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税制(庶民増税・徴税), 金融(銀行・保険・証券) (定率減税の廃止, 銀行の収益性, 銀行の手数料)

2005年02月22日 第162回 通常国会 財務金融委員会 【276】 - 質問

定率減税縮小・廃止方針を追求/銀行が地方自治体からも手数料を取り立て

 2005年2月22日財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、2月7日の予算委員会に引き続いて、定率減税縮小・廃止方針について、谷垣財務大臣に質問しました。
 佐々木議員は、景気動向によっては定率減税の縮減の中断もあり得るということかと問いただしたのに対し、谷垣財務大臣は、「景気動向が悪化した場合に、直ちに定率減税縮減の見直しを行うというものではない」「そのときの経済情勢によって、いろいろなことがあり得る」と、あいまいな答弁に終始しました。
 佐々木議員が、17年度はもう決めたから実行する、問題は18年度をどうするかということでは、分離論になると指摘し、与党税調の議論からいっても「分離論は、極めて特異な、谷垣大臣独特の解釈だ」と追及。谷垣財務大臣は、これにまともに答えられませんでした。
 佐々木議員は、「17年度は、どんな状況でも食い逃げのように定率減税を実行し、あとは18年度についてのみ、どうしようかという話だというのがよくわかった」と指摘しました。



 また、佐々木議員は、銀行が地方自治体からも手数料を取り立てようとしていることを明らかにしました。
 両替手数料や現金自動預払機(ATM)利用手数料などさまざまな利用者負担を押し付けている銀行が、指定金融機関になっている地方自治体からも、さらに手数料をとりたてようとしています。
 佐々木議員は、全国地方銀行協会(地銀協)が2004年7月に全国知事会、全国市長会、全国町村会など自治体関係団体に提出した要望書を示しました。地銀協は、現在はほとんどの場合無料となっている指定金融機関が自治体の収納・支払い事務を行ったさいの手数料を「平成17年度から予算措置につき配慮願いたい」と求めています。この背景には「収益性の向上」を求める金融庁の姿勢があります。
 佐々木議員が地方銀行をとりまく経営環境への認識をただしたのに、伊藤金融担当大臣は「諸施策の展開のなかで進ちょくしている」と前向きな見方を表明。要望書で「経営環境はますます厳しさを増し」と大げさにのべ、自治体の負担を求めた地銀協の言い分には道理のないことがはっきりしました。
 地銀協は、地方銀行が指定金融機関になっている自治体は全国で1700団体にのぼり、負担は年間1000億円を大きく上回ると説明。すべて自治体の負担になれば平均でも1自治体1億円弱が新たな財政負担となります。
 佐々木議員は「この負担を自治体に求めるのが当然と考えているのか」と追及。伊藤金融担当大臣は「当事者である銀行と自治体が協議して合意すべきもの」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 定率減税の縮減の問題について、まず谷垣財務大臣にお聞きしたいと思います。
 与党税調の税制改正大綱ですね、先ほども議論になっておりましたが、この中に「定率減税を二分の一に縮減する。なお、今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する。」、こういうふうに書かれております。これは、景気動向によっては定率減税の縮減を見直すということ、つまり中断もあり得るということですね。
○谷垣財務大臣 先ほど中川委員との間でも議論をさせていただいたわけですが、この条項、要するに、前提として、先ほど申し上げましたように、景気が雇用所得環境の改善を通じて家計部門に波及する動きが強まっている、それで引き続き民需中心の緩やかな回復があるだろうというのが我々の認識の前提にあるわけですね。
 ただ、もちろん、そういうふうに見ているんだけれども、経済は生き物ですから、今後の景気動向については当然よく見ていかなきゃいけないわけでありまして、それで、その時々の経済状況に応じて、何か打つ手が必要になったときには、それは経済のどこに問題があるのかというものをきちっと把握して適切な対応をしなきゃならないというふうに私どもは考えておりまして、指摘された「機動的・弾力的に対応する」というのは、そういうことを言っているわけですね。
 ですが、景気動向が悪化した場合に、では直ちに定率減税縮減の見直しを行うという趣旨のものでは必ずしもないと私は思います。もちろんそういう選択肢を排除しているわけではありませんが、一応この条項については、そういうふうに申し上げます。
○佐々木(憲)委員 何かはっきりしない答弁でありまして、悪化したから直ちに見直すというわけではないということは、どういうことなんですか。景気動向が幾ら悪化しても見直すということはしないということなんですか。
