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税制(庶民増税・徴税) (消費税, 免税点引き下げ, 定率減税の廃止)

2005年02月07日 第162回 通常国会 予算委員会 【274】 - 質問

消費税免税点引き下げによって納税者が増大/定率減税「臨時措置」は廃止への口実

 2005年2月7日予算委員会で、佐々木憲昭議員は、消費税の免税点引き下げによる中小企業・農家の影響、定率減税縮小・廃止方針について質問しました。

 佐々木議員は、中川経済産業大臣・島村農水大臣に、消費税免税点引き下げによって、新たに課税業者となる中小企業、農家の数を質問。
 中川経済産業大臣は、中小企業は181万事業者であることを、島村農水大臣は、農家は約12万戸であることを明らかにしました。
 さらに、佐々木議員は、中小企業ほど赤字の企業の比率が高く、しかも、規模が小さい業者ほど消費税を転嫁できていない業者の比率が高くなることを、経済産業省提出の資料で明らかにしました。
 佐々木議員は、このように消費税を転嫁できず、赤字の中小企業は、「身銭を切るしかないではないか」と追及。両大臣とも、これを否定できませんでした。佐々木議員は「このようなやり方はやめるべき」とのべました。



 次に、佐々木議員は、定率減税縮小・廃止方針について、現在と制度導入時の政府説明に重大な食い違いがあることを明らかにしました。
 小泉純一郎首相は、1月25日の衆院本会議で、「景気対策のための臨時異例の措置として継続されてきた定率減税について、……その規模を2分の1に縮減する」と答弁しています。定率減税について「臨時異例の措置」と説明することで、廃止するのが当然であるかのような言い方です。
 しかし、定率減税を導入するときの「税制改正に関する答申」(政府の税制調査会、98年12月16日)は、「1年限りの特別減税と異なり期限の定めのない『恒久的』なもの」と説明していました。
 99年に実施する定率減税などは「恒久的な減税」と明確にのべています。
 佐々木議員は、これまで政府の公式見解のなかで定率減税について「臨時異例の措置」という言い方がないことを指摘。谷垣財務大臣は「私自身、いずれ廃止していくという意識はあった」とのべたものの、定率減税を「臨時異例の措置」とする政府の公式見解は何一つ示すことができませんでした。
 「臨時異例の措置」という説明が、定率減税の縮小・廃止を押しつけるために政府がいまになって作為的に持ち出した言葉であることが明らかになりました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 一昨年消費税法が改定されまして、消費税の免税点を売上高3千万から1千万に引き下げられました。中川経済産業大臣それから島村農水大臣にお聞きしますけれども、これによって新たに課税業者となる中小企業、農家、どのぐらいの数になりますか。
○中川経済産業大臣 免税点の引き下げという意味で、中小事業者、具体的には、済みません、細かい数字ですので、事務当局から答えさせていただきたいと思います。(佐々木(憲)委員「参考人要求していないので。参考人は要求していませんよ」と呼ぶ)
 14年の8月以降、181万事業者、これは個人も入ります。
○島村農林水産大臣 お答えいたします。
 2000年の世界農林業センサスの結果によれば、販売農家数約234万戸のうち、消費税課税対象の引き下げによる新たに納税することとなる農家数は約12万戸と見込まれております。
○佐々木(憲)委員 大変な影響が出るわけです。中小企業で181万事業者、農家で12万戸、これが今まで納税義務がなかったのに新たに納税対象業者になる。
 そこで、中川大臣にお聞きしますけれども、赤字企業はどの程度現在あるのか。特に中小企業の場合は赤字法人が多いと思いますが、いかがでしょうか。
○中川経済産業大臣 事業者が今600万ぐらいだと思いますけれども、そのうちの68.4%が平成15年で赤字というふうなデータが出ております。
