憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【06.09.28】企業減税6千億円の基本方針 “財界直結”踏襲の安倍新政権名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2006年9月28日
安倍晋三自民党総裁が、新しい総理大臣になりました。それに先立ち、日本経団連の御手洗冨士夫会長が、自民党本部で安倍新総裁と会談し、新政権に対する政策要望を手渡したそうです。
その要望は、新しい日本型成長モデルの実現、日米関係を基軸にアジア大洋州地域を重視する外交、「歳出・歳入一体改革」の実施、「道州制」の導入、「教育再生」と「憲法改正」などです。
これにたいして、安倍さんは、「私の公約とほとんど同じ内容だ」と答えたそうです。それは、偶然ではありません。
もともと、安倍さんが「政権公約」に掲げている内容は、7月7日に決定された「基本方針2006」と、前日の7月6日に決められた「経済成長戦略大綱」(「財政・経済一体改革会議」)がベースになっています。それをつくったのは誰でしょうか。
「経済成長戦略大綱」は、経済産業省でつくられた「グローバル戦略」と「新経済成長戦略」を統合したものです。その「グローバル戦略」の部会長は、経団連会長の御手洗冨士夫氏であり、「新経済成長戦略」の部会長は、経団連副会長の西室泰三氏です。
これらの内容は「基本方針2006」に盛り込まれています。それは、経済財政諮問会議で決められ、さらに閣議決定となっています。安倍総裁が、「私の公約とほとんど同じ内容だ」と答えたのは当たり前で、もともと財界がみずから乗り込んでつくった経済政策だったのです。
財界の意向を代弁していると言えば、安倍氏が大企業の税負担をさらに下げようとしていることにもあらわれています。財政赤字を理由に、庶民には増税を押しつけながら、儲けている大企業にさらに減税をおこなう。――こんな逆立ちした発想は、どう考えても認めるわけにはいきません。
その内容は、大企業のIT関連などの設備投資を促すため、2007年度の税制改正で法人税の大幅減税に踏み切る意向を固めたというのです。具体的には、企業が設備や機械を取得した場合、損金として利益から控除できる減価償却の限度額を、現在の購入価格の原則95%から100%に拡大する、とされています。
課税対象の利益が従来より5%分圧縮されることで企業の税負担が軽くなり、その減税規模は、初年度で6000億円程度と見込んでいます。
しかし、空前の利益を上げている大企業に、これ以上の減税は必要がありません。むしろ適切な負担こそ求めるべきです。
これひとつとっても、安倍政権が“財界直結”だということは、明らかではありませんか。