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憲昭からの発信

憲昭からの発信 − 寄稿文

【07.04.12】9年越しのICC加入決定 米国配慮で日本は積極姿勢名タイ

「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2007年4月12日


 先日、外務委員会で質問しました。
 提案されたICCローマ規程(国際刑事裁判所に関するローマ規程)の締結は、国際社会において武力紛争が絶えず、戦争犯罪や人道上看過できない惨害がくりかえし引き起こされてきた状況下で、重大犯罪を処罰しその根絶をめざすものであり、重要な制度だと思います。
 日本は、憲法にある国際平和の実現をめざす立場からも、ICC(国際刑事裁判所)に加入し積極的に役割を果たすべきです。
 私は、まず麻生太郎外務大臣にききました。
 日本は規程を採択した1998年のローマ会議の最終合意文書に署名し、その際、「国際社会の長年の悲願であったICC設立を全面的に支持する」と言っていました。。
 私は、外務大臣に「日本のこの立場は、いまも変わらないか」と、聞きました。外務大臣は、「変わりません」と答えました。
 ところが、今年、閣議決定によって加入を決めるまで、じつに9年近くもかかっているのです。今になって、ようやく「加入」するわけですが、初期の立場からすれば、率先して署名して批准に努力し、規程の発効をすすめる立場に立つべきだったのではないでしょうか。
 外務大臣は、「規程の内容や各国における法整備の状況を精査し、国内法令との整合性について必要な検討をおこなってきたこと」や「予算がともなう(平年度30億程度)こと」などを遅れた理由としてあげました。
 しかし、そんなことに8年も9年もかかるのでしょうか。まったく、信じられません。
 私は、その背後にアメリカとの関係があるのではないかと思います。というのは、アメリカ政府は、このローマ規程にきわめて不熱心だからです。
 ICC(国際刑事裁判所)規程に、クリントン前大統領は署名しながら、「規程には著しい欠陥がある」として批准しようとしませんでした。
 その理由は、ICCができれば、自国の兵士等が「戦争犯罪」などで訴追されかねないというものでした。その後、ブッシュ大統領もICCに反対し、署名の撤回を表明しました。
 米兵が裁かれるのは都合が悪いから撤回するというのは、あまりに不誠実な態度です。
 それだけでなく、2002年に、ローマ規程が発効の段階を迎えると、アメリカは多くの国(約100カ国)と2国間協定を締結しはじめ、ICCへの米兵の引渡しをさせないしくみを広げてきたのです。明らかに規程を骨抜きにする動きです。
 結局、日本政府は、アメリカに気兼ねして、ようやく9年もたって規程に加入するという消極的な姿勢になったのではないでしょうか。
 私の質問に対して、麻生外務大臣は、「アメリカにも、この規程に入った方が得だと伝えたい」と答えました。

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