憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【05.10.27】小泉首相の靖国参拝に厳しい抗議の声広がる名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2005年10月27日
小泉首相は、突然、靖国神社の参拝を強行しました。
河野洋平衆院議長も、「できる限り慎重にすべきだと言ってきただけに残念だ。マスコミの世論調査を見ても(参拝が)国民の総意を代表するものだとは受け取れない」と述べ、首相の姿勢を批判しました。
首相としての資格と責任が厳しく問われます。総選挙で圧倒的多数の議席を得たことを背景に、数の力のおごりもあるのではないでしょうか。この行為は、行き詰まった日本外交をいっそう袋小路に追いやるものです。
首相の靖国参拝については、大阪高裁は9月30日、「職務行為で、憲法で禁止された宗教的活動にあたる」として違憲と判断したばかりです。
靖国神社は、戦前、侵略戦争遂行の精神的支柱の役割を積極的に果たし、戦後も、この侵略戦争を美化・礼賛しつづけ、軍国主義復活の“旗ふり役”となってきました。首相の参拝は、平和・民主の憲法を二重、三重に踏みにじるものであり、日本政府が過去の過ちにまったく無反省であることを、内外にあらためてしめしたものです。
靖国神社はもともと「天皇のために戦死した軍人・軍属をまつる神社」です。同じ戦争犠牲者でも、たとえば西南戦争で没した西郷隆盛はまつられていません。また、大空襲で犠牲となった国民もまつられていないのです。
戦後、一宗教法人とされてからも、靖国神社は「国事に殉ぜられた人々」を「英霊」としてまつるという戦前の神社創建の趣旨をそのまま踏襲しました。しかも、1979年には、太平洋戦争を開始した東条英機元首相をはじめ14人のA級戦犯が、ひそかに「昭和殉難者」として合祀されていたことが明るみに出て、大問題になりました。
靖国神社は、これらA級戦犯を「連合軍の、形ばかりの裁判によって一方的に“戦争犯罪人”という、ぬれぎぬを着せられ、無惨にも生命をたたれた」(「やすくに大百科」靖国神社社務所発行)人たちだとして、実際とは逆に被害者のように描いています。
この神社を、首相として参拝することは、侵略戦争を引き起こした戦争責任を真っ向から否定し、あの戦争を肯定する立場に日本政府が立つことを、公然と内外に表明することになるのです。