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税制(庶民増税・徴税), その他 (消費税, 免税点引き下げ, 強権的徴税, 災害支援)

2004年10月26日 第161回 臨時国会 財務金融委員会 【258】 - 質問

台風・震災被災者の今後の生活・営業を政府として支援すべき/消費税法改悪、中小業者に徴税攻勢

 2004年10月26日財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、台風・震災対策、税務署の強権的な徴税について質問しました。

 佐々木議員は、「自治体では、破壊された住宅の取り壊しや建設、家財道具などの個人の被害にたいする補償をおこなっているところもあり、政府としても、それを支援すべきだと思うがどうか」と、谷垣財務大臣に質問。
 谷垣大臣は「災害援護資金の貸し付け措置などをおこなう」という答弁にとどまりました。
 次に、佐々木議員は、伊藤金融担当大臣に対して、台風23号で死者まで出した岐阜県の高山市と清見村の事例をあげ、被災地の中小企業の再建のために、返済猶予・債権放棄を含む支援などをおこなうべきだと、求めました。



 続いて、佐々木議員は、消費税を転嫁できずに身銭を切っている中小企業・業者の実態を無視して、税務署が税金を取り立てようとしている問題について質問しました。
 消費税法改悪によって、免税点が引き下げられ、新たに140万の業者に課税義務が課せられました。しかし、赤字企業が7割を占め、4割が消費税を転嫁できていません。
 佐々木議員は、国税庁・税務署が、中小企業に出した消費税を払うために納税資金の積み立てを「督励」する文書を示しました。「期限内に納付しないと財産の差し押さえ等の滞納処分を受ける場合もあります」と書かれています。
 「消費税を転嫁できていない企業は、どう積み立てよというのか」と佐々木議員が迫ると、谷垣財務大臣は『預かり金』の性格があるのでストックしてもらわないと」と、まともに答える事ができませんでした。佐々木議員は、「厳しい営業を強いられる業者は、消費税を払うために生活費を切り縮めるか、借金する以外になく、倒産したり多重債務に苦しんでいる」と指摘、「中小業者の支援の立場に立つべきだ」と述べました。
 次に、佐々木議員は、税務署が無慈悲に取立てをするために、業者の了解のないまま、一方的に税務署の指名した税理士の指導を受けるように通知する文書について追及。
 この文書は、新潟県小千谷税務署、神奈川県川崎西税務署などから送られていました。
 佐々木議員は、「業者の個人情報が、勝手に税務署から税理士に伝えられているのは重大」と批判。
 これに対し、国税庁の村上次長は「不適切な事例だった」と認め、「そういうことがおこらないよう全国に徹底する」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、台風、震災の対策についてお聞きをしたいと思うんですが、先ほどの谷垣大臣の答弁の中で、万全を尽くすというふうにおっしゃいました。今問題になっているのは、被災された方々が今後の生活あるいは営業をどう再建していくかということであります。自治体の中では、破壊された住宅の建設、あるいは家財道具など個人の被害、これに対する補償を行っているところがあります。政府としてもこういう支援をしっかりやるべきだと思いますが、いかがでしょう。
○谷垣財務大臣 一般論は先ほど本会議でも申し上げましたから、省かせていただきます。
 それで、中小企業とか一般家庭等をどうしていくのかという課題がございまして、これは災害救助法の適用をまず踏まえまして、中小企業に対しては、政府系金融機関等によって特別相談窓口を設ける、あるいは災害復旧貸し付けを適用する、それから既往債務の返済条件の緩和等の措置というものを考えていかなきゃならぬことだろうと思います。
 それで、負傷したとか、あるいは住居、それから家財、被害を受けたという方に対しては、災害援護資金の貸し付け措置を行うというようなことをそれぞれ担当省においてやっていただくことになるということだろうと思います。
○佐々木(憲)委員 しかし、貸し付けだけでは、返済という問題が非常に困難なわけでありまして、そういう点を考慮して、やはり損害を補償するという、個人的に、個人補償といいますか、そういう発想がないと、なかなか実態に合わないと思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
 伊藤金融担当大臣にお聞きしますが、私、3日前に、台風23号の被災地であります岐阜県の高山市、それから清見村を訪れました。要望を聞いたんですけれども、大変印象的だったのは、かなり大きな工場、川の近くにある工場が河川のはんらんで直撃を受けまして、流木が工場の中にどんと飛び込んできてめちゃくちゃになった。土地自体も崩れて、今まで土地だったところが川になっている、こういう状況であります。その社長さんにお話を聞いたら、本当にこれはどうしていいかわからない、何とかしてほしい、こういう訴えであります。こういう人を助けるというのが本来の政治であり、政府の役割ではないかと思うわけです。
 例えば銀行は大手企業に対して債権放棄をやっている、そういうところがある。しかし、中小企業に対しては貸し渋り、貸しはがしというのが横行しているというのが現状でありまして、やはりこういう被災地の中小企業を何とか再建を図っていく、それを応援するということが大事でありまして、例えば返済を猶予する、あるいは債権放棄をやるように指導する、そういう支援措置が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○伊藤金融担当大臣 私からも、今回の一連の災害で、被災された皆様方に対し心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 今委員から具体的な事例を引きながら御指摘があったわけでございますけれども、債権放棄という問題につきましては、これは債権者の考え方によるところでございますが、私どもとしましては、災害の実情、そして資金の需要の状況、そうしたものに応じて、関係機関と緊密な連携をとりながら、民間の金融機関に対しても適時適切な対応を求めるよう要請をしているところでございます。
 特に中小企業庁との間におきましては、一連の災害においてセーフティーネット保証制度がございます。これを適用するということでございますので、こうしたことも踏まえて、中小企業庁とさらに緊密に連携をとりながら、中小企業に対する資金の円滑化、このことについて特段に私どもとしても対応していきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 大企業には債権放棄するけれども、中小企業・業者には債権放棄はしない、取り立てるだけだと、こういう姿勢ではだめだということを言っておきます。当然、これは返済猶予ですとか、あるいは債権そのものの縮小ですとか、そういうことはやるべきだし、国もそういう姿勢に立って指導すべきだということを申し添えておきたいと思います。
 次に、消費税の徴税問題についてお聞きをしたいと思います。
 昨年、消費税法が改定されました。免税点を売上高3000万から1000万に引き下げる、あるいは簡易課税制度の縮小というのが行われました。ことしから来年にかけてこれが実施をされるということであります。私たちは、これは中小企業・業者あるいは消費者に新たな犠牲を強いるものだという理由で反対をいたしました。
 まず、前提として、谷垣大臣の認識をお聞きしておきたいと思います。
 現在、景気回復ということが言われておりますが、確かに大手企業の利益は、黒字はふえていると思います。しかし、中小企業はそれに反してなかなか大変な状況にあると私は思います。赤字法人、欠損法人、この比率は大手企業よりも中小企業の方が非常に高いというふうに私は思うんですが、大臣、どういう認識をお持ちでしょうか。
○谷垣財務大臣 確かに景気は堅調に回復してきていると思いますが、業種や企業の大小によって随分ばらつきがあるのは事実だろうと思います。
 それで、欠損法人は、どちらかと申しますと、結果としておおむね資本金が少ないほど欠損法人の比率が高くなっているというのが現実だろうと思っております。
○佐々木(憲)委員 確かにおっしゃるとおりで、国税庁の統計によりましても、お配りした資料の一枚目でありますが、欠損法人の比率は、大手、10億円以上になりますと大体5割程度でありますが、中小企業になればなるほどその比率が6割、7割とふえてきまして、資本金100万未満のところに行きますと、大体8割が欠損法人。大変深刻な二極分化が発生しているわけであります。
 問題はそういう中小企業が、法人税や所得税は利益が上がる、所得がある、そういうところにかかるわけですけれども、消費税は赤字企業でも納税を義務づけられるわけでありまして、先ほど言ったように、新たな課税対象が約140万者ふえるというわけでありまして、転嫁するのが消費税だといいますけれども、しかし、実際に転嫁できていればそれを預かって納めることはできますけれども、転嫁できているのかどうか。
 そこで、経済産業省にお聞きをしたいと思うんですが、実際に転嫁できているかどうかですね。一昨年の8月から9月にかけて実態調査をされていると思います。転嫁できているか、説明をしていただきたい。
○西村政府参考人(中小企業庁次長) お答え申し上げます。
 中小企業庁が平成14年8月に実施した調査によりますと、既に課税事業者となっている事業者に出荷・販売段階で消費税分をどの程度転嫁しているのかという問いに対しまして、事業者全体におきましては、すべてを転嫁していると回答した事業者は58.6%となっております。
○佐々木(憲)委員 すべてを転嫁しているというのが58.6%。つまり、すべてあるいは部分的に転嫁できていない、そういう業者は4割、41.4%あるということですね、逆に言うと。