○谷垣財務大臣 いやいや、それは、そのときの経済情勢によって機動的、弾力的に対応する、こういうことですから、いろいろなことがあり得るわけです。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、景気が、谷垣大臣と我々は大分認識が違いますけれども、さらにこれからどんどん悪化する、仮にそういう状況になった、秋になって、このまま定率減税の縮減というものをやっていったらこれは大変な家計負担と景気の底割れになりそうだ、そういう状況になれば、この定率減税の縮減は中止する、そういう選択もある、あり得るということですね。
○谷垣財務大臣 それは、そのときの状況によって機動的、弾力的というんですから、それはいろいろな可能性があるわけです。
 ただ、私は、先ほど中川委員にも御答弁申し上げましたけれども、ここに書かれている主たる含意は、半分縮減をお願いしているわけですね、平成17年度には。そうすると、あとの半分をどうするのかというのが平成18年度の税制を議論するときに当然出てまいりますから、それをどうするかというのは、十分そのときの景気の動向を見て判断しなさいよというのが、もちろんそれだけとは申しませんが、この条項の主たる含意ではないかなというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 ということは、つまり、17年度はもう決まったんだから、決めたんだから、これは状況が幾ら悪化しても実行する、問題は18年度をどうするかだ、そういう話ですか。
 そうすると、これは分離論ですね。その分離論というのは一体、総理の答弁にもありませんしこの大綱の中にもないわけで、これは極めて特異な、谷垣大臣独特の解釈であって、これはおかしいんじゃないですか。
○谷垣財務大臣 いや、佐々木委員は、私はそんなこと言っていないのにそういうふうに鋳型に当てはめる。だから、主たる含意は、平成18年度の税を議論するとき残りの半分を入れるのには十分景気の動向を見ながら判断をして、だからそれは、そのとき悪ければそのときの判断に影響してくるというのが主たる含意であると申し上げて、すべての含意だというふうに申し上げているわけではないんです。
○佐々木(憲)委員 よくわからない。17年度はどういう状況があってもこれは実行する、問題は18年度以降だ、それをどうするかというのがこの中に書かれていることの含意である、そういうことなんですか。つまり、17年度はいわば実行してしまう、どういう状況があろうが。問題は18年度だ、そのことについてこれは書いている、こういうことなんですか。どうも今の話はそういうことですよね。
 そうなると、そのときの経済状況に機動的、弾力的に対応するというのは、つまり縮減全体について見直しを行うということではなくて、縮減の一部は実行するが一部は見直すんだ、こういう考え方になりますね。
○谷垣財務大臣 佐々木さんは私の答弁をよく理解しておられて、無理にそういう鋳型に当てはめようとしておられるのじゃないかなと思うんですけれども。もともと、だから私は、主たる含意は平成18年度だと申しましたけれども、では、平成18年度、あとの半分を入れるか入れないかがすべてではないと申し上げているわけです。えらくぎりぎりお詰めになりますから。
 大体、今の平成17年度でお願いしておりますものも、実施に移るのは平成18年1月からですよね。それから、次の議論をやっていきますときには十分そのときの景気動向も判断しなければならないわけですから、こういう議論が具体的になっていくのは平成18年度を議論するときになってくるのではないかなと思いますけれども、機動的、弾力的ですから、それはいろいろなことがあり得るわけです。
○佐々木(憲)委員 全くいいかげんな答弁でありまして、17年度を見直すという発想は、谷垣大臣の今の答弁の中には一切見えてこない。つまり、1月から3月までの1800億ですか、それはいわば、どんな状況でも食い逃げのようにぱっととってしまって、あとは18年度どうしようか、こういう話だというのがよくわかりました。
 さてそれで、次に伊藤金融担当大臣にお聞きします。
 まず前提として、現在、金融、銀行を取り巻く経営環境、これは多少最近よくなっているのか、それともますます厳しさを増しているのか、どちらでしょうか。
○伊藤金融担当大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 まず、不良債権問題に対する取り組みにつきましては、主要行におきましては、金融再生プログラムにおきます諸施策というものを展開して、昨年の9月期の不良債権比率は4.7%まで低下をして、今期の3月期に半減目標を達成させるということを金融再生プログラムの一つの目標にいたしているわけでありますけれども、その目標達成に向かって順調に進捗をいたしているというふうに思います。
