、その後、UFJ銀行から、会社名義の預金と個人名義の預金が、三井住友銀行渋谷支店で勝手につくられたAさんの口座に振り込まれた。
2002年11月7日と8日のことでありましたが、この三井住友銀行の口座は犯人が開設したというのが後でわかりました。UFJ銀行では、間違った電話番号と住所で払い戻し請求を受けて、担当者が印鑑票と払い戻し請求書の筆跡が違うということに気がついて上司に確認したにもかかわらず、上司は許可をして振り込まれた、こういうことです。三井住友銀行は、本人確認も十分せずに銀行口座を開設して、開設間もない口座に振り込まれた大金の払い戻しに応じているわけです。
これは両方の銀行に重大な過失があると私は思うんですね。現在のルールでは、このような被害はどのようなことになるのか。被害者は救済されるんでしょうか。
○大塚金融担当副大臣 個別の事例でございますのでお答えしにくい面がございますが、先ほど委員から御教示をいただきました附則には、法律の趣旨に照らして最大限の配慮が行われるものというふうになっているわけでございますので、今御披露いただいた事例の事実関係いかんに従って対処されるべきものというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 この銀行の責任というのは重大なんですよ。本人確認を十分せずに、こういう犯罪に手をかす形になっているわけです。銀行の払い戻しを行った実行犯は逮捕されております。銀行の対応が克明に明らかになっているにもかかわらず、それでも銀行は対応しないんですよ。おかしいんです。被害者には、補償しない理由は何ですかと聞かれて、何の説明もしていない。
過去の被害に真摯な対応をするという法律になっているにもかかわらず、全くまともな対応をしない、こういう事例は少なからずあります。このような被害の訴えを放置するのではなく、真摯に対応するという方向で銀行業界に対してやはり指導すべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○大塚金融担当副大臣 大臣が御就任以来、常日ごろおっしゃっておられますように、銀行には社会的責任というものがございますので、その社会的責任に照らして当然しっかりとした対応をするべきものと思いますので、的確な指導を行ってまいりたいと思います。
○佐々木(憲)委員 時間が参りました。終わります。