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財政(予算・公共事業)

2009年01月13日 第171回 通常国会 財務金融委員会 【484】 - 質問

定額給付金「予算の使い道が間違っている」麻生総理に質問

 2009年1月13日、自民・公明与党は、第2次補正予算案と関連法案を、各委員会・本会議で強行採決によって可決させました。

 財務金融委員会では、麻生太郎総理大臣出席の質疑と締めくくり総括質疑の後、政府提出の第2次補正予算の関連2法案を、自民・公明の与党による強行採決で可決しました。
 佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で麻生総理に対する質疑、締めくくり質疑討論に立ちました。

 佐々木議員は、麻生総理にたいし「定額給付金」の消費拡大効果について質問しました。
 昨年10月31日に与謝野馨経済財政担当大臣が「(実質GDPの押し上げ効果は)0.1%」と述べていたのに対し、麻生総理は1月6日には「0.2%程度」と答弁を変えていることをただしました。
 内閣府の山崎史郎政策統括官は、モデル計算では0.1%になり、定額給付金の4割が消費の押し上げに回るとすれば、0.15%になると答弁し、四捨五入して0.2%にかさ上げしていることを認めました。
 佐々木議員は、その前提になっている4割には何の根拠もなく「1999年に実施された地域商品券でも消費に回った分は32%だ」と指摘。32%の前提で試算した押し上げ効果をただしたのに対し、内閣府は0.12%と答えました。これで、0.1%を0.2%に水増ししたからくりが明らかとなりました。

