憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【08.02.14】「総額」ありきの道路整備でいいのか名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2008年2月14日
原則消えたはずの予算使い切り方式
国会では、道路特定財源を中心に熱い議論がおこなわれています。
政府は、2008年度から始まる10年間の「道路中期計画」に、59兆円も注ぎ込むとしています。
しかし、昨年の「素案」の段階では、65兆円が必要だと言ってました。その3分の1が、高速道路(高規格・地域高規格道路)と説明していたのです。
では、圧縮された59兆円のうちわけは、どうなっているのでしょうか。
国会答弁では、「調整中のため答えられない」というのです。つまり、積み上げて計画をつくったというのは“まやかし”で、はじめに「59兆円の総額ありき」だったのではないでしょうか。
必要性や採算性が疑問視されてきたこれまでの計画を、そのまま進めようとしているのです。つまり、バブル期の第四次全国総合開発計画(=四全総、1987年策定)で決めた1万4000キロの高速道路建設に“しがみついている”と言わざるをえません。
かつて1990年代には、630兆円もの税金を公共事業に投入する「公共投資基本計画」(1995〜2007年)がありました(それ以前には1991年から2000年までの10年間を対象に430兆円の計画があった)。
これは、アメリカの圧力のもとでつくられたものです。
それに沿って治山治水、森林、河川など16本もの「長期計画」がすすめられてきました。「公共投資基本計画」は、国民の必要からではなく、”総額先にありき”で決められた、ムダと浪費の奨励計画ともいえるもので、今日の財政破たんの根源となりました。
この「公共投資基本計画」は、2002年1月に小泉内閣が閣議決定した「構造改革と経済財政の中期展望」で、ついに廃止されました。
2003年につくられた「社会資本整備重点計画法」では、国土交通省関連の「長期計画」が一本化され、あらかじめ計画の総額を決める「総額方式」は“原則として”なくなったのです。
ところが、ひとつだけ残りました。それは、「道路整備計画」です。なぜでしょうか。
その理由は、道路特定財源にあるからです。ガソリン税などの自動車関連の税金が自動的に入り、全額道路整備だけに使う仕組み(それ以外にはほとんど使えない)がそのままになっているからです。
総額先にありきで、入ってきた財源を全部道路整備に使い切る。だから、高規格幹線道路を全国に1万4000キロも張りめぐらす計画を変えないのです。
こんなことでよいのでしょうか。
道路特定財源という仕組みを根本的に見直し、一般財源化すべきです。
道路にしか使えない方式を改めて、道路にも社会保障にも財源を振り向けることができるようにすべきです。総額方式をやめ、生活関連公共事業に重点を移すべきです。