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金融(銀行・保険・証券) (証券取引所)

2003年05月09日 第156回 通常国会 財務金融委員会 【200】 - 質問

不正関与の疑惑深まる大証社長への厳正調査を要求 「適切に対処する」と証券監視委

 2003年5月9日、財務金融委員会は、午前中に提案されている証券取引法改正案について、午後に一般質疑証券取引法改正案の討論・採決が行われました。
 午前の質疑で、佐々木憲昭議員は、大阪証券取引所の不正取引疑惑に関与した疑いが深まっている巽悟朗大証社長に対し、証券取引等監視員会が厳正に調査するよう求めました。

 佐々木議員は、これまで疑惑への関与を一切否定してきた巽悟朗大証社長(当時の光世証券社長)が、5月6日の財務金融委員会での参考人質疑で、「(当時大証の専務だった)野口(卓夫)から私に電話があり、(大証元部長で、ペーパーカンパニーであるロイトファクス社取締役の八木二郎氏を)顧客紹介された」とみずから取引に関与していたことを認めたことを指摘。野口氏が大証の取引が盛んであることを見せかけるために仮装売買を行った疑惑の中心人物であり、八木氏は巽氏と長年苦楽をともにしてきた人物であることを強調し、「巽氏が、ロイト社が大証の関連会社であり、ペーパーカンパニーであることを知った上で取引を開始したとの疑惑が深まった」と、証券監視委員会の厳正な調査を求めました。
 答弁に立った新原芳明証券取引等監視委員会事務局長は、「ご指摘いただいたことにつきましても、監視委員会の活動のなかで適切に対処してまいりたい」と述べました。

 佐々木議員は、昨年5月に大証に検査に入るまで、行政が疑惑を長年放置していた責任に言及し、「疑惑をすべて解明することなしに証券市場の信頼性回復はない」と述べ、現在も続いている検査で厳正な結果を出すよう求めました。
 竹中金融担当大臣は、日本の証券市場の潜在力が現実に結びつかない要因のひとつとして市場関係者に対する不信があることに言及し、「これは大変重く受けとめており、ご指摘のような点を踏まえて、ぜひしっかりとやらせていただきたい」と答弁しました。