○佐々木(憲)委員 68.4%が赤字企業、つまり約七割が欠損企業である。しかも、中小企業ほど欠損の比率というのは非常に高い、赤字企業の比率が高いというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○中川経済産業大臣 これはもう佐々木議員の御指摘のとおりで、今、日本経済が、全体としてはよくなっていると思いますけれども、地域、業種、そして規模、つまり中小企業がいまだに厳しい状況にあるというふうに私は認識しております。
○佐々木(憲)委員 配付した資料を見ていただければわかるわけですけれども、平均して大体七割が赤字企業で、しかも企業の規模が小さくなればなるほどその比率が高くなる。100万円未満というところを見ますと約八割、これが赤字なんですね。したがって、新たに課税業者になる規模というのは非常に小さいところが課税業者になるわけでありまして、そこは赤字企業が圧倒的である。
 そうしますと、消費税というのは、利益があろうがなかろうが、あるいは所得があろうがなかろうがかかってくるわけであります。これは転嫁する税金だということですけれども、実際に転嫁できているのかどうか、これが問題でありまして、一昨年の8月上旬から9月上旬にかけまして経済産業省が実態を調査したことがあります。
 それを見ますと、この資料の二のところを見ていただければわかるんですが、すべてを転嫁しているというのは3割から5割にすぎません、すべて転嫁できているのはですね。つまり、すべて、あるいは部分的に転嫁できていない、そういう業者は五割から7割、規模によって違いますけれども、あるということであります。つまり、小さな企業になればなるほど、転嫁できない業者、これが7割にもなるわけであります。
 これは経済産業省の調査でありますが、これは確認できますね。
○中川経済産業大臣 今佐々木議員もおっしゃられましたとおり、これは中小企業が負担をするというシステムになっていないというのが原則でございます。しかし、委員御指摘のように、実質的にどこが負担をしているかという御質問でありまして、経済産業省の平成14年8月に実施いたしました消費税実態調査によりますと、ほぼすべて転嫁できていると回答した事業者が47.7%、まあ48%は転嫁できている。それから、一部しか転嫁できていない、ほとんど転嫁できていない、合計52.3%ということで、47.7 対 52.3というのが私が持っておるデータでございます。
○佐々木(憲)委員 そういう意味では、半分強の業者が転嫁できていないということなんであります。しかも、新しく課税業者になった場合、完全に転嫁ができないというふうに回答されているのが、下の段にありますけれども、5割から6割に上っているわけであります。
 農家の場合、島村大臣、転嫁できない農家というのはどのぐらいの比率ありますか。
○島村農林水産大臣 全農家を対象に経営収支を把握した調査は、実はありません。しかしながら、規模別に農業経営の収支を見た平成15年の標本調査によりますれば、農業粗収益が1千万円から3千万円の農家のうち、農業所得が赤字の農家の割合は3.9%、約4%となっております。
○佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたのは、赤字が幾らかではなくて、転嫁できているかどうかということを調査した、そういう調査はありますかと言っているんです。
○島村農林水産大臣 ございません。
○佐々木(憲)委員 私は、これだけ農家が12万戸新たに納税業者になる、そういう影響が出るわけでありますから、当然、どういう影響が出てくるのか、転嫁できているのかいないのか、納税できるのかどうか、こういう調査は基礎調査として当然やるべきだというふうに思うわけです。
 さてそこで、中川大臣、平均して赤字企業が7割ある、また、消費税を転嫁できない、こういう業者が五割ある。そうなりますと、赤字企業で消費税を転嫁できていない業者、しかも、それは大体銀行からの借金もありますね。その業者は納税のためにどこからお金を持ってくるんでしょうか。
○中川経済産業大臣 消費税は最終的に最終消費者が払うわけでありますから、そこはちょっと論理が、実質のデータとしては佐々木議員も私も申し上げたような結果ではありますけれども、そもそもはどこが負担をするかということになりますと最終消費者であって、それは、どこからと言われれば最終消費者だと思います。
○佐々木(憲)委員 仕組みの上ではそうなっているんですが、転嫁できていないのが半分あるわけです。これからも、新たな納税業者になっても転嫁できない、5割、6割あるわけです。転嫁できていないわけですから、預かっていないわけですね。しかも、経営は赤字である。そういう業者は納めなきゃならぬのです。では、どこからお金を出すんですか。
○中川経済産業大臣 前回も佐々木議員とこういう場で議論させていただきましたが、日本経済は、地方、それから中小企業、製造業が厳しいということは多分佐々木議員と私と同じ認識だと思います。そういう中で、中小企業がこの問題に対しても非常に御苦労されているという認識は私自身持っております。したがいまして、そういうことも含めまして、中小企業対策を、広い意味で、いろいろな意味で中小企業対策を日本経済発展のために頑張っていきたいということで、そういう対策を幅広くとっていきたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 いや、私は、中小企業対策は大いに発展させていく、支援を強めるというのは、これは当然だと思うんですよ。
 聞いているのは、赤字で転嫁できていない企業、簡単に言うと、そういうところはどこからもお金を持ってくることができないわけですから、当然身銭を切る、つまり自分で工面して出す以外にはないと思うんですね。あるいは、どこかで借金してといっても、貸してくれるところはないですよ、こういうところは。結局、身銭を切るというのが実態じゃないんですか。
○中川経済産業大臣 個々にいろいろな事例があると思います。しかし、中小企業対策は万全にやっていきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 身銭を切る以外にないでしょう。
 ですから、私は、今言いたかったのは、結局、生活を切り詰めるかあるいは借金するか、その借金も、普通の銀行は貸してくれない。結局、サラ金から借りるあるいは商工ローンから借りる、そういうことにならざるを得ない、これが現実なんだということを言いたいわけであります。自己破産の理由の中に、税金を払えなくてサラ金から借りて、自殺をしたという人もいるんですから。
 だから、こういうやり方というのは余りにも無慈悲である、我々はこんなやり方はやめるべきだという立場であります。税金をかける以上は、どんな結果になるのか、現実はどうなのか、どういう状況に業者が追い込められているのか、農家はどうなのか、このことをきちっと把握して、どんな結果が出るかをよく考えてやらなきゃ。そういう点が配慮が足りない。だから、こういう増税はやるべきじゃないと言っておきます。
 次に、定率減税の問題に行きたいと思います。
 平成11年の税制改正で、法人税の引き下げ、所得税の最高税率の引き下げ、所得税の定率減税、この三つの減税が行われました。定率減税も含めてこれら三つの減税というのは、恒久的減税あるいは恒久的措置として実施されたわけですね。
 ところが、本会議で小泉総理の答弁を聞いていますと、臨時異例の措置として継続されてきた定率減税の規模を2分の1に縮減する、こういうふうに答弁されました。谷垣大臣も同じようなことを言っておられるようですが、この臨時異例の措置という言い方は、これまでしてこなかったんじゃありませんか。
○谷垣財務大臣 臨時異例の措置という表現でありますが、定率減税は、委員もよく御承知のとおりに、これをつくったときの法律上の表現は、当時の著しく停滞した経済活動の回復に資する観点から、こう書いてありまして、それから、当時の小渕総理の所信表明では「景気に最大配慮して、」こういう言い方になっております。それからもう一つは、我が国経済の状況等を見きわめつつ、個人所得課税の抜本的見直しまでの間の特例措置としてという表現に法律上はなっておるわけですね。それで、所得税本法の改正や租税特別措置法の改正ではなくて、いわゆる恒久的減税法ということでやろうというのでやりました。