 そして、中小、地域の金融機関の問題でありますが、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」に基づいて、中小企業の再生と地域経済の活性化、こうしたことを図りながら、不良債権問題も同時に解決をしていこう、そのための諸施策を展開しているところでございます。
 確かに、主要行よりも不良債権比率は少し高いところがございますけれども、全体としては不良債権比率は低下をし、そして自己資本比率も向上してきておりますので、全体としては進捗している状況にあるのではないかというふうに思っております。
 ただし、ペイオフ解禁、拡大は目前に迫ってきておりますし、中小・地域金融機関におきましても、一層緊張感を持って、経営基盤の強化と収益力というものを向上させながら、さらに地域の方々、利用者の方々の信頼を確保していくために、みずからの健全性というものをわかりやすく丁寧に、またみずからの経営に対する考え方というものも公表しながら、経営改革を進めていくということが非常に重要なことではないかと認識をいたしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 私の聞いたのは極めて単純なことなので、そんな難しい長い答弁は要らないんです。要するに、よくなっているのか悪くなっているのか。今の答弁ですと、全体としてはよくなりつつある、こういう認識だということだと思います。
 ところが、最近、金融機関の経営環境はますます厳しさを増している、こういうことで大げさに言いながら、さまざまな手数料の引き上げというのを銀行は行っているわけです。
 例えば、両替手数料ですとかATMの利用手数料、あるいは中小企業向け融資の条件変更の際の手数料。私は、この間、財務金融委員会で、こういう問題を次々と問題にしてまいりました。考えられるあらゆる手段を使って手数料の引き上げを図っている、これが大変評判が悪いわけであります。
 最近大きな問題になってきておりますのは、自治体の指定金融機関が各自治体に対しまして、公金の収納支払い等に関する業務についての手数料を一斉に引き上げようということで、自治体に迫っているわけです。
 例えば、一昨年9月、全国地方銀行協会が全国知事会、全国市長会など五団体に要望書を出しております。昨年の7月にも出されておりまして、その要望書を見ますと、こう書かれているわけです。「地方銀行全体で年間1000億円を大きく上回る負担となっています。」こういうふうに言って、全国で約1700の自治体の指定金融機関が、その分、つまり1000億円をはるかに超える部分を自治体に負担してもらいたい、こういう要望書を出しているわけであります。単純に計算しますと、一自治体当たり1億円弱の負担増になるわけです。これは大変な手数料負担なんです。
 金融庁としては、この1000億円以上の負担を自治体で見るというのは、これは当然の立場であるというふうにお考えなんでしょうか。
○伊藤金融担当大臣 公金収納の事務に関するコスト負担についてお尋ねがあったわけであります。
 私どもも、地方銀行協会が自治体に対してコスト負担を求めるために書簡で要請していると今御紹介ございましたが、そのことについては承知をいたしております。いずれにいたしましても、この問題については、基本的には、当事者である銀行と地方公共団体の間で十分協議をして合意を得るものではないかというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 承知しているけれども、当然という立場ではなくて、それは両者の協議で決めていくものであるという答弁でありました。
 この要望書を見ますと、こういうことも書いてあるんですね。「なお、現在、地方交付税の算定基礎である基準財政需要額の単位費用には、金融機関への手数料等の項目がなく行政コストとして扱われていない」「個別地方公共団体ならびに地方公共団体関係団体から主務官庁に対し、」総務省に、「主務官庁に対し、基準財政需要額の単位費用についての計上方法の見直しを働きかける等の対応についても検討願いたい。」こう書いてあるんです。つまり、銀行が自治体に、今まで自治体の側が負担していなかった、銀行の収益の中でそれを負担するということになっていたわけです、それをこれからは自治体に全部負担させるんだと。しかも、基準財政需要額の算定基準の中に入れるように、自治体が国に働きかけなさいと。こんなことまで何で地方銀行協会が言わなきゃならぬのか。私はこれは非常におかしな文書だと思うんですが、こういうことを言うのは当然だというふうに思いますか。それとも、これはちょっとおかしいな、行き過ぎだと思いますか。どちらですか。