 小さな企業になればなるほど転嫁できない業者がふえておりまして、例えば、皆さんにお配りした資料の二枚目ですけれども、平均で今紹介のあった58.6%が転嫁しているというんですが、1000万円以下あるいは1000万から1500万以下、こういうところを見ますと大体3割しか転嫁できていないわけです。つまり、7割程度が転嫁できていない、全部あるいは部分的に転嫁できていないということであります。
 そうしますと、谷垣大臣にお聞きしたいんですが、今赤字が大体7割あるわけです、企業の中で。しかも、消費税を転嫁できていないという業者が平均して4割ある。中小企業になればなるほど6割、7割になっている。そこで、赤字の企業で、しかも転嫁ができていない企業、これらの企業というのは大変経営が苦しくて借金もしているわけです。その業者が消費税を納税するために一体どこからお金を持ってくるのか。これはどこからお金を持ってくるんですか。
○谷垣財務大臣 消費税は、こういう表現が適当かどうかわかりませんが、一種の預かり税的なところがあるわけですね。代金を受け取って、まだ消費税を払わない段階というものがございますから、その段階は預かり税、預かり税という言葉が適切な言葉かどうかわかりませんが、そういう性格がありますから、そこらあたりを意識して、計画的にそれをストックしておいていただくといいますか、そういうことが必要なんじゃないかと思います。
○佐々木(憲)委員 赤字企業で預かっていないんですよ、転嫁できていないから。その企業が大体7割、8割ある。どこから持ってくるんですか。前からずうっとこれはそういう状況なんですよ、赤字企業がずっと続いていて。何年も統計とって、7割赤字なんですよ。全部転嫁できていないところもさっき言ったようにかなりあるんです。どこからお金を持ってくるんですか。それは積み立てることはできないんじゃないですか、預かっていないんですから。どこからお金を持ってくるんですか。
○谷垣財務大臣 その前提として、やはり消費税というのは転嫁をするという性格でつくられておりますから、転嫁がきちっとできるような納税者、消費者両方への我々の取り組みを強めなきゃいかぬということは事実だろうと思います。
 それから、先ほどお挙げになった中で、4割ぐらいが転嫁が全部できていないという御指摘がありました。確かにそういう統計が出ていることは事実でございますけれども、免税事業者の場合には仕入れ段階の消費税分のみを転嫁することが適正な転嫁の方法であるわけですけれども、御指摘の4割近いものが転嫁できていないという統計ですが、この中には今のような意味での免税業者としての適正な転嫁をしている人も、これはどのぐらいか私はよくわかりませんけれども、含まれているんじゃないかというふうに思います。
 それから、赤字法人であってもそのときに売り上げを受け取れば、そこに一種の預かり税的な性格が生まれるということは、赤字法人の場合でも否定できないのではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 どうもよくわからないですね。
 転嫁できていないわけですよ。転嫁できていないところがあるわけです。4割できていない。これは、仕入れも含めて、消費税が消費者の方に、次の段階に転嫁できていないわけですね。それは納税の義務あるなしにかかわらず、そういうことはやらなきゃ預かっていくことはできませんね、転嫁しなければ。できていないわけですよ。赤字なんですよ。預かっていないんです、転嫁できていないんですから。その税の性格として、転嫁するというのが基本的な性格である、これは前提である、それは転嫁できている場合に言える話であって、転嫁できていないんですから。結局、これは身銭を切って、どこかから借金するか、あるいは自分の生活を切り縮めて、それで税務署に納める、こういうことしかないんじゃないですか。
○谷垣財務大臣 今の佐々木委員の御質問は幾つかの段階があると思いますが、まず、やはり私どももきちっと転嫁できるような取り組みを高める必要がございますし、それは転嫁していただくということも必要だろうというふうに思います。
 その上で、今申し上げたような、赤字法人でも預かり税的な性格が生ずる、こういうことじゃないかと思います。
○佐々木(憲)委員 全然答弁になっていないですよ。払えないじゃないですか。どこからお金を持ってくるかといったら、結局、身銭を切るということしかないんですね。それしかほかにないんですよ。
 これだけの数字、これだけの比率、かなり大きな比率ですよ。そういう業者が生活を削り、あるいは借金をし、それで納税しているわけです。大変な状況なんですよ。何か法律をつくって仕組みをつくったら自動的に入ってくる、転嫁するのは当たり前と、そんなこといったって、現実にはそうなっていないんです。それだけ現実の生活、営業が厳しいということなんですね。
 それで、税務署の側は「消費税の納税資金の積立てを」というものをどうも配っているようなんですが、積み立てをといったって、赤字なんですから、納税するのも大変なのにどうやって積み立てするのか。こういうチラシは、全国でこういうのを配っているんですか。
○村上政府参考人(国税庁次長) お答えいたします。