 また、麻生総理は、これまで「高収入のある方はもらわないのが普通。人間の矜持(きょうじ)の問題」、そのような人がもらうのは「さもしい」とまで述べ、高額所得者は受領すべきではなく、自らも辞退する考えを示していました。
 この日、佐々木議員への答弁で、「(定額給付金を)高額所得者の方も盛大に使っていただきたい。さもしいと思っていたら、そういうことは申し上げない」と述べ、「さもしい」という表現を事実上撤回しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 先ほどの松野議員の給付金の質疑に関連をしてお聞きをしたいと思います。
 まず、麻生総理、総理はさもしいという言葉を撤回したんでしょうか。
○麻生内閣総理大臣 さもしいという言葉自体を撤回したかという意味ですか。
 私は、その当時、佐々木先生、低額所得者対象のお金、給付金という趣旨の部分だと皆さんおっしゃいますから、当時定額減税の話が主流だった時代だったので、私はそのときに、定額減税だと行き渡らない低額の方もいらっしゃるから、くまなくやるようにしないとということを申し上げました。
 その一環として、どこで切るかということになると、これはいわゆる納税者番号があるわけじゃありませんので、どこで切るかというのは甚だ難しい。だから、あの方は幾らあるのか、こっちは幾らあるのかというのは、給与所得者ならともかくも、そうじゃない方はなかなかわからぬ。いろいろの御説がいっぱいありまして、なら、みんなひとしく給付する以外に方法がないと。それで、高額所得者にもかかわらず、なおかつ1万2千円だか2万円だかというのをもらおうというのはさもしいのではないかという話を、たしかそういったような表現をしたんだと記憶をいたしております。
 したがいまして、今回、どのような形で各市町村が配られるのかは存じませんけれども、そういったようなことを考えましたときに、やはり今のような状況でいえば、今度は、先ほど松野先生からも御質問があっておりましたように、いろいろな消費の部分の比重がかなり高まってきたという情勢で、インフレからまたデフレの話に世の中は変わってきておりますので、それならむしろ盛大に使っていただいた方がよろしいというように、今はそう申し上げていると存じます。
○佐々木(憲)委員 ということは、高額所得者ももらって盛大に使ってもらいたいと。だから、もらうのは別にさもしいわけじゃないわけで、撤回するのは当然だと思うんですが、いかがですか。
○麻生内閣総理大臣 今は高額所得の方々も盛大に使っていただきたいと申し上げておりますので、さもしいと思っていたらそのようなことは申し上げないわけで、私どもとしては、ぜひ高額所得者の方はそれに足して、ぜひ何らかの形で早目に使っていただくというのがよろしいのではないか、それが消費の伸びの支援になる、私自身はそう思っております。
○佐々木(憲)委員 では、事実上撤回した、こう理解してよろしいですね。
 まあ、事実上撤回されたわけであります。
 それで、中川大臣、先ほどの答弁でちょっと私ひっかかったのは、使われない方がいい、返ってきた方が私の立場としてはよろしいと。これは、使わない方がいいというのは財務大臣の立場なんでしょうか。
○中川国務大臣 ちょっと誤解を招くかなと思いながら発言したんですけれども、財務大臣の立場としては、本当に財政が非常に厳しいのでということでちょっと言ったので、先ほども申し上げましたけれども、松野委員の御質問の趣旨とはちょっと違ったことを答えてしまいました。あくまでも財政が厳しい厳しいという立場からはということでございまして、もちろん、これは目的として、2兆円、1万2千円なり2万円なりを目的のように使っていただくということが法の趣旨であり、これは当然、それが大前提でございます。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、財務大臣も総理も、この定額給付金というものは受け取るというのが筋じゃないんですか。それぞれ、なぜそこをはっきり言わないのか、私はどうも理解ができないわけです。いかがですか。
○麻生内閣総理大臣 先ほど松野先生、いないときに松野先生のことを言うと、あなたの裏を引っ張っているように言われる。ちょっとあと1、2分、ちょっと座っておいてくれる。ごめんなさいね。
 先ほど松野委員の御質問があったんですが、そのときに、この定額給付金につきましては、低額所得者に対する家計への給付という色彩と消費の刺激という色彩と、もともと二つあった、その比重が変わってきたとは申せ、もともと二つありましたということ、これはずっと申し上げております。そして今回、先ほどの御質問で、あなたの答えでどちらの性格か決まると言われたから、それならますます答えがしにくくなりましたと申し上げておりますので、両方の意味がありますので、なかなかお答えがしにくいと申し上げておるのであります。
○佐々木(憲)委員 これは余りこんなことを時間をとってもしようがないんですけれども、ともかく、二兎を追う者は一兎をも得ずということがありますけれども、これは両方やろうとするから、こういうわけのわからないことになるわけであります。実際に景気刺激、消費刺激というところに重点が移っていると言うなら、それならば全員がそれをもらう、自分ももらう、こういう立場で答弁するのが当然なんだけれども、それもはっきりしない、極めて中途半端である。
 しかも、この予算書は、お配りした資料にありますように「生活対策の一環として家計への緊急支援を図る」、この説明書でも同じことが書かれているし、もともとが、3枚目にありますような経済対策の中にそういうものは書かれていた。ですから、重点が移ったなら移ったで、この予算書も書きかえるというのは当然でありまして、私も松野議員と同じ考え方でございます。実際に今、世論調査でも7割、8割が、こういうやり方ではなくて別な使い方をすべきだ、こういうふうに主張しているわけですから、私は撤回してやり直すべきだと思うわけです。
 では、具体的に経済効果についてお聞きをしたいと思います。
 総理は、1月6日の衆議院本会議で、定額給付金がどの程度の経済効果があるかについて、実質GDPを0・2ポイント程度押し上げる効果があると見込んでいると答弁をされました。
 この答弁、間違いありませんね、総理。
○麻生内閣総理大臣 定額給付金の経済効果ということで先ほど御質問があっておりましたが、これは内閣府の調査だったと記憶していますが、GDPの実質成長率で0・2ポイント程度を押し上げる効果があると見込んでおるということを申し上げたと記憶をいたします。
○佐々木(憲)委員 ところが、与謝野経済財政大臣は、昨年の10月31日に、GDPを0・1%程度押し上げる効果がある、こう述べているわけです。鳩山総務大臣もそう説明しておるわけですね。0・1%と言っているわけです。与謝野大臣は、給付金2兆円を実施した場合の効果については、短期日本経済マクロ計量モデルの乗数を用いると、今後の1年間では実質民間消費支出0・2%程度、実質GDP0・1%程度、名目GDP0・1%程度を押し上げる効果がある、このように記者会見で述べているわけです。0・1%だったものがなぜ0・2%に倍になったのか。
