憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【06.10.26】財界直結「アベノミクス」露骨さ増す大企業優遇策名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2006年10月26日
中川秀直自民党幹事長は、安倍内閣の経済政策を「アベノミクス」だと言いました。いったいその政策は、誰が決めるのでしょう。
安倍内閣は、規制改革・民間開放推進会議の宮内義彦議長(オリックス会長)の後任人事を草刈隆郎総括主査(日本郵船会長)に決めました。草刈氏は、日本経団連の副会長です。
また「小泉改革の司令塔」と言われた経済財政諮問会議の民間議員も変わりました。日本経団連会長の御手洗冨士夫氏(キヤノン)、経済同友会政治委員長の丹羽宇一郎氏(伊藤忠商事会長)、規制改革・民間開放推進会議総括主査の八代尚宏氏(国際基督教大学教授)、元財務省副財務官の伊藤隆敏氏(東大大学院教授)、経済財政諮問会議の担当大臣は、竹中平蔵前大臣のもとで民間議員の事務局をつとめた大田弘子氏です。
これらのメンバーをみれば、弱肉強食の新自由主義的発想にもとづき“財界直結”政治を推進する体制であることは、誰がみても明らかではないでしょうか。大田弘子大臣自身が、「民間議員が、新しい発想でけん引していく会議を引き継ぎたい」(10月6日付「東京」)と明言しています。
じっさい、安倍政権発足後はじめての経済財政諮問会議では、大企業の競争力を強めるため「企業減税をさらに検討する」ことが決められたそうです。その理由は、大企業の法人税負担が欧米とは同水準だが「アジアの新興諸国よりは高いから」だというのです。まったく勝手な理屈です。
すでに政府は、減価償却制度の見直しで6000億円もの減税を行おうとしており、財界は、そのうえさらに大幅な法人税の減税を求めているのです。大企業はいま、バブル時代をはるかに超えた“空前の利益”をあげています。これ以上の減税は、まったく必要ありません。
いったいその財源は、誰が負担するのでしょうか? 庶民が負担するのです。現に、定率減税の廃止など所得税増税が強行され、年金、介護、医療の負担を増やし、高齢者や障害者など弱い者への耐え難い負担となっています。
財界代表が直接乗り込んで、自分たちに都合のよい減税をお手盛りで決め、国民には耐え難い負担を押しつける……。これが、中川幹事長のいう「アベノミクス」なのでしょうか。
こんなやり方を、国民が受け入れるはずがありません。