税制(庶民増税・徴税) (消費税, 大企業減税, 証券優遇税制)
2007年02月28日 第166回 通常国会 財務金融委員会≪大臣所信に対する質疑≫ 【377】 - 質問
一部の金持ちに多大な恩恵を与える証券優遇税制 経団連会長が大企業減税財源に消費税増税を主張
2007年2月28日開かれた財務金融委員会は、午前に大臣の所信表明に対する質疑が行われ、午後には一般質疑が行われました。
佐々木憲昭議員は、午前の質問で、政府が1年延長をねらっている証券優遇税制を直ちに廃止せよと求めました。
国税庁が公表した2005年分申告所得税標本調査から証券優遇税制による株式等譲渡所得の減税効果(申告所得税分)を試算しました。
それによると、申告所得額が100億円を超えるわずか7人の富裕層に1人あたり約28億6000万円もの減税が行われていることがわかりました。
上場株式等の譲渡所得や配当金にかかる税を軽減している証券優遇税制は03年から導入され、07年度中に期限がきます。
安倍内閣は、税制「改正」に、この軽減措置の1年延長を盛り込み、大資産家優遇を継続しようとしています。
尾身財務大臣は、2006年11月28日の記者会見で「経済情勢も好転しており、暫定措置を続けることはいかがなものか」と発言しています。
佐々木議員はそういうなら、この優遇税制の延長をやめよと迫りましたが、尾身大臣は「1年延長して廃止する」と、開き直りました。
佐々木議員は、「一部の金持ちに多大な恩恵を与える(株式譲渡所得や配当金にかかる税にたいする)軽減措置を廃止せよ」と求めました。
また、佐々木憲昭議員は、午前の質問の冒頭で、日本経団連会長の御手洗冨士夫氏が、法人税引き下げの財源として消費税増税を充てるという考え方を示したことを取り上げました。
佐々木議員は、尾身財務大臣の見解を正しました。
尾身大臣は、「直接聞いておりませんので、その点についてのコメントは差し控えさせていただきたい」と答弁。
佐々木議員が、「法人税を引き下げる財源として消費税を引き上げて充てる考え方について賛同するのか」と質問すると、尾身大臣は「経済の活性化と財政健全化の両立を目指していくというのが安倍政権の考え方」、「十分議論をさせていただきたいと思いますが、聖域を設けず、いろいろな考え方、問題点を整理して結論を出していきたい」と、否定しませんでした。
また、佐々木憲昭議員は、午前の質問と午後の質問で、障害者手帳のない高齢者への「障害者控除」の適用について、質問しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず初めに、尾身大臣にお聞きをしたいと思います。
直接の通告はしておりませんが、日本経団連会長の御手洗冨士夫氏が一昨日の記者会見でこういうふうに述べているんです。10%幅の法人実効税率引き下げということを従来主張されていましたが、その財源について問われまして、御手洗氏は、消費税を2011年までに2%、2015年までに3%ぐらい上げると、この御手洗ビジョン、1月に出されたものに明確に書いてあるというふうに回答をされたそうです。
これは、法人税引き下げの財源として、消費税増税分あるいは増税を充てるという考え方を示したものだというふうに報道されております。私は、いよいよ本音が出たなと思うんですが、尾身大臣はこの見解についてどのように受けとめておられるか、お聞きをしたいと思います。
○尾身財務大臣 この件に関して、御手洗会長と私はお話をしたことがございません。
私どもは、夏以降、18年度の財政の決算が出る、それから医療制度改革に伴います支出の実態等も明らかになる、そういう状況の中で税制についての総合的な検討をしていきたい、19年度を目途に結論を出していきたいと考えておりまして、そういうことはかねがね申し上げておりますが、今の、御手洗会長がどういう御意見であるかということについては、直接聞いておりませんので、その点についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 法人税を引き下げる財源として消費税を引き上げて充てる、この考え方については賛同されるんでしょうか、それとも違う考えをお持ちなのか、そこをお聞きしたいと思います。
○尾身財務大臣 経済の活性化と財政健全化の両立を目指していくというのが安倍政権の考え方でございまして、そういう中で、先ほど申しましたように、夏以降、19年度をめどに税制体系全体についての考え方を整理していきたいというふうに考えております。