 また佐々木議員は、この日の質問のなかで、証券取引法等一部改正案に証券取引所の持ち株会社化が盛り込まれている点を取り上げ、取引所の自主規制機能の後退につながるものではないかとただしました。
 これに対し竹中大臣は、「取引所が持ち株会社の傘下に入る場合においても、引き続き自主規制機能は適切に発揮されると考えている」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 証券取引所の持ち株会社化と自主規制の関係、この点についてまずお聞きをしたいと思います。
 持ち株会社がつくられて、複数の市場が傘下におさめられる。そういうときには、自主規制部門というのは、直接利益を生まない部門でありますから、一体どうなるのかという疑問が出てくるわけです。例えば、市場ごとに自主規制の部門を置くことが負担になって、統合されるということもあり得るのではないか。そうすると、市場と自主規制部門が切り離されて、日々の業務の関係で、直接不正行為がチェックできるような監視体制が後退するのではないかというおそれを持つわけであります。そうなっていくと、いろいろな不正事件が多発している状況の中で、ますますそういう不正取引を見逃すような状況にならないか。
 この点について、竹中大臣の見解を伺いたいと思います。
○竹中金融担当大臣 自主規制の御指摘でありますけれども、私も改めて、証券に係るいろいろなことを勉強させていただいて感じますのは、証券業協会でありますとか取引所であるとか、そういった自主規制が市場の秩序の維持に対して非常に大きな役割を果たしているし、果たしてきたということであろうかと思います。
 今般、持ち株会社制度を導入するというのは、これは言うまでもなく、国際的な市場間の競争が激しさを増している、海外で現実に取引所間の提携が急速に進められている、こうした状況を踏まえて、日本の取引所の国際競争力の強化、取引の流動性の向上を図ること、これはやはりどうしても避けられない。その一つの手段として、有力な手段として、持ち株会社制度を整備するというふうに考えているわけでございます。
 その場合に、今までの公益性なり自主規制のような社会的な機能がどのように担保されるかという御懸念を示しておられるわけでありますけれども、この持ち株会社については、取引所の議決権の過半数を所有できる存在であることから、取引所の公正性等を確保するために、設立等を当局の認可にかからしめる、これは当局が認可するということ、それと、検査監督の対象とするということ、業務範囲を専ら取引所の経営管理に制限するというような、その意味では厳しい規制を課しているというふうに考えております。
 こうした措置を講ずることによって、取引所が取引所持ち株会社の傘下に入る場合においても、引き続きその自主規制機能は適切に発揮されるものというふうに考えている次第でございます。
○佐々木(憲)委員 証券取引所というのは、会員自治のもとで、会員相互の信頼と協力を基礎にして成り立ってきた、そういう自主規制的機能を持っていたということでありますが、株式会社が可能であるということになりまして取引所そのものが利益志向になっていくということになりますと、性格が変わっていって自主規制機能を後退させるんじゃないかという感じを私は非常に強く受けております。
 そこで、前回、株式会社化される法案が出されたときに、金融庁としては、公共的性格、公共的機能が適切に発揮できるよう次の措置を講じるということで、何人も発行済み株式の5%を超える株式を保有してはならない、こういう措置をとってきたと思うんです。だから心配要らないという説明だったと思うんですが、これはまず確認しておきたいと思います。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 前回の証取法の改正に際しまして、株主ルールにつきましては、諸外国の例等を勘案しまして、5%というようなルールを策定したところでございます。
○佐々木(憲)委員 今回の提案された法案によりますと、保有制限5%から一気に50%と、非常に超緩和でありますが、そうなりますと、5%で規制をするから大丈夫なんだという論拠が崩れるのではないか。
 特定の株主の支配力というのが非常に強力になりまして、公共性をゆがめるということにつながることは明らかだと思うわけです。有力な一部の株主が影響力を強める。そうしますと、大口取引先に有利で小口取引先に不利な手数料制度を導入するとか、あるいは自分たちに都合のいい方向に証券取引所等をゆがめるというようなことも起こりかねない。
 ですから、こうなりますと、自主規制機能が大事だと言いながら、後退させることになりかねないと思うわけでありまして、公共性が放棄されてしまう、そういう懸念を持つわけであります。この点について、私は、今回の法案の非常に大きな問題点として指摘をしておきたいというふうに思います。
 次に、大阪証券取引所に対する検査の問題についてお聞きしたいんですが、一昨日の参考人質疑で、大証の社長に対しまして、参考人として呼ばれたのかとお聞きしました。ところが、それは断じてないというお話でありました。
 私は、昨年の質問で、大証をめぐる仮装売買疑惑で、現大証社長のオーナー会社である光世証券が疑惑に関与していた疑いを指摘いたしました。証券監視委員会の事務局長は、その点も調べる、こういうふうに答弁されたわけであります。
 それから1年たつわけですけれども、当事者である巽氏本人から事情を聞くということをやっていないんでしょうか。
○新原政府参考人(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) お答え申し上げます。
 私ども証券取引等監視委員会は、証券取引に関するさまざまな資料、情報を収集、分析いたしまして、仮に取引の公正を害する違法な行為が認められれば、法の定めに従い厳正に対処しているところでございます。
 ただ、だれから事情聴取を行っているかということにつきましては、今後の証券取引等監視委員会の活動を円滑に進めるためにお答えできないということについて御理解を賜りたいと存じます。
○佐々木(憲)委員 巽氏はこう述べておるわけです、一昨日の参考人質疑の中で。
