憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【06.03.02】国税局がOB税理士に『顧問先あっせん』とは名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2006年3月2日
先日、財務金融委員会で、国税庁による国税OB税理士への顧問先斡旋・天下り問題についてききました。
国税OB税理士というのは、23年以上税務署に勤務して研修を受ければ、試験もなしに税理士の資格が取得できるというものです。税理士には、「試験組」と「OB組」の2種類あるといわれています。
全国の税理士のなかで、OB税理士の割合は、全国で約6万8642人の税理士のうち、約2万2945人。3分の1を占めています。
もちろん、職員を退職して税理士を開業することは自由です。しかし問題なのは、OB税理士のなかでも「指定官職」と呼ばれる税務署の正副署長以上、地方国税局の調査部長、局長のばあいです。
これらの幹部が退職するさいには、各国税局の人事課が、わざわざ顧問先企業つまりお客さんを組織的に紹介する仕組みがあるのです。これは、きわめて異常なシステムです。
たとえば、昨年7月の退職者に対して各国税局がどのように税理士顧問先のあっせんをしているでしょうか。あっせんをした退職職員の数は全国で359名、1人あたりのあっせん企業数は10.9件です。つまり、年間約4000近い企業をあっせんしているわけです。
しかも1人あたりの平均月額報酬は66.0万円(全国平均)ということです。こうなると、退職職員一人当たりの平均年額報酬はは約800万円、全体で28億4328万円にもなるのです。あっせん件数20数件のOB税理士もおりますので、年額報酬が1000万円を超える人も出てきます。こんなことをやるべきではありません。
では、いったいどのようにして、企業を見つけてくるのでしょうか。
東京税理士会の調査で、あっせん・予約の申し入れがあった時の状況についてきいたところ、「税務調査をきっかけとして、その前後に申し入れ等が顧問先にあった」というのが17.4%もあります。税務調査をきっかけに申し入れるとなると、まさに権力の乱用です。
しかも、2年経ったらその企業に順繰りに次のOB税理士を送り込むというやり方をしています。これが押しつけでなくて、いったい何でしょうか。
東京税理士会が、2004年11月に調査したところによると、国税局からあっせん・予約の申し入れがあった時、どのような結果になったかというと、顧問先が受け入れを拒否したのはわずか10.1%にすぎません。
すでに税理士がいるのに、顧問先が受け入れたというのが84.1%にのぼっています。企業としては断れないという実態が浮き彫りになっています。
いま、確定申告で中小企業は、大変な思いをしているのに、その一方で、国税局が組織的に斡旋を行いOB税理士1人で何百万円という報酬をもらっている。――こんなやり方は、直ちにやめるべきです。