憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 論文・対談
作家・黒木亮さんとで対談
佐々木憲昭議員は、「しんぶん赤旗」(日曜版)2008年3月16日付で、作家の黒木亮さんと対談しました。タイトルは「これでいのか、日本の銀行」です。
黒木亮さんは、バブル経済時代の大手都市銀行による過剰融資を、最新の著書『貸し込み』(角川書店)で描いています。
佐々木議員は、国会で銀行の問題点を追及してきました。
2007年は、新日本出版社から『変貌する財界―日本経団連の分析』を出しました。
それぞれの舞台で、金融問題に長年かかわってきたものとして、金融機関のあり方から不正追及までを語り合っています。
これでいいのか日本の銀行
衆議院議員 佐々木憲昭 さん
元国際金融マンの作家 黒木亮 さん
「しんぶん赤旗」(日曜版)2008年3月16日付
融資実態 書きました
黒木 亮(くろき りょう) 1957年生まれ。大手都市銀行、在英国証券会社を経て総合商社在職中の2000年に『トップ・レフト』でデビュー。現在はロンドン在住で著作活動に専念。著書に『アジアの隼』『巨大投資銀行』など。
公共性、社会性が基本
佐々木 憲昭(ささき けんしょう) 1945年生まれ。衆議院議員。1996年に比例東海ブロックで初当選、4期目。現在、議院運営委員会、財務金融委員会に所属。党幹部会委員。著書に『変貌する財界―日本経団連の分析』など。
バフル時代の大手都市銀行による過剰融資を最新の著書『貸し込み』で描いた作家の黒木亮さん。片や国会で銀行の問題点を追及してきた日本共産党衆院議員の佐々木憲昭さん。異なる舞台で金融問題に長年かかわってきた二人が、金融機関のあり方から、不正追及まで語り合いました。
佐々木 黒木さんの最新の善書『貸し込み』を読みました。重症の脳こうそくで倒れ、判断能力に疑問がある女性に、大手都市銀行が総額21億円も融資した問題をめぐる裁判が題材です。この女性は結局、自宅を競売にかけられます。小説では銀行が、過大貸し付けの責任を主人公の元銀行員にすべて押し付けようとしています。これは実体験ですか?
黒木 実体験です。この事件に突然巻き込まれたことが執筆の動機なんです。銀行は、私が融資の実行者で、現在は行方不明だと主張しました。しかし、私は融資担当者ではありません。裁判になった当時は銀行を退職してロンドンに住んでいましたが、銀行には所在地を伝えていた。行方不明とはひどい。被害者が私を捜し出して、裁判で真相を証言しました。
裁判の過程で、佐々木さんが国会で銀行問題を追及していることを知ったんです。ずいぶん、一生懸命やっておられる議員がいるんだなと。
佐々木 『貸し込み』で印象的なのは、黒木さんが銀行にあてたファクスなど、いつ何をしたかという記録を丹念に保存されていたことです。証拠に基づいて、銀行の不当な攻撃に忍耐強く反撃していくところはすごいと感心しました。
黒木 大企業は自分たちに不利になりそうだと個人を犠牲にするというのは、いろいろなところで見てきました。念のため記録をとっていたのです。小説を書くうえでも、しっかり取材し、相手に訴えられないよう事実を固めておくことが大事です。
事実と証拠で
佐々木 その点は、国会質問でも同じです。事実と証拠に基づいて追及しないと、反撃されますからね。相手はプロですから。私も銀行の過大融資問題を国会で何回も取り上げてきました。バブル時代の融資は、想像を絶するものでした。返済能力のない人に無理やり貸し付けて、返せないと、家も何も根こそぎ奪い取るんです。血も涙もない。
そもそも、銀行の融資行為にたいする規制が銀行法にないのが問題です。サラ金は、法律やガイドラインで、相手の返済能力を勘案して一定額以上は貸してはならないとなっています。ところが銀行は社会的問題を起こさないから融資行為の規制をしないという。銀行だけが性善説というのはおかしいと、国会で質問しました。
黒木 今も銀行の体質はバブル当時と変わっていないですね。手法が、過大融資から、デリバティブ(金融派生商品)や投資信託を売りつけてもうけるようになっただけです。
佐々木 融資先の中小企業に金融商品を無理やり押し付けているケースもありますよ。
黒木 銀行のいうことを聞かずに、融資を止められたら企業は立ち行かない。有利な立場を利用する営業胎動は本当に問題ですよ。規制されない裏に何があるのですか?