 こういう位置づけをとらえて臨時異例の措置と申し上げているわけでございまして、これは、平成13年度の税制改正答申、政府税調ですが、この中でも、「一昨年の深刻な景気状況の下で講じられた税制上の臨時異例の措置については、改めて公平・中立・簡素という税制の基本原則に立ち返った見直しを検討していく必要があります。」と。
 それから、平成14年6月に出ましたあるべき税制の構築に向けた基本方針では、「定率減税は、景気回復に最大限配慮した負担軽減を主眼とした措置であるので、経済情勢を見極めつつ、廃止していく必要があろう。」
 それから、平成17年度の税制改正答申では、「定率減税は」云々かんぬん、「緊急避難的な特例措置として導入」されたものでありと、それぞれ、税調答申、若干、臨時特例という表現やいろいろな表現がございますけれども、言っている精神は同じだろうと思います。
 こういう位置づけを踏まえまして、臨時特例ということを申しているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 当時の答申等には一切そういうのはないんです。
 今お配りした資料を見ますと、資料の三を見ていただきたいんですが、平成10年12月16日ですけれども、平成11年度の税制改正に関する答申、この中でこういうふうに書いているんですね。「本年(度)の特別減税」、これは平成10年度に実施された一年限りの減税ですけれども、これは「できるだけ早く実施するため、1年限りの臨時異例の措置として採られたものです。」と。その次に、右の方を見ますと、「6兆円を相当程度上回る」、これは3つの減税です、「恒久的な減税を実施いたします。」「これらの減税は一年限りの特別減税と異なり期限の定めのない「恒久的」なものとすること、」こういうふうに定められている。
 つまり、恒久的なものであって、臨時特例措置ではない。このことがその当時の答申にもあるし、法律あるいは政府の答弁にもあるわけです。
 その後で、後になって、それは政府の公式見解では一切ありませんよ、税調の答申などでちょっとそういう言葉が幾つかあります。しかし、閣議決定あるいは政府の方針、法律、正式の政府の答弁、その中にありますか、臨時異例の措置という言葉は。
○谷垣財務大臣 今、佐々木委員が示されたのは平成11年度の税調の答申ですね。
 それで、この中で、平成10年度の一年限りの特別減税について確かに臨時異例という表現を使っているんですが、これは、税額から世帯人員に応じ一定額を控除するというその減税手法、あるいは、結果として、国際的に見ても高い我が国の課税最低限がさらに大幅に引き上げられる等所得税制に大きなゆがみを生じた、こういうことに着目して臨時異例と言っているんだろうと思うんですね。(佐々木(憲)委員「それは前のものでしょう」と呼ぶ)前のもの。
 他方、定率減税は、先ほど言った表現はもう繰り返しませんが、当時の著しく停滞した景気状況と、それから、いわゆる恒久的減税法という、租税特別措置法や所得税本法の改正によらなかった、こういう形で導入されている。それを私どもはまた臨時異例というふうに申しているわけです。
 確かに、この二つの臨時異例というのは、この11年度の税制改正に使っている意味合いと、今私どもが使っている意味合いでは、中身は異にすることは事実ですけれども、それぞれ臨時異例と表現するには十分な理由があるんだろうと思いますね。ですから、片っ方をそう言っちゃいかぬという理由はないんじゃないかというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 これは全く事実と違いまして、政府の公式見解の中には今まで一度もないんですよ。答申というのは諮問して出してもらっている、それを見て政府が決定するわけです。政府は、臨時異例の措置というのは今まで一度も使ったことはない、今国会初めてですよ、それ。そうじゃありませんか。今出してきた証拠、いろいろかき集めた証拠も、こんな答申の部分的な言葉だけ持ってきますけれども、当時の決定は、恒久的減税だ、これは臨時異例の措置ではない、はっきり書いてある。その後の政府の答弁も、すべて恒久的減税であると。