 光世証券といたしましては、そのことに対しましては、証券取引等監視委員会から11月10日に検査がありました。証券業協会から11月2日にありました。その問題は全部ごらんになりましたけれども、指摘を受けた事実はありません。
 こういうふうに答弁されているわけですが、これはこのとおりなんでしょうか。
○新原政府参考人 お答えを申し上げます。
 具体的な聴取の有無等につきましてお答えすることになりますと、調査の過程でいろいろと、私ども、この事案に限らずいろいろな事案で幅広くお話を伺っているのでございますけれども、監視委員会はそういったことについて公表するというようなことになりますと、いろいろな過程で御協力を得られないということになりかねませんので、お許しをいただきたいと存じます。
○佐々木(憲)委員 全然質問に答えられないとなると、これは質疑ができないわけでありますが、例えば、証券取引等監視委員会の光世証券に対する検査というのは、実際に行われたのはいわゆる子会社問題が発生する前だったと思うんですけれども、子会社問題が発生した後はやっておられないと思うんですが、その時期の問題についてだけお答えいただきたい。
○新原政府参考人 お答え申し上げます。
 大阪証券取引所に対する検査は、昨年の5月9日から開始をしております。
○佐々木(憲)委員 証券取引所はそのとおりだと思うんですね。光世証券に対する検査の件。
○新原政府参考人 光世証券につきましては、現在検査を行っておりません。
○佐々木(憲)委員 現在ということは、要するに、子会社問題が発生した後はやっていないということですよね。
○新原政府参考人 平成11年から12年2月にかけて検査をしておりますが、それ以降、検査を行っておりません。
○佐々木(憲)委員 結局、その検査があったというのは子会社問題が表に出る前の段階の話でありまして、それ以後は実際行われていないわけですから、一昨日の巽社長の答弁は、検査があったけれども指摘を受けた事実はないというような話をしていました。しかし、それは、問題になるずっと以前の検査の話でありまして、今これだけ大きな問題になっていることについての検査が実際に行われていないわけですから、これは、何かそれで潔白を証明したということにはならないというふうに私は思っております。
 参考人質疑の中で巽氏は、大証がつくったペーパーカンパニーであるロイトファクスと光世証券の取引について、大変重要な証言をしました。
 昨年、参議院で行われた参考人質疑の中では、巽氏は、ロイトファクスと取引があったことを調査委員会の中で初めて知った、こう答弁されていたわけですね。自分は一切関与していない、一切知らなかった、こういう答弁でした。しかし、一昨日の参考人質疑で、巽氏は、ロイト社と光世証券が取引を開始した経緯につきまして、野口氏から私のところに電話があり、顧客として紹介された、個人の名前と電話番号だったと答えたわけですね。つまり、みずから関与していたということをお認めになったわけであります。つまり、そうなりますと、参議院での答弁は、これは虚偽の答弁だったということになるわけであります。
 個人の名前というのは何かといいますと、大証の元部長であり、ロイト社のたった一人の役員であった八木二郎氏のことであります。野口氏とは、当時大証の専務で、仮装売買疑惑の中心人物とされている方であります。八木氏と巽氏は、大証の理事と部長の関係で、これはもう旧知の仲であります。巽氏がこの八木氏とは長年苦楽をともにしてきたという人物ですから、したがいまして、巽氏が、ロイトファクスが大証の関連会社である、ペーパーカンパニーであるということを知った上で取引を開始した、こういうことになるわけです、一昨日の答弁からしますと。これは大変重要な証言だったと私は思うわけですね。
 そういう点で、これは、監視委員会は、この事情を当然巽氏からしっかり聞くべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○新原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、証券取引等監視委員会は、証券取引に関するさまざまな資料、情報を収集、分析をいたしまして、事実関係の解明を進めた結果、仮に取引の公正を害する違法行為が認められれば、法の定めに従い厳正に対処しているところでございますので、御指摘いただいたことにつきましても、このような監視委員会の活動の中で適切に対応してまいりたいと存じます。
○佐々木(憲)委員 適切に対応、しっかりやっていただきたい。
 この法案では、取引所の組織形態についての改正というのがなされるわけでありますが、取引所幹部が仮装売買を繰り広げるような疑惑というのは、これは極めて重大な問題でありまして、こういう問題の解明なしに、やはり証券市場の信頼というのは確立できないと私は思うわけです。ですから、大証の取引高を見ましても、年々下がっているわけです。東証の方は上がっていますけれども。そういう点からいいまして、やはり大証の証券取引所そのものの信頼を回復するということは大変重要な課題であるというふうに思います。
 そういう点で、今回検査に入るまで、非常に長い間この疑惑を放置してきたという政府の責任も非常に重大であると私は思うわけです。これ以上こういう疑惑をそのままにしておくわけにはいかないわけでありまして、厳正な調査の上、しっかりとした対処を行っていただきたい。
 最後に、こういう点について決意をお聞かせいただきたいと思います。
○竹中金融担当大臣 日本の証券市場というのが、非常に大きな潜在力を秘めていると言われながら、なかなかそれが現実に結びついていかない。いろいろな要因があろうかと思いますが、そのうちのやはり一つの大きな要因が、こういった市場そのものないしは市場の関係者に対する不信の問題があろうかと思います。
 これは大変重く受けとめておりまして、検査も今しっかりとやっておりますし、御指摘のような点を踏まえてぜひしっかりとやらせていただきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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