その中で、どういう税目をどうするかということについては十分議論をさせていただきたいと思いますが、聖域を設けず、いろいろな考え方、問題点を整理して結論を出していきたいと考えておりまして、消費税あるいは法人税、その他資産課税もございますし、いろいろな税がございますが、そういうものをどう考えていくかということは今後の問題であると考えております。
○佐々木(憲)委員 私は、この経団連の会長の発言というのはとんでもない話だと思うんですね。いわば、自分たち財界、大企業が減税を受けると当然視して、その財源として、庶民が負担する消費税を上げろと。これはもう、本当に、全く許しがたい発言だと私は思っておりますので、そのように申し上げておきます。
さて、それでは次に、証券優遇税制についてお聞きしたいと思うんです。
昨年末の政府税調の答申、これを見ますと、証券優遇税制については廃止という提言がされておりました。このように書かれております。「期限切れとなる上場株式等の配当や譲渡益の優遇措置については、金融所得課税の一体化の方向に沿って、期限到来とともに廃止し、簡素でわかりやすい制度とすべきである。」このときに、こういうふうにも述べております。「上場株式等の配当や譲渡益の軽減税率(10%)は、平成15年度税制改正において、当時の株式市場の低迷や金融機関の不良債権問題に対応するため、5年間の時限措置として導入されたものである。 現在の経済状況は、株式市場が活性化し、不良債権問題も正常化するなど、優遇措置導入当時と比べて大幅に改善している。」このような状況を踏まえて、先ほど引用しましたように、廃止すると明確に書かれていたわけです。
株価対策ということが言われましたが、当時は8000円前後だったわけであります。今、株価は幾らですか。
○尾身財務大臣 1万8000円ぐらいだと思います。
○佐々木(憲)委員 つまり、8000円だったのが1万8000円になっているわけですね。上場企業の業績も史上最高でございます。
尾身大臣は、株価がこのように大幅に上昇し、経済情勢もかなり好転している、こういう状況を受けまして、この暫定措置は廃止する時期に来ているというふうに今までおっしゃっていたのではないでしょうか。
例えば、昨年の11月28日の記者会見では、株価がたしか8000円前後だったと思うんですが、今は1万5000円とか1万6000円、その当時、11月。こういう中で、この暫定措置を続けることについてはいかがかなというふうに私は思っております、こういうふうに述べておられたわけでございます。
しかも、この点について、決めたときの委員会の質疑の議事録を見ますと、これは平成15年2月26日、我が党吉井議員への答弁ですが、塩川大臣が、「なぜ5年間という限定をしたのか」「減税を一回やりましたら、ある程度正常化してきた場合に、この減税をもとへ戻そう、正常化しようとしても、なかなか国会で承認してもらえない。一回減税したら、国会は、これを戻すことは拒否される。でございますから、増減税のバランスをとらないと財政の均衡が崩れてしまう、」そういうことで5年、こういうふうに期限を切ったと答弁されているわけですね。
ところが、今出されている税制改正案、その内容を見ますと、証券優遇税制を1年間延長するというふうに方針が変わっているわけです。
尾身大臣にお聞きしますけれども、いかがなものかと言われていた、つまり、延長するのは反対だ、賛成しない、こういうことを言われていたにもかかわらず、なぜその立場を180度転換されたんでしょうか。説明をしていただきたい。
○尾身財務大臣 政府税制調査会の答申におきましては、上場株式等の配当、譲渡益に関する軽減税率につきまして、期限の到来とともに廃止するという御提言をいただいております。
その際、あわせて、軽減税率の廃止に当たっては、株式市場の無用の変動要因とならないように工夫が必要である、それからまた、投資リスクを軽減するために、金融所得の損益通算の範囲を本格的に拡大していくべきであるというようなことも指摘されているところでございます。
19年度の税制改正におきましては、今の軽減税率について、その適用期限を1年延長して廃止するというふうにしたわけでございますが、これは、政府税調の答申にも御指摘いただいておりますように、この1年の間に、市場の混乱を回避するための特別措置や金融所得の損益通算範囲の拡大策等について検討を行いました上で廃止するということにしたわけでございまして、私どもとしては、適切な措置であったと考えております。
○佐々木(憲)委員 それは私の質問に対する答弁になってないんですよ。なぜ変えたのかという説明を今お聞きしているわけです。