 今回だけ、こういう特別な、臨時異例の措置という特殊な用語を使った。これは何のために使ったか。要するに、今回のこの定率減税を廃止したいがために、これは特別臨時にやったんだから、すぐ変えてもいいんだという雰囲気を政府が国民に振りまく、そのためにそういう用語を使っているとしか言いようがない。今の答弁では全くそのとおりだということが逆に証明されました。
 私は、この法律を見ていただきたい。先ほど大臣も引用されました。四枚目を見ていただきたいのです。法律そのものです。この法律が実施された後の「我が国経済の状況等を見極めつつ抜本的な見直しを行うまでの間、」これを続けると。
 そうしますと、抜本的な見直しを行っていないんですから、まだ。行ったんですか。行っていないですね。ですから、それまでの間は当然今のこの減税を続けるというのが当たり前なんじゃないですか。法律に書いてあるとおり続けるというのが当たり前じゃないんですか。
○谷垣財務大臣 まず、先ほどの臨時特例ではないということでありますが、やはり当時の経済事情、私の表現で言えば底が抜けそうな状況ですね。これは、こういう表現をすれば、思い切ったことをやった。それは、私どもも当時、臨時異例の措置だと思っておりました。その表現が後ほどの、先ほど申し上げましたような税調の答申等に出てくるわけであります。あれは緊急避難的な措置であったと思います。そして、当時の小渕総理御自身も、未来永劫これが続くわけではない、こういうことを答弁しておられて、いつかやはりこれは変えなきゃならないという心がその中にあらわれているわけです。
 ただ、当時、恒久的というのを使ったのは、当時の、非常に人心も不安になっている、経済の先行きに対して自信を失っている、そういうときに一年限りのものではなかなか人心が落ち着かないだろう、経済をよくしていくという目的にも合わないだろうということで、決して一年限りの措置ではないという意味合いで恒久的減税というのを使ったのでありまして、当時のあの厳しい経済状況から見てとられた緊急避難的な措置であるということは間違いない、私はこのように思っております。
○佐々木(憲)委員 これは、当時の経済の極めて危機的な状況に対応したものだというのはそのとおりですよ。危機的な状況に対応してやったんですよ。それはやったんだけれども、それは一年限りのものじゃない、臨時じゃない、恒久的なものとしてやったんですよ。そうでしょう。
 だから、恒久的というのはどういう意味かといえば、あるべき税制の姿が明確に出されるまでの間なんです。そういう意味で恒久的なんですよ。ところが、政府は、あるべき税制の姿も一体いつ出したんですか。あるべき税制の姿があるというのなら出してください。出していないのに、それまでの間減税を続けると言っていながら減税をやめるというのはどういうわけですか。法律違反じゃないですか、これは。
○谷垣財務大臣 先ほどちょっと、それまでの間じゃないかというのを答弁し忘れましたのでつけ加えさせていただきますが、あるべき税制につきましては、近年のいろいろな逐次の税制改正でも、経済社会の構造変化に対応したいろいろなものを打ち出してきました。個人所得課税についても平成15年で配偶者特別控除の上乗せ部分を廃止したとか、それから、平成16年も年金税制の見直し等を行いました。そういうのが、あるべき税制に向かっての今までの歩みですね。
 そして、これは三位一体改革との関係で、平成18年度において国、地方を通ずる所得課税の見直しをしなければいけない。これはもうまさに抜本的な見直しというものを所得課税にしなければならないわけですね。もうそれは既に税調答申や基本方針の2004等に明記をしておりますが、個人住民税については応益性の要請などにこたえる観点から、所得割の税率をフラット化していこうとか、所得税率については所得再分配機能を適切に発揮させるように税率構造を見直すということを明示しております。
 そういう平成18年度税制改正に向けて、多分委員は、そう言うと、では平成18年度に一緒にやればいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、それは私どもは、決まったのはまだ平成17年度分しか決まっておりませんけれども、平成17年度、平成18年度、2年間かけて、景気の動向にも十分配慮しながらやっていこうという趣旨で、平成18年度のその三位一体の改革に伴うものをにらみながら現在やっているわけであります。