政治献金しているということでしょうか。
佐々木 『変貌する財界』という本で書いたのですが、銀行は以前、かなり自民党などに政治献金をしていました。公的資金が入るようになって献金は公然とできなくなりました。でも役員の個人献金やパーティー券購入などの形になっていることが多いのです。
黒木 私が銀行にいたときには、MOF担という大蔵省担当だけでなく、「政治家担当」というのがいました。彼らの交際費は青天井でした。たぶん彼らがいろんなことを知っています。1回聞いてみたいと思っているのですが。(笑い)
佐々木 銀行は、最近では過剰資金の運用方法として、世界中に対象を広げて投機をしていますね。投機マネーの代表格であるヘッジファンドにも資金提供している。これも問題です。
黒木 いま日本の銀行は外資をまねて証券業務もふくめて投資銀行化しています。銀行の本来の社会的使命は、資金を循環させて、産業なり国民生活に役立てることでしょう。投資に血眼になるのは、本末転倒です。
佐々木 技術力や経営者の能力など将来性を見いだして貸し出すのが銀行のあり方です。赤字だから即座に資金回収となれば企業も育たず、銀行も将来の収益を失うでしょう。公共性、社会性が基本にないと銀行の経営自体も安定しないと思います。
黒木 外資の銀行というのは、短期的な収益を追求します。利益をあげないと経営者は辞任です。だから社会的使命を忘れて、短期的利益を求めてサブプライムローンみたいな問題を起こす。
アメリカのある大手証券会社はサブプライムローンで何兆円も損を出したけど、経営者は退職金を200億円とかもらいましたね。いざとなったら経営者だけが得をするのが米国資本王義です。
佐々木 投機マネーで庶民が苦しむ、という点で言えば、原油の高騰もひどい。いまはヘッジファンドなどの投機マネーが原油市易になだれ込んできて、需要と関係なく値がつりあがっています。
黒木 2000年後半にアメリカのバブルが崩壊して金利や株が下がってきた。資金の運用に困ってさがし出しだのが原油などの商品取引です。取引の規模が小さい商品市場に大量の資金が入ったら影響は大きい。
佐々木 その結果、生活に困窮している人たちがいっそう苦しむということになる。日本共産党は「ルールなき資本主義」を正し、巨大資本の横暴をおさえて国民のためのルールを確立する、と主張しています。現在の日本や世界の状況はまさにそれが必要だと痛感しています。それに、非正規雇用の増加など貧困と格差も広がっています。政策の軸足を大企業から、庶民の家計に移してこそ、まっとうな経済成長につなげることができると思います。
黒木 確かに、日本経済もグローバル化、アメリカ化で貧富の格差が大きくなって、悪い方向にいっていますね。
作家でも格差はあって、売れている作家には仕事がいっぱいきますが、売れなくなると見向きもされない。クオリテイー(品質)を追求していけば、必ず読者はいますし、少しずつでも増えると信じています。本来の使命にこだわるというのが王道ではないかと思うのです。
政治家の王道とは何か、佐々木さんに聞いてみたいですね。
佐々木 やはり、庶民の立場に立ち不正・不公正を許さないという原理原則をしっかり持つことだと思います。
共産党にきく
黒木 そういう意味では、日本共産党は不正を許さないという姿勢が評価を得ていると私もずいぶん感じていますよ。私自身も銀行問題にかかわって、ちゃんとやっているのは共産党しかないと思うのです。
私は小説を書く際には、かなり取材をします。そうしないとリアリティーのある作品は書けませんから。行政の不正を取材することもありますが、行政側は事実関係すら話してくれない。だけど共産党の議員さんのところにいくと教えてくれます(笑い)。地方で新聞記者をしている僕の友人も「共産党にいけばいい情報が入る」と。(爆笑)
佐々木 そうですか。地方議員も本当にがんばってますよ。私は、理不尽なことや不正を追及するのは、国政でも地方政治でも日本共産党の基本姿勢の一つだと自負しています。戦前は侵略戦争に反対して弾圧され、戦後もアメリカやソ連などの理不尽な攻撃にも屈しない。そんな歴史を持ってます。これからも黒木さんに注目されるような活動を続けていきます。
黒木 期待してますよ。