 内閣府にお聞きしますけれども、内閣府のマクロ分析では、内閣府経済社会総合研究所の短期日本経済マクロ計量モデルを使っていると言われますが、これは政府の基本政策を決める場合の政府公認の方式だと言われています。GDP0・1%程度、これはどういう試算でこういうふうになったんですか。
○山崎政府参考人(内閣府政策統括官) お答え申し上げます。
 御指摘の点でございますが、まず、実質GDP0・1%程度ということについて、これは一つの試算でございますが、あくまでも短期のマクロ計量モデルの中の定額減税の乗数効果を仮に用いた場合の計算として出ているものでございます。
 それに対しまして、今回の政府経済見通しにおきましては、より実態に即した形で、過去の地域振興券の例を参考にしまして、2兆円のうちのおおむね4割程度は追加的な消費に回るという形での消費効果を見込んでございます。その観点から、実質GDP成長率を0・2ポイントの押し上げ効果がある、このように考えた次第でございます。
○佐々木(憲)委員 過去の地域振興券の消費喚起効果、これは1999年に経済企画庁が行った調査であります。これはどの程度消費に回ったとこの報告書には書いていますか。
○山崎政府参考人(内閣府政策統括官) お答え申し上げます。
 これは平成11年の調査でございます。アンケート調査でございますが、地域振興券によって新たにさらに喚起された追加的な消費ということでございまして、振興券使用額の大体32%程度という形の、これはアンケート調査でございますが、そういう調査結果になってございます。
○佐々木(憲)委員 結局この数字は、9千世帯の調査で32%が消費に回った、こういうふうにされているわけです。これは具体的な調査の結果ですよね。
 では、具体的に、今回4割が消費に回る、これはどういう根拠で4割というふうに決めたんですか。
○山崎政府参考人(内閣府政策統括官) 当然、今回の場合も一定の試算といいますか見通しを考えるわけでございますけれども、確かに、地域振興券、これは平成11年でございますが、その当時に比べますと非常に経済状況が厳しくなっていることもございます。さらに、特に一般的に消費性向が高いと言われます高齢者の数も、当時に比べますとかなり、700万ぐらいの方がふえてございます。そういったことを考えまして、消費性向等の上昇もございますので、おおむね4割程度という形で見込ませていただいた、こういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 これは、4割というのは何の根拠もないんですよ。ああ4割にしよう、大体こんな、今のような考えであったのかもしれません。しかし、調査をしたわけでもない。本来なら、過去の実績をもとにしてこれを計算すべきなんですね。例えば、過去は消費に回ったのが32%、これは実際に実績なんですよ。
 32%をもとにして計算をした場合は一体どのぐらいになるのか。それから、4割と計算した場合も、0・2%押し上げと言いますけれども、下3けたまで数字を言っていただけますか。その二つ、答えてください。
○山崎政府参考人(内閣府政策統括官) お答え申し上げます。
 まず第一点目でございますが、4割程度が追加的消費に回った場合につきましては0・15%でございます。それに対しまして、仮に先生御指摘の32%という数字を使った場合については0・12%、こういう数字になる次第でございます。計算でございます。
○佐々木(憲)委員 ここに0・1%と0・2%の数字のからくりがあるんですよ、総理。
 大体、過去の実績に基づいて32%が回ったということで計算すると、結果は0・12%になるわけです。つまり、約0・1%ですよね。ところが、40%が回った、こう仮定すると、0・15%なんですよ。だから、わずか0・03ポイントの違いなんです。それしか違わないのに四捨五入して、0・15だから、まあ0・2だ。それから、0・12%は0・1%。そういうふうに、去年発表したときの数字を何とかかさ上げし、水増しし、それで大きな数に見せよう、倍の数にしようとしたのがこのからくりなんですね。それを総理にこうなりますと出して、総理に本会議で答弁をさせるというのは、私は余りにもやり方としてはおかしいと思うんです。
 総理、この数字のからくりを聞いて、これはちょっとはめられたかな、そういう感じはしませんか。これはやはりおかしいと思いますよ。何か国民に向けてできるだけ大きな数字を出したい出したいという意図がここにあらわれていると思うんですよ。総理、感想はいかがですか。
○麻生内閣総理大臣 いや、はめられたとか、そういう品のない発想は私は余りないんです、正直なところを言って。もうちょっと上品な発想にしないといかがなものかと思われますので。
 私は、0・03ということなんだと思いますが、少なくとも一つだけ、今の0・03、4捨五入という観点も確かにあるんでしょうが、もう一つやはり、佐々木先生、先生のところも似たようなものだと思いますが、僕はあの地域振興券のときより今の方が景気はしんどいと思いますよ。僕は今の方がはるかにしんどいと思っていますね。先生のところと違って、私、もっと地方にいますので、熊本とか、私らのところは同じ福岡でも大分地方の方におりますので、かなり厳しいところにおりますので、その意味から考えたら、消費に回る比率はもっと高いんじゃないかな、私自身はそんな感じがしておりますので、今の言われた0・03だから1ポイント違うという点は、四捨五入のルールからいったらそれはわからぬことはありませんが、それを補うほど消費に回る率は高いんじゃないかな、私自身はそう思っております。
○佐々木(憲)委員 私はそうは思わないんですね。これは、例えば銀行の預金口座に振り込むというやり方が方法としてはかなり中心になると言われているわけですね。そうすると、商品券で来たら商品を買おうかというふうになりますけれども、預金に振り込まれたら、これは、そのままにしておけば、ああ預金がふえたな、それだけで終わる可能性もあるわけですよ。そういう意味も考えると、4割が回るという根拠はないんですよ。
 それを根拠にして、4割が回るという前提でかさ上げするような、何か効果が大きいかのようなそういうやり方は私はおかしいと思うし、総理自身も、これはそういう形で国民に宣伝をするというのは私は正しくないと思うわけです。それほど数字を操作しないと……(発言する者あり)いや、操作じゃないですか、4割が回るなどという大げさな数字を出して。試算するなら3割で出したらいいじゃないですか。そういうことを私は言っているわけです。こういう、まさに効果をかさ上げするようなやり方で今回の給付金を宣伝するというのは、非常にこそくだと言わざるを得ません。
 私は、今回のこういうお金の使い方は、やはり根本的に見直すべきだというふうに思います。2兆円というお金があれば、緊急に雇用対策あるいは社会保障の問題、医療の問題、こういうところにそういうお金をしっかりと振り向けるというのが、今、政府が取り組むべき課題だと思うんですよ。国民の要求とかけ離れているからこそ、きのうの朝日新聞でも62%、読売新聞では78%が反対である、こういうふうに言っているわけですよ。
 お金の使い方が間違っている、国民の暮らし、国民の今切実に望んでいる方向に回すべきだ、このことを主張して、質問を終わります。

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