○佐々木(憲)委員 要するに、大臣は、法律で書いてある、あるべき税制が明確になるまでの間、つまり「抜本的な見直しを行うまでの間、」という表現を、それと違うことをやっているんだけれども、しかし、それはあるべき税制の先取りである、今やっているのは、そういう説明を今されたわけですね。ということは、要するに、法人税の減税をずっと続けていく、あるいはもっと下げていく、それから、所得税の最高税率は下げたままである、しかし、定率減税は廃止をして、定率減税は増税に持っていくと。さらに、あるべき税制の中に、税調答申にいろいろ書いているのは、消費税の税率も引き上げますと。
 要するに、大臣が言っているのは、庶民にはどんどん税金は重くしますよ、大企業や大金持ちは税金は軽くしますよ、それがあるべき税制の姿である、全くそういうことをみずからおっしゃっているということなんですよ。だから、これは余りにもひど過ぎるなと。こんなことを、今あるべき税制の全貌を示してもいないのに、あるべき税制の一環としてこういうことをやっていくんだと。これはちょっと、今の景気の状況その他を考えると余りにも強引じゃないんですか。
○谷垣財務大臣 いや、さっきはまだ法人税率を下げたとか所得税率の最高限を引き下げたということまでは言っていなかったんですけれども、多分、委員のお顔を見たら、そういうことをおっしゃって、全く悪い税制をやると多分おっしゃるだろうなと実は思っておったわけです。
 そこで、委員が先取りしておっしゃいましたけれども、法人税率をあの当時引き下げた、46%だったわけですね、そういうものを引き下げた。それから、所得税率の最高限も引き下げた。これはやはりグローバル化とかそういう中でやらざるを得ない。私どもは、あるべき税制の、委員がまさに私の気持ちを察して言っていただきましたけれども、あるべき税制の先取りのようなものであったと思いますので、あの当時の非常に停滞した経済状況に直接対応する景気対策としての意味合いを持っていた定率減税とは、位置づけが違うんだろうというふうに私は考えております。
 それで、委員はそうおっしゃいますが、これだけグローバル化していく中で、もう一回法人税率を上げろとか所得税率の最高限を引き上げろとおっしゃる、多分おっしゃりたいんだろうと思うんです、それをやるのならば。しかし、それをやりますと、国際的な、これだけグローバル化した経済の中で、じゃ、日本は空洞化しないで中身が充実したままでやっていけますかというと、なかなかそれはやれないので、まさか佐々木委員も、日本の空洞化を招くような、キャピタルフライトが起きるようなことをせよというふうにおっしゃっているとは思わないんですね。
 そういうことになれば、結局、雇用者賃金というのも下がってきてしまいますから、私は、委員だって、今のところはよくよくお考えをいただければ御賛同いただけるんじゃないかなと信じております。
○佐々木(憲)委員 税金が高いから空洞化をしているんですか。税金が高いから空洞化しているという試算は、政府の、例えば白書、通商白書その他見てください。何の理由で多国籍企業が外国に出ていっているか。税金が安いからじゃないですよ。ほかの理由で出ていっているんですよ。それを税金のせいにして、法人税の税率を下げるなどというとんでもない話でありまして、法人税の税率は、もう既に国際的には十分つり合いがとれている、あるいはそれより低くなっているというのが政府税調の答申に書いてあるじゃないですか。
 しかも、それをさらに下げるなんというのはとんでもない話で、しかも、私が言いたいのは、景気が回復した、大企業の利益が上がった、しかし税率は下がったままですよ。庶民はどうですか。赤字はどんどんふえ、所得が減っている、それなのに所得税の増税をやる。中堅サラリーマン直撃じゃないですか。現在の経済情勢からいっても、やっていることが全く逆立ちしているということを私は言いたいわけです。
 定率減税について、じゃ、定率減税の廃止というのを、自民党か公明党か、一体だれが最初に言ったんですか。
○谷垣財務大臣 どなたが最初に言い出されたかは、私、定かに記憶しておりませんが、やはりいろいろな中で議論をしていきまして、こういう形になったんだと思います。
