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憲昭からの発信

憲昭からの発信 − 談話

【07.04.01】消費税導入19年目--税制のゆがみ改めよ

佐々木憲昭 消費税・庶民増税阻止闘争本部事務局長 談話

2007年4月1日

 導入後19年で国民が納める消費税は総額約188兆円に達する見込みです。
 政府は、福祉のためという口実さえほごにし、導入後、医療、年金、介護など、社会保障制度を相次いで改悪してきました。そのために庶民の生活はいっそう苦しくなっています。
 福祉に回らなかった消費税の税収は、大企業や一部の金持ち対する優遇策を拡充するための財源や税収減の穴埋めに使われてきました。
 所得税と住民税の定率減税の全廃(07年)による税収増の約1兆7000億円も、07年度の大企業・大金持ち減税に充てられようとしています。こんな逆立ち税制は許すことができません。
 政府は、いよいよ今年秋から消費税を含む税体系の抜本的「改革」の議論を本格化させるとしています。その最大のねらいは、財界が政治献金をてこに強く求める法人税のいっそうの減税と消費税の増税です。
 日本共産党は、消費税の引き上げを許さず、格差と貧困をさらに拡大させる税制「改革」を中止させるために力を尽くします。

解説

消費税導入19年目
自民党進めた税逆立ち


 消費税が導入されてから4月1日で、19年目に入りました。国民が納めた消費税額は約188兆円(2007年度までの累計)に達しようとしています。財界はさらに現行5%の消費税を10%に引き上げ、現行約40%の法人実効税率を30%に引き下げることを求めています。自民党政治が、いかに税のあり方をゆがめ、貧困と格差の拡大を助長してきたかをみます。(山田英明)


庶民に増税
 「税金が増えたのをすごく実感します」。夫と娘の三人で暮らす川本知美さん(53)=北海道在住、仮名、専業主婦=はこう語ります。
 昨年は定率減税が半減され、今年1月には所得税の定率減税が全廃されました。6月には、住民税でも定率減税が全廃されます。これによって住民税が大幅に引き上げられることが予想されます。
 とくに小泉内閣以降、税額を軽減する各種控除の「見直し」や定率減税縮減・廃止という形で、庶民に所得税・住民税増税が押し付けられてきました。その影響はサラリーマンから高齢者、自営業者など、幅広い層に及びました。中でも、住民税増税は、国民健康保険料や介護保険料などの引き上げに連動しました。
 1996年から家計簿をつけ始めた川本さんがこの11年間で納めた消費税は、約168万円(2006年度まで)に達しました。
 川本さんは、消費税を含めると社会保険料と税金が、家計の約3分の1を占めるといいます。「年金保険料も増えたでしょ。介護保険料も増えたでしょ。この上、さらに増税が考えられているなんて恐ろしいですね」  

大企業と金持ち減税
 庶民は大増税を押しつけられる一方、大企業や一部の高額所得者は、相次ぐ減税策の恩恵を受けてきました。
 消費税導入前は42%だった法人税の基本税率は、消費税が導入された1989年に40%に引き下げられました。その後も相次いで引き下げられて、現在は30%になりました。
 2002年度には、大企業グループの納税額を小さくできる連結納税制度が導入され、04年にはこれに伴う付加税も廃止されました。
 03年度に抜本的に拡充された研究開発減税や同年度に導入されたIT(情報技術)投資減税は、トヨタ自動車やキヤノンなど、一部大企業の法人税額を大幅に軽減してきました。さらに、減価償却制度の「見直し」は、巨額の設備投資をする大企業にいっそうの減税をもたらします。

31社に1700億 7人に200億円
 自民・公明両党の賛成によって決められた減価償却制度の「拡充」は、巨額の設備投資をする大企業に大規模な減税をもたらすことになります。
 2004年の会社標本調査結果(国税庁)によると、資本金10億円以上の大企業(連結法人含む)が占める割合はわずか0.36%。しかし、これらの企業が減価償却費の損金算入額全体の約6割を占めているのが実態です。
 減価償却資産の大きいトヨタ自動車やキヤノンなどを含む大企業31社だけでも、約1700億円に達する見込みです。
 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の試算によると、証券優遇税制での、株式等譲渡所得の減税総額(すべて上場株式と仮定した場合、申告所得税分のみ)は年2652億円に達します。
 このうち申告所得の合計が100億円を超えるわずか7人が、合計約200億円もの減税を受けていることが分かりました。1人当たり年約27億6000万円もの減税をうけている計算です。  

「福祉のため」に使われず
 消費税は、“福祉のため”を口実に導入されました。しかし、導入後18年間を見ても、社会保障は連続して改悪されてきました。
 導入後、国民が納めた消費税額は2007年度(予算ベース)では、約188兆円に達する見込みです。一方、同じ時期に法人三税(法人税、法人事業税、法人住民税)の税収が減った額の累計は、約164兆円(同)に達する見込みです。
 福祉に使われなかった消費税の税収はどこに使われたか―。相次いで実施されてきた大企業減税の財源や不況や大企業減税による税収減の穴埋めに使われてきました。  



法人税の実効税率 国税である法人税だけでなく、地方税を含めて法人企業の利益に課税される税の実質的な負担率を示すものです。日本の場合、法人企業の利益に課税される税として、国税である法人税と、地方税の法人住民税と法人事業税があり、これらを法人三税と呼びます。現在、法人税(国税)の税率(基本税率)は30%。法人三税と、税の一部が損金に参入されることを考慮して、企業の実際の利益にたいする税の負担率を求めると、39.54%となります。これが法人税の実効税率です。

公明党 推進 雪だるま負担増
 「(基礎年金の)国庫負担の引き上げを実現するためには、所得税の定率減税と年金課税の見直し以外にはない」。公明党の神崎武法代表(当時)らは、03年9月18日のマニフェスト(政権公約)説明会でこうのべました。
 多くの世帯に増税の痛みをもたらした所得税・住民税の定率減税縮減・全廃や高齢者の年金課税強化(公的年金等控除の縮小と老年者控除の廃止)。これらの庶民増税のの旗振り役を務めてきたのは公明党でした。
 しかも、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1へ引き上げるための財源を名目に増税を押しつけながら、07年までの4年間で3分の1からわずか3.2%引き上げられたにすぎません。

民主党 競って要求 大企業減税
 自民・公明両党と大金持ち・大企業減税を競い合ってきたのが民主党です。
 民主党の前身の民友連と自由党は、1998年の法人税率引き下げに“さらに引き下げるべき”との立場で反対しました。翌99年の法人税率引き下げには、自由党(当時)は自民党と連立して、引き下げを提案する側でした。
 民主党は、2003年度税制「改正」についての「考え方」で、連結付加税の導入反対や研究開発減税の「拡充」、減価償却制度の「拡充」を主張。大企業減税の強化を求めてきました。また、証券優遇税制についても、株式譲渡益への「時限的なゼロ税率」の適用などを主張し、いっそうの大金持ち減税を求めてきました。
 企業がリストラ・人減らしをすればするほど減税する「産業活力再生法」については、その制定(99年)には反対したものの、同法の延長・拡充(03年)には賛成しています。
(「しんぶん赤旗」2007年4月1日より)

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