アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

憲昭からの発信

憲昭からの発信 − 寄稿文

【08.7.31】不急の水に巨額費用 負担と自然破壊名タイ

「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2008年7月31日


設楽ダム建設がもたらすもの
 このほど、愛知県の設楽ダム建設予定地の現地調査に入りました。
 予定されている設楽ダムは、総工費2070億円で総貯水容量は9800万立方メートル。徳山ダムに次ぐ規模だとも言われています。こんなに大きなダムが、いま、ほんとうに必要なのでしょうか。
 建設予定地に入ると、豊かな緑が広がり澄んだ川が流れています。猛暑の下界とは違って涼しい風が木立の間から吹いてきます。ヒグラシがすぐ近くで鳴いています。川には、ネコギギ、鮎……この自然は、何ものにも代え難いものがあると感じました。
 この地域では、これまでに行われた豊川総合用水事業(平成13年度まで)が完成したため、ため池などからの取水を含めて、現在は1億トンの水が余っているそうです。そのため、総貯水容量の65%にあたる6000万立方メートルが「不特定容量」つまり目的が明確でない水となっています。これは、きわめて異常なダム計画です。
 設楽ダム工事事務所からのヒヤリングでも、「何のために」という私たちの質問にたいし、明確な答えが返ってきませんでした。ともかく説明されたのは、「隣の川に水が流れていないので、そちらに回す」ということでした。隣の川に水を回すのなら、こんな大きなダムは必要ありません。
 水没する予定地にある「雲泉閣山の家」で住民運動の方々とも懇談しました。
 「設楽ダムの建設中止を求める会」の代表、「設楽ダム建設の是非を問う住民投票を求める会」の代表や事務局長……。これまで、学校の校長先生、医者などの仕事をしてきたそうそうたるメンバーです。
 私たちが驚いたのは、ダム予定地の地質です。工事事務所に質すと「20〜30メートルも掘れば堅い岩盤出てくる」と「回答」していました。
 ところが住民の情報によれば、「60メートル掘ってもしっかりした岩盤は出てこない」というのです。「住民投票を求める会」の事務局長への工事事務所からの回答でも、右岸でのボーリング調査の結果は「良好でない」としているのです。
 私たちの調査に対するあの「安全回答」は、いったい何だったのでしょう。住民運動団体の方々は「答えがクルクル変わるので信用できない」とさえ言っていました。
 そのためか、いまだにダムの位置が定まっておらず、各省庁間で基本計画の合意も得られていないのです。
 こうなると、「危険なダム」の可能性は払拭されません。ネコギギや鮎などの魚の生息が困難になる危険性も指摘されています。さらに、三河湾の重大な水質汚濁にもつながるという専門家の指摘もあります。
 このままで、ダムのごり押しを続けることは絶対に許せるものではありません。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる