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憲昭からの発信

憲昭からの発信 − 寄稿文

【05.10.13】“郵政法案『反対』から『賛成』に”は 有権者との関係で重大な問題残す名タイ

「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2005年10月13日


 10月11日の衆議院本会議での郵政民営化法案の採決の結果は、賛成338、反対138で200票の差。これには驚きました。選挙前の国会では、わずか5票差でしたから。……
 自民党から離脱して結成した国民新党・日本・無所属の会の4氏は、「言行一致が大事だ」として反対票を投じましたが、無所属の反対組12人のうち野田聖子氏ら11人が賛成票を投じました。反対から賛成に転じた堀内氏は、「民営化という国民の意思が明確になってきたのでそれに従った」とのべ、山口氏は「考え方は変わらないが現実的な対応をした」と語ったそうです。
 しかし、それでいいのでしょうか。有権者は、法案に反対する候補として支持されて当選したのではなかったのでしょうか。選挙が終わったばかりなのに、信念を貫くことができず態度を180度変えるというのは、有権者との関係で重大な問題を残します。
 国民は、はたして民営化に賛成の意思表示をしたのでしょうか。選挙の結果、議席の上では自民・公明が過半数を占めましたが、肝心なのは得票です。小選挙区では、与党と賛成派無所属が49%、野党と反対派無所属などは51%でした。
 小選挙区に、「刺客」を立て、国民にたいして民営化に「賛成か反対か、意見を聞きたい」と言って「国民投票」的な選挙をやった結果が49%ですから、明らかに否決でした。 なぜ国民の半数が、郵政民営化を支持しなかったのでしょうか。国民のなかに、民営化によって「郵便局がなくなるのではないか。郵便局で貯金や保険を扱わなくなるのではないか」という不安があるからです。
 これまでの郵政公社には、すべての郵便局に郵貯・簡保のサービスをあまねく提供する義務があり、郵便貯金にも「あまねく公平に利用させる」という義務づけがあります。ところが、民営化法には、郵便局にも郵貯銀行や簡易保険会社にも、このようなユニバーサル・サービス提供の義務づけがありません。
 じっさい、竹中大臣は「純粋な民間の銀行である以上、それに対して政府が何か特別の義務づけをすべきではない」と答弁しています。民営化法案には、郵便局で簡保と貯金をあつかわなければならないという義務がなくなって、個々の郵便局で扱うかどうかは、最終的には経営者の判断にゆだねられてしまうのです。
 郵便局に行って貯金をしようとしても「この郵便局では扱っていません。お帰り下さい」ということだってありうるのです。
 半数の国民が、民営化を「支持しなかった」理由は、ここにあるのではないでしょうか。与党と小泉総理は、この点を深く考えるべきです。

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