 先ほど先生御指摘のように、免税点の引き下げにより新たに消費税の課税事業者になる納税者が大変増加いたします。その方々に対して制度の趣旨をいろいろ説明しているわけでありますが、先ほど大臣からもお答えがあったように、消費税は日々の取引に含まれているわけでありますが、実際の納税は若干タイムラグがございます。これは年間の納付税額によって違うわけでありますが、年一回であるとか二回とか。その間、タイムラグがありますから、日々、取引に含まれている消費税を積み立てていただいて納付期限に納めていただきたい、そういう意味で、そういうチラシをつくって、全国でPRをさせていただいています。
○佐々木(憲)委員 しかし、実際に積み立てることができるようなゆとりがあれば、その企業は黒字であり、かつ、納税もどんどんやれるような企業だろうと思いますが、現実に赤字企業が7割あり、転嫁できていないのが平均して4割あるわけです。積み立てるといったって、積み立てられないじゃないですか。そんなむちゃくちゃなことを、まあ、しかし、本当にこれは現実離れしていると思いますね。
 結局は、生活を切り縮めて、借金をして、ある場合にはサラ金から金を借りる、商工ローンから借りる。多重債務に陥っているという場合もあるんです。多重債務の原因を調べてみると、税金を納めるためにサラ金から金を借りて多重債務になったというのは幾らでもいるんですよ。それが現実なんです。
 ですから、余りにもこれは無慈悲な感じで、現実にそういう状況があるのにともかく取り立てるという発想ではいけないわけであって、中小業者をどう支援するかという立場に立つべきだというふうに思います。
 それから、今度改定された消費税の徴税を行うために、税務署はさまざまな、これはその一例ですけれども、文書を出しておりますが、この中にはルールを逸脱した文書がある。
 例えば、藤沢税務署ですけれども、このもとになったのはここにある文書なんですけれども、後でこれにおわびの文書が配付された。そのおわびの文書は皆さんのお手元に配付してありますが、これは一体何が悪かったんですか、何がまずくておわびしたんですか。
○村上政府参考人(国税庁次長) お答えいたします。
 これは所得税法120条に規定がございます収支内訳書というのがございますが、これは法令上、確定申告に添付していただくということになっております。したがいまして、税務署といたしましては、確定申告書に収支内訳書の添付のない場合、出してくださいということを御指導させていただいているところであります。
 今回、御指摘がございましたのは、収支内訳書の未提出をもってあたかも税額控除が受けられないがごとく、これは実は間違った文書を送付したことでございます。
 例えば医療費控除みたいなものがありますが、医療費控除は、現行法令上、添付書類、医療費の用紙をつけてくださいということになっているわけでありますが、そういうのがないとなかなか医療費が適正かどうかわかりませんので、出してくださいというお願いをするわけでありますが、その文書を過って送付した結果であります。
 したがいまして、御心配をおかけしました納税者に対しましては、既にここに配付されております書面をもちまして所轄の税務署長より謝罪させていただいております。今後、こういうことがないように万全の指導に努めてまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 ほかの税務署ではこういう文書はありませんか。
○村上政府参考人(国税庁次長) 少なくとも、収支内訳書、本件に関する過ちは今のところ見つかっておりません。
○佐々木(憲)委員 調査した上でですか。
○村上政府参考人(国税庁次長) 全国の国税局に指示いたしまして、チェックはさせております。
○佐々木(憲)委員 もう一つ取り上げたいのは、今、地震災害で大変大きな被害を受けている小千谷市の小千谷税務署の文書であります。一番最後にそれを添付してありますが、これを送られた業者は大変驚いたというんです。
 本人が了解しておりませんのに、その業者の情報が税務署から税理士に伝えられていた。今度指導を担当していただく税理士が決まりましたので、お知らせします、こうなっております。そこに担当税理士の名前が書いてあるんです、住所も電話番号も。何でこんなことを勝手にやるんだというので、本人は頼んだ覚えもないのにこんなものが送られてきたと、非常に怒っているわけですが、財務省はこんなやり方を全国に指示しているんですか。
○村上政府参考人(国税庁次長) お答えいたします。
 これも、大変申しわけございませんが、事務処理が不適切な事例でありますが、それは既におわびして訂正いたしております。
 ちょっと背景を御説明しないとわかりにくいかと思いますが、我々国税庁は、申告納税制度の健全な発展のためにさまざまな納税者サービスを行っているわけでありますが、記帳指導、記帳が十分できない方に対しまして記帳ができるように指導をさせていただいているわけです。その場合にあくまで希望を聞いて実施するということは当然のことでありますが、そういった方に希望を聞いた上で、税理士さんにまたお願いして記帳を指導していただくということになっております。
