憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【05.12.08】『官から民へ』安全まで丸投げしていいのか!!名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2005年12月8日
マンションやホテルなどの耐震性を示す構造計算書の偽造問題が、国民の不安を広げています。
先日も、静岡市に行ったさい、営業停止になっているホテル「三交イン静岡」の近くを通りました。出来たばかりのホテルなのに、営業を停止したまま放置されています。一階にあったコンビニも撤退したということです。
各地を訪れいている日本共産党の調査団にたいし、耐震設計が偽造されたマンションに住んでいる方々は「いつ壊れるかと思うと怖くて夜も寝られない」「当面の仮住まいを確保したい」など、切々と訴えています。
建築確認申請の審査のスピードが早いことを“売りもの”にする民間検査機関の利益優先の態度も問われています。他方、自治体の検査体制が弱体化し民間検査機関からの報告を“丸のみ”するだけと言われていることも重大です。
1998年に建築基準法の「改正」がおこなわれてから、マンションなどの建築でこんな無責任体制が進行してきたのです。
耐震偽装発覚のきっかけは、東京の設計事務所「アトラス設計」の告発でした。耐震偽装に気がついた社長らは、建設会社の木村建設や民間確認検査機関の日本ERIなどに通告したのに、どの会社も真剣に調査しないまま長期間にわたって放置していました。とんでもないことです。とくに日本ERIは、建築確認を出した物件にたいして重大な疑惑が指摘されたにもかかわらず放置したのですから、その責任はきわめて重いものがあります。
アトラス設計の社長は、同じ民間検査機関の「イーホームズ」にも偽造を報告、ようやく10月になってイーホームズの内部監査でやっと調査がおこなわれた結果、発覚したのです。この告発がなければ、いまなお住民は何も知らないまま、危険なマンションに住み続けていたことになったでしょう。
それにしても、政府与党の一連の発言や行動はひどすぎます。自民党の武部勤幹事長は、北海道釧路市の講演で、「悪者さがしに終始すると、マンション業界はバタバタとつぶれる。不動産業界もまいってくる。これは景気がおかしくなるほどの大きいものだ」と述べました。これは、偽造問題の徹底解明に否定的な姿勢を示したと受け止められるのも当然です。原因を究明するのが、政治の責任ではないでしょうか。
自民党の伊藤公介元国土庁長官は、建築主の不動産会社社長を国土交通省幹部に引き合わせることまでやっていました。また、耐震データ偽造問題が公表される10日前、公明党の山口那津男参院議員の秘書が、建築主の不動産会社「ヒューザー」の要望を国土交通省に伝える橋渡しをしていました。……いったいどうなっているんでしょうか。
建築確認・検査を規制緩和した1998年の建築基準法改悪にあたり、日本共産党は「『安かろう悪かろう』の手抜き検査が増える恐れがある」と国会で追及しました。
何でも「官から民へ」と、安全まで民間に丸投げした国の公的責任の放棄が、根本にあります。――事態の全容解明、責任問題を含めた安全対策、居住者への救済措置などについてきちんとした対策を、さらにもとめていく決意です。