憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【05.01.06】完全失業者減少は数字のマジック名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2005年1月6日
総務省が年末に発表した労働力調査によりますと、11月の完全失業率は4.5%で前月を0.2ポイント下回り、完全失業者は290万人で、前年同月に比らべて40万人の減少となりました。完全失業者が300万人を下回ったのは、2000年12月以来のことだということです。私たちは、これを単純に喜んでいいのでしょうか。
実は、総務省統計局が毎月行っているこれらの調査は、毎月の最後の1週間に1時間でも就業した人は失業者に加えないという統計のとり方をしています。数字を見る場合、このことを考慮に入れなければなりません。
どう考えても、1ヵ月のうち30日も仕事がないという人は、どこから見ても失業者でしょう。ところが、たまたまその月の最後の31日目に短時間アルバイトやパートで働いたというだけで、統計上は「就業者」とみなされ、失業者からはずされてしまうのです。
さらに問題なのは、総務省統計局の調査では、「働きたい」という意思を持っていても「どうせ私の就職先はない」と求職活動をあきらめている人は、失業者数から除外されてしまうことです。
失業者の統計に入る人々は、ハローワークで仕事を探す求職活動をしている場合にかぎられるからです。これも奇妙な話です。
最近問題になっている52万人といわれるニートは、どうでしょう。ニートとは「職に就いていず、学校機関に所属もしていず、そして就労に向けた具体的な動きをしていない」若者を示す言葉として使われています。これらの若者は、求職活動をしていないためこの失業者には含まれません。
こう見てくると、政府統計の「完全失業率」というのは、失業の実態をごく一部しか反映していないことがわかります。 統計を見ると、11月の就業者数は1年前より1万人減っています。雇用者は3万人増えましたが、自営業主・家族従業者は14万人も減っています。
従って、現状は雇用が安定したとは、とても言えるような状況ではありません。
年末に発表された「日銀短観」(全国企業短期経済観測調査)によると、大企業製造業の業況判断指数(ID)は、前回9月調査比で4ポイント低下し、1年9ヶ月ぶりに悪化しました。
こんなとき、政府・自民・公明は、税制大綱をまとめ、所得税・住民税の定率減税を3年で廃止し3.3兆円の大増税を強行しようとしています。これは、昨年来の7兆円負担増とあわせると、じつに10兆円を超えます。
1997年に当時の橋本内閣が強行した消費税増税、特別減税廃止、医療保険負担増による9兆円負担増で、景気が完全に破たんしたことは、記憶に新しいところです。
いま求められているのは、大負担増を中止し、大企業の人減らしを規制し国民の暮らしと中小企業を支援する政策ではないでしょうか。