憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【05.07.07】無年金・低年金者をなくす年金制度改革を名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2005年7月7日
いま、若者がおかれている実態は、「年金なんて払えないし、もらえない」という深刻な状況にあります。
パート・アルバイト・派遣労働者、それに働く意思のある失業者をあわせた、いわゆる「フリーター」(学生・主婦除く)は、15〜34歳の世代で417万人もいます。その数は、団塊世代のサラリーマン約500万人に匹敵する規模です。これらの若者は厚生年金に加入できない状況にあります。
民間の研究機関のひとつであるUFJ総研の調査によると、標準的な正社員の平均年収は387・4万円です。これに対し、同年齢のパートタイム労働者の平均年収は105・8万円にすぎません。じつに約4分の1です。ここから年間16万円、2017年以後は20万円にもなる国民年金保険料を払えるでしょうか。しかも、25年間払い続けないと年金を受けとることができないのです。
受けとる年金額は、「フリーター」の場合は、月66,000円の基礎年金のみです。それも、40年間、保険料を納付できた場合です。25年だと4万2000円、納付期間が24年11カ月までなら年金の受け取りはゼロになるのです。
「フリーター」から正社員になれる人は少なく、「若年フリーター」が、大量の「中高年フリーター」になり、その人たちが保険料を払えず、「基礎年金すら受けとれない高齢者」になる危険性を、UFJ総研のレポートは指摘しています。
求職活動をせず、学校教育・職業訓練を受けていない、いわゆる「ニート」も増えています。これを、政府・与党が「若者の意識」の問題だと責任転嫁してきました。
では、どうすればいいのでしょうか。雇用・労働条件の抜本的な改善と同時に、膨大な無年金・低年金者を生み出す年金制度の仕組みそのものを見直す必要があるのです。
まず大前提として、若者の雇用・労働条件を抜本的に改善・向上することが必要ですが、それと同時に、「25年間、保険料を払わないと年金ゼロ」「基礎年金だけでは生活ができない」という事態を克服すること、つまり、膨大な無年金・低年金者をうみだす、年金制度の仕組みそのものを見直す必要があります。
少なくとも、まず第1に、受給資格の取得期間を、アメリカ、イギリスなみの10年程度に短縮するべきです。さらに、抜本的な解決策として、他の先進諸国のように最低保障年金に足を踏み出すべきです。そうすれば、現在、「フリーター」を余儀なくされている人も、無年金になる心配はなくなります。
また、保険料を払えば、最低保障分の上に給付が上乗せされるから、年金によって老後の生活を安定させる見通しが開け、保険料を払おうという気持ちにもなります。このような「無年金・低年金者をなくす制度改革」を真剣に検討すべきです。