憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【07.05.10】集団的自衛権は『米国防衛』憲法解釈変更なら総選挙を名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2007年5月10日
TBS系番組「みのもんたのサタデーずばッと」で、たいへん印象深いことがありました。みのもんたさんが、「集団的自衛権」防衛省の説明はこうだ、と言ってパネルに示したときのことです。
そこには、こんな主旨のことが書いてありました。――「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と。みのさんは、こう置き換えて解説しました。――「日本と密接な関係にあるアメリカに対する武力攻撃を、日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力を持って阻止する権利」。
実に、わかりやすい解説でした。……集団的自衛権の行使とは、日本が外国から侵略や攻撃を受けたときの「自衛」の話ではなく、軍事同盟を結んでいる相手の国が戦争をする時に共同で戦争行為に参加することです。
憲法九条は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定しています。だからこれまで政府も、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとのべてきたのです。
ところが安倍内閣は、「集団的自衛権に関する有識者会議」を立ち上げて、この解釈を変えようとしています。
その有識者会議を構成している13人とは、どのような人々なのでしょうか。そのうち12人が、参考人として呼ばれた国会での発言や論文などで、政府の違憲解釈を批判したり、解釈変更を求めていたことが共同通信の調べで分かりました。
安倍首相は4月25日、人選に関して「高い見識を持った有識者に各界からお集まりいただいた」と強調しましたが、これでは初めから“結論ありき”ではありませんか。
実質的には、その道は着々と整備されています。
日米両政府は、最近、米国務省で外務・防衛担当4閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)をひらきました。この会合で、オーストラリアやインド、北大西洋条約機構(NATO)などとの協力拡大を目指すことで一致しました。
会合後の共同記者会見で、麻生外務大臣は、北東アジア情勢にふれ「日米、オーストラリア、インドなどアジア太平洋地域の協力強化」を強調しました。麻生氏は、日本を取り巻く安全保障環境の不透明性が増していることに懸念を表明しました。そのうえで、米側に「抑止にかかわるコミットメントは、一点の曇りもなく確認されることが重要だ」と求めました。
これにたいしてライス氏は、「あらゆる種類の軍事力をもって、日本に対するコミットメントが変わりないことを確認する」と応じた、といいます。
4閣僚は、共同発表文書「同盟の変革 日米の安全保障及び防衛協力の進展」を公表しました。そこには、ミサイル防衛(MD)に関する情報共有の充実や、秘密保全を強化するための「軍事情報に関する一般保全協定(GSOMIA)」を締結することなどが盛り込まれています。
これは、日米安保の世界規模での拡大への道に踏み出すことを意味します。日本は、いっそう危険な方向に進んでいます。
中曽根康弘元首相は、テレビ朝日の報道番組で、集団的自衛権の行使を一部容認するとの憲法解釈変更を行う場合には、「選挙が一番良い。解散して問うべきだ」と指摘したそうです。――それなら、そうしたらどうでしょうか。