○佐々木(憲)委員 これは、公明党が最初に言ったんですよ、結論から言うとね。私は、NHKの一昨年の討論会に出たことがありますが、そのときに北側政調会長が、2003年11月23日の討論番組だったんですが、所得税の定率減税の廃止を提案されまして、そのときに自民党の額賀政調会長は、サラリーマン、中堅層には増税になる、どう消費に結びつけるかが問われているときにいかがなものかという議論も党内にはある、こう述べて賛成しなかったんです、その当時は。その後、結局この言い分を受け入れて、定率減税の廃止縮小という方向が出されたわけです。
 ですから、これは結局、サラリーマンに打撃を与えて景気を後退させるという選択を、公明党から言われて、自民党も選択し、政府の方針にしたということなんですね。一体これは、こんなことで景気をだめにし、国民の暮らしをめちゃくちゃにするような、こんなやり方が通用すると思っているんですか。
○谷垣財務大臣 どなたが最初に言い出されたかは別としまして、率直に申しますと、私自身、この定率減税を入れましたとき、小渕内閣でございますけれども、当時の大蔵大臣は宮沢大蔵大臣、私、政務次官として宮沢大臣をお支えしておりましたので、これを入れますときに、先ほど、臨時特例、臨時非常とかいろいろな言い方がありましたけれども、私自身、これは異常なことだなと思っておりました。日本経済がある程度姿をとったときは、これをやはり廃止縮減していく、どうやったらそれができるかなと、入れたときにも私自身の中にそういう意識がございました。
 ただ、これは、やはりあの当時の景気に対応するものでありますから、十分経済がそれにたえない段階で取っ外してしまったらおかしくなるかもしれない、そういう思いは常にありました。
 ですから、今お引きになった、テレビですか、そのときでそういう議論が行われたときに、まだ経済の見方に関していろいろな見方がやはりあったんだろうと思います。しかし、今現在、考えてみますと、基本的には、不良債権処理等が大きく進んで、当時の状況とは違ってきている。自律的な発展が、成長ができるような状況になっている。
 いろいろな中で、まだ個人消費は十分じゃないなという意見があるのは承知しておりますし、私自身も、個人消費がもう少し伸びていくようにならないかというふうには思っておりますけれども、やはり大きいのは、この10年来の中で、要するに、失業率が下がっていく状況が、今まではずっと上がってきましたが、この下がっていく趨勢ができてきているというのは私は大きなことだと思いますし、企業業績は堅調でございますから、それが雇用者報酬あるいは個人消費に反映していく流れができるような状況ができているんではないかと私は考えております。
○佐々木(憲)委員 ということは、自民党、公明党の平成17年度税制改正大綱、この中で、「景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する。」と書いていますが、大臣は、もうこういう機動的なんじゃなくて、どういう経済状況、景気が後退しようがどんどんやるんだ、そういう立場なんですか。
○谷垣財務大臣 いやいや、景気がどうなろうと行け行けどんどんだなんというようなことは申しておりません。やはり、よく景気の状況を今後とも見ていく必要があると思いますが、私自身は、基本的にはその辺は大丈夫になってきているという判断のもとに言っているわけです。ただ、やはり景気の情勢は生き物でございますから、丁寧に見ていかなければならないことは当然のことだろうと思います。
○佐々木(憲)委員 結局、景気の動向を、こういうものを提案しているということは私は無視していると思いますが、しかし、景気の状況によっては撤回もあり得るという、可能性もあるということは今答弁されました。私は、そういう状況である以上、やはりこういう提案は撤回すべきである。庶民大増税、こういうことはやるべきではない。担税能力、負担の能力のある大手の企業が今利益が上がっているんですから、一定の負担を求めるのは当然のことだということを最後に申し上げて、質問を終わります。

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