○伊藤金融担当大臣 今委員からは、地方銀行協会の要請のあり方について問題である、こうした御指摘でございますけれども、一般論として申し上げれば、地方銀行協会の内部でどのような議論をしていくのか、そしてどのような形で意見集約を行っていくのか、そしてこれに基づいて対外的にどのような要請というものを行っていくのか、これは基本的には地方銀行協会が判断すべきことでありますので、私どもがその適切性について当局として判断すべきものではないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、先ほど答弁をさせていただきましたように、当事者間において十分協議した上で合意をしていく、このことが非常に重要なことではないかと考えております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、金融庁はこれは関与していないし、またこれは当事者間の問題であるというふうにおっしゃいましたが、この地方銀行協会がこのようなことをやる背景に金融庁の政策的な問題はないのか、全くないのか、その辺はどうですか。
○伊藤金融担当大臣 委員は恐らく地方公共団体の財政的な視点から御議論をいただいているんではないかというふうに思います。
 委員も御承知のとおり、先ほど私が御答弁をさせていただきました「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」、この前段に金融審議会で御議論をいただいて報告書をまとめていただいております。その報告書の中において、中小・地域金融機関の健全性、こうした観点から考えていくと、コスト負担の適正化の問題についてはやはり考えていく必要があるんではないか、重要な課題ではないかというふうに私どもは認識をしているところでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、この問題は、当事者間において十分に協議をして、そして合意をしていくべき問題であるというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 この文書を見ますと、こういうふうに書いているんですね。「地方銀行においては、リレーションシップバンキングの機能強化のため、収益力の向上に向けた一層の取組みが強く求められ、」強く求められていると。「指定金融機関業務等のコスト負担の適正化など地方公共団体との取引改善が喫緊の経営課題となっております。」と。つまり、金融庁が収益力向上を言っている、そのことが地方公共団体に手数料の引き上げを求める一つの根拠になっているんだ、こういう説明をしているわけです。これは、金融庁がこのような方針を出してやっているからこういうことになるわけであります。
 例えば、手数料、実際の自治体との関係で一体どうなっているかといいますと、一つの例として琉球銀行をたまたま見たんですけれども、昨年の12月に発表されましたが、経営健全化計画のフォローアップ、この内容を見ますと、市町村との手数料有料化交渉はこうこうやっておりますと書いてありまして、16年度の収益改善額は1200万円であると。つまり、収益力向上という方針が金融庁から出されて、それに基づいて自治体と交渉した、そうしたらこれだけの収益が上がりましたと。これは金融庁にフォローアップという形で確認されているわけです。
 こういうことを考えますと、私は、これは逆じゃないかと。地域への貢献あるいは自治体へのサービスということを考えると、こういうやり方は全く逆行していると思いますよ。このリレーションシップバンキングの本来の目的は、地域への貢献だったはずであります。それが地域への負担押しつけの口実にされている。これは、理解の仕方としては私は行き過ぎだと思いますが、いかがですか。
○伊藤金融担当大臣 この点については、やはりコスト負担の適正化ということをどういうふうに考えるかということが大きなポイントではないかというふうに思っております。金融審議会の報告書におきましても、地方公共団体との間で適切な分担がなされているかどうかという問題が指摘されているところである、こうされておりまして、中小・地域金融機関の健全性確保の観点から、こうした取引についてコスト負担の適正化について大切な課題であると私どもは認識をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、この問題は基本的に当事者間で十分協議をしていくことが非常に重要でありますから、その協議の上で合意をしていくということが大切なことではないかというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 協議は協議でいいんですが、そういう方向に金融庁が全体として追い込んでいるということ自体が問題なわけであって、そこを根本的に改めていただかなきゃならぬということを最後に申し上げまして、終わります。

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