憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【05.12.22】空前利益の大企業に減税を続け、庶民には増税押し付け名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2005年12月22日
驚きました。――大企業は、表に出る利益だけでなく、内部にため込んだ利益も巨額にのぼっていることが明らかになりました。全労連(全国労働組合総連合)と労働総研(労働運動総合研究所)が発表したものです。
発表された『2006年国民春闘白書』によると、トヨタ自動車など主要な大企業143社(銀行、証券除く)のため込み利益(連結内部留保)は、1年間で21兆円も積み増し、204兆円にのぼっています。この内部留保というのは、企業がため込んだ隠し利益を含むさまざまなもうけのことです。
全労連は、「連結剰余金」「資本準備金」「退職給付引当金」「長期負債性引当金」の四つの合計額を連結内部留保としています。国の予算が約80兆円ですから、その約2.5倍もの規模になります。トヨタ自動車の今年3月期の連結経常利益は1兆7546億円です。その連結内部留保は、10兆3613億円とトップです。
この間、労働者は、リストラ・首切りと正規から非正規への置き換えで、常用雇用労働者は124万人も減少しました。現金給与総額は、年間で25万円の減収となり、勤労世帯の実収入も年間37万円減りました。
そのため『白書』は、「内部留保は、低賃金と長時間過密労働による労働者からの搾取、下請単価切り下げなどの中小企業いじめによる収奪などの結果にほかならない」と指摘しています。このようなため込み利益は、労働者や社会にきちんと還元すべきではないでしょうか。
ところが、自民・公明両与党は、そのことにふれようともしないばかりか、逆に「2006年度税制改正大綱」で、庶民増税の立場を明らかにしました。
このなかで、所得税と個人住民税の定率減税の廃止を明記し、総額3.3兆円の増税を明確にしました。また、消費税については、「07年度をめどに消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでいく」としています。小売価格ベースで1本1円の値上げとなるたばこ増税は、来年7月1日から実施するとしました。酒税は、現行の10分類を4分類に簡素化するとしています。発泡性アルコール飲料「第3のビール」は最大3円80銭増税するそうです。
史上空前の利益を上げている大企業に対しては、減税を続ける一方で、庶民への増税押しつけだけは、着々とすすめているのです。サラリーマン増税はやらないと言っていた与党が、公約違反をしていることは、誰の目にも明らかではないでしょうか。