政府税調は、さまざまな状況を勘案して、廃止すると明確に結論を出しているわけですね。しかも、尾身大臣も塩川元大臣も、この点については、期限を切っているんだから、期限が来たらそれで廃止というのは当然である、だから期限を決めているんだと。それをなぜひっくり返すのか。
それは、株式市場への影響とかいろいろなことを言っていますが、そんなことは織り込み済みで政府税調の答申は廃止と言っているわけです。株もこんなに上がっている。そういう状況の中でなぜ1年延長するんですかと、理由を聞いているわけです。
○尾身財務大臣 政府税調の答申におきましても、市場の混乱を回避するための措置あるいは金融所得の損益通算範囲の拡大策についても検討を行った上で廃止することがいいというふうに書いてあるわけでございまして、私ども、その検討を行った上で、1年延長して廃止する、こういうふうにしたわけでございまして、今、私はそういう説明をしっかりしていると考えております。
○佐々木(憲)委員 「期限到来とともに廃止し、」というのが政府税調の答申なんですよ。その答申に反していることをやっているということなんです。その説明は全然ついてないです。
次に、山本大臣に伺います。
山本大臣は、日本経団連や証券業協会とともに、1年で切れるところを巻き返しに奮闘したという報道を見ましたけれども、どのような奮闘をされたんですか。
○山本金融担当大臣 金融庁といたしましては、平成19年度の税制改正の議論におきまして、貯蓄から投資へという政府の基本的な方針、配当、譲渡益の二重課税の問題、諸外国の金融・証券税制との比較、これらを踏まえまして、我が国金融資本市場の国際的な競争力を確保するためにも、証券税制の軽減税率の延長が必要と主張しておりました。そのため、昨年末の税制改正プロセスの中で、軽減税率の延長の必要性につきまして政府・与党関係者の御理解が得られるよう、私自身を含め、さまざまな努力をしてきたところでございます。
具体的にどのような取り組みを行ったかについては、ひたすら政策論議を誠心誠意尽くすことに終始したところでございまして、いずれにいたしましても、あるべき証券税制の姿につきまして、今後ともさらなる議論が深められることを期待しているところでございます。
○佐々木(憲)委員 余りこういうことに激しく動かない方が私はいいと思いますよ。一度政府が5年で廃止すると決めたんですから。それを巻き返す、大臣としてそれをそういう形でいろいろなところに働きかけるということは、私はよろしくないと思います。
では、聞きましょう。
金融庁の平成19年度税制改正要望によると、軽減税率をいつまで続けるかについて、こう書いているんですね。直接金融が欧米並みに確実に根づくまでの十分な期間であると。こうなりますと、株価やその他の情勢は関係ない。貯蓄から投資への流れが根づく、そうなると、例えば、株式、投資の個人金融資産に占める割合というのが、アメリカは28%ですよ。そんなところになるまで継続してずっとこれは続くんだと。これは、根づかなければいつまでも証券優遇税制は続けるということになるんです。山本大臣はそういう考えなんですか。
○山本金融担当大臣 株式、投信が個人の金融資産に占める割合が1割強にとどまっている現状を踏まえれば、我が国におきまして一朝一夕に直接金融が根づくことは困難である、こう考えております。
いずれにいたしましても、昨年末の与党税制改正大綱では、証券税制につきまして、軽減税率を1年延長するとともに、この間、証券市場の状況、個人投資家の株式等の保有状況等を勘案し、金融商品間の損益通算の拡大策等を検討の上、成案を得て、平成21年度からの導入を目指すとされておりまして、今後あるべき証券税制の姿につきまして、さらなる御議論が深められることを期待しておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 金融庁のこの税制要望というのは、ちょっと、余りにも私はおかしいと思うんですね。5年で終わりですよ、それで、尾身大臣もそうしようという状況の中で、これを1年間延長するというその理屈立てに、永遠に延長すべきだという理屈立てを、永遠とは言いませんけれども、この構造が変わるまで延長するみたいな話をしている。私は、これは厳しく批判をしておきたいと思うんです。
今、家計所得を見ますと、ほとんど改善していませんよ。定率減税を全廃してサラリーマン中心の増税を押しつける、これは続けているわけです。この大資産家優遇の証券優遇税制は続ける。これは格差拡大ですよ。一体どちらを向いているのかと言わざるを得ないと思うんです。
