東海での活動
【05.01.26】愛知万博について経済産業省へ要請
2005年1月26日、佐々木憲昭事務所では、日本共産党愛知県委員会と一緒に、愛知万博について経済産業省へ要請をおこないました。
経済産業省への要請文
愛知万博についての要請
愛知万博の開催まであと約2か月をきりました。しかし、私たちがこの間、指摘してきた多くの問題点の解決のないまま、開催されようとしていることに強く懸念をもっています。
以下、万博開催にあたり、今日の時点にたって解決していない主な問題点を4点にわたって指摘します。これらの諸問題の解決に向けて貴省が、真摯に取り組んでいただくよう要請します。
第1に、博覧会参加者の命にかかわる安全性の問題です。昨年10月22日に国土地理院が公表した都市圏活断層図で、長久手会場の催事場、リニアモーターカーの会場駅北側、瀬戸会場の警備消防センターなどの真下に「推定活断層」があることが明らかにされました。
会場内の建築物は、震度6強から7を想定した耐震設計になっているといわれますが、断層の真上にある場合、地面のずれが大きければ壊れる可能性が強くあります。今回、明らかになった「推定活断層」は「猿投山北断層」の延長線上にあり、一体となって地震が起きる可能性があり、建築物の移築、会場の変更など抜本的対策が求められています。実際、兵庫県西宮市では、阪神大震災後、活断層の真上のマンション開発を避けるように指導しています。
同様のことは、リニアモーターカーについてもいえます。地震や停電など緊急時の安全性について指摘してきましたが、十分検証することなく、開催直前のわずかな試運転だけで開催本番に突入しようとしています。本来、1年以上の試運転で検証することは、安全性を考えるならば当然のことです。
第2に、「自然の叡智」をテーマにした万博にもかかわらず、自然破壊の万博計画になっていることです。
本来行うべき環境影響評価の再実施を拒否し、長久手会場に生息するギフチョウの食草であるスズカカンアオイの低減、瀬戸会場でのホトケドジョウへの悪影響と他の場所への移植、周辺駐車場建設における稀少種ダルマガエルの強制移植など万博計画にかかわる会場整備のためにことごとく自然の生態系を破壊しています。しかも、万博の内容も、環境万博とは言葉だけで、映像、ロボット、最新技術、マンモス、月の石、観覧車など企業の技術を競い合い、見世物重視の内容となっています。
第3に、県民、住民の意向を無視し、周辺住民に迷惑をかけていることです。
二度にわたる県民投票を求める県民の要求を県知事と県政オール与党は拒否しました。博覧会協会も、万博開催についての全県民の意向をくみ取る努力を放棄し、ゴンドラ計画にいたっては、地元の自治会が建設に反対しているにもかかわらず、説明を途中で放棄し建設強行にいたっています。万博開催による渋滞の悪化、県立大学へのバス路線の廃止を含め住環境の悪化など周辺自治体住民への悪影響もはかりしれません。万博周辺3キロ圏内のマイカー規制は、新たな渋滞をつくりだす可能性ももっています。
第4に、万博による地域の活性化が強調されましたが、瀬戸市や長久手町などの地域の活性化にはいっさいつながらなかったことです。しかも、自治体財政を圧迫し、「住民の福祉の増進」を目的とする地方自治体の役割をゆがめてきました。
名古屋学院大学総合研究所が昨年公表したアンケート調査結果によれば、万博開催が地域の産業に及ぼす影響については多くの企業が低い期待しかもっていませんし、実際、活性化にはつながっていません。逆に、万博開催後の採算性のない、東部丘陵線の設置や万博を理由にした道路整備など公共事業の偏重と公務員の重点配置などによって、住民のくらし・福祉の施策が切り捨て・縮小され、自治体の借金も増えています。フレンドシップ事業の押しつけは地方自治体を混乱させました。長野オリンピックと同様、「ポスト万博」の急激な地域経済の冷え込みと過大な自治体の借金返済は、長期に渡って愛知県民のくらし・福祉を脅かすことになります。
これらの諸問題を解決しないまま万博の開催を強行することは、「21世紀の環境万博」の名を汚し、多くの参加者や県民に迷惑をかけることとなります。また、今後の愛知県政、愛知の地域経済に重大な悪影響を与えることにもなりかねません。改めて貴省が、問題解決のために真摯に取り組まれることを強く求めるものです。