憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【05.04.28】日本の企業に問われる『社会的責任の明確さ』名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2005年4月28日
会社法案というのが国会で審議されています。私は、法務・財務金融・経済産業の3委員会による連合審査会で質問しました。
日本の企業に問われているのは、企業の社会的責任を明確にする法整備です。
大企業は、トヨタ・グループ、日立グループなど、巨大企業が親会社になり、その下に多数の子会社や関連会社を系列関係においています。また、持ち株会社のもとに多数の企業がグループを構成しています。この実態にふさわしい責任体制ができているでしょうか。
まず、谷垣財務大臣にききました。2002年(平成14年)から連結納税制度を導入しています。その理由は、大企業がグループとして存在していると見ているからです。しかも、年に3400億円もの減収(減税)になっています。この事実は大臣も認めました。
このように、日本の企業法制はグループ支配を認め、全体として連結会計、連結納税などをおこなっています。つまり、大企業はグループとしてまとまった意思決定を行いまとまって行動している存在だということです。
しかし、企業グループの責任の所在は明確ではありません。最近は、コクドと西武鉄道のように、親会社と子会社、持株会社とグループ企業の不透明な関係が明らかになるなど、企業グループのどこに責任があるのかが根本的に問われています。
そのことを明確にしないまま、グループの経営者の自由を拡大するのは問題です。その一方で、依然として「親会社と子会社は別」だとされ、親会社の指示によって子会社が不当労働行為をおこなっても、子会社の労働者は親会社の責任を問うことはできないという仕組みが続いています。
これは、著しくバランスを欠いているのではないでしょうか。欧米では、子会社に問題があれば親会社の責任を問う「会社結合法制」が、当然のルールとなっているのに、なぜ、今回の改正でこうした制度をとらなかったのでしょうか。
アメリカでは、エンロンやワールドコム事件を契機に、不十分ながら不正を働いた経営者への罰則強化、監査法人への監視強化、情報開示の強化などを柱とした企業改革法を成立させています。また、集団訴訟(クラス・アクション)やディスカバリー制度は、アメリカにおいて一般投資家が事後的に経営者の責任を追及するために有効に機能しています。
そのような仕組みが日本で実現しなかったのは、経団連からの要請を受けたからではないでしょうか。南野法務大臣は「それはない」と答えました。しかし、私は、経団連タイムスなどを紹介し、経団連が自民党に要請している事実を示しました。
このごろは「法案のカゲに財界あり」というのが実態ではないでしょうか。これでは、企業の社会的責任はますます後退するばかりです。