 ただ、今回のケースは、事務処理の過ちがございまして、納税者の方の希望を聞かずに、先に担当税理士に連絡してしまったというケースでございます。大変、事務処理上、不適切な部分がございましたので、今後こういうことのないように万全を期してまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 本人の了解がないまま、その本人の個人情報が第三者に流れた。極めて重大ですよ。この事例だけですか。
○村上政府参考人(国税庁次長) お答えいたします。
 記帳指導は全国で相当の数やっておりますが、これにつきましても、一応、こういった納税者の御希望を聞かずに割り振った例があるかどうかはチェックしましたが、今のところそういうのは見つかっておりません。
○佐々木(憲)委員 でたらめなことを言っちゃいけないよ。川崎西税務署にはありませんか。
○村上政府参考人(国税庁次長) 済みませんが、私は聞いておりません。
○佐々木(憲)委員 調査したとかなんとか言っても、実際にはやっていないじゃないですか。
 川崎西税務署は、ある業者が確定申告時に消費税課税事業者届出書というのを提出した、しかし、消費税アンケートには回答していない、つまり、税理士の指導も希望しておりません、にもかかわらず、本人に今小千谷税務署で配られたこれと同じようなものが、あなたは今回この税理士が担当者ですからと、こういうのを送られているんです。調査して是正してください。
○村上政府参考人(国税庁次長) 調べさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 これはたまたま私がそういう事実を把握しただけでありまして、一例を挙げて、ほかにないかと言ったら、ほかにはありません、聞いておりませんと。それで、事例をもう一度出したら、それは調べてみますと。何もまともな調査をやっていないんでしょう。こういうことをやってはなりませんという指示を各税務署に出すべきじゃありませんか。しっかりそれをやってください。
○村上政府参考人(国税庁次長) お答えいたします。
 ちょっと日付は忘れましたが、全国の所得税、個人課税課長会議で既に指示いたしておりますが、再度指示の徹底を図りたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 なぜこういう問題が起こるかというと、新たな課税業者が140万者出てくるわけです。つまり、売り上げの3000万から1000万への引き下げ、納税義務が負わされる、そういう業者がたくさん全国で生まれるから税務署としては対応できない。そのために第三者に頼む。だれに頼むか。商工会議所ですとか税理士協会に頼む。そのときに、その個人情報を本人の承諾なしにどんどんどんどん出しているわけですよ。だから、こういうことがあちこちで生まれてくる。
 私は、やり方として非常に問題があると思うんです。どの税理士に頼むかは、その本人の自由じゃありませんか、頼むか頼まないかは。なぜそれを勝手に税務署が決めて、担当者はこれです、そんなことを押しつけるんですか。本人の選択だというのが基準じゃありませんか。
○村上政府参考人(国税庁次長) お答えします。
 これは個人の方が税理士を雇用される委任契約を結ぶケースと違いまして、これは税理士法第一条に基づくかと思いますが、日本税理士連合会で税理士会の規則が制定されておりますが、そこに税務援助規則というのがございまして、税理士会の事業としてやっておられるわけであります。したがって、我々としては、個々の税理士じゃなくて税理士会にお願いしていますので、納税者から特に選ばれますと恐らく調整が大変困難であります。これは全部無料でやっておりますし、したがって、通常のビジネスとしてやっております税理士の顧問契約とは違いますので、自由に選ばすことはちょっと無理かと思います。
○佐々木(憲)委員 しかし、本人の承諾なしに、あなたのところはこういう税理士ですよと勝手にやることはいいんですか、その情報を流して。
○村上政府参考人(国税庁次長) お答えいたします。
 今回のケースは、小千谷だけじゃなく川崎西などもあるのかもしれませんが、間違ったケースでありまして、あくまで御本人の意思を確認して、税理士に記帳指導を受けていただくかどうかを確認いたします。確認した以上は、税理士さんに最小限の情報を、これは住所、氏名、電話番号、業種、こういったものでありますが、こういった最小限の情報を提供しているということであります。その後は、税理士さんと個々の納税者の方で、実際に記帳指導をやっていただくということでございます。
○佐々木(憲)委員 本人の了解がある場合はいいですよ。了解がない場合にそういうことをやってはいけないということですね。
○村上政府参考人(国税庁次長) 先ほど来申し上げておりますように、あくまで納税者の了解を得て実施しているものでございます。したがって、今回のケースは誤ったケースであります。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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