憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【04.12.23】北朝鮮の特殊機関にメスを入れられる人物との交渉を名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2004年12月23日
北朝鮮は、横田めぐみさんのものとして提出していた遺骨の鑑定結果について言及し、「日本政府が故意にねつ造したものだ」などと開き直っていますが、許すわけにいきません。北朝鮮外務省スポークスマンは、談話のなかで「夫が自分の妻でもない別人の遺骨を渡したというのは想像すらできない」と主張しました。しかし、この「夫」なる人物は、現役の特殊機関工作員なのです。
先日おこなわれた参院拉致問題特別委員会で、日本共産党の緒方靖夫参議院議員が質問しました。
緒方議員は、「小泉首相再訪朝(5月22日)のさい、金正日氏(国防委員長)の『安否不明者の再調査を白紙に戻して徹底的に行う』という約束が果たされていないのではないか」とただしました。これにたいして細田博之官房長官は、「一国を代表する人が約束をし、その通りやっていないのだから、先方政府あるいは責任者にたいして強く事実を求めていく。これしかない」と答えています。
ここで浮かび上がってきたのは、拉致問題の真相解明で北朝鮮の「特殊機関」が障害となっていることです。たとえば、横田めぐみさんの「夫」とされるキム・チョルジュン氏が、現役の特殊機関工作員であることを理由に、DNA鑑定のための資料提供や写真撮影を拒みましたが、これは「特殊機関」がいかに調査に非協力的な存在であるかを示すものではないでしょうか。
外務省の藪中アジア大洋州局長も、この「特殊機関」について「真実の追究に非常に大きな壁、難しさを提供している」とのべました。また、2002年の日朝首脳会談で、金正日氏が拉致実行犯として言及した特殊機関について「(現在も)存在している。廃止されたことはない」とのべました。
このような特殊機関を相手に調査をする以上、これまでと同じやり方で協議を続けても前進はありません。拉致問題に正面からメスを入れることができる責任ある相手を交渉の場に出させて、強力な交渉を進めなければなりません。
12月9日の党首会談で、日本共産党の志位和夫委員長は、小泉首相に「北朝鮮側の交渉担当者を、拉致問題の全ぼうを知り、問題解決に責任を負うことができ、権限を持った人物とする」ことを提起しました。交渉の仕掛けをかえてこそ、事態の抜本的な打開をはかる方向に踏み出すことができるのです。
参院拉致特別委員会は、日本共産党を含む全会派共同提案の「北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関する決議」を全会一致で可決しました。この決議案には「粘り強く協議を進める」ことが明記されました。
私たちは、交渉による解決を成功させるためにも、今後の交渉の推移と北朝鮮側の態度いかんによっては、経済制裁もとるべき選択肢の一つとなることがあり得ると考えます。