山本大臣は、12月8日の記者会見で、何かこの制度が、富裕層ではなくて非富裕層のための税制というものだと認識を披露されているようですけれども、今でもそう考えているんですか。
○山本金融担当大臣 証券税制は一律課税でございまして、累進制をとっていない以上、富裕層であろうが非富裕層であろうが一律にかかってくることは御承知おきのとおりでございます。
また、株式取引を行う世帯の半数以上が年収700万円未満の平均以下の家庭であるというようなことからしますと、それは決して富裕層税制ではないということもまた言えるわけでありますし、また、株式保有者の7割が60歳以上の高齢者であるということになりますと、高齢者対策に非常にフィットした税制であるということもかえって言えるわけでありまして、税を取り上げまして、両面から見たり、あるいは多方面から考えたりするということは非常に重要なことではないかというように考えております。
○佐々木(憲)委員 それでは、事実を確認しましょう。株式譲渡益課税でどれだけの減税になるのかということです。
2005年分の申告所得額が100億円を超える人、これは何人いますか。その株式等の譲渡所得等の金額、これは幾らですか。
○加藤政府参考人(国税庁次長) お答え申し上げます。
国税庁が作成いたしております申告所得税の標本調査によりますと、平成17年分の所得税確定申告書を提出された納税額のある者、これは829万人でございますが、合計所得金額が100億円を超えている者は七人でございます。
この7人の方が得た株式等の譲渡所得等の所得金額、合計で約2000億円でございます。
○佐々木(憲)委員 これは明確に数字で出ているように、7人で2000億円の譲渡所得、これを得ているわけですね。本当に、これはどこの世界の話かと思わざるを得ない。
配付資料を見ていただきたい。
この統計資料には非上場株式の譲渡益も含まれますけれども、単純にするためにすべて軽減税率の対象だとすると、2005年の統計では、わずか7名の富裕層に、今ありましたように所得は2000億円ですから、軽減税率10%で200億円の減税なんですよ。7人に200億円の減税なんです。一人当たりにすれば28億6000万円の減税です。100億円以上の所得がある納税者にこれだけの減税が集中する。もっと言いますと、少し広げても、1.6%の人々に56.6%の減税が集中するという計算になるんです。
ですから、ほとんどの一般の家庭の株の売買をされている方も、多少それはもちろん減税の効果はあるでしょうけれども、しかし、これだけ多くの一般の方々にはほとんど減税が行かない。大規模な取引をやっている高額所得者、大資産家にのみこれが集中するというのは、これは明確であります。
もし非富裕層にそれの恩恵が行くということであるならば、これは上限をやはり決めなきゃならぬ、これ以上の減税は金額はカットするとか。そんなことをやっていないんですから、青天井なんですから。そういう意味で、この株式譲渡所得の軽減額というものは富裕層に対して集中するということが、この統計からも非常にはっきりしていると私は思います。
それでお聞きをしますが、こういう高額所得者、100億円以上の所得がある納税者に10%しか課税しないような国が先進国の中で日本以外にあるのかどうか、これをお聞きしたいと思います。
○尾身財務大臣 先ほどのように、10%の軽減税率が我が国では適用されているわけでございますが、ほかの国で、株式の譲渡益に対する課税について各国それぞれの考え方がございまして、課税方式もさまざまでございまして、税率の軽減とかあるいは一定の非課税措置が講じられているわけでございまして、日本との比較で税負担の軽い重いを一概に論ずることは適当でないと考えております。
イギリスでは、総合課税で10%、20%、40%という率でございますし、また、土地等の譲渡益と合わせて年間に約194万円までの譲渡益についての非課税措置もございます。ドイツでは、投機売買等を除いて原則として非課税でございます。フランスでは、27%の申告分離課税のもとで、譲渡額が年間に224万円以下の場合は非課税となっているわけでございます。
このように、各国の制度が非課税措置も含めまして区々でございまして、国際的にこれがどの程度にあるかということは、一概に論ずるわけにはいかないと考えております。
○佐々木(憲)委員 それはごまかしでして、例えばアメリカは総合課税なんですよね、最高25.5%。イギリスは、これも総合課税ですよ、40%。あるいはドイツは、原則非課税と言われましたが、2009年から25%の源泉分離課税とする方向で今検討中。フランスは27%の申告分離課税。こういう状況ですので、日本のように10%なんというのはほとんどないんですよ。
