憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【07.12.06】保障の意味失った交付金餌に基地受け入れ迫る卑劣防衛省名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2007年12月6日
米軍再編強化へ
防衛省は最近、在日米軍再編への協力度合いに応じて市町村に支給する2007年度の「再編交付金」の配分額を決定しました。
そのやり方が、「あまりにもえげつない」と厳しい批判を呼び起こしています。財政危機を抱える自治体に対して、交付金という札束でほおをたたいて米軍基地を受け入れさせようとするものだからです。
再編交付金は、(1)米軍基地を受け入れたか、(2)アセスメントに応じたか、(3)着工に応じたか、(4)完了したか―─という四段階にわけて、進ちょく状況に応じて、自治体が協力したかどうかを政府が一方的に判断して、交付金を配分するものです。自治体を国策に従わせるテコにしようというのです。
たとえば、計画の受け入れを表明した33市町に対し、計45億6900万円を支給するとしています。それを見ますと、最高額は、原子力空母「ジョージ・ワシントン」が配備される神奈川県横須賀市への5億8400万円、続いてミサイル防衛(MD)用の米軍新型レーダー(Xバンドレーダー)を配備した青森県つがる市の3億7700万円、米軍機の訓練移転に伴う宮崎県新富町の3億4900万円、石川県小松市の3億300万円などとなっています。
その一方で、政府は、再編交付金を交付する自治体の指定にあたって、基地再編を受け入れていない神奈川県座間市、山口県岩国市、沖縄県名護市、金武町、宜野座村、恩納村を指定から排除しました。たとえば、米空母艦載機の岩国基地(山口県)への移転に反対する岩国市には交付されず、その反面、周辺3市町に計2億4900万円を配分するというやり方をしています。
これは、これまでの米軍基地に関する交付金のあり方を根本的に変えるものです。これまでの基地交付金は、基本的には基地設置による環境悪化や地元自治体・住民への損害補償の意味で実施されていました。しかし、今のやり方は、これを根本的に変質させるものとなっています。
再編交付金というアメとムチで自治体を脅しつけ、米軍基地の再編強化を強要する卑劣なやり方を、政府はやめるべきです。ウマの鼻先にニンジンをぶら下げたり、札束でほおをたたくようなやり方は、即刻、改めるべきです。