憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【07.03.15】美術刀剣保存協会の不正 徹底的な調査・指導を求む名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2007年3月15日
私は、今月はじめの衆議院予算委員会の分科会で、財団法人・日本美術刀剣保存協会(佐々淳行会長)の不正・疑惑を追及しました。
2001年に、刀剣や刀装具の審査のあり方に不公正な問題があったため、文化庁の「改善・注意」を受けていた日本美術刀剣保存協会が、それ以後も586件の業務改善措置に反する審査を続けていました。
同協会は、事業として、刀剣などを審査、鑑定し、保存・特別保存、重要・特別重要などの指定を行っています。この刀剣審査で、特別重要などに指定されれば、刀剣などの価格が上がることもあり、インサイダーのような行動規範の疑いを差し挟まれないように、厳格な行動がもとめられます。
文化庁によると、同協会は、2001年11月から2007年1月までに業務改善措置に反する審査を、重要・特別重要刀剣の審査で59件、保存・特別保存刀剣の審査で、527件もおこなっていました。
2001年8月、文化庁は、同協会に対して実地検査を実施しました。そのうえで、審査の公正性の確保や疑義を挟まれないようにするため、改善・注意を要する事項として「刀剣及び刀装具の審査については、今後は財団の役員、職員ならびにその親族は申請できないように改善していただきたい」と指導していました。
これにたいして協会側は、同年11月に「役員、職員並びにその親族と審査員を含め、内部規律として審査申請ができないようにする」と回答していました。これは、会長や専務理事、事務局長などのハンコが押された稟議書を添付して、文化庁に業務改善措置を報告していたのです。
私は、2月26日付の同協会内部文書で、「理事やその親族の申請を排除したりするのは弊害あって実利なし」などと開き直っている事実を紹介しました。そのうえで、「審査を行う者が申請し鑑定を行うということは、極めて不自然だ。調査を行い実態がどうなのかを把握する必要がある」と追及しました。
伊吹文明文部科学相は「調査を行い、おかしなところがあれば、指導・監督、命令などを行っていく」と答えました。
この内容を、「東京新聞」が詳しく報道しました。見出しには、「現職理事の指導違反27件、2業者57%申請、台帳なし」――「文科相、刀剣協会に伝家の宝刀!?『改善命令あり得る』」――「各省庁も注目する文科省の“腕力”」と書かれていました。
その記事は、「分科会では、佐々木氏がこうした経緯をふまえ『改善どころか(財団は)開き直ってしまう。重大な事態だ。踏み込んだ対応が必要ではないか』と迫ると、伊吹氏も『各党から同じ指摘を受けている。公益財団改革が言われているなか、国民の信頼を得ないといけない。いつまでも、こういうことを放っておけない』と応じた」と報道しています。
不正・疑惑をきちんとただし信頼される協会を取り戻すよう、さらに力をつくします。