諸外国ではこれが実態でありまして、もし日本で総合課税が適用されれば、富裕層には、20%の税率どころか、所得税の最高税率で納税するということになるわけです。
今の日本の税制というのは、所得税のこれまでの改正が続いたために、所得再分配機能というのがどんどん低下している、税制上の所得再配分機能というのは非常に弱化しているというのが現実の実態です。
証券優遇の延長というのは、まさにそういう機能を一層後退させるものであって、一部の大金持ちに多大な恩恵を与える。こういうものは廃止すべきだということを明確に述べておきたいと思います。
次に、テーマを少しかえまして、所得税、住民税の障害者控除についてお聞きをしたいと思います。
山本大臣は、サラ金規制の昨年の法案審議のときに、いろいろなやりとりの中で、弱者のために頑張りたいというふうにおっしゃいました。本当にそういうふうにやってもらえるのかどうか監視していきたいと思いますけれども、尾身大臣、今、高齢者問題ですとか、あるいはさまざまな格差問題というものが議論されております。尾身大臣は、弱者のために頑張る、こういう姿勢は基本的におありになりますか。
○尾身財務大臣 私自身はあると思っております。
○佐々木(憲)委員 それなら具体的にやっていただきたい。
例えば、所得税、住民税の障害者控除について具体的にお聞きしたいと思うんですが、財務省の資料によりますと、その控除というものがつくられた理由について、いろいろな説明がありますが、改めてここで、障害者控除が設けられた理由を説明していただきたいと思います。
○尾身財務大臣 所得税法上、納税者本人あるいはその控除対象配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合は、一般の障害者の場合、一人につき27万円、特別障害者の場合40万円の障害者控除として所得控除ができるようにされております。
これは、基礎控除とかあるいは扶養控除の人的控除に加えまして、精神または身体の障害等の特別な人的事情のある方について、追加的に費用を要することでありますので、担税力が減殺されるということをしんしゃくして設けられたものであります。
○佐々木(憲)委員 私の手元にある資料では、「肉体的ないし社会的にも一般の人に比して不利な立場にあり、したがって所得を稼得する場合においても、より以上の努力を要し、一般的に所得稼得能力又は担税力が乏しいものと考えられた」からだ、こういう説明。今同じような御説明があったと思います。
それで、問題は、障害者控除の対象、どの範囲まで対象とするかという点でございます。これはどのようになっていますでしょうか。
○尾身財務大臣 所得税法において障害者控除の対象となる障害者とは、知的障害者、精神障害者、身体障害者及び年齢65歳以上の者で、これらに準ずる者として市町村長等の認定を受けている者であります。
○佐々木(憲)委員 所得税法施行令第10条第1項第7号には、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずる者、これが対象であるというふうに書かれている。今、それも含めて御答弁になりました。
そこで、準ずる者を対象にしたというわけですが、準ずる者を対象にしたというその理由を説明していただきたいと思います。
○尾身財務大臣 お尋ねの高齢者に関しましては、昭和45年度の税制改正におきまして、所得税における障害者控除の対象となる者の範囲に追加したものでございます。
改正前は、障害者控除の対象となる障害者は身体障害者手帳の交付が要件とされておりましたが、老衰によって身体に障害を生じた者につきましては、その交付を受けることが難しいという事情がございました。このような事情を考慮して、老齢に伴い精神または身体に障害のある年齢65歳以上の者で、その障害の程度が従前より障害者控除の対象とされている知的障害者または身体障害者に準ずる者として市町村長等の認定を受けている者について、新たに障害者控除の適用対象に加えたものでございます。
○佐々木(憲)委員 もう時間が来ましたので、続きは午後の質疑の中でやらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
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